「2019年度JR東日本管内のBRTにおけるバス自動運転の技術実証」の実施について

2019 年 11 月 8 日
東 日 本 旅客 鉄 道株 式 会 社
先 進 モビリティ株 式 会 社
愛 知 製 鋼 株 式 会 社
SB ドライブ株 式 会 社
京 セ ラ 株 式 会 社
京セラコミュニケーションシステム株式会社
株 式 会 社 ジェイテクト
ソフトバンク株 式 会 社
日 本 信 号 株 式 会 社
日 本 電 気 株 式 会 社

「2019 年度 JR 東日本管内の BRT におけるバス自動運転の技術実証」の
実施について

○東日本旅客鉄道株式会社(代表取締役社長:深澤 祐二、以下「JR 東日本」)が主催するモ
「JR 東日本管内の BRT*におけるバス自動運転の技術
ビリティ変革コンソーシアムにおいて、
実証」を実施します。
○JR 東日本管内の気仙沼線 BRT において、BRT 専用道を用いて、車線維持制御実験、速度制御実
験、トンネル内走行実験、障害物検知実験、交互通行実験、車内モニタリング実験など、昨年
度の技術実証と比較して、より実運用に近い形での技術実証を行います。


1 実験の目的
本年度の技術実証は、JR 東日本管内の BRT 専用道で大型自動運転バス(日野ブルーリボンシテ
ィ)を使用し、実用化を目指す上での自動運転に関する各種技術の検証を行うことを目的とします。




自動運転実験用車両

※ 本実証実験では、自動運転区間においてもドライバーが乗車し、緊急時においてはドライバーが運
転を行います。
※ 実際の BRT 営業車両と同型の車両となります。
2 実験の概要
JR 東日本、先進モビリティ株式会社(代表取締役社長:青木 啓二)
、愛知製鋼株式会社(代
表取締役社長:藤岡 高広)、SB ドライブ株式会社(代表取締役社長 兼 CEO:佐治 友基)、京
セラ株式会社(代表取締役社長:谷本 秀夫) 京セラコミュニケーションシステム株式会社
、 (代
表取締役社長:黒瀬 善仁)、株式会社ジェイテクト(取締役社長:安形 哲夫)、ソフトバンク
株式会社(代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮内 謙)
、日本信号株式会社(代表取締役社長:
塚本 英彦)および日本電気株式会社(代表取締役 執行役員社長 兼 CEO:新野 隆)は JR 東日
本が主催するモビリティ変革コンソーシアムにおいて、
「JR 東日本管内の BRT におけるバス自
動運転の技術実証」を実施します。


(1)車線維持制御実験および速度制御実験
・BRT 専用道上に設置した機器(磁気マーカ)の情報を高感度磁気センサ(MI センサ)で読み取り、
自車位置を高精度に特定することで、GNSS*電波の届かないトンネルを含む専用道上を円滑に
走行する実験を行います。
・車両のアクセルとブレーキを自動制御し、柳津駅~陸前横山駅の BRT 専用道上を最高 60km/h
での走行を目指すとともに、決められた位置でスムーズに停止する実験を行います。




実証実験走行区間における目指す速度イメージ


(2)遠隔監視システムによる車内監視およびお客さまの動向検知の実験
・車内にカメラを設置して、走行中のお客さまの席移動などを人工知能(AI)で検知し、遠隔で走行
を監視するオペレーターに自動で通知する実証実験を行います。
・お客さまの転倒などの事故を防止し、自動運転バスに安全に乗車いただくための車内モニタリン
グ機能の有用性を検証します。




遠隔監視システムのイメージ
(3)無線を用いた信号制御による各種制御実証
・車両の位置情報を無線通信で取得し、自動運転バスと対向車両の一方に優先権を信号情報
として通知し、車両 1 台分の幅の BRT 専用道を交互に通行することを実証します。
・自動運転バスの無線通信は、 「LTE*」
「700MHz 帯 ITS 無線」 「Wi-Fi」を併用し、信頼性を高
めます。
・「Wi-Fi」ではマルチホップ伝送*を活用して、トンネル内を含む電波の届きにくい道路沿いにお
ける自動運転制御の実証を行います。




