伊藤忠商事のDXプロジェクト管理アプリを共同開発 「三方よしのDX」を加速
報道関係者各位
プレスリリース
2024 年 3 月 28 日
株式会社エル・ティー・エス
伊藤忠商事の DX プロジェクト管理アプリを共同開発 「三方よしの DX」を加速
~エル・ティー・エス、PowerApps を使用し約2か月でリリース~
伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役会長 CEO:岡藤 正広、以下 伊藤忠商事)と株式会社エル・ティー・
エス(本社:東京都港区、代表取締役社長:樺島 弘明、以下 LTS)は、伊藤忠商事の DX プロジェクト管理アプリケーシ
ョンを共同開発しました。Microsoft 社が提供する PowerApps を利用すると共に、ベトナムでのオフショア開発(FPTコ
ンサルティングジャパン株式会社)の活用により、構想から約 2 カ月という短期間でのリリースを実現しました。
本アプリを利用することにより、伊藤忠商事 IT 部門が推進・支援を行っている 100 を超える伊藤忠グループ DX 関連プ
ロジェクトを容易に一元管理することができるようになりました。また各プロジェクトから得られるナレッジ(知識、知
見)を蓄積、共有することで伊藤忠商事が進める「三方よしの DX」の加速が期待されます。
LTS 上野亮祐(左)
、伊藤忠商事 山地雄介氏(右)LTS 本社赤坂オフィスにて
■概要
DX プロジェクト管理アプリは、伊藤忠商事の IT・デジタル戦略部 DX プロジェクト推進室と LTS による共同開発です。
開発にあたってのポイントは大きく以下の 2 点です。
1)DX 推進に必要なナレッジ集約・ベンダーマネジメントなど、既製のシステムにはない全社横断的 CoE 機能(Center
of Excellence、人材やノウハウを集約して組織化すること)を持つプロジェクト管理システムが必要でした。そこで、
Microsoft 社が提供するローコード業務アプリ開発ツール PowerApps を使用し、アジャイルの手法で設計からリリー
スまで約2か月という高速開発を行いました。
2)伊藤忠商事と LTS が企画・要件定義・UX デザインし、LTS 関連企業である FPTコンサルティングジャパン株式会
社(ベトナムの ICT リーディングカンパニーであるFPTにおいて、海外に特化した IT 事業会社の日本法人FPTジ
ャパンホールディングス株式会社の子会社)のベトナム拠点でオフショア設計・開発を行いました。
■開発の背景
伊藤忠商事 IT・デジタル戦略部 DX プロジェクト推進室は、グループの DX 推進のため、RPA や OCR、生成 AI など常
時 100 を超えるプロジェクトを支援、進捗を管理し、成果物は 1,000 を超えています。DX プロジェクト推進室の管理職
は 1 人で数十のプロジェクト状況を常時把握する必要があり、タスクやスケジュール確認、課題対応、成果物管理、リソ
ース管理をどのように行うかが課題となっていました。本アプリにより、進行しているプロジェクトが可視化され、一元
的な管理が可能となります。また、プロジェクトに参画した社員や外部のコンサル・エンジニアなどの人材情報、プロジ
ェクトから得られたナレッジを蓄積し、以後のプロジェクトに活かせるようになります。
DX プロジェクト管理アプリ画面サンプル
■伊藤忠商事株式会社 IT・デジタル戦略部 DX プロジェクト推進室について
伊藤忠商事 IT・デジタル戦略部 DX プロジェクト推進室は、CDO・CIO 管下に置かれた、グループ全体の DX 推進を行
う部署です。単純な業務効率化ツールの導入にとどまらず、ビジネス課題・経営課題を解きほぐした上で「ツールが何に
使えるかというツール視点ではなく、業務の課題に対して施策を決定するまでのコンサルテーションから施策実施の支援
までを一貫して実施」し、三方よしの DX に取り組んでいます。
LTS は 2017 年度から、伊藤忠商事 IT・デジタル戦略部 DX プロジェクト推進室が推進する、RPA(Robotic Process
Automation、自動化ソフトウェアロボット技術)や OCR(Optical Character Recognition/Reader、光学的文字認識)、
Chatbot 導入など、伊藤忠商事の DX 施策および社内コンサルチームの内製化を支援しております。また、2021 年度から
は、業務改善に関するコンサルティングサービスを提供しています。
【インタビュー】DX 担当者必見!伊藤忠のアプローチ~社内 DX マネジメント成功の秘訣~
「三方よしの DX」推進のために開発した DX プロジェクト管理アプリについて、伊藤忠商事 IT・デジタル戦略部 DX プ
ロジェクト推進室の山地雄介様(以降敬称略)と、エル・ティー・エス取締役 Digital 事業本部長の上野亮祐が、開発背景
や DX 推進のツボを語りました。
LTS 上野(左)、伊藤忠商事 山地氏(右)=LTS 本社赤坂オフィスにて
――DX プロジェクト推進室のミッションを教えてください。
山地:伊藤忠グループ内の業務課題に対して、 ツールありきではなく、
IT 業務プロセスの可視化や根本的な原因を特定し、
ソリューションの検討・導入を行うことです。そのようなプロジェクトを常時 100 から 120 件程度進めています。現在、
取り組んでいるプロジェクトは RPA 関連が約 30 件、生成 AI 関連が約 10 件、OCR が 5 件、PowerApps の開発が 20 件
ほどで、その他は業務課題整理のコンサルティング案件です。
上野:伊藤忠さんはお客様が多岐にわたり、ビジネスがきめ細やかです。扱う品目も繊維から機械、資源まで幅広く、業
務の多くはシステム化が進んでいますが、それでも現場には細かい非効率な業務は残っています。山地さんのチームは「痒
いところに手が届く」というアプローチで、大規模投資で解決しきれない課題に対して小規模・スピーディに対応してい
