デジタルツインに対応したインテリジェントモータのPoCを開発

2023 年 6 月 26 日
各 位
会 社 名 ニデック株式会社
代表者名 代表取締役社長執行役員 ⼩部 博志
取 引 所 東証プライム(6594)
所 在 地 京都市南区久世殿城町 338
問合せ先 広報宣伝部長 渡邉 啓太
電 話 (075)935-6150

デジタルツインに対応したインテリジェントモータ®の PoC を開発


ニデック株式会社(以下、当社)は、マイクロコンピュータ(以下マイコン)を内蔵し、互いにデータ結合・時刻同期された*1 インテ
リジェントモータ®と、これを搭載した製品を*2 デジタルツインに対応させる仕組みを「インテリジェントモータ®ソリューション」と定義し、
これらを実現するための*3PoC を開発しました。


人材難の生産現場の課題(工場の立ち上げ、教育、監視、メンテナンス等)の解決策として、DX や ICT(Information
and Communication Technology)が、時代の潮流となる中、当社は、これを実現する手段として「インテリジェントモータ®ソ
リューション」の技術要素として以下の 3 つのソリューションを開発しました。


1.現実空間の課題を仮想空間に再現し、テストを行う仕組み(クラウド技術)
2.1.が専門的な人間でなくても誰でも実現できる仕組み(GUI 技術)
3.モータにエッジコンピューティングを組み込み、IoT の市場に投入する仕組み


上記コンセプトの実証に際して、今回は、インテリジェントモータ®ソリューションをロボットメーカー様への提案を想定し、*3 3 軸パラ
レルリンクロボットを題材として選定。 インテリジェント化されたモータ同士が⾼精度に協調作業することで、このロボットを中央制御
装置無しに動作させると共に、このロボットと対になる仮想ロボットを仮想空間上に再現し、GUI を駆使してこの仮想ロボットの動作
プログラムを設計・検証し、その動作プログラムを現実空間のロボットに無線通信を介して反映させる次世代開発環境を整備、上記
機能動作を実証しました。
(開発の背景、技術的特徴の詳細については2ページ目以降の参考資料をご参照ください)


本技術により、①モータ組み込み機器における中央制御装置の負荷が軽減できる、もしくは不要になる。②モータの用途が変
更となった際や、現場に課題が発生した際にも、クラウド上の仮想空間でシステム変更の検証を行い、そのまま現実空間でリアルタイ
ムにシステム変更を行うことが可能となる、というような世界中の工場現場に対して、デジタルツインの世界が、簡単に構築でき人材
の不足を解消できるソリューションとして期待できます。


当社は、この「インテリジェントモータ®ソリューション」の提供を通じて、世界中のモータの付加価値を向上させ、より豊かな社会を創
出するソリューションプロバイダーを目指してまいります。
以 上
*1 インテリジェントモータ®:当社が開発した⼩型コンピュータを内蔵したモータです。無線ネットワークで簡単に制御可能であるとともに、位置、速度、トルクなど
様々なモータ情報を取得することができます。「インテリジェントモータ」はニデック株式会社の登録商標です。
*2 デジタルツイン:現実空間の環境を、リアルタイムでの情報収集と分析を通じて仮想空間に再現する仕組み。
*3 PoC:Proof of Concept(概念実証)。新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて事前に検証すること。
*4 本件はデジタルツインを実現する製品事例として選定したものであり、ロボット自体の開発・販売を意図したものではございません。


別添

参考資料

【背景】
⼩型ブラシレス DC モータの多くはモータ制御機能に特化した専用 IC を用いていますが、この IC は安価である反面、制御
機能を変更する場合は IC 自体を再設計する必要がありました。専用 IC に代えてマイコンを採用し、モータ制御をソフトウェア
で実現すれば、IC の設計変更なしにプログラム上で制御機能が変更できるほか、上位システムとのシリアル通信に対応するこ
とも可能になります。
⼩型ブラシレス DC モータへのマイコン搭載率は、2018 年から 2022 年までの 4 年間で倍増(当社調べ)しており、今
後も搭載率の増加が予想されますが、ここでのマイコンはあくまで自身が搭載されたモータを駆動するための存在であり、マイコ
ン搭載モータも、上位のシステムからの指令に従って動作するものとなっています。