交互通行実験のイメージ
(4)その他
上記のほか、QZSS(みちびき) *などを活用した自動運転バスの測位実験や、専用道に設置した
機器による障害物検知実験なども行います。

※実証技術の詳細は【別紙】をご参照下さい。


3 実験場所・実証実験期間
実験場所:気仙沼線 BRT 柳津駅~陸前横山駅間(宮城県登米市) 4.8km
実証実験予定期間:2019 年 11 月 25 日(月)~2020 年 2 月 14 日(金)
※自動運転での走行試験は上記区間でのみ行い、それ以外の専用道および一般道はドライバー
が運転します。
4 その他
・今回は技術実証を目的としており、一般の方を対象とした試乗会は開催いたしません。
・2019 年 11 月 25 日(月)~2020 年 2 月 24 日(月)の間、気仙沼線 BRT は柳津駅~陸前戸倉駅
間の専用道を走行せず、一般道へ迂回運行いたします。
※柳津駅および陸前横山駅のバス停が変わりますのでご注意ください。
※陸前横山駅のバス停設置は下りのみとなります。柳津方面をご利用の場合は、下りバス停の
道路反対側でお待ちください。


柳津駅 迂回バス停位置図 陸前横山駅 迂回バス停位置図




※BRT 専用道へは絶対に立ち入らないようお願いいたします。
【別表】 実証実験の各社役割分担表


企業名 役割分担

【実証実験全体責任者】
・BRT 専用道実験環境整備
東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR 東日本」)

【自動制御責任者:共同実験リーダー】 ・自動運転車両制御システム全般
先進モビリティ株式会社(以下「先進モビリティ」) ・車両側における障害物検知

【磁気マーカシステム責任者】 ・磁気マーカの敷設
愛知製鋼株式会社(以下「愛知製鋼」) ・磁気マーカシステム制御管理


【車内遠隔監視システム責任者】 ・車内モニタリングシステムの設置
SB ドライブ株式会社(以下「SB ドライブ」) ・遠隔監視システムの制御管理

・通信用路側機の設置
【路車間通信責任者】
・信号などの路車間通信管理
京セラ株式会社(以下「京セラ」)
・インフラ機器での障害物検知
【マルチホップ伝送システム責任者】
・マルチホップ伝送機器の設置
京セラコミュニケーションシステム株式会社
・上記による自営無線網の通信管理
(以下「KCCS」)

【車体管理者】 ・車両の提供
株式会社ジェイテクト(以下「ジェイテクト」) ・ステアリング操舵システム機器の設置


【マルチ GNSS 測量責任者】 ・GNSS 受信機の設置
ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」) ・車両の RTK*測位など

【信号装置敷設責任者】 ・交互通行区間信号制御および信号情報提供
日本信号株式会社(以下「日本信号」) ・専用道入出路ゲート制御および監視

【目標走行軌跡作成責任者】 ・自動運転車両の目標走行軌跡作成
日本電気株式会社(以下「NEC」) ・磁気マーカシステム制御管理
【別紙】技術実証の詳細について

○自動運転車両の速度制御および正着制御
【先進モビリティ、ジェイテクト】
・自動運転バス(ベース車両:日野ブルーリボンシティ)を用いて実証実験を行います。
・ハンドル、アクセル、ブレーキを自動制御し、60km/h での走行実現を目指します。
・BRT 専用道に設置された実際の駅(柳津駅・陸前横山駅)を使用した正着制御(ホームに向かっ
て密着して停止するようハンドルを自動制御)を実施します。




