毛髪内タンパク質の熱凝集を抑制する成分探索手法を確立

News Release
2016 年 12 ⽉ 22 ⽇



⽑髪内タンパク質の熱凝集を抑制する成分探索⼿法の確⽴

〜熱ダメージを緩和できる新縮⽑矯正剤の開発〜

株式会社ミルボン (代表取締役社⻑・佐藤⿓⼆) は、筑波⼤学 ⽩⽊賢太郎教授と共同で、熱付加時による⽑
髪内タンパク質の熱凝集を抑制する成分を探索する⽅法を開発しました(特許出願番号︓2015-200920)。更
に、この探索⼿法を⽤いて、アセチルグルコサミンが⽑髪内タンパク質の熱凝集を⼤幅に抑制することを⾒出しました。ヘ
アアイロンによるヘアセットなど、⽑髪に対して 100℃を超える熱付加は、ヘアデザインを楽しむためには重要な美容技術
ですが、同時に熱ダメージを⽣ずることが⼀般的に知られています。本研究成果によって、熱ダメージに対しての画期的な
製品開発につながる⽷⼝を⾒出しました。これらの成果は来春発売の製品から順次応⽤されていく予定です。
この研究成果は、以下の外部発表にて報告しました。


【外部発表】
発表会︓The 53rd Japanese Peptide Symposium
発表タイトル︓" Investigation on heat-induced aggregation of the protein derived from human hair "
発表者︓Len Ito1, Kazuyuki Suzuta1, Yoshihide Okamoto1, Naoto Inoue2, and Kentaro Shiraki2
所属︓1MILBON Co., Ltd., 2 University of Tsukuba
発表⽇︓2016 年 10 ⽉ 26 ⽇


発表会︓第 23 回⽇本⽣物⼯学会 九州⽀部飯塚⼤会
発表タイトル︓" タンパク質熱凝集抑制成分を添加したストレートパーマ剤の開発 "
発表者︓岡本喜⽇出、⼩川聡、⾺場あゆみ、伊藤廉
発表⽇︓2016 年 12 ⽉ 3 ⽇


【研究の背景】
ヘアアイロンによるヘアセットをはじめとして、⽑髪に対する熱付加は、ヘアデザインを楽しむうえで必要不可⽋な美容技
術です。しかし、その施術によって⽑髪に⽣ずる熱ダメージが原因となって、美しいヘアデザインを保つことが困難になる⼈
も多くいますが、このダメージが⽑髪内タンパク質のどのような変化から引き起こされているのかなど、その詳細は未だに充
分には分かっていません。
⼀般的に、⽑髪に熱を付加した時に起こるダメージ現象の⼀つとして、髪が硬くなったように感じるということがあります。
これは、⽣卵に熱を付加するとゆで卵となって固まるように、⽑髪内タンパク質が熱付加によって固まることによるものと考
えられています。このような現象は、タンパク質科学分野において、熱付加によるタンパク質の熱凝集として知られています。
ミルボンではこの現象に着⽬して、⽑髪の熱ダメージを緩和する技術の開発にあたり、筑波⼤学 ⽩⽊教授と共同で、
熱付加時に⽣じる⽑髪内タンパク質の熱凝集を抑制する技術の確⽴に取り組みました。



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【研究の成果】
⽇本⼈⼥性の⽑髪から抽出したタンパク質に対して熱付加(加熱)による変化を調べた結果、熱付加によって⼀般
的なタンパク質と同様に⽑髪内タンパク質が熱凝集することが分かりました(図 1)。
そこで、熱付加によるタンパク質の熱凝集を抑制する技術を開発するために、筑波⼤学と共同で⽑髪内タンパク質熱
凝集抑制成分探索法(特許出願番号︓2015-200920)を構築しました。この⼿法を⽤いて熱凝集抑制に効果
的な成分を探索した結果、アセチルグルコサミンが有効であることを今回初めて発⾒しました(図 2)。この結果から⽑
髪内でも同じような現象が起こると期待され、以下の実験に取り組みました。
この成分を縮⽑矯正剤に添加し、実使⽤で試したところ、⼀般的な縮⽑矯正によって⽣ずる⽑髪の硬さがアセチルグ
ルコサミンの添加によって軽減され(図 3)、柔らかい質感やツヤの向上がみられただけでなく、その後のヘアカラーにおい
ても“⾊の沈みこみ”を防ぎ綺麗な発⾊が得られることを⾒出しました。




《参考資料》




図1 SDS-PAGE による加熱時に消失する⽑髪タンパク質の分析

熱付加によって、⼀般的なタンパク質と同様に⽑髪内タンパク質が熱凝集することを確認した。




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タンパク質凝集抑制率(%)



















未添加 アセチルグルコサミン添加

図2 アセチルグルコサミンによる⽑髪内タンパク質の熱凝集抑制効果

筑波⼤学と共同で構築した⽑髪内タンパク質熱凝集抑制成分探索法を⽤いた結果、アセチルグルコサ
ミ ン に 最 も ⾼ い ⽑ 髪 内 タ ン パ ク 質 の 熱 凝 集 抑 制 効 果 を 確 認 し た ( 特 許 出 願 番 号 ︓ 2015-
200920)。




従来 効果成分配合
縮⽑矯正 5 回 縮⽑矯正 5 回




図3 効果成分(アセチルグルコサミン)の有無による縮⽑矯正剤の仕上がりの違い

効果成分を含まない製剤で縮⽑矯正した⽑髪は、硬い質感で⾒た⽬にパサパサしている。⼀⽅、効果
成分配合の縮⽑矯正剤では、柔らかい質感で、⾒た⽬のパサパサ感が低減している。



■リリースに関するお問い合わせ先
広報・採⽤課 ⼤阪市都島区善源寺町 2-3-35
TEL 06-6928-2331 FAX 06-6925-2301
株式会社ミルボン/本社︓⼤阪市都島区、社⻑︓佐藤⿓⼆、証券コード:4919(東証1部)

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