「株式会社日本ベル投資研究所の鈴木氏によるアナリストレポート」発行のお知らせ

2020 年 3 月 23 日
株式会社チェンジ


「㈱⽇本ベル投資研究所の鈴⽊⽒によるアナリストレポート」発⾏のお知らせ




投資家の皆様へ


㈱日本ベル投資研究所 鈴⽊⾏⽣⽒より弊社のアナリストレポートが発⾏されましたので、お知らせいたしま
す。




本件の問い合わせ先︓
株式会社チェンジ
東京都港区⻁ノ門 3-17-1
Control & Management 担当
メール︓ir_info@change-jp.com
(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート




3962 チェンジ
~NEW-IT でビジネスフロントの革新とパブリテックをリード~

2020 年 3 月 22 日 東証 1 部
ポイント
・2020 年 3 月期の 1Q は空前の増益となった。1Q の営業利益は 25.7 億円と、通期の営業利
益計画 13 億円を大幅に上回った。ふるさと納税の新しい制度が正常化する中で、業界のリ
ーダーとしての成果が一気に顕在化したことによる。


・長期ビジョンのもと、中期 3 ヵ年計画を推進しており、日本の DX(デジタルトランスフォ
ーメーション)市場において、リーダーの地位を確立することを掲げている。昨年 11 月に計
画を見直し、 1 フェーズとして 2022 年 9 月期に営業利益 47 億円(売上高営業利益率 25%)

を目指しているが、今のペースでは 1 年早く達成できそうである。


・2018 年 11 月にふるさと納税サイトで No.1 のトラストバンク(TB)を買収した。全国の
自治体に圧倒的なネットワークを有する。ここと連携してパブリテック(パブリックセクタ
ーの New-IT)を推進している。収益性が高いので、業績への寄与は大きい。ふるさと納税
健全化に向けて 2019 年 6 月から規制が強化されたが、TB は浮利を追わなかった。これが前
期の業績が計画を下回った要因であるが、今期は信認が戻り、業績に結び付いている。


・TB の買収金額 48 億円(現在の持株比率 70.2%)は全額借入で賄ったが、2019 年 5 月に公
募増資を実施し、42 億円を調達した。これによって一時 20%を下回っていた自己資本比率
は前期末で 51%まで改善した。ファイナンス資金は、デジタル人材の獲得と育成、新製品・
新サービス開発投資、次の投資事業、借入金の返済などに活用する。


・買収に伴い、セグメントは、①NEW-IT トランスフォーメーション事業、②投資事業、③
パブリテック事業(トラストバンク+公共×IT)となった。AI(人工知能)、RPA(ロボットによ
る業務自動化)、VR(仮想現実)、モバイルなどの活用が意欲的に展開され、ブロックチェー
ンを活用した独自の公共フィンテック事業も大きく伸びそうである。


・チェンジの経営の特長は、①経営スピードの速さ、②フラッグシップモデル戦略、③パー
トナー戦略、④ユースケース開発力にある。M&A の成果で、企業規模が断層的に拡大し、業
績の拡大と共に ROE も大きく好転している。企業価値として、時価総額 1000 億円は射程内
にあり、十分達成できる方向にあるので、大いに注目したい。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。


(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


目 次
1.特色 New-IT トランスフォーメーションからパブリテックへ進出
2.強み New-IT トランスフォーメーションにおける独自のフラッグシップモデル
3.M&A トラストバンクのふるさとチョイスを軸に、パブリテックを本格展開
4.中期経営計画 DX(デジタルトランスフォーメーション)で日本のリーダーを目指す
5.当面の業績 今期は急拡大、好調を持続しよう
6.企業評価 M&A のシナジーは十分見込めよう


企業レーティング A
株価(2020 年 3 月 19 日) 3010 円 時価総額 473 億円(15.7 百万株)
PBR 5.95 倍 ROE 15.1% PER 39.4 倍 配当利回り 0.0%
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2014.3 1029 120 119 32 3.2 0
2014.9 711 74 74 43 4.2 0
2015.9 1400 134 137 82 7.8 0
2016.9 1550 186 175 118 10.6 0
2017.9 1980 331 325 229 17.9 0
2018.9 2604 513 513 343 25.7 0
2019.9 7054 1081 959 378 26.2 0
2020.9(予) 10400 3000 3000 1200 76.3 0
2021.9(予) 14500 4500 4500 1800 114.4 0
(2019.12 ベース)
総資産 16075 百万円 純資産 7940 百万円 自己資本比率 41.9%
BPS 505.6 円
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想。2014.9 期は決算期変更で 6 か月ベース。2016 年
7 月末 1:300、2018 年 6 月末 1:2、2018 年 12 月末で 1:2 の株式分割を実施。それ
以前の EPS は修正ベース。2018.9 期までは単体、2019 年 9 月期より連結ベース(日
本基準)。
担当アナリスト 鈴木行生
(日本ベル投資研究所 主席アナリスト)
企業レーティングの定義:当該企業の、①経営者の経営力、②事業の成長力、③業績下方修正に
対するリスクマネジメント、④ESG から見た持続力、という点から定性評価している。A:良好
である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という
4 段階で示す。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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1.特色 New-IT トランスフォーメーションからパブリテックへ進出


IT による生産性革命を目指す~鍵はデジタル生産性
日本の人口は 2015 年の 1.25 億人が 2055 年には 9200 万人へ減少すると予測されている。
このうち生産年齢人口(15~64 歳)は 7600 万人が 4700 万人へ大幅に減少する。
人口減少社会の日本にあって、日本企業の生産性革新は急務であるという認識の下、生産
性を上げ、顧客企業の価値向上に貢献しようとしている。国富を高めるには生産性の向上が
必須である。ヒトや組織の生産性を向上させるには、IT の活用が求められる。しかし、ど
の産業、企業においても、IT の活用は不十分であり、
「攻めの IT」によるビジネスモデルの
変革は遅れている。労働生産性、資本生産性に加えて、デジタル生産性が問われている。こ
こにフォーカスしている。


チェンジがミッション ~「人」×「技術」
チェンジのミッション(企業としての使命)は、人々(People)を変え、仕事(Business)
を変え、日本(Japan)を変えることにある。
当社の志は、社名「チェンジ」に表現されている。当社のロゴは、3 本の縦線をベース
にそれが 3 つある。3 本の矢の例えのように、3 つのモードで変化を作り出そうとしてい
る。1)人を変え、2)仕事を変えて、3)日本を変える。同時に、新しい IT で、①IT インフ
ラを変え、②業務を変え、③ビジネスモデルを変える、という意味である。
日本の衰退を防ぐには、人(人材育成)×技術(New IT)によって生産性を大幅に高める
ことである。このチェンジをリードするというのが当社のミッションである。


コンサルからスタート
2003 年、アクセンチュア出身者がコンサルのサポートから創業し、IT 教育事業を本格化
させた。PM(プロジェクトマネジャー)や SE(システムエンジニア)の教育に力を入れた。顧
客は大手の SI 企業である。人材教育に自社だけでは手が回らないと、専門家にアウトソー
シングした。この事業は今も続いている。IT エンジニア不足を反映して活況である。しか
も、ここで育った人材が各企業にいるので、当社にとってはビジネスのつながりを作る上で
大いに役立っている。
現在の役員には、アンダーセンコンサルティング(現在のアクセンチュア)出身が多く、
皆 40 代と若い。神保会長がアンダーセンから独立して、中堅企業のコンサルをしている頃
に、福留社長が加わり、更に、伊藤副社長(モバイル&センシングアプリケーション担当)、
金田執行役員(エンタープライズセキュリティ&インフラストラクチャー担当)
、石原執行役
員(R&D、ネクストラーニングエクスペリエンスフィールド担当)がチェンジの設立構想に参
画し、2003 年 4 月、今の会社を立ち上げた。設立後、1 年以内に全員がアンダーセンから移

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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ってきて創業期のメンバーとなった。
それからおよそ 2 年遅れて、高橋執行役員(アナリティックス&IoT 担当)が入ってきた。
アンダーセン当時、神保氏は福留氏の直接の上司であった。また、高橋氏は福留氏の下にい
たというような仲間であった。山田取締役 CFO は、神保会長の同級生で税理士でもあり、当
初から会計事務所で当社を担当していたが、およそ 4 年後に移ってきた。上場までの 13 年
間、今のマネジメントがコアメンバーとして当社をリードしてきた。


新たなフェーズに入る
2003 年に創業し、2016 年 9 月に東証マザーズに上場、2018 年 9 月に東証 1 部に指定替
えとなった。まず、コンサル事業で会社を立ち上げ、次に IT 事業会社の人材育成にビジ
ネスを広げた。そして、SE 教育から IT 事業へシフトしている。SE の教育だけでは、本当
の生産性向上には貢献できないと、自ら IT 事業へ参入し、それを New-IT トランスフォー
メーションと名付けた。New-IT を推進するという意味である。
さらに、2018 年 11 月に大型の M&A を実行した。ふるさと納税総合サイト「ふるさとチ
ョイス」を運営するトラストバンク(TB)を買収した。現在は、M&A による成長領域の拡大
という点で、新たなフェーズに入っている。


セグメント別業績
(百万円)
2017.9 (単体) 2018.9 (単体) 2019.9 (連結) 2020.9 1Q


NEW-ITトランスフォーメーション
売上高 1980 2447 2742 618
 利益 ー 790 786 115
投資事業
売上高 ー 157 450 0
 利益 ー 76 228 -5
パブリテック
売上高 ー ー 3867 3893
 利益 ー ー 875 2735


  調整額 ー -352 -868 -275
合計
売上高 1980 2604 7054 4512
営業利益 331 513 1081 2570
(注)利益はセグメント利益、調整額は全社の一般管理費。 2019.9期はTB(トラストバンク)の 10か月分を含む。




セグメントは 3 つ
Old-IT に比べて、New-IT の特長は、①導入対象がフロントエンドであること、②構築

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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維持コストが安いこと、③使い勝手がよいこと、④導入時間が短いことである。現場で IT
を直接使い、便利で安く、早く使いこなしていく。
買収した TB(トラストバンク)はパブリテック事業に入っている。NEW-IT トランスフォー
メーション事業から、従来このセグメントにあったパブリテック関係を、TB に人材とも移
した。
投資事業は、本業とのつながりでベンチャー型企業に少額投資する IPO アクセラレータ
ーで、株式を売却してキャピタルゲインを得るビジネスである。


New-ITトランスフォーメーション
~4つのサービスライン~



MSA(Mobile & Sensing Application)
モバイルデバイスの活用とセンサーなどを用
いた自動データ確保の仕組み構築と運用を
行うライン

ESI(Enterprise Security & Infrastructure)
クラウドなどを用いたITインフラの刷新及び
セキュリティツールの選定や導入を行うライ


A&I (Analytics & IoT )
IoTを活用したオペレーションやビジネスモデ



NLX(Next Learning eXperience)
IT事業者のNew-IT化支援及びNew-ITを実
現する人材育成の次世代学習プログラムの
提供




New-IT のサービスライン
チェンジ本体は 4 つのサービスラインを持つ。
MSA(モバイル&センシングアプリケーション)は、アップルの iPhone や iPad などモバ
イルデバイスを活用するとともに、センサーなどを用いた自動データ収集の仕組み構築と
運用を行う事業である。
ESI(エンタープライズセキュリティ&インフラストラクチャー)は、クラウドなどを用
いた IT インフラの刷新やセキュリティツールの選定導入を行う事業である。クラウドの普
及率は 20%弱とまだ低い。IT インフラを軽くしていくことに貢献する。
A&I(アナリティックス&IoT)では、IoT を活用したオペレーションやビジネスモデルの
再構築、ビックデータの解析や活用を行う。企業や組織の中にデータが溜まっている。その
活用を具体化する。
NLX(ネクストラーニングエクスペアリエンス)は、New-IT 化の支援及びそれを実行する

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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人材を育てるための学習プログラムを提供する。
ビジネス好調の要因は、AI、RPA(ロボテック・プロセス・オートメーション)による業
務自動化プロジェクト、音声 AI スピーカーの活用プロジェクト、VR を利用した地方創生、
AI 人材、データサイエンティストなどの人材育成、といった新しい領域が急速に伸びてい
ることにある。

New-ITのサービスライン毎の売上構成と収益性のイメージ

2016.9(推) 2017.9(推) 2018.9(推) 2019.9(推)
(%) (%) (%) (%)
MSA(Mobile & Sensing Application) 30 ○ 25 ○ 20 ○ 20 ◎
モバイルデバイスの活用とセンサーなどを用いた
自動データ確保の仕組み構築と運用を行うライン

ESI(Enterprise Security & Infrastructure) 20 ○ 25 ◎ 25 ◎ 25 ◎
クラウドなどを用いたITインフラの刷新及びセキュ
リティツールの選定や導入を行うライン

A&I (Analytics & IoT ) 10 ○ 15 ○ 20 ◎ 25 ◎
IoTを活用したオペレーションやビジネスモデル
NLX(Next Learning eXperience) 40 ◎ 35 ◎ 35 ◎ 30 ◎
IT事業者のNew-IT化支援及びNew-ITを実現する
人材育成の次世代学習プログラムの提供
(注)○は収益性、◎は収益性高い。売上構成比、収益性ともアナリストの推定




