スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ

2023 年 2 月 2 日
各 位
会 社 名 日本ピラー工業株式会社
代表者名 代表取締役社長 岩波 嘉信
(コード番号 6490 東証プライム)
問合せ先 取締役専務執行役員 宿南 克彦
(TEL.06-7166-8281)



スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ

当社は、投資家とのコミュニケーションを円滑にし、当社に対するご理解を深めていただくためスポンサー
ドリサーチレポートを発行いたしましたので、お知らせいたします。


当リサーチレポートは、株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに作成を依頼しております
が、当社株への推奨は一切なく、当社のビジネスモデル、業界動向、業績推移、長期的な事業戦略といったす
でに公表されている内容を投資家の皆様にわかりやすく説明するためのものです。
詳細につきましては、次ページ以降をご参照ください。


以上
企業レポート

プライム市場・機械 担当アナリスト
2023 年 1 月 10 日

黒田真路

日本ピラー工業(6490) 星野英彦 CMA

キャピタルグッズ・リサーチ&アド
バイザリー


岩波社長インタビュー:時価総額 1,000 億円を目指す方針
 日本ピラー工業(以下、同社)は、半導体・液晶の洗浄工程で使用される世界シェア 90%を誇る継手を主力とした電子機
器関連事業と各種装置産業のプラントに組み込まれるポンプやバルブなど向けのメカニカルシールやグランドパッキン、ガスケットなど
を手掛ける産業機器関連事業が主力事業である。

 電子機器関連事業のセグメント利益は過去 5 年間で約 3 倍に成長、22/3 期のセグメント利益率は約 32%に達し、日本を
代表する東京エレクトロンや SMC 並みの高い収益性を誇る。産業機器関連事業においては、環境対応製品の受注増に加え、
原子力発電所の再稼働に伴う需要増期待や「脱炭素」をテーマとした長期的な成長ポテンシャルを有している。高い市場シェア
を誇る半導体関連の高成長・高収益・ニッチ銘柄でありながら、岩波社長を旗振り役とした ESG 経営の深耕は注目に値しよう。

 株価および業績の先行指標である DRAM 価格および半導体市場は、2022 年 3 月をピークに低下傾向にある。既に、メモリー
各社は 24/3 期設備投資の大幅な削減計画を発表しているうえ、半導体製造装置メーカー各社は、米国の対中規制などを背
景に、23/3 期業績予想の下方修正を発表している。株式市場では、24/3 期減益ガイダンスを織り込みつつ、2023 年 1-6
月にも先行指標が底入れするとの見方がコンセンサスになっている。一方、2030 年のグローバル半導体市場は、EV、IoT、ポス
ト 5G などを背景としたデータ通信量の増大に伴って、2020 年対比倍増の 1 兆ドルに達するとの市場見通しに変更はない。こ
のため、関連各社ともに短期的な下振れリスクを懸念しつつも、長期的な戦略投資を積極化させている。

 同社は 2023 年 5 月に次期 3 ヵ年中計を発表予定であるうえ、最終顧客が似ている荏原が 2023 年 2 月 14 日に発表する
新中計に注目が集まる。統合報告書 2022 においては、時価総額 1,000 億円を目指すと明記された。同社は 2024 年に創
業 100 周年を迎える。株主還元の強化も期待され、低位に留まっている株価バリュエーションの修正も進むと CGRA は考える。



日本ピラー工業の連結業績および各種株価データ:億円、円、%
トレーディング・データ 業績推移 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3会予
株価(23年1月6日) 2,766 円 売上高 295 310 292 302 407 440
52週レンジ 2,258~3,850 円 営業利益 52 51 37 48 114 118
時価総額 693 億円 経常利益 52 52 37 51 118 118
発行済株式総数 25,042 千株 親会社当期利益 34 37 26 34 83 83
平均売買代金(20日) 2.4 億円 EPS 140.0 152.1 108.6 144.7 350.5 351.1
会社予想PER 7.9 倍 ROE 8.9 9.1 6.2 7.8 16.8 -
PBR(22/3末) 1.2 倍 1株配当金 36.0 45.0 40.0 50.0 106.0 108.0
予想1株配当金 108.0 円 配当性向 25.7 29.6 36.8 34.6 30.3 30.8
予想配当利回り 3.9 % FCF 5 11 11 20 104 -
ROIC(22/3) 15.9 % NetCash 115 118 115 117 209 -


本レポートは投資の勧誘・推奨・助言を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を目的として、当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本
レポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。
目 次
日本ピラー工業で注目される 3 つのポイント:p3~4

会社概要および製品紹介:p5

前回レポートからの変化点:p6

岩波社長インタビュー:p7~9

現中期経営計画と 23/3 期業績見通し:p10

23/3 上期決算と増減分析:p11

四半期ベースの業績および受注動向:p12

電子機器関連事業:p13~14

産業機器関連事業:p15~16

ESG 経営の深耕:p17

ESG 経営の他社比較:p18

リスクと事業機会:p19

株価バリュエーション:p20

株主還元:p21

連結貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書、損益計算書:p22~23



図表 1:同社株価は 2022 年 11 月以降、アウトパフォーム基調を示す
2022年年初以降の指数化株価推移
120.0
日本ピラー工業株価指数 TOPIX指数 機械株指数
110.0


100.0


90.0


80.0


70.0


60.0


50.0


22 Jan Feb Mar Apr May June July Aug Sep Oct Nov Dec

出所:CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 2
日本ピラー工業で注目される 3 つのポイント
ポイント①:2023 年は半導体市場の底打ちを探る局面が到来へ
半導体関連業界の先行指標として注目される DRAM の価格は、2022 年 3 月をピークに低下傾 半導体の長期成長
ストーリーは不変であ
向にある。その後、米大手メモリー企業が 6 月発表の四半期決算で先行きの業績悪化を懸念、半
るが、2023 年は調
導体関連全般に慎重な見方が広がってきた。加えて、米国の対中国輸出規制強化(=中国の 整局面が到来しよう
14 ナノ以下の先端半導体メーカーへ製造装置の輸出を禁止)を受け、2022 年 11 月の決算発
表時に国内外の半導体製造装置メーカーが業績予想の下方修正を行った。このため、同社を含む
関連各社の株価は下落基調を強めてきたと考えられる。

同社株価との連動性が高い半導体市場を見ると、市場金額は 2022 年 3 月でピークアウトし、前
年比伸び率は 7 月以降、マイナスに転じている。既に、関連各社における 24/3 期業績の減益ガイ
ダンスが株式市場のコンセンサスとなっており、株価は相当の悪材料を織り込み済みと考えられる。
半導体市場の長期的な成長ストーリーは不変であるうえ、半導体市場の本格的な底入れは 23 年
1-6 月辺りとみられ、2023 年は半導体市場の底打ちと回復を探る局面が到来しそうだ。

ポイント②:2023 年 5 月には新中期経営計画が発表される予定
2022 年 11 月 10 日、同社発表の 23/3 上期決算は、売上高が前年比 18%増の 227 億円、 荏原が 23 年 2 月に
発表予定の次期 3 ヵ
営業利益は同 29%増の 68 億円と 2 桁増収増益を確保した。メモリー向けの需要減が懸念され
年中計 が目先 の注
るものの、ロジックやファンドリー向けの堅調な需要環境が継続しているうえ、新規顧客の開拓、製品 目イベント
値上げ効果の顕在化、などが背景にある。通期予想売上高 440 億円に対する進捗率は 52%、
同営業利益 118 億円に対する進捗率は 58%であり、業績予想の上振れも期待できそうだ。今
後の注目イベントとしては、最終顧客が同社と似ていて、業績先行指標の 1 つである CMP 大手の
荏原が 23 年 2 月 14 日に発表予定の新中期経営計画に加え、2023 年 5 月に同社が発表を
予定している次期 3 ヵ年中期経営計画に注目したい。

ポイント③:創業 100 周年に向けて株主還元の強化に期待したい
同社は、18/3 期から 23/3 期まで 6 期連続で自社株取得を含めた株主還元を拡大させており、 今後も継続的な株
過去を振り返ると 16/3 期、20/3 期、21/3 期、23/3 期において自社株取得を実施している。ま 主還元 の強化 が可
能とみる
た、12/3 期の 1 株配当金は 16 円であったが、利益成長を背景に、過去 10 年間の配当金は約
7 倍に増加、22/3 期の 1 株配当金は 106 円に達した。コロナ危機を迎えた 20/3 期は当期純
利益が前年比 29%減益に転じたが、1 株 40 円配当と自社株取得で総還元性向は 49.5%へ
上昇した。2020 年 4 月にスタートした現在進行中の 3 ヵ年中期経営計画「BTvision22」
(21/3-23/3)では、配当性向 30%以上の株主還元目標が初めて提示された。23/3 期予想
1 株配当金は 108 円(配当性向 30.8%、配当利回り 3.9%)であるが、自社株取得(10
億円、50 万株)を含めた総還元利回りは 5.4%(総還元性向 42.8%)と試算される。

同社は 2023 年 5 月に新中計の発表を予定しているうえ、2024 年 5 月で創業 100 周年を迎
える。更なる株主還元の強化に加え、記念配なども期待できよう。