○磁気マーカを用いた自車位置特定
【愛知製鋼】
・全実証実験区間の走路に沿って敷設したフェライト磁石製の磁気マーカの微弱な磁力を、車両
底部に設置した高感度磁気センサ(MI センサ)で検知し、自車位置を正確に特定して車両制御
を支援します。
・IoT・ビッグデータ時代に対応すべく開発した、RFID タグ*付きの次世代磁気マーカを用いること
で、自車位置の特定を行います。


【NEC】
・道路設計図面上の線形や勾配などの情報を数値化、フォーマット化し、自動運転用に電子デー
タを変換したうえで、車両に提供することにより、円滑な走行を支援します。
・磁気マーカおよび RFID タグを車両側リーダーで読み取ることにより、自車位置を特定し、正確
な軌道上での走行を支援します。




磁気マーカの敷設イメージ
〇「どこトレ*」との連携による各種制御の検証
【日本信号】
・「どこトレ」などから得られるバスの位置情報およびゲート周辺に設置するカメラから得られる画
像監視情報を利用し、気仙沼線 BRT 専用道のゲート開閉制御および車両制御(信号制御)を
行います。
・「どこトレ」などから得られるバスの位置情報を用いて、バス遅延時における交互通行の優先権
制御の切換えに関する技術実証を行います。


○無線を使用した信号制御による交互通行
【京セラ、日本信号】
・車両の位置情報を逐次、無線通信によりクラウドに伝送します。
・クラウド上で複数の車両の位置関係をもとに、BRT 専用道の単線区間の走行に対する優先権
を判断し、車両に信号情報として無線通信で通知することにより、自動走行での交互通行の技
術実証を行います。


【京セラ】
・無線方式として、「700MHz 帯 ITS 無線」、「LTE」を併用して活用する有効性を実証します。
・BRT 専用道周辺において、乗用車を使用した無線検証実験も行います。


【KCCS】
・マルチホップ伝送を活用した無線通信を使い、トンネル内を含む道路沿いに自営無線網を構築
し、技術検証を行います。


○地上側設備による障害物検知
【京セラ】
・実証実験区間内に障害物検知センサを搭載し、車両の走行に妨げとなる物体を検知した場合
に、自動運転バスに障害物検知情報を無線で通知し、自動運転バスを停止させる実証を行いま
す。


○遠隔監視システムによる車内監視およびお客さまの動向検知
【SB ドライブ】
・実証実験車両に車内監視用のカメラと車載機などを設置し、車内映像を AI でリアルタイム
に解析すると同時に、映像をクラウドにアップロードします。
・走行中の席移動などを検知した際には、お客さまに対してリアルタイムで注意喚起を行うと
同時に、該当シーンの映像を保存します。


○マルチ GNSS 測位による車両位置計測
【ソフトバンク】
・QZSS(みちびき)、GPS*、GLONASS*などの信号を受信可能な端末を車両に設置して、RTK 測
位などを行い、車両の位置情報を LTE でクラウドに送信します。
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BRT…バス高速輸送システム(Bus Rapid Transit)

GNSS…人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすること
ができるシステム。全地球測位システムともいう。(Global Navigation Satellite System)

LTE…携帯電話の通信規格(Long Term Evolution)

マルチホップ伝送…無線が届かない箇所にリレー方式でデータを中継し広い通信エリアをカバーする伝送方法

QZSS(みちびき)…準天頂軌道の衛星が主体となり構成されている日本の衛星測位システム
(Quasi Zenith Satellite System)

RTK…固定局と移動局の 2 つの受信機を利用し、リアルタイムに 2 点間で情報をやりとりすることで、高精度での測位
を可能にする手法(Real Time Kinematic)

RFID タグ…電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信により情報をやりとりするための IC チップが埋め込まれた
タグ(Radio Frequency Identification)

どこトレ…JR 東日本の在来線 49 路線、秋田新幹線、山形新幹線および BRT 区間の運行状況、運休情報、時刻表情
報、遅延証明書(BRT 区間では対象外)を提供するサービス

GPS…アメリカの衛星測位システム(Global Positioning System)

GLONASS…ロシアの衛星測位システム(Global Navigation Satellite System)

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