脳核医学領域初のAIを用いた検査時間短縮の共同研究を開始 AI仮想画像の生成で、約5分の1の検査時間を目指す-患者の負担軽減と検査効率の向上に期待-

プレスリリース

株式会社フォーカスシステムズ
2020 年 7 ⽉ 30 ⽇


脳核医学領域初のAIを⽤いた検査時間短縮の共同研究を開始
AI仮想画像の⽣成で、約 5 分の 1 の検査時間を⽬指す
〜患者の負担軽減と検査効率の向上に期待〜


株式会社フォーカスシステムズ(東京都品川区、代表取締役社⻑︓森啓⼀)は、横浜市⽴⼤学医学
部放射線診断学教室(宇都宮⼤輔教授、⽯渡義之助教)と、脳核医学検査(*1)におけるAIを⽤い
た検査時間短縮の共同研究を開始しました。短時間で撮影した検査画像をもとに、AIによって⻑時
間撮影画像と同等の診断能(診断精度)をもつ仮想画像を⽣成することで、検査時間を通常のおよそ
5 分の 1 に短縮することを⽬指します。検査時間の短縮により患者の苦痛軽減や、検査を断念する事
態を避けることができるだけでなく、より多くの患者を診断して適切な治療につなげていくことが可
能となります。


(*1)脳核医学検査とは
核医学検査は、ガンマ線といわれる放射線を放出する検査薬を注射し、体内に取り込まれた検査薬
から放出されるガンマ線をカメラで撮影して体内の状態を知る検査です。CTやMRIは臓器の形や
⼤きさを調べるのに対し、核医学検査では臓器の機能的な変化を画像情報にすることで、異常が現れ
る前の兆候を読み取り、病気の早期発⾒が可能となります。この検査法の1つであるドパミントラン
スポーターシンチグラフィでは、ガンマ線の放出量から脳内のドパミンの変化を読み取ることで、パ
ーキンソン症候群や認知症の診断にも使⽤されています。その他、脳⾎流シンチグラフィでは脳内の
わずかな⾎流の変化を読み取り、脳梗塞やてんかん、認知症などの病気の診断に使⽤されています。


■AI活⽤による時間短縮のメリット
脳核医学検査は、脳神経疾患の診断において⽋かすことができませんが、ドパミントランスポータ
ーシンチグラフィの撮影は通常 30〜45 分を要します。そのため、患者は狭い検査台で同⼀姿勢を⻑
時間維持する必要があり、脳神経疾患のため⻑時間の安静が保てず検査を断念せざるを得ない場合も
あるなど、⾝体的・精神的に⼤きな負担がかかってしまうことが課題としてありました。
検査時間の短縮は患者の負担を減らすだけでなく、患者に付き添う医療スタッフの業務効率化によ
る業務量の削減や、検査効率を向上させることで、適切な治療をより多くの患者に提供することも可
能となります。さらに、脳核医学検査に使⽤する機器は⾼額で台数にも限りがあるため、検査効率の
向上により検査数が上がることで、⾼額機器の有効活⽤にもつながるなど、多くのメリットが期待で
きます。
プレスリリース

株式会社フォーカスシステムズ
2020 年 7 ⽉ 30 ⽇


■AIによる仮想画像の⽣成とは
本共同研究では、 分間で撮影した画質の“粗い”画像と、 分間で撮影した画像を⽤いて深層学習


モデルを構築し、最適化を⾏います。この学習モデルを利⽤して、5分間撮影画像のノイズ除去を⾏
い、5 分間撮影画像からAI仮想画像(25 分間撮影画像に相当)を出⼒することで、検査時間をおよ
そ 5 分の1にまで短縮することを⽬指します。

<実現イメージ図>




AI仮想画像が 25 分撮影画像と同等の画像となるこ
とが期待できます。



また、頭部の画像は体格差や⼼拍、呼吸の影響を受けにくいことから個⼈差が少なく、深層学習を⽤
いた画像処理の実現可能性が⾼いことが推測できます。
すでにCTやMRIといった他の放射線検査においては、AIによる短時間化の研究が報告されて
いますが、この核医学分野においては初の試みとなります。


■今後について
現在は横浜市⽴⼤学との研究段階でありますが、2021 年に臨床画像において診断能の⽐較を⾏い
ます。2022 年以降には、関連病院を中⼼とした多施設による研究を進めるとともに、脳⾎流シンチ
グラフィにも適⽤させるなど、核医学におけるAIの活⽤範囲の拡⼤を⽬指します。


【横浜市⽴⼤学放射線診断科について】
宇都宮⼤輔教授が主宰する、横浜市⽴⼤学放射線診断科は、2 つの⼤学付属病院と 17 の関連病院
を軸に横浜市を中⼼とした医療を展開しています。放射線診断学は現代医療のなかで⾮常に重要な位
置を占めています。CT、MRI、核医学、⾎管造影といった画像診断モダリティを⽤い、
「医療の羅
針盤」として病院を⽀えることが、⼤きな使命のひとつです。
さらに、⾎管の中から、もしくは体表⾯から直接病変部にアプローチすることで診断や治療を⾏う
インターベンショナル・ラジオロジー(IVR)が当科のもう⼀つの⼤きな柱となっています。

HP︓https://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~diagrad/
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株式会社フォーカスシステムズ
2020 年 7 ⽉ 30 ⽇


【フォーカスシステムズについて】
株式会社フォーカスシステムズは、1977 年に設⽴され、公共・通信・情報セキュリティ等、社会
性の⾼い分野におけるシステム開発・運⽤に携わるだけでなく、IoT やクラウド、AI 等、時代の流
れを⾒据えたビジネス展開も積極的に推進しています。2016 年には東京証券取引所市場第 1 部銘柄
に指定され、社会からの評価と共に順調に成⻑しています。
HP︓https://www.focus-s.com/


【本件に関するお問い合わせ】
株式会社フォーカスシステムズ IR・広報室
メール︓koho@focus-s.com
TEL ︓03-5421-7790

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