日本ピラー工業(6490) 3
図表 2:同社株価は半導体市場の減速を織り込み調整している
(%) 日本ピラー工業株と半導体市場の前年比伸び率 (円)
同社株価は半導体市
80.0 4,000
場の底打ちを織り込む
半導体市場の前年比伸び率 局面が到来へ
3,500
60.0
日本ピラー工業株(右軸)
3,000
40.0
2,500

20.0 2,000

1,500
0.0
1,000
-20.0


-40.0 0





























図表 3:同社業績の先行指標でもある荏原の新中計に注目したい
(百万円) 荏原のCMP事業が同社業績先行指標の1つ (億円)
目先は荏原が発表予
60,000 1,600
定の次期 3 ヵ年中期
日本ピラー工業の連結売上高(左軸) 1,400
経営計画に注目が集
50,000 まる
荏原の決算期調整済みCMP売上高
1,200
40,000
1,000

30,000 800


20,000

10,000



17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3E

図表 4:継続的な株主還元の強化が見込まれる
(円) 1株配当金と自己株取得、配当性向と総還元性向 (%) 自己株取得を含む継
180.0 80.0
続的な株主還元に期
160.0 1株当り自己株取得額 1株配当金
70.0
待したい

140.0 配当性向(右軸) 総還元性向(右軸) 57.5
60.0
120.0
49.5 50.0
100.0 41.8 42.8
36.8 34.6 40.0
80.0 28.8 25.9 29.6 30.3 30.8
24.9 29.3 24.9 25.7 30.0
60.0 21.4 29.6
24.9 25.9 25.7 30.3
17.7 24.9 20.0
40.0
17.7
20.0 10.0

0.0 0.0
12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3E

出所:会社資料などから CGRA 作成


日本ピラー工業(6490) 4
会社概要および製品紹介
ESG 経営の深化を進める高収益・高成長企業
高い市場シェアを誇る半導体製造装置関連のニッチ銘柄
電子機器関連事業(売上構成比 75%、営業利益構成比 86%)と産業機器関連事業(同 半導体関連向けの高
25%、同 14%)が同社の 2 大セグメントである。電子機器関連事業は、ふっ素樹脂を加工した 品質ニッチ製品が高成
長・高収益の鍵を握る
ピラフロン製品群で構成され、半導体・液晶の製造工程における洗浄装置や薬液供給設備に組み
込まれる継手やチューブおよびポンプを主力とする。ピラフロン製品のうち、継手は半導体製造装置
向けで世界シェア 90%を誇る同社業績の牽引役である。産業機器関連事業は、各種装置産業
のプラントで使用されるポンプやバルブなどに組み込まれるメカニカルシールやグランドパッキン・ガスケッ
トなどを手掛ける

電子機器関連事業の売上高は過去 5 年間でほぼ倍増(セグメント利益は約3倍)し、22/3 期
のセグメント利益率は過去最高の約 32%に達した。同社は高成長かつ高収益性を誇る半導体関
連のニッチ銘柄と言えよう。

「脱炭素」が産業機器関連事業の次なる成長テーマ
近年の産業機器関連事業は、半導体製造装置の 1 つである CMP(ケミカルメカニカルポリッシング 世界的な脱炭素に関
マシン)向けロータリージョイントが急成長、同事業売上高の約 2 割程度を占めるまでに成長してい する設備投資が長期
的な成長テーマの1つ
る。22/3 期における産業機器関連事業のセグメント利益率は前期比 8.4pt 改善の 15.7%に達
しているが、ロータリージョイントが利益率の向上に貢献している。

一方、既存の主力製品であるメカニカルシールやガスケットは、目先は原発の再稼働向け需要増が
期待されるうえ、「脱炭素」をテーマとした火力発電所などにおけるエナジートランジション(燃料を石
炭からアンモニア、水素へ変更)を背景に、水素向け極低温・高圧対応シールなどの新たな需要創
造が期待できそうだ。長期的な成長テーマであり、2025 年辺りから需要の顕在化が見込まれる。

ESG 経営の深耕に注力、時価総額 1,000 億円を目指す
同社は 21 年 4 月に岩波社長を委員長とする ESG/SDGs 推進委員会を設置、2022 年はマテ ESG 経営の深化で、
リアリティを特定するとともに、TCFD へ賛同を表明、ESG 経営の深耕を図っている。2023 年 5 月 長期的なサステナビリ
ティを向上
には新 3 ヵ年中期経営計画の発表が予定されているうえ、2024 年には創業 100 周年を迎える。
経済価値と社会価値の創造と向上を通じて、時価総額 1,000 億円を目指す方針である。


図表 5:各セグメントの特徴と主要製品および顧客業種
 22/3期実績 電子機器関連 産業機器関連
 売上高:億円 304 102
 セグメント利益:億円 97 16
 セグメント利益率:% 31.9 15.7

過去5年平均売上成長率:% 14.5 -0.8
過去5年平均利益成長率:% 38.3 11.6

 主要製品 継手(フィッティング) メカニカルシール
ベローズポンプ ガスケット、グランドパッキン
チューブ、ユニトン支承など

 顧客業種 半導体・液晶メーカー 石油精製プラント、LNGプラント
半導体・液晶製造装置 化学プラント、各種発電所など

出所:CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 5
前回レポートからの変化点
悪材料の出尽くしが待たれる局面が到来へ
2022 年夏以降、急速に半導体関連市場に減速感が台頭
2022 年 6 月 20 日発行のフォローアップレポートでは、同社顧客である半導体および半導体製造 各社の株価は相当の
悪材料を織り込んだ
装置メーカーともに、好調な事業環境が続く中、米国のスタグフレーションや中国でのロックダウン、ロ
印象である
シア・ウクライナ問題などを背景に、株価が先行して下落、関連各社ともに株価バリュエーションの低
下が見られていた。その後、米国の利上げや中国での再ロックダウン、米国による対中国輸出規制、
欧州地域の景気減速懸念に加え、スマホなどの販売減速、DRAM を中心とした半導体市場の減
速、半導体製造装置各社の業績予想の下方修正など、ファンダメンタルズの悪化が顕在化してきた。

長期成長シナリオは不変、調整局面は 23 年 1-6 月までとの見方が主流
「山高ければ谷深し」の格言通り、2023 年の設備投資は予想以上に減少するリスク含みと考えら 2030 年に半導体市
場は 1 兆円に達すると
れる。株式市場のコンセンサスとしては、既に 2023 年の半導体設備投資は前年比 2 割程度の減
のシナリオは不変
少(メモリー関連が前年比 4 割減、ロジック関連が同 5%減)が各社の株価に織り込まれている
印象である。ただし、データ通信量の増加などを背景に DRAM 価格および半導体市場に関しては、
2023 年 1-6 月辺りにも底打ちし、緩やかに回復に向かう見方がコンセンサスである。次なる半導
体設備投資の回復は 2024 年以降が予想され、次の拡大サイクルでは量的投資のみならず 2 ナ
ノメートル対応投資などの質的向上を伴う先端投資が加わり、半導体設備投資は 2025 年辺りに
も過去最高の更新が期待されよう。なお、グローバルの半導体市場が 2030 年に 1 兆ドルに達する
との長期成長シナリオは不変であり、関連各社ともに長期スタンスの投資および製品開発は強化を
加速させている印象である。



図表 6:前回レポートからの変化点

前回レポート(22年6月20日) 今回
株価:円 2,717 2,766
1株予想配当:円 108 108
配当利回り:% 4.0 3.9
自社株取得の有無 無 有(10億円、50万株)
予想PER:倍 7.7 7.9
PBR:倍 1.2 1.2
TOPIX 1,835.9 1,876

予想売上高:億円 440 440
予想営業利益:億円 118 118

半導体市場前年同月比:% 6.2 -6.8
半導体市場見通し 2022 6,015 5,801
(億ドル) 2023E 6,797 5,565
半導体設備投資見通し 2022 1,900 1,850
(億ドル) 2023E - 1,500
米国政策金利:% 1.75 4.50
USドル:円 135.0 131.5

出所:各種資料から CGRA 作成。半導体市場は WSTS


日本ピラー工業(6490) 6
岩波社長インタビュー
「会社を成長させたい」との強い意志を感じた
投資家層の拡大が期待される時価総額 1,000 億円を目指す考え
2022 年 12 月 16 日、同社岩波嘉信社長にインタビューを行ったので内容を報告したい。

Q:御社は東京エレクトロン(以下、TEL)や SMC などの高収益・高成長企業と似通った収
益性と成長力を有しています。しかし、日本ピラー工業の株価バリュエーションは相対的に低位に
とどまっています。何が理由と思われますか。

株価は企業の実力を示すバロメータでありますが、当社のアピール不足もあり、注目度が低いと思い 東京エレクトロンの予
ます。本質的には、株価の構成要素として、企業の将来性や成長性が大事であって、TEL や SMC 想 PER 16 倍、SMC
の同 17 倍に対し、同
などは成長性が高い技術を有し、かつ技術革新が起こる市場に対して数多くの製品を投入している
社は約 8 倍に留まる
面が評価されているのではないでしょうか。

