脱炭素に向けた水素社会構築に貢献するステンレス鋼開発加速のための試験評価体制の確立 -＜世界初＞高圧水素ガス環境における回転曲げ疲労試験装置の開発-

News Release
２０２１年６月２日
愛 知 製 鋼株 式 会 社




脱炭素に向けた水素社会構築に貢献する
ステンレス鋼開発加速のための試験評価体制の確立
～＜世界初＞高圧水素ガス環境における回転曲げ疲労試験装置の開発～

愛知製鋼株式会社（代表取締役社長：藤岡高広）は、水素社会の構築に貢献するステンレス鋼
の開発を目的に、関工場（岐阜県関市）内に４.５億円を投じて、高圧水素ガス環境における
試験評価体制を確立しました。

世界の燃料電池自動車には、７０ＭＰａ高圧水素ガスタンクが搭載されています。高圧水素
ガスにさらされる鋼材には、その優れた耐高圧水素ガス脆化特性から、ステンレス鋼の適用が
進んでいます。
当社も、トヨタグループの特殊鋼メーカーとして、他社に先駆けて高圧水素用ステンレス鋼
を開発 ※1 し、水素ステーションの高圧水素系機器や燃料電池自動車の高圧水素系部品に供給し
てきました。そして、今後のカーボンニュートラルに向けて、これらの普及拡大のために、さら
なる高強度・高機能・省資源なステンレス鋼の開発が望まれています。それら高圧水素系部品の
設計には、大気環境と同様、高圧水素ガス環境における引張特性、疲労特性および疲労き裂進展
特性の評価が求められます。

これらの試験評価に対応するため、当社では、２０１９年に高圧水素ガス環境における軸荷重
型の引張・疲労試験装置(図１)を導入し、各種試験評価を実施してきました。

この度、さらに、世界で初めて※2９０ＭＰａ高圧水素ガス環境における回転曲げ疲労試験装置
(図２)を開発※3 し、試験評価を開始しました。この装置により、軸荷重型の引張・疲労試験装置
と比較して、高速の疲労試験評価が可能となり、長時間を要する疲労試験時間を１／１０以下に
短縮することを実現しました。
今後、これら軸荷重型の引張・疲労試験装置と回転曲げ疲労試験装置を併用することで、
ステンレス鋼開発のスピードを飛躍的に向上させることが出来ます。

当社は、脱炭素に向けた水素社会の構築に貢献するステンレス鋼開発を強化し、それら製品の
提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

※１ ＡＵＳ３１６Ｌ－Ｈ２，ＡＵＳ３０５－Ｈ２
※２ 当社調べ 高圧水素ガス環境における回転曲げ疲労試験
※３ 特許出願済




図１. 高圧水素ガス環境試験に対応した 図 2. 高圧水素ガス環境試験に対応した
軸荷重型の引張・疲労試験装置 回転曲げ疲労試験装置＜世界初＞
（2019 年導入） （今回導入）

お問い合わせ先…愛知製鋼株式会社 広報室：０５２－６０３－９２１６