パブリテック(公共テック)の展開
事例として、熊本市の市職員向けに AI の活用研修を実施した。AI の活用に熊本市は先進
的であり、AI チャットボットの検証を行った。問い合せに自動で答えてくれる仕組みは他
の自治体にも横展開できる。奈良市の RPA の導入による業務効率の改善では、業務プロセス
を明らかにして、効率化を検証した。これらを積極的な自治体からスタートさせ、今や広が
りを見せている。
自治体の仕事の中身をみると、例えば、PC に向かって非定形なデータを入力して作業を
している。まず仕事の中身を分析する(BPR)
、次に自動化を検討する(RPA の検証)、そし
て、ツールを入れて実装する。このような作業は自治体でも企業でも山のようにある。今や
人手は足らない。自動化できるものは人手をかけないようにして、人材は別に活用しようと
いう動きが今後一段と活発化しよう。
AXA の宇宙ロケットの打ち上げ基地のある町(鹿児島県肝付町)で、VR を利用した宇宙ミ
ュージアムを作った。VR(仮想現実)を利用したバーチャル公営美術館などへも展開できよ
う。コンテンツ中心で、大規模な建物はいらない。2)業務において起こりうる事故、災害
などを VR の教育コンテンツとしてサービスし、人材育成に活かす。実際のハザードと同じ
ような内容を VR で体験できるので、教育効果は大きい。


本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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New Business Creation ユニットとして投資事業を立ち上げ
2018 年 9 月期に、New Business Creation ユニットを立ち上げた。会計上は、固定資産に
ある投資有価証券を、流動資産の「営業投資有価証券」に計上し直した。
ベンチャー企業に投資をして、IPO などによって持っている株式を売却すれば、それが売
上に立つ。営業投資有価証券は、メーカーでいえば在庫のようなものである。売却損益は通
常の営業利益に入ってくる。本業なので、そういう会計処理になる。今後、こうした投資事
業からの利益貢献も高まってこよう。
すでに展開していた IPO アクセラレーション プログラムを正式の投資事業と位置付け、

当社の成長戦略に関連する企業に投資を行い、事業上のシナジーを出すとともに、投資によ
るリターンも獲得していく。
実際 AI を活用した不動産テックに強みをもつ GA technologies が 2018 年 7 月に東証マ
ザーズに上場した。これによって、当社の投資額に対して一定の含み益が発生した。これを
2019 年 9 月期の 2Q で売却した。投資事業セグメントに売上高(売却額)
、営業利益(売却
益-投資事業部門コスト)が計上された。
評価益は P/L には反映されない。B/S 上で評価益は主に純資産の中で「その他有価証券差
額金」として表示される。事業投資は本業であるから、セグメント利益は営業利益に入って
くる。これがもし、本業でない有価証券投資であれば、実現損益は営業外収支で計上される。
ここが違う。


チームワークとコーポレートガバナンス
この 10 数年苦労をともにしてきたので、マネジメントのチームプレーはよい。神保会長
が内部のマネジメント、福留社長が顧客とのエンゲージメントという役割分担である。
今後、会社が成長して、大きくなっていく過程においては、コーポレートガバナンスをよ
り強固に作り上げていく必要がある。監査役設置会社として、3 名の監査役は、2 名がソニ
ーグループの出身、1 名は銀行出身である。2017 年 12 月の株主総会で、1 名社外取締役を
入れた。インターネット関連の経営者で有能な方である。2018 年 9 月に東証 1 部に市場変
更となり、2019 年 12 月開催の定時株主総会で社外取締役を 1 名追加した。女性の有能な弁
護士で、女性活用のダイバーシティが進み、ガバナンスの強化がなされた。
また、業績目標連動型のストックオプションを導入した。全社員、役員に対して、単体ベ
ースで会社全体の業績目標が達成できた場合に、
権利行使が出来る。2018 年 9 月期から 2020
年 9 月期までの 3 カ年で、累計営業利益が 10 億円を超過した場合に 50%の行使が可能、同
30 億円超過した場合には 100%行使可能という内容である。




本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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2.強み New-IT トランスフォーメーションにおける独自のフラッグシップモデル


企画提案力とナレッジマネジメント
マネジメント層はコンサル出身なので、企画提案力が身に付いている。よって、ユースケ
ース開発力もある。つまり、課題を抽出して、どういう技術を応用していくかを通してソリ
ューションを作り出す力がある。
一方、業務が拡大してきた時に、人材の質は確保していけるのか。これに対しては課題と
テクノロジーのマップを作り、絶えず更新している。これを社内のライブラリとして立ち上
げてあり、ナレッジマネジメントを実行している。文字、動画でマニュアル化して、いつで
も使えるようにしてある。




4 つの特長~価値創造のビジネスモデル
New-IT には新しいテクノロジーがどんどん入ってくる。それを取り入れて、事業の拡大
を図っていく方針である。当社の経営における特長は 4 つある。①経営スピードの速さ、②
フラッグシップモデル戦略、③パートナー戦略、④ユースケース開発力である。
第 1 の経営のスピードでいえば、大手企業において企画してから実現まで 3 カ月かかる
ものでも、当社は 1 日で決断できる。新しい技術の導入に対して、大手においては経営会議
にかけるまで時間をとり、それでもリスクをとらないというケースもある。当社はトップ自
ら確認して、行けると思ったらまず走らせてみる。大企業の意思決定の遅さを当社がサポー
トし、推進力を生むようにする。
第 2 のフラッグシップモデル戦略は、各業界最大手をまず顧客化して、それを大手→準大

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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手→中堅中小へと広げていく。そのパートナーやサプライヤーにも横展開していく。これを
フラッグシップモデルと名付けている。
第 3 のパートナー戦略は、当社が既存の SI 企業に教育を提供したり、また導入ソフトの
販売パートナーとなってもらったりしている。つまり、大手と競合するのではなく、大手と
組んで仲間となり、面でマーケットを攻めていく。
第 4 のユースケースの開発力では、業界が抱える構造的課題に正面から取り組み、真に役
に立つ事例作りを実践していく。つまり、用途を開発する力を広げていく。


New-IT トランスフォーメーションの実践~ワンストップのソリューションを提供
当社の強みは、New-IT トランスフォーメーションの実践にある。例えば、東京メトロ
のトンネル検査に iPad を導入した。そのアプリを当社が作成して、トンネル検査の作業
効率は大幅に改善された。従来は写真を撮り、データを計測し、それをプリントして、資
料を作成していた。真夜中の 4 時間しか作業時間がない。このやり方では、一晩に 2km 進
むのがやっとであった。これを、紙を使った資料ではなく、iPad を活用して直接本社のシ
ステムへ入力できるようにした。
社会インフラの老朽化に対して、いかにメンテナンスを効率よく実施していくか。この
テーマに、当社がソリューションを提供したのである。いわばオールド IT からニューIT
への転換である。ホワイトカラーの事務管理のための効率アップからさらに踏み込んで、
鉄道、化粧品、エアライン事業などの現場の生産性アップをターゲットにしている。当社
はこうした法人マーケットを事業領域(ドメイン)としている。
当社は、顧客の経営課題にそって新しいテクノロジーを使い、包括的にソリューションを
提供するので、個別のプロダクト・サービスを提供している企業より早く、課題形成の段階
から入り込むことが多い。
また、現場(LOB:Line of Business)の課題解決を、現場の予算を用いて図ることが多
いことから、企業の情報システム部門の予算で課題解決を行う他社とは異なり、競合しづら
い構造になっている。


人材の育成と技術の活用~グローバルに IT のパートナーを開拓
事業の発展過程では、福留社長と伊藤副社長が新規事業を立ち上げて、それを執行役員が
大きくしてきた。当社の発展の原動力は、1)人材の育成と、2)技術の活用にある。
もともとはコンサルからスタートしたので、業務改革に軸足をおいた。これを具体化する
ところで、IT をツールとして活用した。その IT が従来の技術ではなく、常に新しいものを
取り入れて効果を上げてきた。モバイル、セキュリティ、ビックデータ(BD)、IoT などに広
がっている。
当社はベンチャー企業なので、小回りが利く。大きな組織では、すぐに実行しにくいこと

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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に取り組んで、具体的な成果をだしている。
また、当社のユニークさは、グローバルに IT のパートナーを開拓していることにある。
新しい IT 技術は海外のスピードの方が早い。日本は 3~5 年程度現場への普及が遅れてい
る。とりわけ、米国の動きが早いので、海外の技術を取り入れることに力を入れている。




業界の最大手から攻めていく
常に業界の最大手から攻めていく。業界トップを粘り強く、攻めていく。ハードルは高い
が、そこで一目おかれ、ビジネスを作ることができなければ、大きなマーケットにはならな
いし、本物の競争力も身につかないとマネジメントは考えている。
顧客には 3 つのパターンがある。第 1 は、ティーチャーカスタマー。当社が学ぶことので
きる顧客で、トップの自動車会社やトップの証券会社はそういう存在である。つまり、要求
水準は高く、細かいことをいろいろ言われる。しかし、新しいことをきちんと仕上げるカル
チャーを持っているので、あまり儲からなくてもビジネスモデルのプロトタイプ作りには
役立つ。
第 2 が、リードカスタマー。当社の提供するソリューションの価値が分かって、商品化、
サービス化まで、しっかり取り入れる会社である。これは、当社にも収益面で貢献する。
第 3 がモンスターカスタマーである。いろいろわがままなことをいい、評論はするが、社
内での実行力が伴わない客である。無理に付き合っていると徒労に終わるので、早目に手を
引く必要がある。こうした点を踏まえながら、顧客開拓に成功している。


新しいテクノロジーを使う
新しいテクノロジーを表面的に使おうとするのではなく、顧客のビジネスに真に役立つ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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ところまでもっていく。ビジネス上の目的を明確にして、顧客がクリエイティブになるよう
なソリューションを提供する。世の中にテクノロジーは山のようにある。単に利用するので
はなく、実際のユースケース(実用例)として評価されるところまで仕上げる。顧客の目線
で、技術を活用する力に優れているといえよう。
これと同じことをやる同業他社はほとんどない。経営コンサル、 コンサル、
IT モバイル、
セキュリティ、IoT など、類似の会社はあっても、現場レベルで具体的なユースケースを作
り込んでいくという競合会社はない。つまり、仕事をとる時点で、コンペ(競争入札)にな
るという例はほとんどない。


市場開拓の実行戦略で成果
市場を開拓するための成長戦略は、1)顧客戦略、2)提携戦略、3)商品開発戦略、4)M&A 戦
略においている。
1)顧客戦略では、フラッグシップユーザーのターゲットを、運輸、金融、製造などのセ
クターにおいて、ここで大手を顧客とし、それを準大手、中小に広げていく。事例の横展開
でマーケットを拡大する。
顧客戦略で、フラッグシップユーザーの開拓が進んでいる。伊藤忠商事には働き方改革に
役立つモバイルセキュリティソリューションを提供し、それを他にも展開している。東京メ
トロや東急電鉄への iPad 向け業務アプリの提供も、広がりをみせている。
AR(拡張現実)による検査員の訓練も行われている。東京メトロは新木場に研修センター
作り、そこには駅が完璧に再現されて、いろいろ実験ができる。しかし、そこにあるトンネ
ルは真新しく、実際の古いトンネルとは全く違う。そこで、iPad をかざすと、 を通して、
AR
古いトンネルの壁面が見え、そこで老朽の度合いを目視して、判断力を養うという研修がで
きる。アップルの AI キットを活用しており、この評価は高い。
ANA エアポートサービスでは、手荷物のロボテティックス活用を進め、手荷物のハンドリ
ングロボットを開発している。重さ、形がバラバラなので、それをどうコンテナに上手く積
み込むか。AI を使ってそのアルゴリズムの開発を行った。
2)提携戦略では、New-IT を推進するにあたって、海外発の先進技術や製品を有するパー
トナーと組み、国内においても IT 商品やサービスの販売でパートナーと連携していく。米
国の企業とパートナーを組むように力を入れている。AI では、米国が先行している。最近
では、中国も無視できなくなりつつあるが、まずは米国と組んで、先進的な商材を日本に持
ってくるようにしている。
一方で、国内での販売マーケティングには、あまり力を入れる必要がなかった。新しい分
野だけに、顧客からどんどん問い合わせがくるので、それで仕事が入ってくる状況となって
いる。AI プロジェクトは、現在さまざま実施しているが、顧客との守秘義務があるので、
公表されないことが多い。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


3)商品戦略では、当社のライブラリにサービス開発のための基幹部品を用意していく先
進的な R&D とサービスのライブラリ化の推進である。アマゾンの AI スピーカーの Alexa 対
応の Skill や、音声 BD(ビックデータ)
、ロボティックス、AR・VR などのノウハウ蓄積で先
行している。
人材育成のプログラムも開発している。IT 技術者は不足している。総務省と『ICT スキル
総合習得プログラム』を開発する契約を結び、これを請負実施している。
4)M&A 戦略では、内部成長だけでなく、外部の経営資源を M&A で手に入れて成長を加速
する。その時に、時価総額がものをいうので企業価値の向上とともに、情報開示を通して当
社の実態を広くアピールしていくという姿勢をとっている。
大型 M&A と並行して、IPO アクセララレータープログラムが進展している。IPO アクセラ
レーターでは、既に 8 社に投資し、3 社はイグジットした。①IPO や M&A でのキャピタルゲ
インと、②事業面でビジネス貢献を狙っている。