当社は上記企業と同様、高い収益性を有し、高成長を継続しています。とりわけ当社の継手は、
半導体製造装置向け継手として世界シェア 90%を誇るなど、業績をけん引する代表製品です。た
だし、株式市場では質的な成長要素が少ないと思われているように感じます。TEL や SMC は、成
長市場に対して、種まきから刈り取りまでのプロセスを正しく行い、結果を出しています。当社もいろ
いろな成長の種を植えていますが最終製品ではないため、対外的なアピールが難しく、投資家にとっ
ては見えにくいかもしれません。

Q:なぜ TEL や SMC と同様、電子機器関連事業において 30%越える営業利益率の確保が可
能なのでしょうか。

過去の半導体市場はシリコンサイクルが激しく、大変厳しい市場であったため、製造装置メーカーお 差別化製品の安定供
よびチップメーカー、当社が扱う継手市場においても、さまざまな企業が淘汰されてきました。この厳し 給が高収益 性につな
がる
い市場において生き残ったからこそ、現在の売上ボリュームおよび市場シェアの拡大につながっていま
す。加えて、昨今は半導体市場の規模が大きくなり、切削加工品に対して量産効果が働く射出成
形品の構成比が上昇していることも利益率の改善に寄与しています。また、当社は付加価値が高
い差別化製品を数多く供給していることも、高収益性の実現に寄与しています。

図表 7:同社は関連主要企業と同水準の営業利益率を確保している
(%) 日本を代表する半導体製造装置およびFA企業の営業利益率
60.0
54.4
50.0
39.4
40.0
33.1 31.7 30.0 29.6
30.0

20.0
13.9
11.9
10.0

0.0




出所:各種資料より CGRA 作成。レーザーテックは 1Q 実績、他社は上期実績。HDS はハーモニ
ック・ドライブ・システムズ


日本ピラー工業(6490) 7
Q:レーザーテックは半導体の微細化、歩留まり向上に向けた EUV マスク欠陥検査装置を供給
するメーカーです。半導体の質的向上投資の恩恵を享受することが評価されています。継手製
品も半導体の質的向上投資の恩恵を受けるのでしょうか。

たかが継手と思われるかもしれませんが、半導体の洗浄工程では、高いクリーン度が要求されるほか、 同社も半導体の質的
硫酸、フッ酸などの危険な薬液を使用しますので、液が漏れないシール性能、高い量産品質と豊富 向上投資の恩恵を享
受可能
な実績が求められます。加えて、当社は短いリードタイム、数千種類の製品ラインナップ、差別化され
た製品提供などに対して、お客様から高い評価を得られています。また、昨今は微細化・多層化の
進展に伴い、お客様からパーティクル問題とクリーン化への要望が高まっています。これらの技術進歩
に伴い、工程数および洗浄装置の数も増える傾向にあるため、装置の小型化ニーズが強く、当社の
継手に関しても、省スペースに寄与する製品が期待されるなど、新たなビジネスチャンスが増える傾
向にあります。

Q:現中期経営計画は、5 つの基本方針を掲げつつ、数値目標を 1 年前倒しで達成しました。統
合報告書 2022 において、5 つの基本方針の進捗のご説明がありますが、新事業の創出とグロ
ーバル化の深耕に関して、説明をお願いします。

新技術と新製品の延長線に、新事業があり、継続的成長のためには必要不可欠な要素だと考え 今後も継続的な成長
ています。社長に就任した以降も、技術本部および開発担当者と一緒になって開発事業の推進に に向けて全社一丸とな
って新技術と新製品の
取り組み、成果も出ています。現中計期間中の代表的な成果としては、新型ロータリージョイントや
開発に注力する方針
省スペース化・圧力損失低減を実現する次世代配管システムが挙げられます。これらの製品は、お である
客様から高い評価を頂いておりますし、既に量産納入が始まり、業績貢献も見られています。今後
も、数多くの新技術、新製品の創出に注力する方針です。そのためには、良い人材、良い組織が大
切です。組織作りのためにも、教育体系を変えるなど、変革を推し進めています。次の中計では、多
くの斬新な技術、新製品を出したいと考えていますし、是非とも結果を残したいと思います。

グローバル化に関しては、コロナ禍で海外渡航が難しくなる前に、グローバル拠点の設置を進めたこと
が良かったと思っています。一方、コロナ禍に伴う移動制限により、足下の業務に集中した拠点が多
かった点は反省点です。やはり、Web 会議では顧客開拓や新事業のシーズの発見に限界がありま
す。次期中計ではグローバル拠点を活用した成長戦略を練りたいと思います。中国拠点に関しては、
蘇州の拠点が手狭になったため、約 2 倍の敷地面積を有する滁州に新拠点を開設したことは良か
ったですね。中国市場は、様々なリスクが顕在化していますが、世界第 2 位の GDP の国ですし、潜
在的なポテンシャルは大きいです。長期的な視点で、地場の半導体産業の育成に貢献できればと
思っています。

Q:2023 年 5 月に発表予定の次期中計で、岩波社長がこだわりたい点があれば、教えて頂け
ますか。

当社はメーカーなので、継続的な成長には、新技術と新製品が必要です。次期中計の 3 ヵ年では、 今後も変革を継続す
現在進行中の中計よりも多くの新製品を上市したいですね。また、業務活動の様々なプロセスを量 ることで、次なる 100
年に向けて、更なる成
的にも質的にも改善を加えたいです。ESG 経営の深耕などを通じて、社風も変えたいと考えていま
長を目指す方針
す。全ての社員の考え方、行動を変えることで、ビジネスチャンスが広がると思います。当社は 2024
年に創業 100 年を迎えますが、過去にとらわれず変革を推し進めたいと思います。もちろん次期中
計の 3 ヵ年で全ては変えられませんが、その先の中計、その先の 100 年に向けて、長期的な視点に
立って、会社を変えていきたいです。



日本ピラー工業(6490) 8
Q:堅調な受注環境が続いていますが、四半期ベースの受注面にピークアウト感が見られ始め
ています。どのように考えていますか。

お客様によって見解が大きく異なるので、正直迷っています。悲観的な意見では 2023 年の受注は 24/3 期も増収を確保
前年比フラットか少し落ちる程度との見解が聞かれる一方、楽観的な意見では 3 割程度増えるとの 可能と考える

見方もあります。当社の 24/3 期業績を考えると、受注は横ばいか微増、9 月末の受注残高 231
億円の消化を考えると、増収は確保可能と思います。

2023 年の半導体設備投資は踊り場局面を迎えますが、2024 年は回復に向うでしょうし、微細化
や多層化などの質的投資が加わるために、投資規模が従来以上に大きくなるとの意見が多いです。
当社では、福知山第 2 工場の建設に着手していまして、23 年 9 月に完成し、10 月には量産開
始予定です。次なる需要拡大局面では、成長スピードを加速させたいです。

Q:産業機器関連事業の営業体制の再編を行いましたが、その後の効果、進捗はどのようにな
っていますか。

2021 年 11 月に産業機器関連事業に関わる国内販売子会社の再編を発表、4 月から新しい組
織運営が始まっています。好採算でありますメンテナンス需要の刈り取りを強化することが目的で、従
来の兼任体制から専任体制へ変更、責任および報告体制も明確化しています。新組織発足後 1
年も経過していないため、定量的な評価はできませんが、今後に期待しています。

Q:リスクと事業機会に関して、電子機器関連事業と産業機器関連事業に分けて、コメントを頂
けますか。

電子機器関連事業のリスクとしては、原材料の逼迫と地政学リスクが挙げられます。米国のチップス 目先はリスクが懸念さ
法(対中国輸出規制)の影響で、米国企業をはじめ、国内においても TEL が業績予想を下方 れるが長期的な成長
ポテンシャルは大きそう
修正しています。また、今後の潜在リスクとしては、中国政府によるふっ素樹脂の原料である蛍石の
輸出規制の発動などが考えられます。一方、事業機会としては、長期的な半導体市場の成長と新
製品開発による領域の拡大などが挙げられます。

産業機器関連事業に関しては、電気自動車の普及が進むと、石油・ガスの消費量の減少に伴う
石油精製プラント向け需要の減少が懸念されます。石油・ガスの代替は電気になりますが、その電
力供給が太陽光などの再生可能エネルギーにシフトした場合は、シール製品が使用される箇所が少
なくなり、業績悪化の一因になります。一方、水素とアンモニアへのエナジートランジションや火力・原
子力発電所の再稼働はプラスの業績効果が期待されます。

Q:最後に株主・投資家へメッセージをお願いします。

以前、どこかの投資家に「時価総額が 1,000 億円を超えると株式市場からの注目度が変わる」と 投資家層の拡大が見
言われたことがあります。外国人投資家の多くが投資対象銘柄の最低時価総額を 10 億ドルに設 込まれる時価総額
1,000 億円を目指す
定していることを意味しての発言だと思います。当社は TEL などの優良企業にも引けを取らない高
収益性と高成長性を有していますが、株価バリュエーションは低位に留まっています。この要因として
は、時価総額が小さすぎて、株式市場で認知されていないことが考えられます。幸い当社は多くの成
長機会を有していますし、量的・質的にも成長できる組織強化を進めています。結果を残しつつ、ま
ずは 1 つのマイルストーンとして時価総額 1,000 億円の早期実現を目指したいと思います。