<⼩型 BLDC モータへのマイコン搭載率:当社調べ>


当社のインテリジェントモータ®ソリューションは、マイコン搭載モータにエッジコンピューティングを組み込むことで、上位のシステ
ムからの指示を必要とせず、モータ自身が判断して動作する環境や、複数のモータが通信機能を活用して互いにコミュニケーシ
ョンして連携動作する環境を創出し、上位のシステムの負担を軽減、または上位のシステムを不要にします。 これにより、コス
トや、データ通信量、配線等の削減が期待できます。




<エッジコンピューティング搭載モータの自律連携(イメージ図)>


また、コロナ禍により人の移動が困難になり、現場の課題(工場の立ち上げ、教育、監視、メンテナンス等)対応が問題と
なったことを契機に、その解決策として、DX や ICT(Information and Communication Technology)が時代の潮
流となりました。
この中核を担う技術として、現実空間の環境を仮想空間に再現する「デジタルツイン」がありますが、当社では、上記の「モ
ータにエッジコンピューティングを組み込む技術開発」に加え、「現実空間の課題を仮想空間で解決する仕組み(クラウド技
術)」と、「それが専門的な人間でなくても誰でも実現できる仕組み(GUI 技術)」を創出、インテリジェントモータ®が組み
込まれた製品の動作環境を仮想空間に再現する「デジタルツイン」に適応させました。


別1 /3
<インテリジェント化されたロボットのデジタルツイン適応イメージ>




【新技術の特長】


1:インテリジェントモータ®対応ソフトウェアプラットフォーム
当社のモータ制御技術と、*5 株式会社アイ・エル・シーが保有するソフトウェア技術「Connected PLC」を融合し、インテリ
ジェントモータを用いた機器、装置、システム開発や DX 化に必要となる基本機能を提供する、「インテリジェントモータ®対応
ソフトウェアプラットフォーム」を開発しました。




上記ソフトウェアプラットフォームを適用することで下記 2~4 の⾼付加価値モータを創出し、モータ顧客の製品開発やシステ
ム開発工数の削減 ・トラブル発生時の迅速な対応や運用時の故障予知等による生産性向上を強力に支援します。


2:つながるモータ (Connected Motor)
・モータ間やモータと機器間は暗号化されたセキュアな通信によってシームレスに接続。
・モータ間で時刻同期した制御やデータ共有、モータ相互の動作状況に応じた互助動作や連携動作などが可能。




別2 /3
3:自分自身を制御可能なモータ (Programmable Motor)
・GUI を活用し、モータ上で動作するアプリケーションプログラムを直感的に作成・修正することで、用途に応じたモータ製品、装
置、 システムが開発可能。
・当社が提供するソフトウェア機能部品を活用することで、 モータアプリケーションやシステムの開発、機能変更や拡張が簡単
になり、開発工数の大幅削減が可能。


4:仮想化対応モータ (Virtual Intelligent Motor)
・クラウド上で動作する仮想化モータを用いて、モータ製品、装置、システム開発において次世代の開発手法や開発環境
(例:デジタルツイン)が活用可能。
・クラウドで提供される新たなサービス(リモート診断、故障予知、デバイス管理等)が活用可能。


「インテリジェントモータ®」ならびに「インテリジェントモータ®ソフトウェアプラットフォーム」を活用することで、モータ単体を組み合わ
せるだけで、上位制御装置無しに稼働する様々な製品を創出し、これをデジタルツインに対応させることが出来ます。
これにより、モータの用途が変更となった際や、現場に課題が発生した際にも、クラウド上の仮想空間でシステム変更の検証
を行い、そのまま現実空間でリアルタイムにシステム変更を行うことが可能となります。



*5
株式会社アイ・エル・シー
本社:東京都千代田区、代表取締役会長兼 CEO 大西英作

http://www.ilc.co.jp/commodity/connectedplc/index.html





別3 /3

10876