New-ITトランスフォーメーションにおけるライブラリの活用事例
ライブラリ名 導入企業              導 入 事 例

モバイル・アプリ
航空会社 パイロット、客室乗務員がモバイル端末を用いて運用情報やマニュアルなどを参照
ケーション

モバイル端末 IT会社 SE等が利用するモバイル端末の利用ルールを策定し、デバイス管理、ツールの設定・運用

セキュリティ 総合商社 New-IT 環境に運用したセキュリティポリシーの策定と順守のためのツール等

ビックデータ解析 食品メーカー 販売データ分析し、売上増加タイミング、機会損失しないための物流オペレーションの再設計

クラウド解析 鉄道会社 クラウドストレージを活用した現場映像の管理

Iot活用 地下鉄会社  IoTを用いた設備の点検、保全業務の設計と実現

New-IT人材開発 メガバンク New-IT 活用システムに向けたビジネスモデルの変革のための青写真と実行のための人材教育

VRラーニング サービス業 人材教育の効果を向上させryためのVRコンテンツの企画・開発・運用

AR 教育会社 AR技術を活用したタブレットによる人材教育の企画・開発・運用

画像認識AI 損保会社 画像認識技術を用いた見積りの作成・検査の自動化

音声認識AI 航空会社 音声認識による顧客との会話のログ収集・テキスト化・分析

データ流通基盤構築 自治体 データ活用に向けたデータ流通基盤の構築をトータルにサービス

離職率解析 IT企業 人事データの解析による離職率低下に向けたエンゲージメントの強化

心拍変動解析 大手企業 心拍変動解析を基礎としたストレス分析による健康経営の推進




「ライブラリ」は着実に充実~競争力の源泉
提供するソリューションの部品となるべきもの、ノウハウやテクノロジー、実例などは、
社内で共有できる仕組みを作っている。これをライブラリと称しており、自分の仕事を通し
て、部品(パーツ)となるものについてはライブラリに納めていく。これをやることが、人

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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事評価にもつながるというインセンティブシステムを取り入れている。
例えば、客がヒトやモノの位置情報をより正確に知りたいとする。どこにいるのか、どこ
にあるのかを常に瞬時に把握しておきたいとすると、それらの位置情報をまとめるシステ
ムが必要である。屋外なら GPS を使う、屋内ならビーコンを使うなど、必要なテクノロジー
のマップが、ライブラリにカテゴリー別にまとめてあるので、利用可能なものがあればその
中から使う。
NEW-IT トランスフォーメーションのライブラリの充実が進んでいる。1)データ流通基盤
構築支援サービス、2)データアナリテックスによるエンゲージメントサービス、3)バイタ
ルデータとスマホを利用した健康経営サービスの提供などが相次いでいる。


ストック型ビジネスが 6 割を占める
ストック型のビジネスモデル(BM)という点では、自動継続課金型モデルをベースに、その
売上比率を現在の 6 割を 8 割まで上げていく方針である。6 割のうち、ソフトウェアのメー
タリング(月額使用料、年額使用料など) 2 割、
が リピートユース(ソフトのメンテナンス、
バージョンアップなど)が 4 割である。また、ストック型 BM の中の製品は、半分が自社開
発で、半分が他社製品という割合である。


成長に向けたリソースの開発
提携戦略では、海外のシステム商品を日本に持ち込んで、それを活用するビジネスモデル
を作っていく。
国内初で、ブラックベリー(BlackBerry)のプラチナ・パートナーに認定された。ブラッ
クベリーは、一時期流行った通信端末からは撤退し、ビジネスモデルを転換した。ソフト開
発会社として、セキュリティに強みを発揮し、その暗号に関する技術レベルはかなり高い。
当社はこのソフトに興味があり、日本ではまだほとんど活用されていないので、そこをカバ
ーし、マーケティングしている。
ブラックベリーは、米国国防総省(ペンタゴン)向けに、各種のセキュリティ製品を提供し
ており、このセキュリティ技術を活用して、あらゆるメッセージ・ファイルを安全につなぐ
ことができる。これを、日本において働き方改革における生産性向上のための安全なネット
環境を提供することに活用していく。
働き方改革では在宅勤務がポイントで、社外でも会社にいる時と同じようなネット環境
を安全性高く保証する必要がある。ペンタゴンのセキュリティレベルを提供するという点
で、ブラックベリーの製品は有効であり、当社はその応用で先頭を走っている。
モバイルセキュリティプラットフォームの販売が好調である。銀行を中心に、証券会社、
生保、商社へと販売先を拡大している。また、中央省庁、大手法律事務所、教育機関などに
も展開している。セキュリティニーズの高い大企業や公官庁へ、横展開が進展している。

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運輸、製造業向けに新技術による業務活用を促進している。ロボティックス(RB)、IoT、
ビックデータ(BD)、画像解析などの技術を応用している。大手食品製造業向けに、生産ライ
ンにおける異常検知のための画像解析プログラムを提供している。
こうしたプロジェクトのノウハウはライブラリに蓄積して、業界内の類似課題やテーマ
に対して横展開していく。
商品戦略では、先進技術の R&D に力を入れている。ユースケースの開発、ライブラリ化で
は、要素技術をいかに実践的に使いこなすかがポイントである。
アマゾンのアレクサ(Amazon Alexa)に接続するアプリ/プラットフォームの提供及び開
発サービスを開始した。アレクサは音声認識の AI(人工知能)で、それに接続するアプリ
を当社が提供する。スマホを開いて指で操作しなくても、声だけで反応して AI で的確に応
えてくれる。ここではパテント(特許)も申請している。
また、大容量データ分析を支援する非構造化ビックデータ活用ソリューションの提供を
開始した。センサーデータや音声データなどの非構造データを高速に検索し、処理すること
ができる。音声認識技術と融合したソリューションで、情報分析を通して、マーケティング
や販売戦略の立案に活用していく。コールセンターの音声データや監視カメラの画像デー
タは、そのままではほとんど使われていない非構造化データである。これらの活用がこれか
ら進むことになろう。


積み上がる事例
・鉄道システムの点検業務管理~トンネル検査の社内訓練用 AR(拡張現実)アプリ
鉄道システムでは、トンネルの点検、駅や線路の点検、車両の管理業務について、いかに
生産性を上げていくかがポイントである。東京メトロではトンネルの仕事から始まって、他
の部署に広がっている。
・商社の働き方改革
伊藤忠商事は、働き方改革の中で、仕事のモビリティを高めている。どこででも働けるよ
うにする。その時、社内のいる時と同じような IT 環境をいかに作っていくか。
多くの企業では、セキュリティの制約が強くかかるので、社外では、社内にいる時と同じ
ように IT は使えない。それを、当社は、米国で最もセキュリティが高いシステムをいち早
く取り込み、これを応用して、手元の端末でもデータの使い易さを確保するようにした。
この仕組みをまずトップマネジメントに使ってもらい、その効果を体験してもらった上
で、会社全体に広げる方向となった。決め手は、トップダウンである。POC(Proof of Concept、
概念実証)を行った上で、一気に適用することとなった。
・地方公共団体の政策立案サポート~リーサスの活用
鹿児島県を始めいくつかの県や市で、地方創生、地域活性化の政策立案をするにあたって
は、思い込みではなく、データを活用してエビデンス(科学的根拠)を積み上げていく必要

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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がある。内閣府のリーサス(RESAS、地域経済分析システム)には経済データが詰まってい
るが、これを地元の地域おこしにどう活用するか。このビックデータの活用に当たって、当
社が課題分析や政策形成を支援していく。この仕事が次々にとれている。
・BD(ビッグデータ)の分析トレーニング
浜松市の職員を対象に、データ分析能力の向上のためのトレーニングを提供した。浜松市
の主力産業である製造業でのデータ活用、産学官連携によるデータサイエンティストに育
成などにも力を入れている。自治体が第 4 次産業革命をサポートしていくには、自らの人材
育成も不可欠である。この分野も全国に広がる可能性をもっているので、有望なマーケット
であろう。
・データサイエンスおよび AI 講座が経産省で認定 1 号
経産省の「第 4 次産業革命スキル習得講座」に認定された。高度な専門性を身につけて、
キャリアップを図るためのもので、国が支援する。当社の IT 教育スキルがそのまま活きて
いる。この人材育成ビジネスは、①IT 事業者(大手 IT 企業)の教育、②官公庁や大企業の
デジタル組織のコンサルと教育、③スキルアップ人材の教育といった領域で展開しており、
ニーズと需要は飛躍的に高まっている。




3. M&A トラストバンクのふるさとチョイスを軸に、パブリテックを本格展開


トラストバンクは「ふるさとチョイス」を企画・運営
2018 年 11 月にトラストバンク(TRUSTBANK)を子会社化した。ふるさと納税の取り扱い
規模で圧倒的№1 である。寄付金額ベースでシェア 5 割強を有する。このふるさと納税の統
合サイトを運営するトラストバンクの株式を 60.11%取得し、子会社化した。さらに、昨年 8
月に持株比率を引き上げ 70.23%とした。
TB(トラストバンク)は、
「ふるさとチョイス」を企画、運営し、ふるさと納税では圧倒
的な№1 である。当社のサイトのおかげで、ふるさと納税に関わるサービスが一元的に使え
るようになり、選択肢が増え、利用しやすくなった。
マーケット指標として、ふるさと納税の寄付金額の推移をみると、業界全体で 2012 年度
104 億円、2013 年度 145 億円、2014 年度 389 億円、2015 年度 1653 億円、2016 年度 2844 億
円、2017 年度 3653 億円、2018 年度 5127 億円と急拡大をみせている。


ふるさと納税で業界トップ
TB は、ふるさとチョイス以外にも、全国の生産者事業者を支援する「たのもし」サイト、
ふるさと探しを手伝う「ローカル日和」サイト、日本の魅力と課題を伝えるメディア「Area
Japan」
、自治体ポイントが使える新スタイル通販サイト「めいぶつチョイス」などを運営し

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ている。
ふるさとチョイスは、返礼のデータを 1 つのサイトにまとめて、決済できるようにした。
ワンストップのふるさと納税の仕組みが画期的である。
現在 1500 を超える自治体と契約し、
返礼品の掲載数は 20 万点超に及ぶ。TB は、
「ICT を通じて地域とシニアを元気にする」とい
うミッションのもとで、日本最大のふるさと納税プラットフォームビジネスを築いてきた。
一方、チェンジ本体は AI や RPA など New-IT を用いて自治体の業務改革に取り組んでお
り、パブリックセクター向けのサービスが事業の柱に育っている。チェンジの福留社長と TB
の須永珠代会長兼ファウンダーは、この自治体向けのビジネスで知り合って、一緒に仕事を
することも増えていた。その中で、TB の M&A の話が出てきた時に、競合企業よりもチェン
ジと組んだ方が互いのミッションを共有して、事業が発展できると認識した。
想定時価総額が 80 億円と評価され、その 60%を取得した。株式の取得価額は 48 億円であ
った。 の地域事業の支援と当社の自治体内での New-IT の活用を上手く合体して新しいシ
TB
ナジーを出していく。
当社からみると、TB は全国 1500 を超える自治体にネットワークをもっている。これらの
自治体の IT 活用に、従来と比べものにならないくらいの速いスピードで入っていける。地
域振興、自治体のサービス、生産性の向上というパブリテック(公共セクターのテクノロジ
ー革新)を推進していく。さらには、インバウンド関連、デジタル決済も視野においている。


地方自治体へのネットワークを活かす
自治体は変化に対して一般に保守的である。ところが、ふるさとチョイスについては、参
加した自治体がみな目を見張っている。このプラットフォームを活かして、自治体のサービ
ス改革をさらに進めることができよう。これがビジネスになる。
全国 1788 の自治体の業務をみると、かなり共通のものが多いはずなのに、それをサポー
トするシステムは別々にできている。このためのシステムに 6400 億円が投資されているが、
これを共通化して、新しい仕組みにしていくことで、コストが下がり、サービスの生産性が
上がっていく。サービスを受ける住民にとっても、オンラインで手続きができるようになれ
ば、今までよりは手間がはぶけ、時間もかからなくなる。
インバウンドの取り込みでも、来日観光客を地方に呼び込み、そこで、デジタル決済がで
きるようになれば、使うお金も増えてくる。中国、香港、台湾、韓国の通貨が決済できるよ
うにすれば、利便性は相当に上がる。これをチェンジがリードしようとしている。


TB の NEW-IT~パブリテックの展開
チェンジは、ふるさと納税事業を伸ばしたいだけで TB を買収したわけではない。ふるさ
と納税の利益を合算して企業規模を大きくするというのが第一の目的でもない。もちろん、
ふるさと納税関連事業にこれからも力を入れていく。