日本ピラー工業(6490) 9
現中期経営計画と 23/3 期業績予想
現中計 BTvision22 は当初計画を大幅に上回って着地へ
現 3 ヵ年中計「BTvision22」は、2020 年度(21/3 期)から 2022 年度(23/3 期)の 3 年 現中計は 2 年目で数
値目標を大幅にクリア
間において、「事業基盤の拡充」、「グローバル化の深耕」、「新事業の創出」、「ESG/SDGs 経営
した
の推進」、「財務戦略」の 5 つの基本方針を掲げ、2022 年度(23/3 期)に連結売上高 325
億円、営業利益 51 億円(営業利益率 15.7%)、ROE 8.0%以上、配当性向 30%以上の
数値目標を目指す内容でスタートした。
しかし、コロナ禍での発表であったため、比較的内容自体が保守的であったうえ、旺盛な半導体設
備投資に支えられ、2 年目の 2021 年度に目標値を大きくクリア、売上高、営業利益、営業利益
率、ROE ともに過去最高を更新した。ただし、設備投資は、三田工場内の技術開発センターに関
する投資内容を見直したため、中期計画を下回る見通しである。なお、産業機器関連事業は、
23/3 期業績が現中計期間中において最高の売上高と営業利益が予想されるものの、コロナ前の
水準には至らず、「脱炭素」のテーマの下、長期的な成長が期待される。

23/3 期は過去最高決算の連続更新が見込まれる
現中計の最終年度となる 23/3 期同社業績予想は、売上高が前期比 8%増の 440 億円、営業 23/3 期も過去最高
決算の連続更新が見
利益は同 4%増の 118 億円(営業利益率 26.8%)、経常利益は前年比微減の 118 億円、
込まれる
当期利益は同微増の 83 億円(EPS 351.09 円)である。既に順調な上期業績が発表されて
いるものの、5 月 12 日に提示された予想値が据え置かれている。
セグメント別に見ると、電子機器関連事業の予想売上高は、前期比 9%増の 332 億円、営業利
益は 3%増の 100 億円(営業利益率 30.1%)、産業機器関連事業の予想売上高は同 6%
増の 108 億円、営業利益は同 13%増の 18 億円(営業利益率 16.7%)である。


図表 8:中期経営計画の進捗と 23/3 期業績予想
BTvision 1 9 BTvision 2 2 現中計 BTvision 2 2 の進捗
2 0 1 9 年度 2 0 2 2 年度 2 0 2 0 年度 2 0 2 1 年度 2 0 2 2 年度
実績 当初計画 実績 実績 見通し
売上高:百万円 29,213 3 2 ,5 0 0 30,200 40,670 4 4 ,0 0 0
営業利益:百万円 3,683 5 ,1 0 0 4,847 11,392 1 1 ,8 0 0
  営業利益率:% 12.6 1 5 .7 16.1 28.0 2 6 .8
ROE:% 6.2 8 .0 以上 7.8 16.8 8 .0 以上
配当性向:% 36.8 3 0 .0 以上 34.6 30.3 3 0 .0 以上
設備投資 3,531 - 972 992 2 ,0 0 0
3ヵ年累計 11,649 3 ヵ年累計 1 0 ,0 0 0 3ヵ年累計 3,964

セグメント別 2 0 1 9 年度 2 0 2 2 年度 2 0 2 0 年度 2 0 2 1 年度 2 0 2 2 年度
電子機器関連事業 実績 当初計画 実績 実績 見通し
売上高:百万円 18,221 2 2 ,1 0 0 20,645 30,410 3 3 ,2 0 0
営業利益:百万円 2,253 4 ,0 0 0 4,130 9,737 1 0 ,0 0 0
  営業利益率:% 12.4 1 8 .1 20.0 32.0 3 0 .1
産業機器関連事業
売上高:百万円 10,915 1 0 ,4 0 0 9,471 10,146 1 0 ,8 0 0
営業利益:百万円 1,404 1 ,1 0 0 691 1,589 1 ,8 0 0
  営業利益率:% 12.9 1 0 .6 7.3 15.7 1 6 .7

出所:同社説明会資料などから CGRA 作成


日本ピラー工業(6490) 10
23/3 上期決算と増減分析
23/3 上期決算は懸念に反して、順調な進捗を確保した
11 月 10 日同社発表の 23/3 上期決算は、売上高が前期比 18%増の 227 億円、営業利益 上期の順調な決算を
受けて、23/3 通期業
が同 29%増の 68 億円(営業利益率 30.0%)、経常利益は同 36%増の 73 億円、当期利
績は上振れも期待で
益は同 44%増の 54 億円となった。半導体製造装置メーカー各社の業績下方修正に加え、同社 きそうだ
におけるふっ素樹脂を中心とした部材供給制約などが懸念されたものの、順調な決算内容であった。
通期予想に対する進捗率は売上高が 52%、営業利益は 58%、経常利益は 62%、当期利益
は 65%であり、通期業績予想の上振れも期待できそうだ。
図表 9 と 10 は過去2期間における上期ベースの売上高と営業利益の増減分析であるが、23/3
上期は産業機器事業の海外向け環境対応グランドパッキンやメンテナンスも増収に寄与したうえ、
営業利益は増収効果に加え、円安効果 5 億円や製品値上げ効果 4 億円が増益に貢献した。

図表 9:23/3 上期は産業機器事業も売上高を牽引
23/3 上期は製品値
上げ効果が顕在化、
下期以降も継続的な
製品値上げ効果が期
待される




図表 10: 23/3 上期営業利益は製品値上げ効果も寄与




出所:会社資料などから CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 11
四半期ベースの業績および受注動向
23/3 期 2Q(7~9 月)決算は過去最高を更新
23/3 期 2Q(7~9 月)決算は、売上高が前年同期比 19%増(1Q 対比 12%増)の 120 同 社 は FA 大 手 の
SMC や半導体製造
億円、営業利益は同 30%増(1Q 対比 29%増)の 38 億円を確保、営業利益率は 32.0%
装置大手の東京エレ
に達し、ともに過去最高を更新した。営業利益率に関しては、キーエンスの 55.0%には及ばないが、 クトロン並の高い収益
空気圧機器世界最大手である SMC の営業利益率 31.2%を上回っている。 性を誇る

9 月末の受注残高は月商 6.3 ヵ月分の 231 億円に達している
セグメント別四半期受注高を見ると、電子機器関連事業の 23/3 期 2Q 受注高は、同 24%増
の 114 億円を確保したものの、1Q 対比で 6%減に転じた。ふっ素樹脂の調達制約を背景とした
意図的な選別受注を行った面もあるが、米国の対中国向け輸出規制などが影響している模様だ。
受注高を売上高で除した BB レシオは 1.3 と高い水準を維持しているうえ、9 月末の受注残高は
199 億円に積み上がっている。産業機器関連事業における 23/3 期 2Q 受注高は、同 22%増
の 31 億円となったが、1Q 対比では 7%減と小幅ながらも 2 四半期連続で前四半期を下回った。
図表 11:23/3 期 2Q 決算は過去最高を更新
(百万円) 四半期ベースのセグメント利益と利益率 (%)
4,500 50.0

4,000 電子機器事業のセグメント利益 45.0
産業機器事業のセグメント利益 40.0
3,500
産業機器事業の利益率(右軸) 35.2
33.4 33.1 35.0
3,000 電子機器事業の利益率(右軸)
31.7 30.9 30.0
29.6
2,500
25.7 25.0
2,000 21.8 22.6
18.8 20.0
18.5
1,500 16.1 12.4 12.7 17.0 17.0
13.4 14.7 15.0
13.1 13.2
1,000 11.4 12.8 12.2
10.0
9.4 10.2
7.5
500 6.1 5.0
4.2
0 0.0
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q


図表 12:四半期受注高にはピークアウト感が台頭
(百万円) 四半期ベースの受注高およびBBレシオ (倍)
受注動向に関しては、
20,000 2.0 p9 の社長インタビュー
産業機器関連事業
18,000 1.8 を参照
電子機器関連事業
16,000 1.6
産業機器関連事業のBBレシオ(右軸) 1.5
1.4
14,000 1.4 1.4
電子機器関連事業のBBレシオ(右軸) 1.2
1.2 1.3
12,000 1.1 1.1 1.2 1.2 1.2
1.0 1.1 1.2
1.1 1.0 1.0
10,000 1.0 1.0
0.9
0.9 0.9
8,000 0.8
6,000 0.6
4,000 0.4
2,000 0.2
0 0.0
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q

出所:会社資料などから CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 12
電子機器関連事業
電子機器関連事業が創出する社会価値と事業戦略
電子機器関連事業は、継手やポンプ、チューブ、免震装置などの、ふっ素樹脂を加工したピラフロン 同社の継手は洗浄装
置と洗浄工程における
製品を手掛けている。主力である半導体洗浄装置用の継手は、世界シェア 90%を誇るデファクトス
デファクトスタンダード
タンダードとなっている。洗浄工程で使用される薬液は強酸や強アルカリなどの高い危険性を有して
いるうえ、コンタミ問題やクリーン度が重要視される。半導体の製造装置や半導体工場の薬液供給
工程に組み込まれる同社の継手やポンプ、チューブなどは半導体生産における安全性の確保と歩
留まりの最大化に寄与する製品と言えよう。

