次世代光海底中継器の実用化に向けて4コアファイバ用光アイソレータを開発

News Release

2023 年 11 月 13 日


各 位
湖北工業株式会社
滋賀県長浜市高月町高月 1623 番地



次世代光海底中継器の実用化に向けて 4 コアファイバ用光アイソレータを開発


湖北工業株式会社(本社:滋賀県長浜市、代表取締役社長 石井 太)は株式会社 KDDI 総合研究所(埼玉県ふ
じみ野市、代表取締役所長 中村 元)と共同で、次世代の光海底中継器(1)の実用化に向けて 4 コアファイバ用光アイソレ
ータ(2)を開発しました。
近年、光海底ケーブルシステムの更なる大容量化を目指して、光ファイバ内に複数のコア(3)が形成されたマルチコアファイバを
用いた空間分割多重技術(4)の開発が進んでおります。これまでに本技術を利用した様々な光ファイバ増幅器(5)が開発され
てきましたが、マルチコアファイバ用光アイソレータの小型化とコア間クロストーク(6)抑制の両立が課題となっておりました。また、波
長や温度など海底ケーブルシステムの実用的な使用環境における安定動作の報告例もほとんどありませんでした。
今回、KDDI 総合研究所がシミュレーションにより明らかにした次世代光海底中継器用として求められる性能に応じ、湖北工
業株式会社は 4 コアファイバ用光アイソレータの開発を行いました。開発した 4 コアファイバ用光アイソレータは、従来のシングルコ
アファイバ用光アイソレータと同等サイズのφ5.5×29mm の小型化を実現しつつ、コア間クロストークを-50dB 以下に抑制する
ことに成功しました。また、-5~+70℃の温度、1525~1570nm の波長における光学特性も従来の光アイソレータと同等レベ
ルを達成しました。これらの成果は、現在開発が進んでいるマルチコアファイバ用光増幅器の省スペース化や大容量化につながり、
次世代光海底中継器の早期実用化に貢献することが期待されます。
両社は、光通信分野に関する世界最大級の国際会議 ECOC2023(2022 年 10 月 1 日~5 日開催)において、今回
の研究成果を発表しました(7)。


<今回開発した 4 コアファイバ用光アイソレータの外観写真>





<今後の展望>
湖北工業株式会社は長年にわたり、光海底ケーブル用の高信頼性を有する各種光部品の製造、販売を行ってきました。現
在、光海底ケーブルの飛躍的な伝送容量拡大と消費電力の低減が期待されるマルチコアファイバを用いた次世代の空間分割
多重技術に対応するため、ファンインファンアウト(8)やマルチコアファイバ用光アイソレータなどの新たな光部品の開発を進めてお
り、2024 年のサンプル出荷を計画しております。


<用語説明>
(1)光海底中継器
長距離光海底ケーブルで数 10km ごとに設置される装置で、信号光を増幅する光ファイバ増幅器が組み込まれていま
す。
(2)光アイソレータ
光を一方向のみ通す光部品。光海底中継器などに組み込まれ、戻り光による光増幅の不安定化を抑制します。
(3)コア
光ファイバの中で信号光が伝搬する経路。コアが 1 個の従来のシングルコアファイバに対して、複数個のマルチコアファイバ
を用いることで信号光を空間的に高密度化できるため、伝送容量の拡大が期待されています。
(4)空間分割多重技術
光海底ケーブルなどに収容する光ファイバの芯線を増やし、光通信の伝送容量を増やす技術。近年、マルチコアファイバを
用いた空間分割多重技術の開発が進んでいます。
(5)光ファイバ増幅器
希土類添加光ファイバに信号光を通して光のまま信号を増幅する装置で、光アイソレータや WDM カプラなどの光部品が
組み込まれています。
(6)コア間クロストーク
コア間の信号光の漏れの程度を表す量で、クロストークが大きいと隣接するコアとの干渉が生じて信号品質が劣化し、伝
送容量の低下につながります。
(7)ECOC2023
欧州光通信国際会議(49th European Conference on Optical Communications)。今回の発表題目
は、”Low-crosstalk Compact Optical Isolator for 4-core Fiber”, p13, ECOC2023.です。
(8)ファンインファンアウト
マルチコアファイバの各コアとシングルコアファイバのコアを接続する光部品。


<湖北工業株式会社の概要>
湖北工業株式会社は、1959 年にアルミ電解コンデンサのリード端子製造メーカーとして創業、その後 2000 年に光部品・デ
バイス事業に進出しました。現在では売上のうちリード端子事業が 53%、光部品・デバイス事業が 47%の構成となっています。
光部品・デバイス事業において、光海底ケーブル向け光アイソレータ市場で市場シェア 50%を有し、この分野におけるリーディング
カンパニーとなっています。また第三の成長事業としてスラリーキャスト法を用いた高純度石英ガラス事業の事業化を進めています。




<この件に関するお問い合わせ先>
湖北工業株式会社 広報・IR 室
TEL:(0749)85-3211、E-Mail:ir@kohokukogyo.co.jp


以 上



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