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チェンジは、本体のパブリックの事業、人材を TB に移した。ここで新しいパブリック事
業を伸ばしていく。その時、ふるさと納税事業を通して、地域の自治体とつながっているこ
とが大きな強みになる。自治体のサービスを New-IT の導入によって一新するというのが、
最大のねらいである。
ふるさと納税事業では、2 つの課題があった。1 つは、自治体によって、ふるさと納税の
本来の趣旨を逸脱して、 (納税資金)
お金 を集めているところがあった。返礼率を高くして、
しかもふるさとの物産を活かして地域振興を図るという対応をせず、単に金を集めればよ
いという姿勢が見られた。総務省はここに規制を加えた。
もう 1 つは、ふるさと納税のプラットフォームを提供する中での手数料率にある。これは
ポジティブな効果をもたらす。この手数料率は TB
(ふるさとチョイス)の場合 2%であった。
これが競合他社では 9%~12%である。この手数料をサービスの改善を取り入れながら上げる
ことは競争条件からみて十分可能である。トラストバンクはふるさとチョイスというふる
さと納税プラットフォームを運営しており、プラットフォーム運営は固定費型ビジネスで
あり、売上増加分が収益に直結するので、収益性は大幅に改善する。
パブリテック事業では、New-IT で新しい可能性がある。 は 1500 を超える自治体と取引
TB
があるが、全国の自治体は既存の IT に 6000 億円のお金を使っている。この従来型のシス
テムは、各自治体がバラバラに構築し、それを富士通、NEC など大手が担ってきた。
この牙城を崩して、効率化を進めるというねらいである。新しい IT、AI、RPA を使ってい
けば、そして自治体に共通の仕組みをプラットフォーム化すれば、6000 億円が 3000 億円で
済むと福留社長はみている。ここにチェンジのチャンスがある。
自治体では、地域の人口が減り始めている。サービスの効率化、コストダウンを図る事は
急務である。一方で、社会保障費は増えていく。高齢者のためのサービスを充実する必要が
ある。お金の使い道を大幅に変えざるをえない。
また、地域経済をうまくまわすには、地域のエコシステムを活用して、地域共創を図って
いく必要もある。例えば、ふるさとチョイスのほかに、めいぶつチョイスなどにも活かせる。
ここに自治体ポイントを導入する。地域の中でお金をまわすが重要である。外国人にも来て
もらって、
デジタル決済ができるようにする。
このようなところで New-IT を活用していく。
実現性の高いストーリーである。


2019 年 8 月に持株比率を引き上げ
昨年 8 月に、子会社である TB(トラストバンク)の持株比率を従来の 60.11%から 70.23%
へ上げた。60%所有の時は 48 億円を投資したが、今回の 10%アップには 8 億円を投資した。
この原資としては、5 月の公募増資のファイナンス資金を一部当用した。
同時に、福留社長も TB のマネジメントに深くコミットするという意味も込めて、1.91%を
個人で取得した。残りの 27.8%については TB の創業メンバーが引き続き所有している。

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TB の PMI は成功~持分利益の貢献度も上昇
TB は、1 月に新体制となった。須永珠代氏(前代表取締役)が会長兼ファウンダーへ、川
村憲一氏が代表取締役に就任した。TB の PMI(買収後の経営統合)は問題なく成功してい
る。次はパブリテックを担うコアカンパニーとして、ふるさとチョイスのネットワーク基盤
を活用しながら、本来の事業拡張目的である自治体向け New-IT のビジネスを一気に拡大す
ることである。
TB に足らないのは、システム開発のエンジニアである。当社はここに強みをもつ。自治
体向けのクラウドシステムを作って、共通に利用してもらうことを推進する方向である。本
体からは福留社長と山田 CFO、自治体担当の 3 名が入って、全体のコントロールに向けて連
携している。
TB はエストニアにオフィスを置く。電子政府で先端を行くエストニアをウォッチしてい
る。TB の Logo チャットは香川県にあるパワリコのデータセンターの STNeT を使っている。




4.中期経営計画 DX(デジタルトランスフォーメーション)で日本のリーダーを目指す


日本の政策 Society 5.0 の実現に向けて~ど真ん中で勝負
2017 年の未来投資戦略は、 Society 5.0 の実現に向けた改革」
「 がテーマであった。Society
5.0 とは、①狩猟社会、②農耕社会、③工業社会、④情報社会、の次にくる成長フロンティ
アをイメージしている。
そこでは、IoT、BD(ビックデータ)
、AI、ロボットなどの第 4 次産業革命の先端技術を、
あらゆる産業と社会生活に導入していく。それを通して、さまざまな社会課題の解決に向け
て、イノベーション(革新的な仕組みづくり)を活かして、一人一人のニーズに合わせたサー
ビスを提供しようというものである。
高齢者への対応、働き方改革、サプライチェーンの進化、人材力の強化、行政手続きや規
制の見直し、フィンテックの活用など取り組もうとしている。①健康寿命の延伸、②移動革
命の実現、③サプライチェーンの次世代化、④快適なインフラ・まちづくり、⑤Fintech、
⑥データ活用基盤の構築などに力を入れている。
2018 年の未来投資戦略では、「Society5.0」「データ駆動型社会」への変革』をテーマ
『 ・
とした。データ駆動型社会が加わったのである。
AI、BD、IoT などが社会に実装されていく中で、米国、中国を中心にデータの囲い込みや
独占を図るデータ覇権主義の台頭が懸念される。デジタル時代の価値の源泉であるデータ
や、それを駆使して新たな価値を創出する人材のグローバルな争奪戦も始まっている。
日本は圧倒的に人材不足である。このままでは、日本は国際競争の大きな潮流の中で埋没

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しかないという危機感が政府にある。日本の課題は分かっている。それを現場からのリアル
なデータによって見える化し、課題の解決に向けて、新しい社会改革に取り組んで、成功体
験を積み上げでいこうというねらいを込めている。
そこで、2018 年のテーマは「Society5.0」に「データ駆動型社会」が加わった。人手不足
には、AI やロボットによって自動化が進む。過度な業務負担が大幅に軽減されよう。工場
だけでなく、オフィスでも、町でも、家庭でも利便性は上がってこよう。
自動翻訳で、外国語とのコミュニケーションもやり易くなる。遠隔サービスやリアルタイ
ム化の進展で、新しいサービスが次々と登場してこよう。今まで、使われていなかったデー
タを収集、分析、活用することで、新しいサプライチェーンが作られる。医療・介護、農産
品、観光、行政においてもサービスのあり方が大きく変質してこよう。
人材を活かす制度も 2 つの面で変化していく。国の政策としては、女性、高齢者、障害者、
外国人などがより活躍できるように舵取りをしていく。民間でも、大企業、中堅中小企業と
も、必要な人材の中身が変わってくるので、いい人材に来てもらえるような働き方の魅力を
備えていかなければならない。
双方において、人材の教育は必須である。働く人々も、①自分は今なにができるのか、②
次に何ができるようになりたいのか、を真剣に考えて努力する必要がある。学び続け、新た
な経験に挑戦することが、おもしろい仕事に出合えるカギとなろう。


経営環境に対する認識
人口動態は最も確実に将来の予測を示すが、高齢化、出生率の低下、生産労働人口の減少
は急ピッチで進む。30 年後には、労働人口が 3000 万人近く減少していく。この人口減少に
いかに立ち向かうかが、わが国の最大のテーマである。政府の方針においても、①Society
5.0 、②働き方改革実行計画、③デジタルガバメント実効計画、④キャッシュレス・ビジョ
ンなどが次々と打ち出されており、これらを推進しようとしている。
そこに、チェンジのミッションが合致する。つまり、労働生産性の向上に貢献すべくビジ
ネスを展開する。生産性の向上=人×技術=人材育成×New-IT である。人手不足を自動化
で補い、人々には新しい仕事についてもらう。新しい産業で必要となる新しい人材の育成も
不可欠である。
New-IT 領域の投資は活発である。ここでは、3 つの領域が注目できる。第 1 に、DX(デジ
タルトランスフォーメーション)の動きが全ての産業で盛り上がっている。 2 は、 (事
第 LOB
業部門の現場)における IT 投資が新規に拡大している。第 3 に、働き方改革に向けて、生
産性向上のための新しい IT 活用が不可欠になっている。これらが、当社の事業拡大に直接
結びついている。




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New-IT トランスフォーメーションの市場
当社が New-IT トランスフォーメーションとして取り組む市場は 3 つある。1 つは、経営
レベルのビジネスモデル変革のための IT、2 つ目は、LOB(事業ライン)レベルの業務革新
のための IT、3 つ目は、従来型 IT 部門におけるインフラとしての IT である。
インフラとしての IT は 14 兆円市場であるが、これは New-IT に代替していく可能性があ
る。一方で、LOB(Line of Business)はまさに業務の現場であり、生産、販売、マーケテ
ィングなど、ここで IT が新ビジネス作りに貢献する。ビジネスモデルの革新も IT がそれ
を支えるようになっていく。
当社は、LOB をメインターゲットとして、マネジメントレベルにも入っていく。そして必
要ならば大手の SI と組んで、IT インフラのところにも取り組んでいくという方針である。
SI 企業が相手にするマーケットは、現在 14 兆円ほどであるが、この市場が新しい IT で
変貌していく。当社は大手の SI 企業と競合するのではなく、そこと組んで新しいマーケ
ットを作っていく。その意味ではパートナーとなっている。大手がもっていないテクノロ
ジーやノウハウを活かして、連帯して新しいマーケットを作り、そちらへのシフトを誘導
していく。




中期経営計画の見直し
中期 3 カ年計画を 1 つのフェーズとして、全体は 15 カ年の長期ビジョンである。そのコ
ンセプトは「日本のデジタル時代を創る、主役になる」ということである。それを“Digitize
& Digitalize Japan”と名付けている。3 年×5 フェーズの 15 年で、日本の DX 市場におい

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


てリーダーの地位を確立することを掲げている。
中期 3 カ年計画では、営業利益ベースで、2019 年 9 月期 10.8 億円に対して、2020 年 9 月
期 13 億円、2021 年 9 月期 34 億円、2022 年 9 月期 47 億円を計画している。


中期経営計画の骨子



コンセプト Digitize & Digitalize Japan (Phase 1)


長期目標 3年×5フェーズの15年で、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)市場
において、リーダーの地位を確立する


戦略 1.顧客獲得戦略 ・フラッグシップモデルの拡大
・既存SIerとの連携
・M&Aによる業界の短期席巻


2.顧客単価アップ戦略 ・クロスセルによる単価アップ
・多様な部署への直接提案


3.既存事業の強化 ・サービス強化、高付加価値化
・取扱高の増加


4.新規事業の創造 ・めいぶつチョイス
・自治体ポイント


〔2019.9期〕 〔2022.9期〕
評価指標 ① 顧客数×客単価 249社×13.4百万円 → 360社×18.4百万円


② 従業員数×1人当たり売上高 123人×27.2百万円 → 250人×26.5百万円


③ 取扱高×テイクレート 1500億円×2~3% → 2000億円×4~5%




チェンジ本体のビジネスでは、顧客数×客単価、従業員数×1 人当たり売上高を KPI とす
る。TB では、取扱額×テイクレート(手数料率)を KPI とする。
まず、2020 年 9 月期は、DX 人材育成に向け、人材教育ビジネスに重点をおく。そうする
と、客単価や 1 人当たり売上高は前期より下がることになるが、まずは人材育成に注力す
る。顧客サイドで人材が育てば、彼らが自社の DX を推進するようになり、当然当社と連携
する金地も広がってくる。これが人材ビジネスを展開するシナジー効果である。
TB については、取扱高が従来の 2000 億円から 1500 億円に下がることを前提に慎重にみ

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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ている。それでもテイクレートがかつての 2%から、今上期は 3%、下期は 5%へ上がってく
る。取扱高が 20%減っても、テイクレートで 1.5 倍になれば、当社の売上高は 20%増える
ことになる。よって、収益性は十分確保できる。これが 2 年後には一段と高まってこよう。
ふるさとチョイスのシェアは、規制前の駆け込み需要を追いかけなかったという点では、
瞬間的に落ちているが、これを除いたベースでみるとシェアは上がっている。一時 40%ま
で下がっていたが、今は 50%に戻っている。
第 1 フェーズの中期 3 カ年計画では、 のリーダーを目指して、
DX 現在の 3 つの事業(NEW-
IT トランスフォーメーション事業、投資事業、パブリテック事業)の拡大を図る。
財務指標としては、 年後の 2022 年 9 月期で、
3 売上高 190 億円(2019 年 9 月期比 2.7 倍)、
営業利益 47 億円(同 4.3 倍)、従業員 250 人(同 2.0 倍)を目指す。
NEW-IT トランスフォーメーション事業では、顧客数×客単価で成長を図る。2019.9 期の
顧客数 249 社×13.4 百万円(1 社当たり取引額)を、2021.9 期は 360 社×18.4 百万円に高
める計画だ。この間の従業員数と 1 人当たり売上高は、2019.9 期の 123 人×27.2 百万円を、
2022.9 期には 250 人×26.5 百万円へもっていく。
NEW-IT では、製造業、金融、商社・流通、公共、IT の 5 業種を主力マーケットとしてい
く。デジタル人材の獲得競争は激しいが、当社の魅力と人材育成力を軸に増員を図る。
パブリテックのトラストバンク(ふるさと納税)事業では、取扱額×テイクレートを基本
に、1)取扱額は総務省の新しい規制で一時的に鈍化するとしてもふるさとチョイスの優位
性は生きる。2)テイクレート(フィー)は、業界が 9~12%に対して当社はこれまで 2%であ
ったが、これを 3%に上げたが、さらに 4~5%までサービスの高付加価値に見合って上げてい
く方針である。
中期3ヵ年計画の財務目標
(百万円、%)
2018.9 2019.9 2020.9(計画) 2021.9(計画) 2022.9(計画)
(単体) (連結) (連結) (連結) (連結)
売上高 2064 7054 9352 14639 18986
営業利益 513 〔19.7〕 1081 〔19.3〕 1300 〔13.9〕 3400 〔23.2〕 4700 〔24.8〕
経常利益 513 959 1281
当期純利益 343 562
親会社に帰属する利益 343 378 520
(注)カッコ内は売上高営業利益率