近年の業績拡大のけん引役としては、海外を中心とした新規顧客の獲得と新製品投入による製品
ラインナップの強化を通じた既存客との取引拡大、更にはふっ素樹脂の価格高騰および供給制約を
受ける中での生産効率の改善を通じたアウトプットの最大化策などが奏功している。

23/3 上期業績は材料調達問題が長期化する中、順調な進捗を確保した
電子機器関連事業における 23/3 上期(4~9 月)業績は、売上高が前年同期比 18%増の 株 価 に 織り 込み 済み
ながらも、24/3 期業
169 億円、営業利益は同 24%増の 56 億円、営業利益率は 33.2%を確保、ともに過去最高
績は調整局面を迎え
を更新した。通期予想売上高 332 億円、同営業利益 100 億円に対する進捗率は、51%と そうだ
56%であり、順調と言えよう。

引き続き主要原料であるふっ素樹脂の値上げに加え、調達制約問題が継続している模様である。
原価改善を強化しているものの、材料不足を主因に一部出荷が滞っている様子。受注残も積み上
がっているが、材料不足が解消できれば、更なる業績の積み上げも期待できそうだ。

電子機器関連事業を取り巻く事業環境は悪化傾向にある。同社の意図的な選別受注の影響も
あるが、四半期ベースの受注高にはピークアウト感が台頭してきている。既に株価に織り込み済みと
考えられるが、24/3 期業績は踊り場を迎える懸念も残る。



図表 13:24/3 期業績は踊り場を迎えるリスク含み
(百万円) 電子機器関連事業の業績動向 (%)
35,000 50.0

売上高 45.0
30,000
セグメント利益 40.0
25,000 セグメント利益率(右軸) 35.0
32.0
30.1 30.0
20,000
20.2 25.0
15,000
20.1 18.1 20.0 20.0

10,000 15.0
15.3 12.4
13.3 14.2
6.2 10.0
5,000
5.0

0 0.0
13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3E

出所:会社資料から CGRA 作成


日本ピラー工業(6490) 13
電子機器関連事業を取り巻く外部環境
2023 年の半導体市場および設備投資は 4 年ぶりに減少に転じよう
既に米国および韓国の半導体メモリー各社は、メモリー需要の減少を背景に、2023 年の設備投 2023 年の半導体市
場および半導体設備
資計画の大幅な削減を発表している。WSTS も 2022 年 11 月 29 日発表の秋期半導体市場
投資の減少は既に株
予測の中で、2022 年の市場見通しを 6 月予想の 6,465 億ドルから前年比では 4%増となる 式市場のコンセンサス
5,801 億ドルへ下方修正、2023 年予想に関しては同 4%減の 5,565 億ドル(6 月予想 6,797
億ドル)と 4 年ぶりにマイナスに転じる予測に減額修正した。半導体設備投資に関しても、2023
年は前年比 2 割程度の減少が株式市場のコンセンサスとなっている。一方、半導体製造装置メー
カー各社は、長期的な成長および微細化の進展に向けて、次世代技術に向けた研究開発や戦略
投資を積み増している。メモリー向け設備投資に関しても、データ通信量の増加などを背景に、
2023 年後半から回復に向うとの見方が主流である。

図表 14:WSTS は 2023 年の半導体市場を減少で予想
(百万円) 半導体市場と日本ピラー工業の連結売上高および営業利益の推移 (億ドル)
80,000 12,000

70,000
10,000
半導体市場の見通し(右軸) 売上高 営業利益
60,000
8,000
50,000

40,000 6,000

30,000
4,000
20,000
2,000
10,000





















23/3E
24/3E


31/3E




図 15:2023 年の半導体設備投資は減少に転じそう
(億ドル) グローバルベースの半導体市場と半導体設備投資 (億ドル) 2023 年の半導体設
12,000 3,000 備投資は前年比 2 割
半導体市場(左軸) 半導体設備投資(右軸) 減が市場コンセンサス
10,000 2,500

半導体市場および半導体設備投資は過去20年間で約倍増した。
8,000 今後は2030年に向けて約10年で市場規模は倍増する見通し。 2,000


6,000 1,500


4,000 1,000


2,000 500

























2022E
2023E

2030E




(CY)



出所:WSTS などの各種資料から CGRA 作成。半導体市場、設備投資ともに CY ベース

日本ピラー工業(6490) 14
産業機器関連事業
産業機器関連事業が創出する社会価値と事業戦略
産業機器関連事業は、メカニカルシールやグランドパッキン、ガスケットなど、液体やガス、粉体などの 同事業は各種プラント
の漏れを未然に防ぐ重
漏れを制御する機器を手掛けている。石油・石化プラントや発電設備、浄水設備など様々な装置
要な役割を担う製品を
のポンプやバルブ、攪拌機、コンプレッサーやタービンなどに組み込まれ、高圧・高温・極低温といった 扱う
過酷な環境下で使用される。同社の機器は、腐食性液体の漏れによる環境汚染や可燃性ガスや
毒性ガスの流出による大気汚染防止とプラントの安全稼働を支えているほか、自動スキマ調整機能
や摺動面非接触などの差別化技術も有しており、各種機器の小型化・省エネ化にも貢献している。

近年の業績拡大のけん引役としては、増収基調が続いている CMP 向けロータリージョイントにおける
新規顧客の獲得効果が挙げられる。また、既存製品に関しては、「脱炭素」に向けたエネジートラン
ジションをビジネスチャンスと捉えており、水素やアンモニア関連のプラントや輸送船に加えて、電気自
動車および燃料電池自動車向け水素ステーション向けなどの新製品開発を強化している。なお、原
子力発電所の再稼働も追い風である。

23/3 上期業績は好調を維持した
産業機器関連事業における 23/3 上期(4~9 月)業績は、売上高が前年同期比 18%増の 既存製品の需要も底
堅い動きを見せる
57 億円、営業利益は同 66%増の 12 億円、営業利益率は 20.6%を確保した。通期予想売
上高 108 億円、同営業利益 18 億円に対する進捗率は、それぞれ 53%と 67%であり、電子機
器関連事業以上に順調と言えよう。

売上高の約 2 割を占め、好採算である CMP 向けロータリージョイントが売上高と営業利益を押し
上げたうえ、海外向け環境対応パッキンなどの既存製品に加え、発電所向けメンテナンスなどが伸
長、堅調な事業環境が持続している。




図表 16:セグメント利益率は改善傾向が続いている
(百万円) 産業機器関連事業の業績動向 (%)
14,000 30.0
売上高 セグメント利益 セグメント利益率(右軸)
12,000
25.0

10,000
19.9 20.0
19.6 18.4
8,000 17.1 15.7
15.6 16.7
13.8 15.0
14.8 14.8 12.9
6,000
12.8
10.0
4,000
7.3
5.0
2,000


0 0.0
11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3E

出所:会社資料から CGRA 作成


日本ピラー工業(6490) 15
産業機器関連事業を取り巻く外部環境
既存顧客向け売上高は緩やかに回復傾向を強める
図表 17 は同社単体ベースの業種別売上高から半導体・液晶向けを除いた半期ベースの売上高 既存業種向け需要が
着実に改善傾向を強
推移をみたものである。電子機器関連事業は、ほとんどが半導体・液晶向けであり、CMP 向けロー
め始めている
タリージョイントを除いた産業機器関連事業における既存業種向け売上高の動向が理解できよう。

既存顧客向け売上高は、21/3 下期に底打ちし、緩やかな回復傾向にある。まず、化学・その他向
け売上高に関しては、各種化学プラント向け需要回復に加え、国内外メンテナンス需要も堅調であ
る。石油・鉄鋼・輸送向けに関しては、石油精製プラントの定期修理向け案件に加え、海外向け環
境対応パッキン EDP シリーズが引き続き好調に推移している。

土木建築向けは、公共工事や都心における再開発案件の獲得などが寄与している。電力・エネル
ギー向けは、国内火力発電所の定期修理や海外電力向け補修品案件の獲得などが寄与してい
る。官公需に関しては、インフラ関連のスポット案件やメンテナンス需要が増加している模様である。

原子力発電所の追加 7 基の再稼働に商機
現在、日本国内では 36 基の原発のうち 6 原発 10 基の原子力発電所が再稼働しているが、日
本政府は 2023 年夏以降にも、7 基の追加再稼働を目指す方針である。この方針に基づく電力
各社の計画では、2023 年中に高浜原発の 1 号機と 2 号機、島根原発の 2 号機の計 3 機が再
稼働する見通しである。エネルギー基本計画通りに再稼働が進むならば、2030 年までに 20 基程
度の再稼働が見込まれよう。同社は原子力発電所向けシールでも豊富な実績を有しており、受注
拡大に期待したい。




図表 17:半導体・液晶以外の既存顧客向け売上高が回復傾向を見せる
(百万円) 半導体・液晶向け売上高を除く業種別売上高(単体)
9,000
化学・その他 石油・鉄鋼・輸送
8,000 電力・エネルギー 土木・建築

