2種類の医薬容器用管ガラスの新材料を開発

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2015 年 3 ⽉ 25 ⽇


2種類の医薬容器⽤管ガラスの新材料を開発
〜 「アルカリ溶出抑制ガラス」と「耐デラミネーションガラス」 〜


⽇本電気硝⼦株式会社(本社:滋賀県⼤津市 社⻑:有岡雅⾏)は、「アルカリ溶出の抑制」と
「耐デラミネーション」に対応した医薬容器⽤の元管ガラス(※)の新材料の開発に成功し、サン
プル出荷を開始しました。
(※)当社で製造した元管ガラスは、加⼯メーカーにおいてアンプルやバイアル等に加⼯されます。



医薬⽤容器のアンプルやバイアル、プレフィルドシリンジ(薬剤充填済み注射器)などには、
耐薬品性や物理的強度の観点から主としてガラスが使⽤されています。⼀⽅、近年、⾼度医療に
対応した医薬品が次々と開発されています。こうした中、当社は、既存の医薬品に加え、これら
新薬にも対応し得る⾼い耐薬品性を備えたガラス材料の開発を進め、この度、技術的課題である
「アルカリ溶出の抑制」と「耐デラミネーション」をそれぞれ可能にした、新たな2種類のガラ
ス材料の開発に成功したものです。新材料の詳細は以下のとおりです。


(1)アルカリ溶出抑制ガラス
現在、医薬⽤容器として使⽤されているホウケイ酸ガラスは、⼀般的に化学的耐久性に優れ
た低アルカリ溶出の(アルカリ成分の溶出が少ない)ガラス材料です。しかしながら、極微量
のアルカリ成分の溶出は避けられず、⻑期保管に伴う医薬品への品質影響リスクが指摘されて
いました。当社はこの度、このアルカリ溶出を⼤幅に抑制したガラス材料を開発しました。


(特⻑) (アルカリ溶出に関する⽐較※)
・ アルカリ溶出を従来⽐20%改善し業界ト
約 20%の改善
ップの数値を達成(欧州、⽶国薬局⽅の粉
末法による溶出試験)
・ フッ素や塩素などのハロゲンを含まず、容
器加⼯時の熱による⽩濁を⽣じない
・ 当社従来品と同様、ヒ素などの環境負荷物
質を含有しない
・ バリウムを含有せず、硫酸イオンを含む薬
剤による硫酸バリウムの沈殿を⽣じない ※試験溶液中のアルカリ成分を中和するのに必要な
塩酸の消費量を測ることで性能を⽐較したもの
(2)耐デラミネーションガラス
医薬⽤ガラス容器においては、内壁からガラスの薄⽚が剥離し、薬液を汚染する「デラミ
ネーション」という事象が報告されています。「デラミネーション」は、⽣地管を熱加⼯し
て容器を作製する際に発⽣したアルカリホウ酸塩の蒸気がガラス内壁に凝縮・凝結し、この
部分が時間経過とともに薬液と反応し剥離を誘発することが原因と⾔われています。前述の
アルカリ溶出と同様、⻑期保管に伴う医薬品の品質影響リスクとして対策が必要とされてい
ます。当社はこの度、熱加⼯時のアルカリホウ酸塩の蒸発を抑え、このデラミネーションの
リスクを⼤幅に低減した材料を開発しました。


(特⻑)
・ アルカリホウ酸塩の発⽣の元になるホウ酸を殆ど含まない「アルミノシリケート」系
のガラスでありながら、従来のホウケイ酸ガラスと同程度の温度で加⼯可能な世界初
の材料
・ フッ素や塩素などのハロゲンを含まず、容器加⼯時の熱による⽩濁を⽣じない
・ 当社従来品と同様、ヒ素などの環境負荷物質を含有しない
・ バリウムを含有せず、硫酸イオンを含む薬剤による硫酸バリウムの沈殿を⽣じない


当社は、⽇本国内で使⽤される医薬容器⽤管ガラスの 9 割以上を供給していますが、従来のラ
インアップに加え、ますます多様化する医薬品を安全に保管・運搬・使⽤できる容器としてこれ
らの新材料を積極的にPRし、様々な分野の医薬にご活⽤いただけるよう事業を展開していきま
す。今後は国内外のお客様にて容器性能を評価していただき、2020 年に年間約 20 億円の売り上
げを⽬指し、拡販していく予定です。


(医薬容器⽤管ガラス)




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(製品に関するお問い合わせ先)
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