中計の達成に向けた戦略としては、①フラッグショップモデルによる顧客獲得、②既存 SI
企業との連携による顧客獲得、③M&A による顧客獲得、④クロスセルによる顧客単価アップ、
⑤顧客の多様な部署への直接提案のよる顧客単価アップ、⑥サービスの高付加価値化とテ
イクレートの改善、⑦モノからコトに向けた取扱高の増加を実行する。
まだ中計に入れていない内容としては、 パブリックにおける自治体向けデジタル化や、
1)

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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2)地域通貨を利用した地域経済圏の発展サポートなどがある。ふるさとチョイスは 2000 億
円の取扱高を 3000 億円にもっていくことも十分可能であろう。


ライブラリを一段と強化~商品戦略と R&D の位置づけ
New-IT トランスフォーメーションを実行するために、ライブラリの強化を図ってい
る。このアプローチは、自社開発のオリジナルパーツと、他社製品を組み合わせて、シス
テムを作り込んでいく。そのためのパーツをライブラリに取り揃えて、いつでも使えるよ
うにしておく。その上で、大手から別の同業他社へ横展開していくという方式をとる。
今後の展開では、スマートデバイス、セキュリティ、クラウド、BD(ビックデータ)、
IoT、ロボティックスをターゲットとする。アップルの法人ビジネスを成功させてきたの
で、これからも海外のプレイヤーと組んで、パートナーを増やしていく方向である。
R&D では、ライブラリの強化を目指す。具体的な商品開発戦略では、独自の AI 解析シス
テムを作り上げており、これを業務プロセスに応用していく。
さらに、新しいサービスがライブラリに次々加わっている。
・データ流通基盤構築 データ流通基盤構築サービスを開始した。企業や自治体が保有する
データが、
「データ流通基盤」というインフラにきちんと仕上げて、それが有効に活用して
ビジネスやサービス向上に結び付けられるようにする。例えば、沖縄の観光や街に関する
様々なデータをまとめて 1 つの「データ流通基盤」に仕上げる。このインフラを使ってビジ
ネスが拡大できるように支援する。
・離職率データアナリティクス 離職率を低下させるにはどうしたらよいか。企業が持っ
ている人事データをビックデータとして解析し、人材の組み合わせなどに活用するコンサ
ルサービスを開始した。従来の従業員満足度調査や意識調査では捉えきれない要因を抽出
し、それをエンゲージメントに活かしていく。データアナリテックスのノウハウを利用する
コンサルである。
・心拍変動解析健康経営 心拍変動解析を用いた社員の健康状態モニタリングのサービス
を開始した。心拍数を分析して、BD の分析ノウハウを利用する。ストレスレベルやエネル
ギーをスマホアプリでデータとして把握し、心の病にならないように早目に手を打ってい
く。健康経営を目指す法人をターゲットに普及を図っていく。心拍変動(HRV)は、循環機
能の自律調節活動の状態を表すので、このデータを応用する。


新技術の市場化戦略
チェンジでは、新技術の市場化ステージを 4 段階で捉えている。1)第 1 ステージ〈技術
研究〉~自社で技術を研究し活用を順次検証していく。2)第 2 ステージ〈事業性評価〉~
それが事業になるかどうかをフラッグシップユーザー1 社に導入してパイロットプロジェ
クトを実行する。3)第 3 ステージ〈サービスの横展開〉~先行事例をもとに、それを同一

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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業界や類似業界へ横展開してノウハウを蓄積する。4)第 4 ステージ〈市場拡大〉~販売パ
ートナー、技術パートナーと組んでビジネスを一気に伸ばす。


チェンジが推進する新技術の市場化ステージ



4thステージ 販売・技術パートナーとビジネスをレバレッジ
市場拡大


市 3rdステージ 同業・類似業界へ横展開し、ノウハウを蓄積
場 サービスの横展開

模 2ndステージ フラッグシップユーザーに導入
事業性評価


1stステージ 米国新技術
技術研究





提携戦略と IT 技術の導入
IT 技術の導入に当たっては、ガートナー社の技術評価を利用しており、日本に未進出の
テクノロジーで有望なものをいち早く取り込んでいる。米国の企業は、アジアではシンガポ
ールや香港にアクセスしても、日本へのリーチは必ずしも早くない。日本は英語のバリアが
あり、ビジネスのピッチも遅いので、そこに当社がうまく仲介できる余地がある。
提携戦略では、新しい IT 商材を取り入れて使いこなすようにしている。実際、米国
SimpliVity 社のハイパーコンバージド・インストラクチャー製品は、有力なその 1 つであ
る。これをライブラリに入れた。従来なら IT 機器を幾つも組み合わせて、全体のシステム
を作り上げていくが、いろいろな機能を超(ハイパー)集約(コンバージェンス)して、 イ
IT
ンフラを構成していく。米国ではすでに使われ始めており、日本ではこれからである。安く、
早く、拡張性の高いシステムを今後ビジネスに活かしていく。


New-IT では DX が活況
New-IT 分野では、2 つの動きが顕著である。1 つは DX(デジタルトランスフォーメーショ
ン)が一気に広がっている。一部の実施から全社展開に向かう企業が急増している。モバイ
ルから入って、セキュリティへ、そしてデータサイエンスへとクロスセルが効き始めている。
その一方で、もう 1 つは、企業の DX 人材不足も目立っている。よって、人材育成+DX 推進
という提案が高い評価をうけている。ここができる企業は少ないので、当社は優位にある。
この両面が当社のビジネスチャンスを大きく拡大しよう。まずは、当社の得意分野である

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


人材教育研修が大きく伸びることになろう。


デジタル人材育成ビジネス
人材育成に向けて、昨年 9 月より「デジタル人材育成サービス統合パッケージ」のサービ
スを開始した。各企業の社内の人材育成を、基本スキルから実践まで 4 つの人材タイプ別
や、全社員のデジタルリテラシーを高める e ラーニングで行う。マネジメント層、企業の現
場、システム部門など、それぞれのレベルで学ぶことができる。
また、11 月より DX 支援型会員制プログラム「デジテリ」を開始した。デジテリとはデジ
タルとインテリジェンスを掛け合わせた当社のネーミングである。 ラーニング、 セミナ
e DX
ー・AI 利活用ワークショップ、DX コンシェルジュサービス、オープンイノベーションコミ
ュニティなどの 4 つのメニューから成る。これも月額課金型である。


新 IT サービスとは
Xaas に対抗する新 IT サービスとは何か。例えばクラウドストレージの BOX をそのまま導
入しても、SI 企業にとっては付加価値ビジネスならない。ユーザーの方でも十分使いこな
せることにならない。単なるファイルサーバーの代替ではなく、それを活用する仕組みを具
体的に提案していくことが求められる。
1 つの事例が、昨年 11 月に正式発表した「マニュアル探すくん for Box」である。BOX ベ
ストソリューションの第 1 弾で現場のトラブルを最短で解決する台帳管理ソリューション
である。現場で機器、機材などにトラブルが発生した時、誰に聞く、どこに連絡する、マニ
ュアルはどこかなどについて、機材についた QR コードを専用アプリで読み取るだけで、誰
でもすぐに対応ができる。情報のメンテナンスも BOX に格納されたエクセル管理台帳と連
動しているので、更新も簡単である。月額課金型の利用方式をとる。


IPO アクセラレーション・プログラムの本格化
M&A に関するコンサルや投資育成業務について、2017 年 12 月の株主総会で定款変更を行
った。これで M&A を事業の 1 つとして明確に位置付けた。
また、IPO アクセラレーション・プログラムでは、IPO 直前の新興企業と資本業務提供し
て、IT 系の新しい技術サービスを当社がサポートしていく。先方にとっては、上場後のビ
ジネス拡大余地が広がるのでメリットが大きい。当社も New-IT 分野で顧客を増やすと同時
に、サポートの対価として株式を通したキャピタルゲインも得ていく。
その 1 号案として Phone Appli 社と資本・業務提供した。Phone Appli 社は、ウェブの電
話帳で強みを有しており、ここに投資して事業拡大をサポートする。IPO 支援プログラムと
して投資した Phone Appli 社は、クラウド web 電話帳アプリで、国内シェア№1を有し、ユ
ニファイド・コミュニケーションソリューションの開発、販売に力を入れている。この会社

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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を売却した。当社としては営業投資有価証券の売却益が、2018 年 9 月期の業績に貢献した。
第 2 号は GA technologies への投資で、ここは不動産関連の AI を活用したリノベーショ
ンアプリの開発運用や、不動産投資アプリの開発運用を手掛けている。IPO アクセラレーシ
ョンの投資先は、エンタープライズ IT に特化していく。当社の目利き力を活かして、成長
できるかどうかが判断できるうえ、シナジーも十分読めるからである。この会社も 2019 年
9 月期の 2Q に売却した。
投資事業~IPOアクセラレーションプログラム


投資先 投資期 事 業 ねらい 出資後
Phone Appli 2017.4 クラウドweb、電話帳アプリ 共同マーケティング 2018.8
NTTコミュニケーションズに売却


GA technologies 2017.12 AI不動テック AIシナジー 2018.7にマザーズ上場
2019.9期の2Qに売却


ヘッドウォーターズ 2018.4 ロボット用AI 共同マーケティング 保有


ボイスタート 2018.7 シニア向けAIスピーカーサービス 地域創生事業 保有


AI CROSS 2018.7 AIビジネスチャット パブリテック推進 2019.10にマザーズ上場、保有


識学 2018.9 組織マネジメント 共同マーケティング 2019.2Qにマザーズ上場
2019.4Qに売却


GAUSS 2019.7 AI予測汎用エンジン 法人向けAI市場開拓 保有


エアロネクスト 2019.8 ドローンアーキテクチャー 産業用ドローン推進 保有




ヒューマノイドアプリ開発のヘッドウォータース社に投資した。ヒトの形をしたロボッ
トで AI スピーカーの活用を展開していこうとしている。
ヘッドウォータースとの資本・業務提携にみられるように、アクセラレーション・プログ
ラムでは、1)当社のネットワークにいろんなベンチャー企業の情報が入ってくる。2)その
中から双方の事業の相性をみて、事業面でサポートできることを確認する。3)その上で、
資本も 10%前後で提供する。この投資業務、事業育成業務を当社の本業とする。すでに定款
も変更している。
また、5 番目の事業投資として、AI Cross(旧 AOS モバイル)の株式の一部を取得した。
この会社は AI ベースのビジネスチャットソリューション「In Circle」やスマホ利用の法人
向け SMS ソリューション「AOSSMS」など手掛けている。B to B のモバイルコミュニケーシ
ョンをサービスする。こうしたツールを自治体向けサービスに応用していく方向にある。
6 件目の識学は 2 月に東証マザーズに上場した。新規上場は 2 件目である。この識学と連

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携して、社員の生産性を可視化するためのデータ分析サービスを開始した。
当社は大企業に強く、識学は中堅企業への営業力が強い。小売業や飲食業において、アル
バイトも含めて 1 人 1 人の生産性をどうやって測るか。それを人事管理、人事評価にいか
に活かしていくか。
この時、様々なデータを BD(ビックデータ)として分析し、生産性に関わる重標指標を
見出していく。このコンサルを当社が担う。ここのノウハウを蓄積し、識学はその活用法を
自社のビジネスに活かす。識学は 2019 年 9 月期 4Q に売却した。
7 月には、GAUSS に投資した。数千万円で数%保有するというタイプである。AI を使って
予測システムを作り上げる独自の AI アルゴリズム(マシーンラーニング、ディープラーニ
ング)を得意とする会社である。GAUSS との協業によって予測・画像認識、自然言語処理・
音声解析などの分野でユースケースの開発を目指している。


ドローンビジネスの展開
産業ドローンの本格的社会実装を目指して、ドローンを用いた業務生産性の向上で多数
の実証研究を進めている。どのような技術が重要なのか。安全基準、メンテナンス基準など
について、普及のインフラを創っていく。そのコアのメンバーになろうとしている。
業務提携しているエアロネクストへ 8 番目の出資を行った。次世代ドローンの活用を目
指して、Dass(Drone as a Service)のドローンサービスプラットフォームの開発を行って
いるエアロネクストをトータルサポートする。
エアロネクストの独自技術である重心制御技術「4DGRAVITY○」は画期的で、360°VR 撮
R

影、水平輸送、ピンポイントランディング、宅配ドローンなどに応用範囲が広い。中国の深
圳にも進出している。このドローンを屋内外の施設・設備苑件、地形調査、在庫管理など、
業務特性に合った活用でサポートする。
また、ドローンの活用では、長崎県の平戸市で、地域課題の解決に向けて、漁業、観光、
教育分野で開始した。密漁監視、観光サービス、スクール立ち上げなどが手始めである。