7,000 官公需 その他

6,000

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000


1H 2H 1H 2H 1H 2H 1H 2H 1H 2H 1H

出所:決算説明会資料から CGRA 作成


日本ピラー工業(6490) 16
ESG 経営の深耕
マテリアリティ(重要課題)が特定・開示された
同 社 は 比較 的 早く ESG 経営に 乗 り 出し 、2021 年 4 月 には 岩 波 社長 を委 員長 と す る 岩波社長を委員長に
ESG 経営を積極化さ
ESG/SDGs 推進委員会を設置、経営への落とし込みと社内への浸透を加速させている。“社会を
せる方針
支える未来”を創る、をパーパスに掲げ、2022 年は新たに 21 のマテリアリティが特定された。ただし、
次期中計が 2023 年 5 月に発表される見通しであり、中計数値目標の達成および社会価値向
上に向けたマテリアリティの解決に向けた KPI の設定と達成に向けた施策の開示が待たれる。なお、
同社が創出する価値と定量的な高い収益性との連動性に関しても少し丁寧な説明が欲しい。

取締役会の実効性向上が着実に進んでいる
取締役の構成メンバーに変更はないが、固定報酬比率は金銭報酬の 50~60%の範囲と比較的 今後は取締役会の実
効性向上と見える化に
低く、短期(売上高、営業利益、ROE)および中長期業績(中計に掲げている 4 指標)に連動
期待したい
する業績連動報酬のウエイトが高く、経営の実効性を高める報酬体系となっている。また、取締役
会の実効性向上のため、従来のアンケート型の取締役による自己評価方式に対して、外部機関の
客観的分析評価を加える事で、取締役会の実効性を向上が図られている。ただし、22/3 期におけ
る取締役会は年 7 回と少ないうえ、議案などの取締役会の実効性が見える開示が求められよう。

SCOPE3 の開示準備に着手
環境(E)に関しては、従前からの TCFD 提言に基づいた SCOPE1 と 2 に関する開示に加え、新 非財務情報の開示の
充実が進んでいる
たに SCOPE3 の開示に向けた取組みを本格化させている。社会(S)に関しては、各種表彰にあ
るように顧客評価が高いうえ、人権を含むグループ調達方針「PILLAR CSR 調達ガイドライン」を改
定・遵守しつつ、調達先への CSR アンケートを実施するなど、取引先との関係強化を進めている。
社員向けに関しては、2022 年 4 月に「健康経営宣言」を策定、社員エンゲージメントの強化を進
めている。今後は従業員満足度調査などの実施と開示に期待したい。地域社会との関係に関して
も、パラリンアートへの支援、高専女子フォーラム in 関西への参加、本社がある大阪市の活性化を
図るため、伝統文化や芸術への支援や協賛を行っている。

図表 18:主な非財務データ




出所:同社 HP

日本ピラー工業(6490) 17
ESG 経営の他社比較
同社は ESG 経営で国内競合他社に先行している
ESG 経営の情報開示ツールである統合報告書に関しては、同社は 2020 年に初めて発行(38 統合報告書の内容か
ら ESG 経営に対する
ページ)、2022 年はページ数が 50 ページとなり、非財務情報の開示も進んでいる。他社は、ニチ
真剣度合いが見て取
アスとイーグル工業が 2022 年に初めての統合報告書を発行、バルカーは CSR 推進委員会をサス れる
テナビリティ委員会へ名称変更を行いつつ、サステナビリティレポートを継続発行している。ただし、社
長がサステナビリティ委員会の委員長である企業は同社とイーグル工業のみである。

環境(E)項目に関しては、バルカーを除く 3 社が 2050 年(同社は 2050 年度)にカーボンニ
ュートラルゼロを宣言している。環境に優しい社内体制の構築のみならず、環境貢献型製品売上高
の開示は同社とニチアスの 2 社である。

社会(S)に関しては、外国籍社員の開示をはじめ、同社の開示が先行している感があるものの、
各社ともに人権のみならず人材に対して積極的なアプローチが見られる。ただし、男女賃金格差の
開示、従業員満足度調査の開示などに関しては、各社ともに課題が残る内容である。

ガバナンス(G)に関しては、同社は統合報告書において、岩波社長と社外取締役の鼎談を掲載
するなど、他社に先行する格好で、ガバナンス強化や取締役会の実効性を積極的にアピールする姿
勢がうかがえる。ただし、各社ともに体制作りはできつつあるが、取締役会の実効性や議案の開示、
サクセッションプランなどの開示において不十分な部分も多い。

図表 19:非財務情報開示の競合他社比較
日本ピラー工業 ニチアス イーグル工業 バルカー
  統合報告書の発行 2020年発行(2022年は50p) 2022年に発行(19p) 2022年に発行(47p) サステナビリティレポート(19p)
  サステナビリティ委員会 〇(社長が委員長) × 〇(社長が委員長) ○(専務執行役員が委員長)
主な開示項目
TCFD提言への賛同 〇 × △ 〇
Scope1+2の開示 〇(12,897トン) 〇 ○(76,500トン) 〇
Scope3の開示 取組開始 算定開始 国内数値を開示 ○
温度別シナリオ 1.5~2℃、3~4℃シナリオ × 2℃と4℃シナリオ ×
環境(E)
リスクと機会 〇 × 〇 ×
リサイクル率 73.3% 開示なし 93.7% 開示なし
環境改善貢献製品売上高の開示 〇 ○ × ×
カーボンニュートラル目標 2050年度に実質ゼロ 2050年にゼロ 2050年にゼロ ×
女性社員比率(単体) 19.8% 19.6% 23.3%(KPIあり) 開示なし
女性管理職比率 2.2%(KPIあり) 開示なし 3.3%(KPIあり) 11.3%(KPIあり)
外国籍従業員比率 0.4% 開示なし 開示なし 開示なし
有給休暇取得率 65.0% 63.9% 82.0% 開示なし
社会(S)
女性育児休業取得率 100% 開示なし 男女別取得者数開示 開示なし
男性育児休業取得率 0.0% 開示なし 9名 開示なし
平均勤続年数 15.6年 14.9年 16.5年 18.3年
障害者採用 2.6% 2.3% 2.9% 2.4%
監督と執行の分離 監査等委員会設置会社 監査役設置会社 監査役設置会社 監査役設置会社
取締役(社外取締役) 取締役9名(うち社外4名) 取締役9名(うち社外3名) 取締役8名(うち社外3名) 取締役7名(うち社外3名)
諮問委員会 指名及び報酬諮問委員会 指名及び報酬諮問委員会 指名及び報酬諮問委員会 -
ガバナンス(G) 女性取締役の人数 1 1 0 2
社外取締役の平均在籍年数:年 2.9 5.9 4.9 4.3
社外取締役の平均兼任企業数:社 3 2 3 4
役員スキルマトリクスと専任理由 ○ 〇 〇 △
- S&P/JPXcarbonEfficient指数 S&P/JPXcarbonEfficient指数 - S&P/JPXcarbonEfficient指数
- ESG/SDGs評価融資(三井住友) - - -
社外評価 - CDP:B- - - -
FTSE Blosson Japan Sector FTSE Blosson Japan Sector
- - -
Relative Index Relative Index


出所:各社資料より CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 18
リスクと事業機会
短期(1~2 年)のリスクと事業機会
短期のリスクとしては、米国政府による中国の大手半導体メーカー4 社に対する 14 ナノメートル以 目先は米国の対中国
輸出規制の動向に注
下の最先端半導体を生産する製造装置の輸出規制が挙げられる。既に米国、オランダ、日本の大
目が集まる
手半導体製造装置メーカーに加え、米半導体大手メーカーに対しても対中輸出を許可制にすると
通達している。このため、製造装置大手各社は、同影響を反映させる格好で、業績予想の下方修
正を発表している。同社としては、中国半導体4社への補修品の売上高は極めて小さく、目先の
直接的な業績影響は限定的である。しかし、同規制が強化され、全ての半導体製造装置メーカー
へ影響が広がる場合、業績影響が顕在化する懸念もあろう。

一方、事業機会としては、台湾有事のリスクも考えた米国内での半導体生産拡大の動きが注目さ
れる。既に、世界最大のファンドリーである台湾の TSMC は、12 月 6 日、米アリゾナ州において 400
億ドルを投じて、2つ目の工場建設を発表している。また、産業機器関連事業においては、原子力
発電所の再稼働、環境対応製品の需要増などが挙げられる。

中長期(3~10 年)のリスクと事業機会
中長期のリスクとしては、需要に対する供給能力不足が考えられるが、同社は既に福知山第 2 工 米 Intel や 韓 国
Samsung なども米国
場の建設に着手しており、問題視する必要はない。ただ、海外競合との競争、ふっ素樹脂の調達リ
内で半導体工場の新
スクは今後も残りそうだ。産業機器関連事業では、化石燃料関連のダイベストメントが懸念される。 設計画を発表している

一方、事業機会としては、EV、IoT、ポスト 5G に向けたデータ通信量の増大を背景とした半導体
市場の成長に加え、半導体の需要地生産および微細化の進展が挙げられる。実際、米半導体大
手マイクロン・テクノロジーは今後 20 年間で 1,000 億ドル(20 年代末までに 400 億ドル)の投資
計画を発表している。同社としては、製品のコンパクト設計やラインナップ強化による市場シェアの拡
大が期待できそうだ。産業機器関連事業においては、脱炭素に向けた水素、アンモニア市場への参
入および原子力発電所の再稼働、LNG 火力発電所の新設需要などが期待できよう。

