第26回 米国神経腫瘍学会議におけるMN-166(イブジラスト)のグリオブラストーマに関する最新データ発表の詳細に関するお知らせ

2021 年 11 月 22 日




各 位

会 社 名 M e d i c i N o v a , I n c
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 兼 CEO 岩城 裕一
(コード番号:4875 JASDAQ)

東京事務所代表 副社長
問合せ先 松田 和子
兼最高医学責任者(CMO)
電話:03-3519-5010
E-Mail:infojapan@medicinova.com



第 26 回 米国神経腫瘍学会議における MN-166(イブジラスト)の
グリオブラストーマに関する最新データ発表の詳細に関するお知らせ


2021 年 11 月 22 日 米国 ラ・ホイヤ発 - メディシノバ(MediciNova, Inc.)
(米国カリフォルニ
ア州 ラ・ホイヤ、代表取締役社長兼 CEO:岩城裕一) (以下「当社」といいます。 )は、2021 年
11 月 4 日公表「第 26 回 米国神経腫瘍学会議における MN-166(イブジラスト)のグリオブラス
トーマに関する最新データ発表のお知らせ」のとおり、2021 年 11 月 18 日から 21 日にかけて米
国マサチューセッツ州のボストンにて開催された第 26 回 米国神経腫瘍学会議 (Society of Neuro-
*1
Oncology) 年次総会において、 グリオブラストーマ (神経膠芽腫) (以下 「GBM」 といいます。 )
*2
動物モデルにおける、MN-166(イブジラスト) の最新のデータについて、当社の共同研究者で
あるジャスティン ラシア(Justin Lathia)博士(クリーブランド・クリニック ラーナー研究所
脳腫瘍研究・治療法開発 中核研究センター 共同ディレクター、ケース・ウェスタン・リザーブ
大学 クリーブランド・クリニック・ラーナー医学大学 分子医学部門 教授)より発表されました
ので、その詳細についてお知らせいたします。

本研究は、当社とラシア博士及びマイケル ボーゲルバウム(Michael Vogelbaum)博士(医師、
フロリダ モフィット癌センター脳神経外科 教授、脳神経外科部門主任、神経腫瘍部門プログラ
ムリーダー)による共同研究です。

今回、ラシア博士は、GBM の前臨床モデルにおける MN-166(イブジラスト)と PD-1 阻害剤の
併用療法の有効性データについて発表しました。GBM の同所性腫瘍移植モデルを用い、PD-1 抗
体単独投与と、PD1-抗体+MN-166(イブジラスト)併用投与の治療効果を評価しました。治療
は腫瘍移植後 7 日目に開始し、3 日間隔で 3 回の腹腔内注射を行いました。この動物モデルにお
いて、対照薬投与群や非特異的抗体投与群(訳注:無治療群)の生存期間中央値が 17 日であった
のに対し、抗 PD-1 阻害剤単独投与群では生存期間の中央値が 28 日に延長しました。さらに、
PD-1 阻害剤治療に MN-166(イブジラスト)を加えた併用治療群では、生存期間の中央値が 66
日にまで有意に延長しました(p<0.001) 。本試験は、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)とそ
の受容体 CD74 間のシグナルを阻害することにより、GBM の免疫チェックポイント*3 阻害剤*4
への感受性が向上するという仮説に基づき、MIF 阻害剤である MN-166(イブジラスト)を加え
ることで、 免疫チェックポイント阻害剤の抗 PD-1 抗体との併用効果を期待して実施されました。

クリーブランド・クリニック ラーナー研究所 脳腫瘍研究・治療法開発 中核研究センター 共同
ディレクター、ケース・ウェスタン・リザーブ大学 クリーブランド・クリニック・ラーナー医学

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大学 分子医学部門 教授の Justin Lathia 博士は、以下のように述べています。
「我々のグループは過去に MIF-CD74 間シグナルを阻害し、かつ脳内移行性の優れている MN-
166 が、免疫抑制を担う骨髄由来抑制細胞(以下「MDSCs」といいます。 )の生成を抑制し、CD8
陽性 T 細胞機能の抑制を解除することを、in vitro(試験管内)での実験で明らかにしていまし
た。また動物モデルでは、MN-166 の投与で単球系 MDSCsが減少し、腫瘍微小環境において
CD8+T 細胞数が増え、その機能が活性されることを確認していました。今回は GBM 同所性移
植モデルで MN-166 を PD-1 阻害剤と併用することで生存期間を顕著に延長させたという最新の
データを発表でき、大変嬉しく思います。この新しいデータは、MIF-CD74 阻害剤で MDSCs を
標的とすることにより、GBM の抗 PD-1 治療への感受性が高まり、GBM の生存期間が延長する
のではないかという仮説を支持するデータです。 」

当社取締役兼 CMO(最高医学責任者)の松田和子は次のようにコメントしています。
「GBM は原発性悪性脳腫瘍のなかでも最も頻度が高く、生命予後が非常に悪い腫瘍です。GBM
は自己免疫を高度に抑制しますが、中枢神経系の免疫環境は特殊で安全に免疫反応を誘導するこ
とは難しいと考えられてきました。免疫チェックポイント阻害剤の登場により、悪性黒色腫、非
小細胞肺がん、腎細胞がんなどの癌に苦しむ多くの人々の生存率と予後が改善されましたが、こ
れまでのところ、GBM の臨床試験では免疫チェックポイント阻害薬の治療では限られた有効性
しか示されていません。免疫チェックポイント阻害療法での効果が限定的な主な原因の一つは薬
剤耐性です。MN-166 を併用する事で免疫チェックポイント阻害剤の GBM への感受性を高め、
GBM モデルの生存期間を顕著に延長したという新しい MN-166 のデータに我々は非常に期待し
ています。MN-166 と免疫チェックポイント阻害剤との併用による臨床試験に移行したいと考え
ています。 」