ノウハウのビジネス展開が本格化
個別プロジェクトで培ったノウハウをビジネス展開に活かそうという動きが活発化して
いる。チェンジは、事業の推進において、①スピードが早い、②応用が早い、③ビジネス化
がうまい。顧客へのマーケティングに当たって、導入時に使えるケースを積み上げている。
・フィールドワーカー向け診断サービス・音声 UI サービス
オフィス内ではなく、現場で仕事をしているフィールドワーカーの生産活動を、IT を活
用して可視化して、働き方を変えて生産性の向上に結び付けようという内容である。これま
で、個別に NEW-IT ソリューションを提供してきたが、そのノウハウを一般化して診断に使
えるようにした。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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①訪問型(営業、医療、建設現場)
、②巡回型(設備点検、保守点検、カスタマーサポー
ト)
、③施設内移動型(工場、店舗、飲食)
、④乗務型(鉄道、航空機、自動車のドライバー)
などの分野において、フィールドにおける業務における IT 活用を調整して、診断し、その
後の施策を提案する。現場の生産性向上に貢献する。現場で手を使わずにマイク一体型のス
マートデバイスを使い、音声によって仕事を効率的に進めていく。
・XR の活用
VR(仮想現実)
、AR(拡張現実)
、MR(複合現実)などの技術の総称が XR である。XR 技術
を用いて、観光地へ外国人観光客を集客するサービスを立ち上げた。これまで、個別のサー
ビスをプロジェクトで手掛けてきたが、どの地域、どの企業や官公庁でも一般的に使えるよ
うな IT 活用のサービスを開始した。これもユースケースの一般化である。
・人材育成のラーニング分野
チェンジはデータサイエンステイストの教育学習をリードしているが、この分野で当社
独自の資格制度を作り、その普及を通して、人材育成に貢献しようとしている。CDSB(チェ
ンジデータサイエンティストベーシック)の資格取得者は既に 120 名を超えているが、今回
上位資格としての CDSA(チェンジデータサイエンティストアドバンス)の認定を 11 名が取
得した。こうした資格制度を通して、ラーニングの認知度を上げようとしている。
また、定額制のラーニング「RETOMO」(レトモ)の提供を開始した。デジタル技術を学ぶ
ことは、今やシステム部門だけでなく、あらゆる現場で求められている。DX(デジタルトラ
ンスフォーメーション)が現場でおきているからである。そこで、デジタル技術を学ぶコン
テンツを見放題にする定額制サービスを始めた。自由にオンライン学習ができる。
RETOMO は Rex(恐竜)To Mouse(ねずみ)を意味し、環境の激変を生き抜いて繁栄できるよ
うにという意味を込めている。
・BOX の導入支援、連携ソリューション提供
BOX での活用では、当社がそのサポートで業界をリードしてきた。そのサービスを汎用化
した。BOX はビジネス文書のファイル共有、コラボのためのクラウドサービスである。BOX
を利用したクラウド・コンテンツ・マネジメントは、生産性向上に大いに寄与するが、これ
が日本企業においてはまだ十分でない。顧客に合ったコンテンツの一元管理がスピーディ
にできる。この「BOX ベストソリューション」を提供では、2021 年 9 月期に年商 6 億円を計
画している。
2019 年 2 月より BOX(クラウド・コンテンツ・マネジメントのリーダー)を利用したソリ
ューションの支援を開始した。東急電鉄での働き方改革において、この BOX の利用を効果的
に進めた。ファイルサーバーをクラウドにまとめるだけではなく、同じ情報へのアクセスや
その更新を通常時でも緊急時でもうまく使えるようにした。
こうした業務設計支援が高く評価され、富士通など大手 SI 企業と協業して、BOX ベスト
ソリューションを展開していく。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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・BYOD のセキュリティ診断サービス
世の中をみると、個人で所有する情報端末(スマホ、タブレット、PC)を利用して一部業
務を行っている人々は多い。組織によっては一切禁止されて、会社専用のデバイスを支給さ
れているところもあるが、個人のものと組織のものを現場や自宅で使い分けるのは面倒で
ある。一方で、セキュリティは絶対に確保する必要がある。
BYOD(Bring Your Own Device)は、許可を得ずに管理されていないデバイスを逆にきち
んとコントロールして、業務に効果的に利用しようとする。官庁、自治体向けのパブリテッ
クの推進において、こうした活用に当たってのセキュリティについて診断し、今後の対応を
推進しようという内容である。
・Fintech のシンフォニーと開発パートナー契約
米国のシンフォニーコミュニケーションサービス社と提携した。シンフォニー社は金融
機関向けコラボレーションプラットフォーム「Symphony」でビジネスを展開し。米国中心に
内外 400 社の有力金融機関で採用されている。高いセキュリティとコンプライアンスが要
求される金融機関にあって、法人向けチャット・ツールとして使われている。チェンジでは、
シンフォニーをプラットフォームにして、日本の金融機関にチャットボット型のコミュニ
ケーションで革新を働きかけていく。インサイダー情報、重要情報をきっちり守りながら、
会話していく仕組みはまさに有効である。
・ファーストラインワーカーの生産性向上支援
当社は日本マイクロソフトと連携している。オフィスワーカーに対して、現場で働く人材
をファーストラインワーカーとマイクロソフトでは呼ぶが、ファーストラインワーカー向
けの製品、サービスを日本マイクロソフトはいろいろ提供しようとしている。その時、 で
IT
現場に強いのはチェンジであると知り、現場のニーズと連携することが重要であると判断
し、当社に声をかけた。当社のコンサルの強みが活かされることになろう。
・阪急うめだ本店向け多言語チャットポットを導入
百貨店には外国人観光客が押し寄せている。有人カウンターだけでは対応しきれない。イ
ンフォメーションカウンターに専用タブレットスペースを置き、チャットポットなどで案
内情報を検索できるサービスを提供している。簡単そうだが、そうはいかない。データを集
めて、それを BD として蓄積し適切な対応サービスに落とし込んでいく。英語に加えて、こ
れから中国語、韓国語などにも広げていく。小売向け DX の有力なケースである。


ふるさと納税は健在
トラストバンクは、マクロミル社に委託して、2019 年 2 月にふるさと納税に関するアン
ケートを実施した。今後もふるさと納税を利用したいか、という設問に対して、利用経験者
のほぼすべてが利用したいと答えており、今回の制度見直しによるふるさと納税の利用率
低下は想定しなくてよい。

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TB が運営するふるさと納税プラットフォーム「ふるさとチョイス」は、2019 年 6 月から
返礼品の規制が開始された。その前の駆け込みを誘導するような、ルールを逸脱した返礼品
に需要は急増したが、当社はそうした返礼品の掲載を禁止して節度を守った。これが一時的
にはビジネス機会の喪失となった。それはやむを得ない。ここに捉われる必要はない。
一方で、ふるさとチョイスの高付加価値は着実に進展しているので、今後、業界の秩序が
戻ってくるにつれて、効果を発揮してこよう。


ふるさと納税の寄付市場
2018 年度のふるさと納税は 5127 億円(前年 3653 億円)で、395 万人が利用した。件数で
みると 2322 万件(同 1730 万件)であった。
2019 年 6 月からの新規制で対象外となった自治体は、大阪府泉佐野市(2018 年納税額 287
億円、前年比 2.7 倍)、静岡県小山町(同 106 億円、同 4.4 倍)、和歌山県高野町(同 85 億
円、同 4.6 倍)
、佐賀県みやき町(同 139 億円、同 3 割増)などである。
返礼品は、寄付額の 3 割以下、地場産品に限るとなったが、そうでない寄付額にあたるも
のが、2018 年度では 1112 億円ほどあった。全体の 2 割に相当し、特定の自治体に集中して
いた。
ふるさと納税の寄附
(億円、万件)

寄附金額 件数
2016.3 1652 726
2017.3 2844 1271
2018.3 3653 1730
2019.3 5127 2322



市場規模の見方と当社へのインパクト
2019 年度については、昨年 6 月までの駆け込みもあったので、総額としては 5000 億円レ
ベルであろうが、ふるさとチョイスは問題ある自治体とはいち早く手を切っていたので、当
社にとっての市場は 4000 億円レベルであろう。そこでシェア 5 割を確保するとすれば、
2000 億円が平常ベースの見込みとなろう。
今後 3 年間については、1500~3000 億円の需要が想定されるが、2000 億円レベルとみて
おくのが妥当であろう。2000 億円の取扱額で平均テイクレート 4~5%とすれば、80~100
億円の収入が入ることになろう。
ふるさと納税については、1)自治体への応援という本来の主旨と、1)税収の奪い合いと
いう副次的な作用もある。過度の返礼品には規制が入っており、ふるさと納税を運営するポ
ータルサイトについても、利用者を本来の主旨と違う方向へあおったり、誘導したりすれば
規制が入ることもありうる。当社は業界トップの企業として、この点は十分わきまえて運営

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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に当たっている。当局ともよく意見交換をしている。


企業版ふるさと納税もチャンス
政府は企業のふるさと納税も拡張する方針だ。2018 年度の寄付額は 34 億円にとどまって
いる。税の優待度合いを高めて、地方創生につなげる政策を強化しようとしている。ふるさ
とチョイスではこの企業版ふるさと納税でもプラットフォームとしてのサポートを検討し
ていく。さらに、パブリックとしては、自治体と企業をうまく結びつけて、これを事業化し
ていくことも有効となろう。


パブリテック事業が大きく牽引
TB の連結に当たっては、パブリテックビジネスは TB に集結させた。TB の四半期の売上
は、1Q(10~12 月)が大きく、2~4Q は相対的に少ない。とりわけ 2Q は低めとなる。利益
面では広告宣伝費をどのように使うかに依存する。年間を通してみると、運転資金面での借
入金はさほど必要としないので、財務面での負担はない。
TB は取扱高が 2000 億円~3000 億円、テイクレートが 5%になれば、売上高は 100~150 億
円が見込める。大半が固定費なので、手数料の変化による利益へのインパクトは大きい。TB
は業界トップで、競合他社の手数料は 9%から 12%と高い。ここのコントロール余地は大きい
ので、TB の収益性は大いに注目できる。
パブリテックを活かして、新しいビジネスを付加していけば、将来売上高 200 億円、営業
利益 100 億円の会社に育てることもみえてくる。この TB を新規上場させれば、新しいユニ
コーンの 1 社となりえよう。1 つの構想としてあり得る。


パブリテックの新たな動き
パブリテックでも、2 つの動きがある。1 つは、ふるさとチョイスが返礼品一辺倒ではな
く、真に地域の魅力を引き出す取り組みとして動き出している。実際、GCF(使い道を共感
し、ふるさと納税を利用して行うガバメント クラウド ファンディング)の寄付累計が 50
億円を超え、昨年 9 月末で 230 の自治体で 550 のプロジェクトが動いている。
また、那覇市の首里城再建支援プロジェクトでは、寄付は受付 2 日で当初の目標の 1 億
円を達成した。マーケットのリーダーとして、地方創生に貢献しようとしている。
一方で、経済合理性も追及する。ふるさと納税のテイクレート(手数料率)を引き上げて、
収益性を高めている。これまで 3%へ改善してきたが、2020 年 4 月からは 5%にもってい
く。それでも業界 1 低い水準である。
もう 1 つは、自治体デジタル化の新サービスの第 1 弾として、
「LoGo チャット」を 2019
年 9 月に投入した。11 月で 40 自治体 1.3 万人のユーザーがトライアルに参加している。今
後、申込み、アンケートフォーム作成ツール、様式電子化ツール、FAQ チャットボットなど

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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の投入を予定している。さらに、将来は自治体の決済代行も担っていく方針である。


バランスシート
(百万円、%)
2017.9 2018.9 2018.12 2019.3 2019.6 2019.9 2019.12
流動資産 1238 2103 7131 3550 6117 5774 11051
現預金 978 1055 3062 2029 4646 3814 5889
売掛金 230 478 3411 1091 1134 1526 4836
営業投資有価証券    ー 500 447 175 174 136 116
固定資産 190 165 4969 4972 4828 5101 5003
有形固定資産 49 54 209 271 259 211 206
無形固定資産 45 27 4326 4255 4153 4593 4508
のれん ー ー 3960 3860 3760 3318 3228
商標権 871 847
投資その他 96 83 434 445 415 296 288
資産合計 1429 2268 12101 8522 10970 10898 16075
流動負債 282 493 4995 1599 1316 1574 5169
買掛金 52 90 307 228 184 242 265
短期借入金 38 45 944 548 402 392 788
未払金 34 55 1603 236 235 154 937
預り金 15 18 1807 196 270 362 1995
固定負債 58 118 4762 4614 2924 3055 2965
長期借入金 39 93 4544 4404 2706 2611 2518
純資産 1088 1655 2343 2307 6729 6267 7940
有利子負債 77 139 5489 4953 3108 3003 3306
有利子負債比率 5.4 6.1 45.4 58.1 28.3 27.6 20.6
自己資本比率 75.9 72.8 13.8 19.7 55.3 50.9 41.7



公募増資によるファイナンスを実施
2019 年 5 月の公募増資公表後、株価はかなり下げた。希薄化(ダイリューション)を織り
込むにしても、その下げ幅は大きかった。成長企業にとって公募増資によるファイナンスは
有効な手段であり、その資金を活用する成長ストーリーが重要である。当社の場合、そのス
トーリーは明快である。
B/S では、M&A 直後は借り入れを行い、自己資本比率は 1Q 末で 13.9%まで低下したが、今
回の公募増資で、2019 年 9 月末の自己資本比率は 50.9%まで向上した。
昨年 5 月に公募増資は 160 万株で、既存発行済株式の 11.4%に相当した。発行価格は 2764
円/株で、振込金額は 42.6 億円となった。3 月末の純資産が 23.0 億円であったから、自己
資本の充実に寄与した。
資金の使途は、①人材(人件費)5 億円、②新規事業開発(ソフトウェア、R&D)10 億円、
③資本業務提携 10 億円、④借入金返済(M&A)17 億円であった。
この他に、経営陣 4 名から 45 万株の売出しもあった。流動性の向上を目指したものであ