る印象です。
●激増し続ける DX プロジェクト
――アプリ開発のきっかけを教えてください。
山地:社内の DX プロジェクトが急増し、全体の把握が困難になってきました。エクセルの管理表では限界があります。
マイルストーン(中間目標)やタスクを可視化し、管理者が進捗状況や課題を常に把握して、マネジメントできる仕組み
が必要でした。
また、各プロジェクトでは成果物が作られますが、1 プロジェクトあたりの成果物が 10 だとすると、100 プロジェクトで
は 1,000 にのぼります。この膨大な成果物の管理と活用にも課題がありました。
上野:山地さんのチームには立ち上げ時の 2017 年、RPA 導入プロジェクトから伴走しています。当初ゼロだった社内の
DX・コンサルプロジェクトは増え続け、高度化し複雑化してきました。山地さんと「DX プロジェクト推進室自体の業務
効率化が必要だ」と感じていた中で、また、PowerApps がそのための武器の一つとして使えるようになってきました。
――アプリの特徴、期待する効果を教えてください。
山地:100 を超える DX プロジェクト、1,000 を超える成果物を一元的に容易にマネジメントできます。これまでのプロジ
ェクトを類型化し、推進必要な工程やタスク、マイルストーンをテンプレート化しているため、途中からプロジェクトに
参加する人や初めてマネジメントする人でも、すぐに活躍できます。また、成果物のレビューも可視化されました。そし
て、ナレッジを蓄積できることが最大のポイントです。
●個人プレーを打破する
山地:
「個人プレーの打破」は経営層も認識している課題です。伊藤忠商事の社員は、人事ローテーションで 2~3 年ごと
に異動しますが、引継ぎは文書があるだけというケースがほとんどです。伊藤忠商事に限らず、ナレッジの課題はほぼ全
ての会社にあるのではないでしょうか。このアプリは、ナレッジ蓄積とプロジェクトマネジメント機能を合わせており「こ
のベンダーさんはこれが得意」といった情報も蓄積できます。
上野:プロジェクトの成功やつまずきの要因、チーム編成のノウハウなど、DX 施策のナレッジが蓄積されることで、未来
の DX プロジェクト推進に効果を発揮すると思います。また、成果物の品質向上も期待できますね。
●開発手法が変わった
――PowerApps の利点を教えてください。
山地:業務アプリの活用には見た目と使いやすさが重要ですが、PowerApps は UI、UX を含め柔軟に開発できます。アジ
ャイル開発ですので、最低限の機能からリリースして検証し改善できることもメリットです。
上野:日本で仕様を策定し、FPT社がベトナムでオフショア開発するスキームがうまく機能しました。DX プロジェク
ト推進室がユーザーとして直接テストに参加したことも、開発スピードを上げられた要因です。
●「システムありき」の DX から本質的な業務変革へ
――社内 DX を進める上で必要なことは何でしょうか。
山地:ユーザーから「このツールを入れたい」と言われることがありますが、重要なことは将来性を含めて業務全体を見
てボトルネックとなる課題を特定した上で、解決策を追求することです。
上野:強く意識しているのは、業務の全体像を見る俯瞰的な目です。相談の入り口は、例えば 「RPA で効率化したい」だ
としても、課題を紐解くと「そもそも業務プロセスやシステムの構造自体を変えないと解決できない」ケースも多い。場
合によっては組織的な役割分担、業務フロー自体の改善が必要になります。
山地:システムありきではだめですね。また、
「最初から大きくやらない」ことも大事です。スモールスタート、ニーズの
あるとこから花を咲かせて、それを広めることが大切ではないでしょうか。
●ゴールは LTS がいなくなること…
――伊藤忠商事から見た LTS の印象はいかがでしょうか。
山地:他のコンサルティング会社との違いは、言い方を選ばないなら「泥臭く」やってくれる点です。一緒に悩んで一緒
に解決策を出そうとする、そんな姿勢が印象的です。
上野:ありがとうございます。究極のゴールは、伊藤忠さんから LTS がいなくなることだと考えています。もちろん、提
供できるものをいつまでも持ち続けたいですが。伊藤忠さんは「内製」という言葉を「外部も含め自分たちがコントロー
ルできる」の意味で使っていますよね。自分たちがオーナーシップを持ったうえで、外部に任せるべきものは任せるとい
う判断は大事なポイントと感じます。
山地:LTS さんが伊藤忠商事からいなくなるというのは、社員全員が DX 人材となり、課題を自分で解決できる状態にな
った時でしょう。理想的ですが、それができている会社は多分、世の中にない。理想は理想として、これからも一緒に成
長し続けたいと思います。
【株式会社エル・ティー・エスについて】
東京証券取引所 プライム市場(証券コード:6560) URL:https://lt-s.jp/
株式会社エル・ティー・エスは、デジタル時代のベストパートナーを目指し、お客様の変革実行能力を高めるためのコン
サルティングを主軸としたプロフェッショナルサービスと、IT 業界の企業や人材をつなぎ新しいビジネス機会を創出す
るプラットフォーム事業を運営しています。
【FPTコンサルティングジャパン株式会社について】
URL:https://fptsoftware.jp/about-us/fpt-consulting-japan
FPTコンサルティングジャパン株式会社は、2019 年に株式会社エル・ティー・エスとの合弁会社として設立されまし
た。両社の強みを組み合わせ、多くのお客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に貢献しています。
【本プレスリリースに関するお問い合わせ先】
株式会社エル・ティー・エス 広報担当 E-Mail:info@lt-s.jp
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