2023年12月期第4四半期主な質疑応答

2024 年 3 月 15 日
各 位


会 社 名 株式会社エル・ティー・エス
代 表 者 名 代 表 取 締 役 社 ⻑ 樺島 弘明
(コード番号:6560 東証プライム)
問い合わせ先 取 締 役 副 社 ⻑ 李 成一
Mail. ir_info@lt-s.jp



2023 年 12 月期第 4 四半期 主な質疑応答


日頃より、当社へのご関心をいただきありがとうございます。
2023 年 12 月期通期決算公表後、投資家の皆様より頂戴した主なご質問とその回答について取りまと
めましたので、下記の通り、開示いたします。
なお、本開示は、情報発信の強化とフェアディスクロージャーの観点から開示を行うものであり、回
答内容については、時点のずれによって多少の齟齬が生じる可能性がございますが、直近の回答内容を
最新の当社方針として、回答を記載しております。


1.2023 年 12 月期実績について


【質問①】
決算説明資料 P33 の③エンジニア単価の引き上げ遅れについて「コンサルチームが組成する E2E の
開発案件をエンジニアがデリバリすることで、顧客価値と収益性を同時に引き上げていく基本シナリオ
に遅延が発生」とあるが、遅延原因と併せて対応策も確認したい。


【回答①】
主たる遅延原因は、稼働を見込んでいた比較的規模の大きいプロジェクトについて、案件を受注でき
なかったためです。受注に至らなかった背景は、顧客のシステム化方針の転換や、顧客事情によるプロ
ジェクト実施時期の変更などであり、オポチュニティが消失したり、顧客との関係性が悪化したりして
いるわけではないので、引き続き提案機会を探してまいります。
エンジニアの単価を引き上げていく上では、LTS のコンサルティングチームが組成する比較的高単価
で大規模な「E2E の開発案件」の受注・デリバリを増やしていくことがポイントになります。2023 年
度までは、コンサルティング部門とエンジニアリング部門が、それぞれ別個に営業とデリバリを行って
いました。「E2E の開発案件」の受注・デリバリを加速していく上で、案件情報の共有や提案品質に課
題が出てきたため、2024 年度より、DX 推進サービスを統合的に担う組織を新設し、現在ではコンサル
ティングもエンジニアリングも同じチームとして一体運営しております。その結果、ビジネスとデジタ
ルを一体でとらえたソリューションを、タイムリーに顧客に提案できるようになってきています。


個別案件の受注/失注については、顧客事情や競合との兼ね合いも大きな要素になりますが、少なく
とも LTS 内部では、コンサルティングとエンジニアリングの一体運営を行う中で、効率的・効果的な
提案を行っていくことで成約率を上げ、結果としてエンジニア単価の向上による収益性の引き上げを進
めていく所存です。


【質問②】
第 3 四半期時の説明では、稼働率が上がっていない理由に新入社員の大量受け入れと HCS の統合を
挙げていたが、第 4 四半期の状況を確認したい。10 月に HCS が正式に買収されているので、混乱はま
だ続いていた、という理解でよいのか。


【回答②】
第 3 四半期に比べると第 4 四半期の稼働率は改善してきております。とはいうものの、新人の戦力化
や PMI は一朝一夕に完了するものではございませんので、こうしたイベントがなかった時と比べれ
ば、稼働率はまだ改善の余地がある状態にあります。
2023 年 12 月期下期には稼働率低下という影響をもたらしましたが、大量に入社した新人の受け入れ
と戦力化については、半年から 1 年ほどのタイムラグを伴った収益貢献と中期的な成⻑ドライバになっ
ていくことが見込まれます。また、HCS の PMI についても、HCS の業績向上という側面からの収益貢
献とグループ全体の組織力強化が見込まれます。


【質問③】
プラットフォーム事業の進捗が遅れているとのことだが、今後に向けてどのような対策を講じている
のか。


【回答③】
前年比では売上高・営業利益ともに一定の成⻑を遂げてはいるものの、たしかに計画時に想定してい
た⽔準には達しておりません。改めて成⻑スピードを上げていくために、現状では大きく 3 つの方向性
で対策を講じています。
まず組織としての営業力強化に向けて、営業プロセスの整理、営業情報の共有、若手営業職のサポー
ト体制強化など、営業マネジメントプロセスを改善しています。
次いで営業職個人の受注力向上に向けて、1on1 を通じた目標設定と振り返りサイクルの徹底、蓄積
してきた営業ナレッジを活用した OJT、営業やコミュニケーションに関する研修など、スキルアップに
直結する取り組みを増加させています。
また収益源の多角化に向けて、「プロフェッショナル・ハブ」サービスにおいては「アドバイザリ
ー」サービスを追加投入しました。さらに、従来のサービスラインナップに加えて SaaS を活用した顧
客支援サービスを開始しています。豊富な個人・法人会員を抱えるプラットフォームを活用し、収益機
会の複線化をすすめています。