以 上



1 グリオブラストーマ(神経膠芽腫)について
原発性悪性脳腫瘍は、小児と若年者における癌死因の中で最も高く、メラノーマによる死亡よりも多いとされて
います。米国脳神経外科学会によると、グリオブラストーマ(神経膠芽腫)は脳グリア細胞(アストロサイト、オ
リゴデンドサイト)から発生し急速に周囲の脳組織に拡がる、進行が非常に早く、致死性も非常に高い脳腫瘍で、
世界保健機関(WHO)脳腫瘍悪性度分類で、最も悪性度の高いグレード IV に分類されます。米国脳腫瘍学会に
よるとグリオブラストーマは全脳腫瘍の 15%、グリオーマ(神経膠腫)の 56%近くを占めており、悪性脳腫瘍の
なかでも最も多く、米国では、2018 年中に約 12,760 名の患者が新たに診断されたと考えられています。近年の
脳神経画像検査、脳外科手技、化学療法や放射線治療などの進展向上にも関わらず、グリオブラストーマ患者の予
後については、わずかな改善がみられているにすぎません。グリオブラストーマと診断された患者の生存期間中
央値は 14.6 ヵ月、2 年生存率は 30%といわれています。また、診断後 36 ヵ月以上生存可能な患者は、わずか 5%
といわれています。


2 MN-166(イブジラスト)について
MN-166 はファースト・イン・クラスの経口摂取可能な小分子化合物で、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)阻
害剤、ホスホジエステラーゼ-4 及び-10 の阻害剤で、炎症促進作用のあるサイトカイン、IL-1β、TNF-a、IL-6 な
どを阻害する働きを有しており、また、反炎症性のサイトカイン IL-10、神経栄養因子及びグリア細胞株由来神経
栄養因子を活性化する働きも認められています。グリア細胞の活性化を減衰し、ある種の神経症状を緩和するこ
とがわかっています。前臨床研究および臨床研究において抗神経炎症作用及び神経保護作用を有することが確認
されており、これらの作用が MN-166 の神経変性疾患(進行型多発性硬化症、ALS など)
、各種依存症、慢性神経
因性疼痛などに対する治療効果の根拠と考えられております。当社は、進行型多発性硬化症及び ALS、薬物依存
症をはじめとする多様な神経系疾患を適応とする新薬として開発しており、進行型多発性硬化症、ALS、薬物依存
などを含むさまざまな疾患治療をカバーする特許のポートフォリオを有しております。



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3 免疫チェックポイント(分子)とは
生物個体が持つ自分自身を守る免疫系の過剰な免疫反応を制御(活性化、抑制化)し、免疫の恒常性維持に必須な
一連の分子。がん細胞は、この免疫チェックポイント分子を調節する(悪用する)ことにより、免疫細胞からの攻
撃を逃れていることが明らかになっています。


4 免疫チェックポイント阻害剤とは
近年、免疫チェックポイント分子を対象にした抗がん剤が実用化されています。
T 細胞上に発現する PD-1、CTLA-4 などが、がん細胞上に発現している PD-L1 などと結合すると T 細胞の活性
化が抑制され、がん細胞は自己免疫からの攻撃から逃れます。PD-1、CTL-4 や PDL-1 に結合する抗体(阻害剤)
は、がん細胞からの免疫抑制シグナルの伝達を阻害し、T 細胞の活性化を維持して、活性化された T 細胞はがん
細胞を攻撃します。
免疫チェックポイント阻害剤は、2018 年のノーベル医学生理学賞受賞の対象となったことでも知られています。



メディシノバについて
メディシノバ(MediciNova, Inc.)は、臨床開発ステージにあるバイオ医薬品開発企業であり、炎症性疾患、線
維化疾患、神経変性疾患などの様々な疾患領域において、新規低分子化合物の広範な後期パイプラインを開発し
ています。主要な開発品である 2 つの化合物、MN-166(イブジラスト)と MN-001(タイペルカスト)は、複
数の作用機序と高い安全性プロファイルを有しており、当社は、これら 2 つの化合物について現在 11 の臨床開
発プログラムを有しております。
当社の主力開発品である MN-166(イブジラスト)は、現在、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び変性性頸椎脊椎
症(DCM)で臨床第 3 相段階、進行性の多発性硬化症(MS)において臨床第 3 相準備段階にあります。加え
て、MN-166(イブジラスト)は、膠芽腫(グリオブラストーマ)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び薬物依存
症の治療薬として臨床第 2 相段階にあります。
MN-001(タイペルカスト)は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)について、臨床第 2 相の準備段階にあり
ます。
当社は、公的機関からの資金助成を受け、多くの医師主導型臨床治験を実施してきた強固な実績を有していま
す。
当社詳細につきましては https://medicinova.jp/をご覧下さい。本社所在地はアメリカ合衆国カリフォルニア州
ラ・ホイヤ、スイート 300、エグゼクティブ・スクエア 4275(電話 1-858-373-1500)です。




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