図表 20:短期および中長期のリスクと事業機会
事業機会 リスク

米国内での半導体設備投資の拡大 米国による対中国規制
半導体の需要地生産投資の拡大 メモリーを中心とした半導体設備投資の減速
電子機器関連事業 製品値上げ 材料調達問題と高騰
短期 新規顧客および取引量の増加
1~2年

新規顧客の増加 CMP向けロータリジョイント需要の調整
産業機器関連事業 原子力発電所の再稼働 景気減速に伴う顧客プラントの稼働率低下
環境規制強化に伴う需要増加


データ通信量の増大を背景とした半導体市場の成長
半導体の需要地生産の拡大 需要対応力
電子機器関連事業 半導体の微細化の進展 海外競合企業の台頭
中長期 製品ラインナップと用途の拡大
3~10年

LNG火力発電所の新設
原子力発電所の再稼働 ロータリジョイントの需要拡大
産業機器関連事業
脱炭素に向けた水素・アンモニア投資の拡大 化石燃料に関するダイベストメント
新製品の市場投入

出所:CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 19
株価バリュエーション
相対的に低位な株価バリュエーションが続いている
PBR=ROE×PER が最もオーソドックスな株価バリュエーションの関係を示した計算式である。ROE 時価総額が小さいこと、
流動性や認知度が低
は当該企業が資本政策を通じて比較的操作が可能なファクターである。一方、PER は株価が 1 株
いことなどが同社株価
予想利益の何倍まで評価されている、あるいは 1 株予想利益の何年先までの成長性(サステナビ バリュエーションを低位
リティ)を織り込んでいるかを示したバリュエーションである。つまり、ROE が高い企業は相対的に にとどめていると考えら
れる
PBR が高く、営業利益率などの収益性が高い企業はサステナビリティも高いとの評価で PER が高く
なる傾向にある。以下、図表 21 は営業利益率と予想 PER、図表 22 は予想 ROE と PBR の関
係を示しているが、同社は他社に比べて相対的に低位なバリュエーションが付与されていると言えよう。

図表 21:高い収益性に反して、予想 PER は低位に留まる
営業利益率と予想PERの関係
25.0
安川電機

20.0
SMC
東京エレクトロン
予想PER(倍)




15.0


荏原
10.0
日本ピラー工業
SCREENホールディングス
5.0


0.0
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0
23/3上期営業利益率(%)

図表 22:予想 ROE に比べて PBR は相対的に低位に留まる
予想ROEとPBRの関係
6.0

東京エレクトロン
5.0


4.0 安川電機
PBR(倍)




3.0
SMC

2.0 SCREENホールディングス
荏原
1.0
日本ピラー工業

0.0
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0
予想ROE(%)

出所:会社資料などから CGRA 作成。荏原は 12 月期決算、安川電機は 2 月決算


日本ピラー工業(6490) 20
株主還元
23/3 期は保有キャッシュを加味、積極的な株主還元を実施
同社は目標配当性向 30%以上および ROE 8%以上を掲げており、業績に応じて配当額を決め 今後は設備投資が増
加する中、継続的な
ているうえ、目標とする配当性向および ROE を達成する見通しであっても、手元のキャッシュ(9 月
株主還元の強化に期
末の B/S 上の現金及び預金は 226 億円、総資産の 32%)を考慮し、自社株取得を実施して 待したい
いる。

実際、23/3 期予想 1 株当り年間配当金は前期比 2 円増配の 108 円(予想配当性向
30.8%)、予想 ROE14.7%であるものの、2022 年 11 月 10 日に自社株取得(10 億円、
50 万株)を発表した。23/3 期における配当総額と自社株取得を合算した総還元性向は
42.8%の見通しである。

今後も継続的な株主還元の強化が期待可能と考える
今後のキャッシュアロケーションに関しては、既に同社は技術開発センターおよび福知山第2工場の
大型投資を発表しているが、成長投資とのバランスを図りながら、自社株取得を含む株主還元の強
化が期待されよう。詳細に関しては、次期中計の発表を待ちたい。

過去を振り返ると、17/3-20/3 期においても高水準の設備投資(4 年合計 158 億円)を実施
した。同期間中の同社業績は概ね横ばいであったものの、1 株配当金は 34 円から 40 円に増加、
配当性向も 25.9%から 36.8%へ上昇、20/3 期には自社株取得も実施された。今後も株主還
元の継続的な強化が期待できそうだ。

図表 23:22/3 期末を基準とした株主総利回り(TSR)のパフォーマンス
1年前 2年前 3年前 5年前 7年前 10年前
日本ピラー工業 +70.9 +157.2 +156.5 +123.7 +241.6 +383.4
TOPIX +2.0 +45.0 +31.2 +44.3 +47.6 +183.3
機械指数 -3.8 +53.9 +36.7 +40.8 +49.3 +183.7
出所:CGRA 作成。株主総利回りは累計配当を加味した株価リターン

図表 24:成長投資とのバランスを加味しつつ、株主還元策の強化に期待したい
(百万円) 営業利益と設備投資および1株配当金
14,000 120.0
営業利益 106.0 108.0
12,000 設備投資 100.0
1株配当金(右軸、円)
10,000
配当性向(右軸、%) 80.0
8,000
60.0
6,000 50.0
45.0
34.0 40.0 34.6 40.0
4,000 28.8 36.0 30.3
24.9 29.6 36.8 30.8
28.0 25.9 25.7
2,000 20.0 20.0


0 0.0
15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3E
出所:会社資料などから CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 21
各種財務データ
図表 25:連結貸借対照表とキャッシュ・フロー計算書
(百万円、%) 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3

流動資産 22,334 21,867 24,805 26,124 25,279 29,832 28,821 28,375 27,025 27,994 38,050
現金・預金 9,259 10,763 13,093 13,929 12,451 14,060 13,153 12,912 12,196 11,918 21,165
受取手形・売掛金 10,428 8,481 9,401 9,602 10,159 12,143 12,785 12,026 11,551 12,701 13,009
有価証券 0 94 0 0 0 112 0 0 0 0 0
棚卸資産 2,173 2,128 1,790 2,162 2,174 2,235 2,612 3,063 2,956 3,024 2,626
その他流動資産 474 401 521 431 495 1,282 271 374 322 351 1,250

固定資産 14,256 13,863 14,180 15,342 16,884 19,514 22,717 24,597 26,165 26,955 26,941
有形固定資産 11,770 11,304 11,254 11,510 13,901 15,493 18,107 20,266 21,971 20,669 20,272
無形固定資産 56 78 75 75 94 107 105 173 251 246 222
投資その他資産 2,430 2,481 2,851 3,757 2,889 3,914 4,505 4,158 3,942 6,038 6,446
資産合計 36,590 35,731 38,986 41,466 42,164 49,347 51,933 52,972 53,190 54,949 64,991

流動負債 6,790 5,024 6,052 6,213 6,267 9,193 8,960 8,608 8,313 7,133 10,113
支払手形・買掛金 3,116 2,534 2,929 3,239 3,185 3,948 3,137 2,985 2,869 3,006 3,728
短期借入金・1年以内償還長期借入金 868 776 575 516 352 737 727 639 689 254 250
その他流動負債 2,806 1,714 2,548 2,458 2,730 4,508 5,096 4,984 4,755 3,873 6,135

固定負債 2,665 2,077 2,348 2,154 1,991 3,413 3,137 2,194 1,866 2,038 2,219
長期借入金 1,119 543 656 339 187 1,410 882 443 4 0 0
その他固定負債 1,546 1,534 1,692 1,815 1,804 2,003 2,255 1,751 1,862 2,038 2,219

負債合計 9,455 7,101 8,400 8,367 8,259 12,607 12,098 10,802 10,180 9,172 12,333
株主資本合計 26,870 28,063 29,518 31,162 32,745 35,166 37,657 40,587 41,791 43,502 49,739

その他包括利益 264 566 1,067 1,937 1,159 1,573 2,176 1,581 1,218 2,273 2,919
純資産 27,135 28,629 30,585 33,099 33,905 36,740 39,834 42,169 43,010 45,776 52,658

負債・純資産合計 36,590 35,731 38,986 41,466 42,164 49,347 51,933 52,972 53,190 54,949 64,991


(百万円、%) 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3

営業活動によるキャッシュ・フロー 3,671 2,930 3,429 2,957 3,074 3,220 3,752 5,035 4,064 5,676 11,950
税金等調整前当期純利益 3,833 2,522 3,031 3,124 3,595 4,609 5,014 5,456 3,653 4,837 11,822

減価償却費 1,170 967 924 954 940 1,022 1,397 1,718 1,822 2,056 1,991

売上債権の増減額 11 1,970 -877 -94 -564 -1,989 -635 1,072 455 -1,155 -117
棚卸資産の増減額 -74 69 375 -337 -22 -71 -374 -346 101 -81 -538

仕入債務の増減額 84 -602 354 275 -48 759 -844 -496 -98 147 344
法人税等の支払額 -1,483 -1,704 -532 -1,365 -968 -1,359 -1,739 -1,923 -1,505 -719 -1,775

その他 130 -292 154 400 141 249 933 -446 -364 591 223


投資活動によるキャッシュ・フロー -624 -494 -927 -1,378 -3,230 -2,363 -3,244 -3,902 -2,950 -3,705 -1,551

