Dyフリーボンド磁石マグファインの一体射出成形技術を確立 ‐マキタ充電式草刈機に採用‐

News Release
2015年 9月10日
愛知製鋼株式会社

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Dyフリーボンド磁石マグファイン の一体射出成形技術を確立

-マキタ充電式草刈機に採用-

愛知製鋼株式会社(本社:愛知県東海市、社長:藤岡高広)は、Dy(ジスプロシウム)フリ
ーのボンド磁石(※1)マグファインを使用した革新的な工法である「一体射出成形技術」を確立
し、Nd(ネオジム)焼結磁石の従来技術と同等性能・品質を保ちながら、モータに使用する磁
石アッセンブリー(※2)のコスト低減を実現した。

従来の Nd 焼結磁石を使用した高出力・高効率モータは、磁石を切削加工し、モータ組立時
にロータコア(積層鋼板)へ接着し、着磁(※3)するといった工程が必要である。
一方、当社が 11 年に量産・販売を開始した Dy フリーのボンド磁石マグファインは射出成形
(※4)
により、切削加工なしに複雑形状を形作ることができるが、Nd 焼結磁石に比べて磁力の面
で課題があった。

今回確立した技術は、 マグファイン磁石の形状自由度と射出成形の加工技術を融合すること
により、以下を実現し、高出力・高効率モータ用途の市場への参入を可能にした。
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① マグファインの磁力を最大限に活かす最適な磁石形状を設計することで、従来品(Nd 焼
結磁石使用のモータ)とほぼ同等の大きさでモータ性能を確保
②モータを構成するロータコア(積層鋼板)にマグファイン磁石を直接成形することで
接着にかわる固定力を確保し、モータ組立時の接着工程を省略
③射出成形時に磁石粉末の配向(※5)と同時に着磁を行うプロセス技術を確立することで
モータ組立時の着磁工程を省略
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本技術を活用し、当社と株式会社マキタ(本社:愛知県安城市、社長:堀司郎)とは、小型
軽量でコストパフォーマンスに優れたアウターロータ型(※6)ブラシレスモータ(※7)の回転子を
共同開発し、このたび当社マグファイン磁石が、同社充電式草刈機に採用された。

今後、当社は本技術を活用し、自動車、家電、産業機器などの分野においても競争力のある
磁石を開発し、工程省略によるお客様の製造コスト低減に貢献していく。併せて、Dy フリー
のマグファイン磁石の拡大普及により、安定調達に不安のある重希土類資源の使用量削減を目
指していく。
以上
※1 ボンド磁石:磁石粉末に樹脂を混ぜた磁石
※2 磁石アッセンブリー:磁石とロータコア(積層鋼板)の構成部品
※3 着磁:磁石粉末に磁化を与えて磁石として機能させること
※4 射出成形:樹脂を加熱し金型に充填して成形する工法
※5 配向:磁力を高めるため磁石粉末の磁化方向を揃えること
※6 アウターロータ型:モータの外側に磁石(回転子)を配置して、外側を回転させるモータ方式
※7 ブラシレスモータ:モータからブラシなどの機械的接触部を取り去り、電気回路で置き換えたモータ


【本件に関するお問い合わせ先】
愛知製鋼株式会社 総務部 広報室 TEL 052-603-9216
<参考資料>
表1 本開発技術による工程省略

磁石製造工程 モータ製造工程

接着 着磁ヨーク
従 ロータコア
来 S
N

技 S


術 N N

S S
N
Nd焼結磁石
切削加工 組付接着 着磁 磁石アッセンブリー
接着設備 着磁電源,ヨーク,冷却設備




工程省略 モータ製造工程
本 N
開 ペレット投入 N
発 S
S S

技 N N

術 S
S S
マグファインペレット N
N
汎用射出成形機 磁場成形金型 磁石アッセンブリー

ロータコア 一体射出成形 弊社独自技術



図1 アウターロータ型ブラシレスモータ模式図


ロータコア 磁石アッセンブリー
N 磁石 (回転子)
S S
ステータ
コイルに電流を流すと
コイル
N N
外側の回転子が回転する

S S
N





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