The Liver Meeting 2021におけるMN-001(タイペルカスト)がNASH/NAFLDの脂質代謝に与える影響についての発表の詳細に関するお知らせ

2021 年 11 月 12 日




各 位

会 社 名 M e d i c i N o v a , I n c
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 兼 CEO 岩城 裕一
(コード番号:4875 JASDAQ)

東京事務所代表 副社長
問合せ先 松田 和子
兼最高医学責任者(CMO)
電話:03-3519-5010
E-Mail:infojapan@medicinova.com



The Liver Meeting® 2021 における MN-001(タイペルカスト)が
NASH/NAFLD の脂質代謝に与える影響についての発表の詳細に関するお知らせ


2021 年 11 月 11 日 米国 ラ・ホイヤ発 - メディシノバ(MediciNova, Inc.) (米国カリフォルニ
ア州 ラ・ホイヤ、代表取締役社長兼 CEO:岩城裕一) (以下「当社」といいます。 )は、2021 年
9 月 1 日公表 「The Liver Meeting® 2021 における MN-001 (タイペルカスト) NASH/NAFLD

の脂質代謝に与える影響についての発表に関するお知らせ」 のとおり、 米国肝臓学会議 (AASLD:
American Association for the Study of Liver)主催の The Liver Meeting® 2021 において、当社
の共同研究者である千葉大学大学院医学研究院総合医科学講座 特任准教授の小倉正恒博士が、
MN-001(タイペルカスト)*1 の肝臓細胞におけるトリグリセリド(中性脂肪)の代謝に与える影
響に関する最新の結果と知見を発表いたしますので、その詳細についてお知らせいたします。
尚、本年度の AALSD The Liver Meeting® 2021 は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、
11 月 12 日から 11 月 15 日にかけてオンラインにて開催されます。

本研究は、ヒト肝細胞癌由来の細胞株である HepG2 細胞を用いて行われました。
HepG2 細胞に脂肪酸の一種であるアラキドン酸(ARA) 、Liver X Receptor(LXR 肝臓 X 受容
*2
体)アゴニスト である T0901317、MN-001(タイペルカスト)それぞれの単独及びこれらの組
み合わせを添加し、それらを 48 時間培養、添加前後の HepG2 細胞サンプルから脂質を抽出・測
定し、 HepG2 細胞におけるトリグリセリドの新規合成量を算定しました。 その結果、 MN-001(タ
イペルカスト)のトリグリセリド新規合成抑制効果を認めました。
このメカニズムの一端を明らかにするために、ARA、T0901317、MN-001、及びこれらの組み合
わせを添加処理した細胞サンプルから mRNA を抽出し、リアルタイム PCR 法を用いてトリグリ
セリド代謝に関係する分子の mRNA の発現を測定しました。その結果、ARA の肝臓細胞への取
り込みに関与する脂肪酸トランスポーターの一つである CD36 の発現が、MN-001(タイペルカ
スト)の添加により抑制されました。このことから、MN-001(タイペルカスト)は肝細胞への
ARA の取り込みを抑制することにより、 トリグリセリド合成を減少させる効果があると考えられ
ました。尚、CD36 は脂肪酸の肝臓への取り込みに関与し、脂肪肝の病態に関係していることが
知られています。

「 Improvement of Intracellular Lipid Metabolism by Tipelukast in the Pathogenesis of
NASH/NAFLD」 (和訳:NASH/NAFLD の病態におけるタイペルカスト(MN-001)による細胞
内脂質代謝の改善について)と題した本研究発表(ポスター演題番号:1793)のハイライトは下
記のとおりです。

-1-
⚫ Hep2 細胞におけるトリグリセリドの新規合成量(単位:μg/mg タンパク質)は、
o 対照(溶媒添加)と比較し、T0901317 単独添加により 3.8 倍、ARA 単独添加では
15.3 倍、両物質の同時添加(T0901317 + ARA)では 24.3 倍に増加した。
o MN-001 単独添加と比較し、T0901317 と MN-001 の同時添加では 1.7 倍、ARA と
MN-001 の同時添加では 3.7 倍、T0901317 + ARA + MN-001 3 つの同時添加の場
合では 3.7 倍だった。
o MN-001 は T0901317 と ARA によるトリグリセリド新規合成促進作用を抑制した。

⚫ mRNA の発現は対照(溶媒添加)と比較し、全ての添加サンプルの組み合わせにおいて
(具体的には T0901317 単独、ARA 単独、T0901317 + ARA 同時添加)
、MN-001 を加
える事により CD36 の発現低下を認めた。

⚫ MN-001 の重要な作用機序の一つとして、CD36 の発現低下が示唆された。
肝細胞への脂肪酸取り込みを担う分子の一つである CD36 の発現を MN-001 が抑制す
ることで、ARA の肝細胞内への取り込みを抑制しトリグリセリド新規合成を減少させ、
結果として肝細胞内におけるトリグリセリド蓄積を減らすことが推測された。