有価証券の取得・売却 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

投資有価証券の取得 -5 -5 -115 0 -14 -596 -74 -132 -134 -168 -376
投資有価証券の売却 0 0 0 35 353 56 0 0 0 0 0

有形固定資産の取得 -412 -480 -839 -1,298 -3,549 -1,822 -3,207 -4,107 -2,760 -3,163 -1,365

有形固定資産の売却 0 0 0 -125 0 0 0 614 18 0 0

その他 -207 -7 28 10 -20 0 37 -277 -74 -374 190


フリー・キャッシュ・フロー 3,047 2,436 2,502 1,579 -156 857 508 1,133 1,114 1,971 10,399


財務活動によるキャッシュ・フロー -1,168 -1,088 -505 -839 -1,145 813 -1,455 -1,493 -1,862 -2,238 -1,711

長期債務の調達・返済 -655 -668 -88 -375 -316 1,609 -537 -527 -439 -439 96

短期債務の調達・返済 0 0 0 0 0 0 0 0 50 0 0

配当金の支払 -493 -396 -395 -444 -495 -781 -904 -952 -1,093 -958 -1,771

新株発行・自社株取得 0 0 0 0 -319 0 0 0 -337 -800 0

その他 -20 -24 -22 -20 -15 -15 -14 -14 -43 -41 -36

現金及び現金同等物期末残高 7,869 9,409 11,631 12,561 11,132 12,729 11,813 11,582 10,798 10,517 19,809




日本ピラー工業(6490) 22
図表 26:連結損益計算書
( 百万円、%) 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3E
売上高 18,831 20,720 21,675 22,960 27,225 29,461 30,963 29,213 30,200 40,670 44,000
増収率 -14.7 10.0 4.6 5.9 18.6 8.2 5.1 -5.7 3.4 34.7 8.2
売上原価 12,692 13,955 14,457 15,287 17,125 18,788 20,214 19,921 19,641 23,156 -
原価率 67.4 67.4 66.7 66.6 62.9 63.8 65.3 68.2 65.0 56.9 -
販売費及び一般管理費 3,745 3,856 3,991 4,204 4,933 5,511 5,622 5,608 5,711 6,121 -
販管費率 19.9 18.6 18.4 18.3 18.1 18.7 18.2 19.2 18.9 15.1 -
営業利益 2,393 2,908 3,226 3,469 5,166 5,161 5,126 3,683 4,847 11,392 11,800
増益率 -37.1 21.5 10.9 7.5 48.9 -0.1 -0.7 -28.2 31.6 135.0 3.6
営業利益率 12.7 14.0 14.9 15.1 19.0 17.5 16.6 12.6 16.0 28.0 26.8
営業外収支 129 122 221 25 90 -5 102 41 247 428 -
営業外収益 169 152 237 116 111 111 126 120 287 442 -
営業外費用 40 30 16 91 21 116 24 79 40 14 -
経常利益 2,522 3,031 3,447 3,493 5,255 5,156 5,227 3,725 5,094 11,821 11,800
増益率 -34.0 20.2 13.7 1.3 50.4 -1.9 1.4 -28.7 36.8 132.1 -0.2
経常利益率 13.4 14.6 15.9 15.2 19.3 17.5 16.9 12.8 16.9 29.1 26.8
特別損益 0 0 -323 102 -646 -142 229 -72 -257 1 -
特別利益 0 0 14 207 30 0 602 27 58 3 -
特別損失 0 0 337 105 676 142 373 99 315 2 -
税前利益 2,522 3,031 3,124 3,595 4,609 5,014 5,456 3,653 4,837 11,822 -
法人税、住民税及び事業税 932 1,176 1,137 1,198 1,405 1,592 1,737 1,017 1,391 3,536 -
税率 37.0 38.8 36.4 33.3 30.5 31.8 31.8 27.8 28.8 29.9 -
親会社株主に帰属する当期純利益 1,589 1,854 1,986 2,397 3,204 3,422 3,719 2,635 3,445 8,285 8,300
増益率 -28.8 16.7 7.1 20.7 33.7 6.8 8.7 -29.1 30.7 140.5 0.2
当期利益率 8.4 8.9 9.2 10.4 11.8 11.6 12.0 9.0 11.4 20.4 18.9
連結EPS 64.23 54.58 80.29 97.23 131.06 139.98 152.13 108.57 144.66 350.47 351.09

セグメント売上高
産業機器関連 9,970 9,683 9,797 10,352 10,680 10,467 10,757 10,915 9,471 10,146 10,800
電子機器関連 8,802 10,983 11,803 12,525 16,452 18,911 20,123 18,221 20,645 30,410 33,200
その他 58 53 74 83 91 83 82 77 84 114 0
連結売上高 18,831 20,720 21,675 22,960 27,225 29,461 30,963 29,213 30,200 40,670 44,000

セグメント利益
産業機器関連 1,833 1,434 1,528 1,527 1,828 1,337 1,485 1,403 691 1,589 1,800
電子機器関連 542 1,456 1,677 1,919 3,314 3,818 3,641 2,253 4,130 9,737 10,000
その他 15 14 14 12 13 29 15 27 26 66 0
調整額 2 3 5 10 9 -23 -16 0 0 0 0
連結営業利益 2,393 2,908 3,226 3,469 5,166 5,161 5,126 3,683 4,847 11,392 11,800

セグメント利益率
産業機器関連 18.4 14.8 15.6 14.8 17.1 12.8 13.8 12.9 7.3 15.7 16.7
電子機器関連 6.2 13.3 14.2 15.3 20.1 20.2 18.1 12.4 20.0 32.0 30.1
その他 25.9 26.4 18.9 14.5 14.3 34.9 18.3 35.1 31.0 57.9 na
連結営業利益率 12.7 14.0 14.9 15.1 19.0 17.5 16.6 12.6 16.0 28.0 26.8

地域別売上高
日本 16,707 17,565 17,647 19,156 22,416 23,124 23,904 21,427 21,975 28,254 -
アジア 1,458 2,095 2,862 2,565 3,172 4,528 4,345 5,316 5,721 7,411 -
その他 664 1,059 1,165 1,238 1,637 1,809 2,713 2,470 2,504 5,005 -
合計 18,831 20,720 21,675 22,960 27,225 29,461 30,963 29,213 30,200 40,670 -
海外売上高 2,122 3,154 4,027 3,803 4,809 6,337 7,058 7,786 8,225 12,416 -

前年比伸び率
日本 -12.5 5.1 0.5 8.6 17.0 3.2 3.4 -10.4 2.6 28.6 -
アジア -34.2 43.7 36.6 -10.4 23.7 42.7 -4.0 22.3 7.6 29.5 -
その他 -15.1 59.5 10.0 6.3 32.2 10.5 50.0 -9.0 1.4 99.9 -
合計 -14.7 10.0 4.6 5.9 18.6 8.2 5.1 -5.7 3.4 34.7 -
海外売上高 -29.2 48.6 27.7 -5.6 26.5 31.8 11.4 10.3 5.6 51.0 -
国内売上高比率 88.7 84.8 81.4 83.4 82.3 78.5 77.2 73.3 72.8 69.5 -
海外売上高比率 11.3 15.2 18.6 16.6 17.7 21.5 22.8 26.7 27.2 30.5 -



出所:会社資料などから CGRA 作成




日本ピラー工業(6490) 23
<担当アナリスト>

黒田真路 パートナー、執行役員・シニアアナリスト

1992 年 4 月に勧角総合研究所(現みずほ証券)に入社、産業調査部に配属。1999 年 9 月
にジャーディン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、ゴールドマン・サックス証券を経て、2020 年
1 月迄、クレディ・スイス証券に在籍。ゴールドマン・サックス証券ではバイスプレジデント、クレディ・スイ
ス証券ではディレクター。一貫して機械・造船重機セクターを担当。2020 年 6 月にパートナーとして
CGRA に参画。(一社)日本証券アナリスト協会の機械業界ディスクロージャー部会の委員を歴


星野英彦 CMA 代表取締役・チーフアドバイザー

1987 年 4 月に新日本証券(現みずほ証券)入社、企業調査部に配属。1997 年にジャーディ
ン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、2000 年にドイツ証券、2006 年に UBS 証券で 2016
年 4 月まで在籍。セルサイドアナリストとして機械、造船、重機、プラントセクターを 28 年間にわたっ
て担当。(一社)日本証券アナリスト協会で機械ディスクロージャー部会の副部会長を 10 年以上に
渡って歴任。2003 年より 2016 年迄、マネージングディレクター。2017 年 6 月に株式会社キャピ
タルグッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)を設立、代表取締役に就任。(一社)日本証券ア
ナリスト協会認定アナリスト




株式会社 キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリー

機械セクターに特化したアドバイザリー企業。主な業務内容は(1)資本市場のニーズを満たしつつ、
経営にフィードバック可能な統合報告書の作成サポート(実績 10 社)、(2)中計作成や事業
戦略および資本政策、各種 IR&SR に関する助言業務(アクティビスト対策含む)、(3)各種
IR 資料作成と英訳業務、(4)長期投資家と経営層に役立つ企業分析スポンサード・リサーチレ
ポート(実績 4 社)の作成、(5)M&A のセカンドオピニオンなど。




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して当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著
作権は(株)キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本レ
ポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断
に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。




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