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るが、個人投資家からは経営陣の売出しはあまり好まれなかった。
内外の投資家に販売されたが、国内は個人投資家、海外は機関投資家であった。注目すべ
きは全体の 40%強が海外投資家の保有となった。外人持株比率が 12%を超えたことになる。
TB の買収は 48 億円であった。みずほ銀行より 50 億円を借り入れた。その後公募増資で
42 億円を調達した。2019 年 9 月末の借入金は 30 億円であるが、これを現状ペースであれ
ば年間 4 億円ほどを返済していく。内部留保の活用で全く問題ない。


キャッシュ・フロー
(百万円)
2017.9 2018.9 2019.9
営業キャッシュ・フロー 326 245 -10
税引後利益 259 387 340
減価償却 13 26 221
のれん 301
売上債権 399
未払い金 -856
預り金等 -519
営業投資有価証券     ー 28 63
投資キャッシュ・フロー -110 -243 -3048
有形固定資産 -11 -17 -192
無形固定資産 -41 -11 -185
子会社株式の取得 -2823
投資有価証券 -45 -211 0
財務キャッシュ・フロー 10 75 5787
長期借入金 3 61 2740
株式発行 5 15 4256
現預金期末残高 978 1055 3784



ふるさと納税の季節的拡大は、1Q 末(12 月末)のバランスシートに端的に表れる。2019
年 12 月の売掛金が 4836 百万円(9 月末比+3309 百万円)、負債サイドの預かり金 1995 百
万円(+1632 百万円)となった。2Q 末(3 月末)にはかなり平準化してくる。


IFRS(国際会計基準) ~導入と影響を慎重に検討
現在、IFRS の導入を準備している。IFRS を適用すると、1)のれんは償却しないので、営
業利益はその分が増えてくる。2)投資事業は時価評価(未上場分も含めて)されて、評価損
益が入ってこよう。
TB の買収に伴う商標件 9.5 億円、のれん 36.2 億円(いずれも TB 取得時)は確定してい
る。年間 4.6 億円(10 年間)の償却が発生する。今後も M&A はありうる。この償却をどう
考えるか。
また、ベンチャー企業への投資を行っているが、本業とのシナジーが基本であって、規模

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拡大が目的ではない。この投資事業が IFRS では時価評価されるので、毎期のセグメント利
益が評価損益で上下することになる。この点も企業の実態をみる上で注意を要する。
IFRS の採用はその方向であるが、慎重に進める方針である。早ければ 2020 年 9 月期での
任意適用を目指す。




5.当面の業績 今期は急拡大、好調を持続しよう


2018 年 9 月期までは単体~7 期連続でピーク利益を更新
2018 年 9 月期は、売上高 2604 百万円(前年度比+31.5%)
、営業利益 513 百万円(同+
55.0%)
、経常利益 513 百万円(同+57.7%)
、純利益 343 百万円(同+49.5%)と極めて好調
であった。音声認識や AI の活用、デジタル人材の育成が大きく伸びたことによる。


単体の業績
(百万円、%)
2015.9 2016.9 2017.9 2018.9
売上高 1400 1550 1980 2604


原価 880 944 1183 1591
売上高原価率 62.9 60.9 59.8 61.1


粗利益 519 605 796 1013
売上高粗利益率 37.1 39.0 40.2 38.9


販管費 384 418 465 499
売上高販管費率 27.5 27.0 23.5 19.2


営業利益 134 186 331 513
売上高営業利益率 9.6 12.0 16.7 19.7


経常利益 137 175 325 513
純利益 82 118 229 343




売上高原価率は 61.1% 同 59.8%)
( とやや上がったが、
売上高販管費比率は 19.2% 同 23.5%)

とかなり改善している。よって、売上高営業利益率は 19.7%(同 16.7%)へ向上した。
New-IT トランスフォーメーション事業では、①AI 人材やデータサイエンステイストなど
の高度人材育成サービス、②AI スピーカー関連プロジェクト、③働き方改革関連プロジェ
クトが計画を上回った。投資事業では、4Q に Phone Appli の売却益が入った。一方で、東
証 1 部上場のための準備費用が発生したが、これはクリアした。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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売上の内訳をみると、AI、IoT、New-IT の関連プロジェクト、ライセンスの提供が 7 割、
IT 人材育成教育が 3 割というイメージであった。


セグメント別業績
(百万円)
2017.9 (単体) 2018.9 (単体) 2019.9 (連結)


NEW-ITトランスフォーメーション
売上高 1980 2447 2742
 利益 ー 790 786
投資事業
売上高 ー 157 450
 利益 ー 76 228
パブリテック
売上高 ー ー 3867
 利益 ー ー 875


  調整額 ー -352 -868
合計
売上高 1980 2604 7054
営業利益 331 513 1081
(注)利益はセグメント利益、調整額は全社の一般管理費。
   2019.9期はTB(トラストバンク)の 10か月分を含む。




2019 年 9 月期から連結へ~TB が 10 か月分寄与
2019 年 9 月期は、売上高 7054 百万円(前年同期 2604 百万円) 営業利益 1081 百万円(同

513 百万円)
、経常利益 959 百万円(同 513 百万円)
、純利益 378 百万円(同 343 百万円)と
なった。当期より連結決算を開始している。前期の単体決算に比べると、TB(トラストバン
ク)を連結したことで、業績は大幅に伸びている。 の売上、
TB 営業利益が 10 カ月分入った。
但し、当初の計画は未達に終わった。営業利益で 1448 百万円、純利益で 766 百万円を計
画していたので、そこには届かなかった。要因は 3 つある。
1 つは、TB のふるさと納税で、6 月の新しい規制前の駆け込み納税を取り込む自治体が出
た。当社はふるさと納税の本来の主旨から、それらの自治体を取り扱わないことにした。こ
れによって、ふるさと納税からの収益が数億円単位で見込みを下回った。
第 2 は、パブリック部門の強化に向けて、TB に本体からパブリックの人材を移し、次の
ビジネス展開に向けて人材を投入した。この分野は立ち上げには 2 年を要するので、最初の
年としては、その分従来のビジネスが減少した。
第 3 は、パブリックに人材を移した分くらいは、主力の New-IT 部門で十分カバーできる
と想定していたが、この分野の民需は難度の高い個別案件が増えており、順調に伸びてはい
るが、パブリテックの分をカバーするまでには至らなかった。仕事の引き合いは十分あった

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が、人材をまわしきれなかったことによる。
ふるさと納税の健全化に対して、当社は駆け込み的な需要を追うことなく、新しい仕組み
(30%返礼)に対応したビジネスをいち早く展開した。顧客も様子見となったので、一部の
ビジネスで機会損失を招いたが、そのことをネガティブにみる必要はない。あるべき方向に
適切に対応した結果と評価できよう。
IPO アクセラレーターでは主要なところで 8 社に投資したが、2Q に GA Technologies の
株をすべて売却、4Q に識学の株をすべて売却してキャピタルゲインを得た。投資では、2 月
に識学が、 月に AI CROSS が東証マザーズに上場した。
10 新規投資家では、 月に GAUSS へ、

8 月にエアロネクストへ出資した。
営業外費用には M&A に伴う資金調達費用が 125 百万円入っている。当期純利益は 562 百
万円であったが、ここから TB の非支配株主に帰属する純利益 184 百万円(TB の利益の 40%
分)が引かれたので、親会社の株主に帰属する純利益は 378 百万円となった。


四半期別業績の推移
(百万円)
1Q 2Q 3Q 4Q
売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益


2017.9(単体) 465 36 467 120 628 166 420 9


2018.9(単体) 392 25 767 176 702 165 743 147


2019.9(連結) 2035 439 1630 132 1664 270 1725 240


2020.9(連結) 4512 2570




今 2020 年 9 月期の会社計画
2020 年 9 月期の会社計画は、売上高 9352 百万円(前年度比+32.6%)
、営業利益 1300 百
万円(同+20.3%) 経常利益 1281 百万円
、 (同+33.6%) 純利益 520 百万円
、 (同+37.6%)
である。
重点施策は 3 つある。第 1 は、デジタル人材の育成強化である。多くの企業でデジタル人
材が不足している。ここの研修、育成を拡大させる。単価は高くないので収益性は下がるが、
まず市場を立ち上げて次にデジタル活用のビジネスに結び付けていく。デジタル人材ビジ
ネスは、今期に拡大して、来期以降はそこに DX ビジネスをのせていく。
第 2 は、パブリテック事業の拡大である。ふるさとチョイスは再成長への基盤を整える。
自治体向けの LOGO シリーズは標準化を進める、

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第 3 は、Xaas(エックスアース)に対抗する新 IT サービスで、従来の Sl 型に代わる新し
いサービスモデルを作っていく、ユースケース開発力にコアに、マーケティングからサポー
トメンテナンスまでカバーしていく。
投資事業は、今のところ当社の中核事業ではない。ソフトバンクのように投資を本業とす
ることはない。当社のビジネスと関わる周辺分野でベンチャー型企業と組んでいく時、その
連携として一部出資する。当然リターンは得ていくが、投資規模の目標を立てて推進すると
いう方式はとらない。よって、事前の会社計画には明示的に入れていない。


1Q は空前の増益へ
2020 年 9 月期の 1Q は、売上高 4512 百万円(前年同期比+21.7%)
、営業利益 2570 百万
円(同 5.9 倍)
、経常利益 2566 百万円(同 8.3 倍)、純利益 1141 百万円(同 21.2 倍)と空
前の増益となった。
通期の営業利益計画 1300 百万円を、1Q で軽くオーバーしてしまった。業績計画の見直
しは 2Q 決算に向けて行う予定である。
主因は、ふるさと納税を含むパブリック事業のセグメント利益が、前年同期の 530 百万円
から 2735 百万円へ急増したことによる。売上高は同 1610 百万円から 3893 百万円へ拡大し
た。
1Qのセグメント業績
(百万円)
2019.9 1Q 2020.9 1Q
NEW-ITトランスフォーメーション
売上高 425 618
利益 83 115
投資事業
売上高 0 0
利益 -2 -5
パブリテック
売上高 1610 3893
利益 530 2735
  調整額 -500 -177 0 -275
合計
売上高 2035 4512
利益 434 2570
(注)利益の調整額は全社費用




ふるさと納税事業は、1~3 月、4~6 月、7~9 月、10~12 月のうち、10~12 月(当社の
1Q)に最も拡大する。10~12 月は他の四半期の 3 倍規模となる。利益の大半を 1Q で稼いで
しまうほど季節性がある。

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前期は、2019 年 6 月から施行された「ふるさと納税に係る指定制度」に前後して、マー
ケットが不規則な動きをみせた。リーズナブルに行動した当社(トラストバンクのふるさと
チョイス)には不利に働いた。
今期の1Q は、慎重な計画を立てていたが、1)取り扱い寄付額が想定を上回り、2)テイ
クレートの見直しが順調に進行したことが、大きく寄与した。1Q でみると、ふるさと納税
からの収入は、寄付額の伸びが+15%、テイクレートの変更+50%であった。
ふるさと納税制度の趣旨に沿った返礼品の秩序が回復し、ふるさとチョイスの信認が強
まったといえる。
NEW-IT トランスフォーメーション事業も、売上高+45.5%(前年同期比)
、セグメント利
益 115 百万円(同+37.7%)と好調であった。
投資事業に特に案件はなかった。今期中に新規上場に伴う一部収入があるかもしれない
が、今のところ未定である。新規の案件については、引き続き力を入れて発掘している。


新型コロナウイルスの影響~マイナス面とプラス面
新型コロナウイルスの影響については、マイナスとプラスの両面がある。マイナスの影響
では、今期最も力を入れようとしていたデジタル人材育成関連が 2Q(1~3 月)にセミナー
の中止等で失速している。長引くようだと、NEW-IT トランスフォーメーション事業の増益
率がやや鈍ることになろう。
プラスの面は 2 つある。1 つは、在宅勤務への対応として、リモートワーク用モバイルセ
キュリティのライセンスが大幅に増加している。もう 1 つは、ふるさと納税を担う TB の認
知度、ブランドが上がって、コロナ対策(地域産業への影響のリカバリー)への支援依頼が
増えている。


BOX ベストソリューション
BOX ベストソリューションでは、第 1 弾マニュアル探すくん(2019 年 11 月)、第 2 弾情報
まとめくん(2020 年 1 月)、第 3 弾点検すすむくん(準備中)と展開している。
「情報まとめくん」は、メールの仕分け、転記、見逃しなどを、自動転記、自動通知し、
BOX フォルダ内のエクセル台帳にまとめる。ここにアクセスすれば、すべて対応できる。Web
フォーム当たり月額 8 万円である。


デジテリの進展
DX 推進に必要なサービスを統合した会員制プログラム「デジテリ」を東京地下鉄(東京
メトロ)へ提供することを 2020 年 2 月より開始した。デジテリ(デジタル+インテリジェ
ンス)サービスの内容は、①e ラーニング、②ビジネス活用セミナー、③DX コンシェルジュ
サービス、④会員限定コミュニティなどを含む。