当社取締役兼 CMO(最高医学責任者)の松田和子は次のようにコメントしています。
「当社の共同研究者である小倉博士より、MN-001 の脂質代謝改善に関する作用機序についての
最新データと知見が、 今年度の AASLD Liver Meeting で発表されたことを大変嬉しく思います。
MN-001 が CD36 の発現を抑制することで肝細胞への ARA の取り込みを抑制し、肝臓内でのト
リグリセリド合成を低下させるという知見は、MN-001 の肝臓細胞内作用を推測させるもので、
既 に 知 ら れ て い た MN-001 が 血 清 中 性 脂 肪 値 を 有 意 に 低 下 さ せ る 効 果 に 繋 が り 、 ま た
NASH/NAFLD*3 病態における MN-001 の働きの一端を示唆すると考えられます。 」

以 上



1 MN-001(タイペルカスト)について
MN-001(タイペルカスト)は、経口投与の新規化合物で、いくつかのメカニズムによって線維化を抑える効果や
炎症を抑える効果が期待されています。MN-001 には、ロイコトリエン受容体拮抗作用、フォスフォジエステラー
ゼ(主にⅢ及びⅣ)、5-リポキシゲナーゼの阻害などが認められております。近年では、5-リポキシゲナーゼ(5-
LO)経路を介したロイコトリエン生合成阻害による炎症の軽減及び、線維化の予防の可能性が知られております。
また、MN-001 は、遺伝子レベルでは LOXL2、Collagen Type1 TIMP-1 などの線維化を促進させる遺伝子や、
CCR2、MCP-1 などの炎症を促進させる遺伝子発現を抑制することが知られています。また各種、線維化疾患動
物モデルにおいて、病理組織検査において線維化を改善することが確認されました。FDA は肝線維化を認める
NASH 治療適応に対して MN-001 をファストトラックに指定しました。
また、
特発性肺線維症治療を適応として、
MN-001 をファストトラック指定し、さらにオーファンドラッグに指定しております。過去に当社は、MN-001 を
喘息治療薬適応のフェーズ 2 臨床治験では、
気管支喘息治療薬としてその臨床開発を進めてきた経緯があります。
良好な結果が得られておりました。MN-001 は、現在まで 600 名以上の方に投与されており、総じて安全性と良
好な認容性が確立されております。


2 Liver X Receptor(LXR 肝臓 X 受容体)アゴニスト
核内受容体であり、リガンド依存性の転写因子である LXR に機能促進的に作用する因子をいう。
LXR を活性化することにより、下流の遺伝子発現を調節するが、LXR アゴニストの場合は、脂肪酸合成経路の遺
伝子を活性化する。LXR の異常な活性化は、脂肪肝につながることが知られている。




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3 NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)/NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)について
NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)は、肝細胞に脂肪が蓄積するだけの単純性脂肪肝と、炎症や肝細胞へ
のダメージを伴う NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)に大きく分けられます。NASH(非アルコール性脂肪性
肝炎)とは、近年メタボリックシンドロームの増加により認識されるようになった、肝臓に脂肪が貯まり、炎
症・肝組織へのダメージが症状としてみられる肝疾患です。発生原因にアルコールが含まれないにも拘わらずア
ルコール性肝障害に類似した進展を示すことが特徴です。米国国立消化器病情報クリアリングハウスの統計によ
れば、アメリカにおける NASH の有病率は 2~5%、これに加えて 10~20%のアメリカ人が脂肪肝であると言わ
れています。発生に至る機序はまだはっきりとは判っておりませんが、肥満の中年に有病率が高く、NASH 患者
には、血中脂質濃度が高く、糖尿病、またはその予備軍であることが多く見られます。NASH が進行するとしば
しば肝硬変を引き起こすことがありますが、現時点では、肝不全を伴う肝硬変には薬物による治療法はなく、治
療は最終的には肝臓移植に頼らざるを得ません。



メディシノバについて
メディシノバ(MediciNova, Inc.)は、臨床開発ステージにあるバイオ医薬品開発企業であり、炎症性疾患、線
維化疾患、神経変性疾患などの様々な疾患領域において、新規低分子化合物の広範な後期パイプラインを開発し
ています。主要な開発品である 2 つの化合物、MN-166(イブジラスト)と MN-001(タイペルカスト)は、複
数の作用機序と高い安全性プロファイルを有しており、当社は、これら 2 つの化合物について現在 11 の臨床開
発プログラムを有しております。
当社の主力開発品である MN-166(イブジラスト)は、現在、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び変性性頸椎脊椎
症(DCM)で臨床第 3 相段階、進行性の多発性硬化症(MS)において臨床第 3 相準備段階にあります。加え
て、MN-166(イブジラスト)は、膠芽腫(グリオブラストーマ)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び薬物依存
症の治療薬として臨床第 2 相段階にあります。
MN-001(タイペルカスト)は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)について、臨床第 2 相の準備段階にあり
ます。
当社は、公的機関からの資金助成を受け、多くの医師主導型臨床治験を実施してきた強固な実績を有していま
す。
当社詳細につきましては https://medicinova.jp/をご覧下さい。本社所在地はアメリカ合衆国カリフォルニア州
ラ・ホイヤ、スイート 300、エグゼクティブ・スクエア 4275(電話 1-858-373-1500)です。




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