2.2024 年 12 月期見通しについて

【質問①】
HCS を除くと LTS 本体(プロフェッショナルサービス事業)の売上高の伸びが 10%程度になること
の理由を確認したい。


【回答①】
ご指摘のとおり、従来の成⻑速度と比べると売上高成⻑率は低くなっており、2024 年 12 月期の計画
では保守的な想定をしています。
これまでは、コンサルティング・IT 市場の中で一定の認知を獲得するために、また総合的にコンサル
ティングサービスを提供していくために、売上高や人員数などの規模的成⻑を示す KPI を重視した経営
をしてまいりました。この方針の元、採用拡大による体制強化とサービス開発によるサービスメニュー
の拡充を推進してまいりました。
昨年実施した HCS の M&A によって「社員 1,000 名体制」が実現し、ここ数年の取り組みの成果と
して戦略領域やデータアナリティクス領域でのケイパビリティも引き上がりました。その結果、規模に
関しては一定の⽔準まで成⻑してきていると判断し、現在は生産性や収益性により力点を置いた経営に
シフトしてきております。
こうした経営方針の軌道修正を受け、受注金額だけでなく粗利の⽔準、案件数だけでなく案件の種類
にこだわっていく方針です。LTS 単体での提案・デリバリ(外部の協力会社との協働)よりも、LTS グ
ループ全体での提案・デリバリ(子会社エンジニアリング部隊との協働)を優先し、その結果として収
益性向上を図る、という考え方をとっております。


【質問②】
2024 年の目標としてきた営業利益 20 億について、延期すること自体はやむを得ないとしても、延期
するのであればいつ達成する予定なのか?


【回答②】
目標値の修正につきまして、ご期待に沿えず申し訳ございません。
2024 年度に営業利益 20 億円を達成するという目標に向けて努力してまいりましたが、今後の持続的
な成⻑を考えた時に、達成時期を修正する判断をさせていただきました。
DX 需要を基調とした追い風の市場トレンド自体には大きな変化はないものの、大量の新入社員受け
入れ・HCS の M&A・管理体制の変更などの大きな内部環境変化があったこと、目標達成の前提条件が
ネガティブに振れたこと(大型案件の受注遅延等)を織り込みながら、ぎりぎりまで営業利益 20 億円
の達成を模索してまいりましたが、中期経営計画最終年度を前に、改めて保守的な見通しに修正させて
いただきました。
営業利益 20 億円という目標については、達成時期を先送りこそすれ取り下げているわけではござい
せん。次期中期経営計画を検討中の現時点では、○年と明示はできないのですが、2025 年以降できる
だけ早い時期に達成するための、戦略・計画を検討いたしております。



3.採用について


【質問①】
直近の採用動向について確認したい。


【回答①】
まず外部環境についてですが、⻑期トレンド(少子化・人財不足)に変化はなく、足元も引き続き厳
しい状況にはありますが、2〜3 年前の超過熱状態からは若干落ち着いてきていると見ております。
次いで内部環境についてですが、新卒採用については大きく変わっていません。年度の採用人数につ
いて多少アップダウンはあると思いますが、組織成⻑の基軸として、優秀な若手人財の確保と中⻑期的
なブランド向上に向けた取り組みを続けてまいります。
キャリア採用について、コンサルティングファーム出身者を中心に PM クラスの採用を強化していく
方針は変わりませんが、ここ数年の採用強化の取り組みをさらに進めています。2023 年より、各事業
部に専任の採用担当を配すなど、より専門性を打ち出す採用体制づくりを進めており、その成果が徐々
に出始めています。例えば、業界経験豊富なシニア人材の応募が増えており、入社後には自分の所属す
る専門チームを牽引していくケースも増えております。
採用に注力する方針は変わらないものの、採用人数を拡大し続けるという成⻑戦略はどこかで曲がり
角を迎えることとなるので、採用した人財の定着と育成を強化していくことに、人財マネジメントの力
点をシフトしていく時期にも差し掛かっていると考えています。


【質問②】
HCS の M&A でエンジニアが相当数増えたが、エンジニア採用に影響はあるのか?


【回答②】
人財が最大の資産・資本であるので、エンジニア採用は引き続き積極的に進めてまいります。
とはいうものの、HCS が加わったことによりエンジニアは 319 名増え、計画よりも大幅に前倒しで
増員が達成できているので、人数ありきではない厳選採用を行ってまいります。
エンジニアの体制については、採用人数よりも、単価の引き上げと生産性向上、専門性強化とキャリ
ア開発、の方がより重要になってきていると認識しています。


4.HCS について


【質問①】
HCS の収益改善に関する取り組みを確認したい。


【回答①】
HCS の収益性向上というテーマについて、主に 3 つの取り組みを進めております。



まず、構造改革や事業再編によってコスト構造の見直しを行っています。LTS 本体が主力とするコン
サルティングサービスとシナジーがそれほど強くないデジタルマーティング領域については、LTS の関
与を引き下げ独自運営にシフト(※1)しました。また、システム開発領域については、類似サービスを
生業とする 3 社を統合(※2)し、重複するコーポレート機能を集約し、スリム化する取り組みを進めてい
ます。
(※1)2024 年 1 月 15 日開示の「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」参照