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セグメント別業績予想
(百万円)
2017.9 2018.9 2019.9 2020.9(予) 2021.9(予)
売上高 利益 売上高 利益 売上高 利益 売上高 利益 売上高 利益
New-IT トランス
フォーメーション事業 1980  ー 2447 790 2742 786 3600 900 4800 1500


投資事業   ー  ー 157 76 450 288 0 -50 200 100


パブリテック事業   ー   ー   ー   ー 3867 875 6800 3400 9500 4500


 全社費用(一般管理費)  ー -352 -868 -1250 -1600


合計 1980 331 2604 513 7054 1081 10400 3000 14500 4500
(注)利益はセグメント利益。-は区分なし。投資事業は2018.9期3Qより区分。パブリテックのTBは2019.9期2Qより連結。




TB の買収の成果
TB の買収後の PMI(経営統合)が成果を上げてきた。事業計画に対して、昨年度はふるさと
納税の制度変更が相対的にマイナスとなったが、基本をしっかり固めていたので、今期は業
績面で大きく開花している。
来期 2021 年 9 月期の 1Q は、ふるさとチョイスがもう一段レベルアップすることが見込
めるので、さらに大幅増益が見込めよう。
テイクレートは従来 2%であったが、2019 年 4 月より 3%、2020 年 4 月からは 5%とな
る。これでも業界で最も低い。寄付額についても 1500 億円は十分確保できよう。


パブリテック事業の広がり~公共フィンテックへの展開
パブリテック事業については、ふるさと納税を軸に一気に周辺事業への広がりを目指す。
ふるさとチョイスでは、寄付額 2000 億円×テイクレート 5%で、100 億円事業になること
が十分可能である。
次に、自治体向け決済サービスを開拓している。公金の決算のサポートを開始しており、
その取り扱い収入が、この 1Q でパブリック事業の 7~8%を占めている。これは、TB の買収
後始めたサービスである。公共フィンテックのスタートともいえよう。その一環として、Orb
を子会社化した。
コミュニティ通貨のアイデアはいろいろありうる。国の円と同じものにはなりえないが、
使い勝手の工夫はできる。
例えば、ジェネリックの利用率が低い市町村がある。ここに、コミュニティ通貨でインセ
ンティブを与える。市町村がそのインセンティブ分を負担する。ポイントのように地域で使
える通貨をインセンティブとしてスマホにチャージする。

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

(株)日本ベル投資研究所
IRアナリストレポート Belletk
Independent Research Analyst Report ベル企業レポート


そうすると、利用者はインセンティブがもらえ、市町村はジェネリックの利用率アップで、
自ら負担する医療費を削減できる。つまり、財政負担の軽減に役立つ。このようなアイデア
を次々と実行していく方針である。
公共サービスの効率化を、フィンテックを使って推進しようというもので、これは画期的
である。

四半期別セグメント業績の推移
(百万円)
1Q 2Q 3Q 4Q
売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益


2019.9 NEW-IT 425 83 687 210 880 289 748 202
投資事業 0 -2 354 233 5 -5 91 58
パブリテック 1610 535 556 -102 781 194 886 238
調整 -177 -223 -209 -258
合計 2035 439 1630 132 1663 269 1724 240


2020.9 NEW-IT 618 115
投資事業 0 -5
パブリテック 3893 2735
調整 -275
合計 4512 2570




Orb の買収
2 月に TB は Orb を買収した。同社は、ブロックチェーン関連技術に高いノウハウを有す
る。独自の分散型台帳技術「Orb DLT」を活用して、コミュニティを活性化する決済ソリュ
ーションを強化できる。
Orb の業績は、2019 年 1 月期で売上高 32 百万円、営業利益-194 百万円、純資産 47 百万
円、総資産 157 百万円であった。いい技術をもっているが、ビジネスは十分でなかった。こ
れまでの主要株主はベンチャー投資会社であったが、今回 TB が 150 百万円を出資して、持
株比率を 71.76%とした。


自治体向け LoGo シリーズの立上げ
自治体向け LoGo シリーズでは、第 1 弾の LoGo チャットが昨年 9 月からトライアルを開
始し、1 月からモバイルアプリの提供を開始した。3 月には、100 自治体 5 万ライセンスの
利用となり、滑り出しは好調である。これは各自治体内の紙や電話による連絡の代わりに、
そのチャットをアプリとして使うものである。
第 2 弾の LoGo フォームも 3 月からスタートした。LoGo フォームは、行政専用のネットワ
ーク(LGWAN)を使って、各自治体が取り扱っているアンケート、申し込みフォームを簡単

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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に作成し、集計できる自治体専用 WEB フォーム作成ツールである。


大幅増益が続こう
来期 2021 年 9 月期は、営業利益で 34 億円を計画しているが、これは今期で達成できそ
うである。来期も、1)ふるさとチョイスのテイクレート 5%がフルに効いてくる、2)パブ
リテックで自治体向けサービスが本格的に立ち上がってくる、3)New-IT では人材育成から
付加価値の高い DX へ新たなバリューチェーンが立ち上がってくる、ということで、1 年前
倒しの営業利益が達成可能であろう。


中期経営計画の財務目標(修正ベース)
(百万円)
売上高   営業利益
2015.9 (単体) 1400 134
2016.9 (単体) 1550 186
2017.9 (単体) 1980 331
2018.9 (単体) 2604 513
2019.9 (連結) 7054 〔7488〕 1081 〔1448〕
2020.9(計画) (連結) 9352 〔11000〕 1300 〔2349〕
2021.9(計画) (連結) 14639 〔15500〕 3400 〔4700〕
2022.9(計画) (連結) 18986 4700
(注)カッコ内は当初計画




2019 年 9 月期は TB の買収、そのためのファイナンスがあったが、当初計画に対して届か
ないものとなった。しかし、当社の成長路線が崩れたわけではなかった。DX(デジタルトラ
ンスフォーメーション)への仕込みは順調に進んでおり、 のビジネスも収益性を一気に高
TB
めている。よって、成長トレンドに変更はない。
この成長を支えるものは、もともとのチェンジ単体の伸びに加えて、規模的には TB が大
きく寄与する。TB は中期的に、①第 1 フェーズ/ふるさと納税業務のデジタル化、②第 2 フ
ェーズ/自治体内業務のデジタル化、③第 3 フェーズ/地域全体のデジタル化、を軸として事
業を拡大していく方針である。伸びるのは間違いないし、スピードも早い。
一方、チェンジ本体の New-IT 事業は、フラグシップモデルが順次収穫期に入っている。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を広範に展開できるようになっている。パブリッ
ク事業は、既存の自治体向け IT を DX することで。マーケットを取りに行く。大手 SI を凌
駕して、シェアをとっていくことになろう。


今後の収益性~営業利益率 30%に向けて
2019 年 9 月期の P/L では、売上原価率 37.5%、売上粗利率 62.5%、
売上販管費率 47.2%、

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。

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売上営業利益率 15.3%であった。これが 3 年後には原価率 30~35%、粗利率 70~65%、販
管費率 40~35%で、営業利益率 30%になるというのが基本形であると予想する。


業績予想
(百万円、%)
2015.9 2016.9 2017.9 2018.9 2019.9 2020.9(予) 2021.9(予)
売上高 1400 1550 1980 2604 7054 10400 14500


原価 880 944 1183 1591 2643 3300 4700
売上高原価率 62.9 60.9 59.8 61.1 37.5 31.7 32.4


粗利益 519 605 796 1013 4410 7100 9800
売上高粗利益率 37.1 39.0 40.2 38.9 62.5 68.3 67.6


販管費 384 418 465 499 3329 4100 5300
売上高販管費率 27.5 27.0 23.5 19.2 47.2 39.4 36.6


営業利益 134 186 331 513 1081 3000 4500
売上高営業利益率 9.6 12.0 16.7 19.7 15.3 28.8 31.0


経常利益 137 175 325 513 959 3000 4500
純利益 82 118 229 343 378 1200 1800
(注)2018.9期までは単体、2019.9期より連結(日本基準)




6.企業評価 M&A のシナジーは十分見込める


ふるさと納税のリーダーとして
ふるさと納税では、業界のリーダーとして、趣旨に反する返礼品を取り扱う自治体との契
約解除、災害支援プロジェクト、GCF(ガバメントクラウドファンディング)プロジェクト
などに力を入れて、信認を高めている。 プロイジェクト数は、
GCF 2016 年 66 件、2017 年 111
件、2018 年 226 件、2019 年 241 件と拡大している。
2019 年のふるさとチョイス寄付金ランキングをみると、第 1 位首里城再建支援 917 百万
円(那覇市)、第 2 位犬の殺処分ゼロを!527 百万円(広島県神石高原町)、第 3 位北斎没後
170 年記念展 156 百万円(墨田区)などであった。


中計の進捗
中期計画の進捗は、営業利益面では 1 年早く達成するペースである。TB を買収して、ふ
るさと納税の事業利益が急拡大している。これは M&A 後の PMI の成果である。この買収は

本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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大成功といえる。
さらに、NEW-IT トランスフォーメーション事業も予定通り高成長している。ふるさと納
税以外のパブリテック事業では、地域通貨関連が公共フィンテックとして伸びそうである。
新規事業としての次の M&A 案件も狙っている。


ストック効果の追求
上場を機に、顧客を始めとするステークホルダーとの接点が大きく増えており、ビジネス
にはプラスに働いている。東証 1 部上場によってさらに信用力がついた。それによって顧客
との長期のビジネス関係を構築していくことができている。
大手の SI はすでに既存のビジネスを有している。新しい分野に出ていくにしても、先端
のソリューションを機動的にビジネスにしていく人材が十分でない。また、日本企業にみら
れる意思決定の遅さもネックである。そこで、当社のような会社と組んで、お互いパートナ
ーとして、1)供給力を高め、2)迅速な意思決定で、3)具体的なソリューションの提供を実行
していくことができる。ここに当社の存在意義があるといえよう。
これからは、M&A を通して SI 業界に再編をリードし、新しいビジネスモデルを創ってい
くことに時間を投じていこうとしている。TB(トラストバンク)とのシナジー効果が大いに
期待できよう。


事業ポートフォリオの目指す方向
現在、NEW-IT トランスフォーメーションとパブリテック(ふるさと納税)の利益構成は
1:3 であるが、これをふるさと納税以外のビジネスを伸ばして、NEW-IT トランスフォーメ
ーション+ふるさと納税以外のパブリテックの利益構成を 5 割にもっていくことが目標で
ある。
事業ポートフォリオの利益構成の動きをみると、 のふるさとチョイスが入ったことで、
TB
ここの収益が安定的に拡大する。これに対して、New-IT をいかに伸ばすか。これを含めて、
全体の利益構成を 1:1 にもっていきながら、営業利益で 100 億円以上を目指すというのが
次の目標であろう。


パブリテックとのシナジーは大きい
2018 年 9 月に東証 1 部に指定替えとなった。当社は B to B の法人ビジネスを展開してい
るので、顧客法人からの信用が最も大事である。受託ビジネス、ライセンス販売において、
大手企業との新規の取引が一段とスムースにいくようになっている。
2018 年 7 月に 1:2 の株式分割を行い、8 月末には全体の 5%の立会外分売を行った。創業
メンバーが株式の約 73%を保有していたが、このうちの 5%を売り出した。これによって、株
主数を増やし流動性を高めた。また、2019 年 1 月 1 日に 1:2 の株式分割を実施した。今回

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5 月のファイナンスでは、売り出しを 3%ほど行い、外人持株比率も 12%程度となった。
ガバナンスについては、社外取締役が藤原洋氏(ブロードバンドタワーCEO) 名に加え、

12 月の株主総会で 1 名(弁護士 林依利子氏)増員され、計 2 名となった。
配当に関しては、無配である。大型 M&A を実行しているので、成長を優先して内部資金は
使われて行こう。一方、株主優待制度がスタートした。 株保有の株主に 1500 ポイント、

2 年目以降の保有継続株主には 1.1 倍の 1650 ポイントがつく。さらに、1000 株までは保有
数によって、ポイントが高まっていく。ポイントは 2 年目まで貯めることができ、ポイント
によってさまざまな商品と交換できる。ポイントなので単純に金額換算はできないが、200
株で 1500 ポイントなので、1 株 7.5 円相当とみることもできる。
業績は、従来に比べて断層的に伸びてくる。新分野は横展開が本格化すると、売上げの拡
大ピッチは上がり、しかも利益率が上がってくる。投資事業も成果が大きく出る可能性があ
る。ROE も 20%台へ改善することは十分見込めよう。
攻めの DX 分野で、確固たるビジネスモデルを構築しており、今後の新規市場開拓の余地
も大きい。収益基盤は安定しており、収益性の向上も十分見込める。よって、企業評価はA
とする。(企業評価の基準については 2 頁目を参照)
現在の株価(3/19)で見ると、PBR 5.95 倍、ROE 15.1%(来期ベースで 19.7%)、PER 39.4
倍(同 26.3 倍)である。今後 TB(トラストバンク)とのシナジーがはっきりし、さらなる成
長がみえてくれば期待はより高まってこよう。
チェンジの新しいビジネスモデルは、まだ十分理解されていない。営業利益 50 億円、純
利益 20~25 億円という業績が視野に入り、ROE も 20%台の乗せてくると、PER 40~50 倍と
して時価総額 1000 億円越えが視野に入ろう。
今後の成長ポテンシャルに大いに注目したい。




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