(※2)2024 年 2 月 22 日開示の「グループ内組織再編(連結子会社間の吸収分割及び吸収合併)に関するお知らせ」参照

次いで、経営管理・事業管理の強度を引き上げることで、収益機会の拡大を行っています。見込案件
とエンジニアの稼働状況に係る情報を正確かつタイムリーに把握し、極力空きのないアサインを実施す
るようにマネジメントを改善しており、2023 年前半に比べて、稼働率および結果としての利益率が高
まってきています。
そして、LTS グループとのシナジーにより、稼ぐ力の引き上げを図っています。「エンジニア単価の
向上」というグループテーマと重複しますが、案件の組成に関わるフェーズを LTS が担当し、その後
の開発案件を HCS 含めグループ各社で担当していくという垂直統合モデルを通じて、顧客へのサービ
スレベル向上、ならびに LTS グループの収益力強化(エンジニア単価の向上)や社員のキャリア開発
を推進していきます。


【質問②】
今期の HCS による PL 貢献の見通しについて確認したい。


【回答②】
まず、HCS の M&A に伴って発生したのれんは 9 億 3,700 万円、のれんの償却期間は 12 年となって
います。
連結を開始した 2023 年 12 月期第 4 四半期については、大きな利益貢献はありませんでしたが、
2024 年 12 月期については、上述の収益性向上施策の効果により、第 1 四半期から本格的な利益貢献を
開始する見込みです。通期では、のれん償却費込みで、1 億円を超える貢献を見込んでおり、2023 年 3
月期から続いていた営業利益の下落基調は底を打ち、再び増益基調に戻しております。


5.その他


【質問①】
次期中期経営計画は、いつ発表するのか?


【回答①】
2024 年度が現中期経営計画の最終年度に当たりますので、2024 年 2 月時点で次期中期経営計画を公
表する予定はございませんでした。
また、今後の中期経営計画開示については中期経営計画の取り扱い自体を検討中です。安定成⻑が見
込める時代でもなく、事業環境が年々変化する中で、数年前に策定した中期の目標数字に縛られた経営

をしてしまうと、事業の成⻑機会も、ひいては企業価値向上機会も毀損してしまうリスクが高いのでは
ないかという懸念もございます。絶対額以外の表現方法も合わせて使うなどの工夫をしながら、将来の
展望や計画について、投資家の皆様と共有してまいりたいと思います。
中期経営計画に関する今後の取り扱いにつきましては、方針が定まりましたら、改めて市場全体にご
報告させていただきます。
なお、次期中期経営計画については、現在社内で検討中です。現時点でお知らせできる内容は固まっ
ておりませんが、達成時期を調整することとなった営業利益 20 億円という目標につきましては、早期
達成を目指してまいります。


【質問②】
上場維持基準達成に向けて、市場とどのように対話していくつもりか?


【回答②】
上場基準維持という守りのためだけでなく、今後の事業成⻑を財務的に支えていくという攻めの意味
でも、IR を強化したく、そのため今期より IR の専門部署を立ち上げました。
2023 年 12 月期の決算説明や定時株主総会以降に、IR に関する現状分析・戦略策定・活動計画作成・
実行を本格化させる予定のため、現状ではまだアクションは具体化されておりません。
そのような状況なので方向性のみをお伝えさせていただきますと、時価総額を上げていくための、最
初の重要成功要因は「出来高」にあると考えております。現在は 115 億円程度(3/14 時点)の時価総
額で出来高も少ない状態のため、多くの機関投資家に買っていただく手前のフェーズにあると認識して
います。まずは個人投資家のみなさまに売買していただいて一定の出来高を確保し、その後に機関投資
家のみなさまに本格参入していただく、という流れを想定しています。
そこで、個人投資家向け IR を強化すべく、主幹事の大和証券をはじめ、副幹事の SBI 証券の担当者
との MTG を始めております。現時点では、5 月以降にいくつかの個人投資家向け説明会、複数の企画
動画配信、ラジオ投資番組出演、知名度向上のための PR 強化などの諸施策のみ決まっております。今
後は、その他にも決算説明会の開催や、アナリストへのコンタクトなども検討してまいります。
また、東京証券取引所が要請している「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」につ
いては、非常に重要な取り組みであると認識しております。これまでは体制の脆弱性もあって十分な取
り組みができてこなかった点もありますが、資本コスト・資本収益性・市場評価に関する指標の分析や
対応方針・取り組みの開示については、人的資本投資などの非財務価値の分析などと合わせて、2024
年度をかけて検討を進めます。どのような形と時期でのリリースになるかは現時点で未定ですが、株主
や投資家のみなさまに弊社をよりよく理解していただくための情報提供を積極的に進めてまいりますの
で、しばらくお待ちくださいませ。





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