アサーシス社による、急性期脳梗塞に対するMultiStemの第2相試験長期(一年)成績発表につきまして

平成 28 年2月 18 日


各 位


会 社 名 株 式 会 社 ヘ リ オ ス
代 表 者 名 代表取締役社長 鍵 本 忠 尚
(コード番号:4593 東証マザーズ)



アサーシス社による、急性期脳梗塞に対する MultiStem®の第 2 相試験
長期(一年)成績発表につきまして
~発症後 36 時間以内の投与に限らず、発症後 48 時間以内の投与でも
統計学的に有意な結果が示される~



当社は、平成 28 年1月8日に米国 Athersys, Inc.(以下、アサーシス社)と、同社の幹
細胞製品 MultiStem を用いた脳梗塞に対する細胞治療医薬品の開発・販売等に関する日
本国内の独占的ライセンス契約を締結しております。
本日、アサーシス社より、脳梗塞に対する MultiStem 静脈点滴注射の欧米での第 2 相試
験の長期(1 年間)の成績が、全群で統計学的に有意な結果であったことが、以下のとおり
発表されました。


この臨床試験の責任医師である David Hess 博士(米国オーガスタ大学・ジョージア医科
大学神経学部長であり脳梗塞の専門家) 平成 28 年 2 月 17 日
は、 (PST:西海岸標準時間)

米国ロサンゼルス市にて開催された 2016 International Stroke Conference において主要
な試験結果を発表いたしました。


1年間の長期成績は、MultiStem を投与した患者群とプラセボ(偽薬)群を、3 つの代表
的指標(mRS、NIHSS、BI)を用いて比較すること等により判断されますが、代表的 3 指
標がそれぞれ mRS1以下、NIHSS1以下かつ BI95 以上という”Excellent Outcome(優れ
た回復症状)”に該当する患者の割合が、MultiStem を投与した患者群においてプラセボ群
より高いことを示す良好な結果が得られています。試験結果の統計学的有意性を示す指標
である p 値についても、全ての患者群(発症後 48 時間以内投与)で 2%、発症後 36 時間
以内投与の症例に限定すると 1%未満であり、いずれも統計学的に有意な水準とされる 5%
以下という基準を満たしております。





アサーシス社の会長兼 CEO の Dr. Gil Van Bokkelen は、 年間の経過観察結果は大変
「1
うれしいものとなりました。試験結果は MultiStem の治療が、全ての患者群に対して標準
的治療となりうることを意味する素晴らしい結果を示すことができました。MultiStem 治
療は安全性が高く、1年間を通じて機能の改善効果が続くことを示唆するものでした。また、
当社が昨年4月に発表しました 90 日間の中間解析の結果と同じく、脳梗塞発症後 36 時間
以内で MultiStem の治療を受けた患者群には、プラセボ投与の患者群や脳梗塞発症後 36
時間以降 48 時間以内に MultiStem の治療を受けた患者群よりも MultiStem の治療効果が
より高いことが示されました。 「この結果、当社は今後発症 36 時間以内の治療薬
」と述べ、
の臨床開発を続けていきます。
」と語っています。


【1年間の試験結果のハイライト】
・MultiStem 治療は1年間を通して高い忍容性が続くことが示されました。
・MultiStem の治療を受けた患者群(65 人)のうち 1 年後に ”Excellent Outcome(優れ
た回復症状)” の条件に該当した患者は全体の 23.1%であり、プラセボ投与群(61 人)に
おいては 8.2%でした。群間差は 14.9%であり、90 日間の中間解析時の 8.8%よりも群間差
が広がることが示されました。
・脳梗塞発症後 36 時間以内の患者群で上記のデータを分析した場合、MultiStem の治療を
受けた患者群(31 人)で 1 年後に ”Excellent Outcome(優れた回復症状)” の条件に該当
した患者は全体の 29.0%であり、プラセボ投与群との群間差は 20.8%に広がりました。な
お 90 日間の中間解析時の群間差は 9.5%でした。


90 日間と 365 日間での”Excellent Outcome(優れた回復症状)”の群間差

患者群 90 日間 365 日間
脳梗塞発症後 48 時間以内の MultiStem 投与群 (n=65) 15.4% 23.1%
脳梗塞発症後 48 時間以内のプラセボ投与群 (n=61) 6.6% 8.2%
群間差 8.8% 14.9%*
脳梗塞発症後 36 時間以内の MultiStem 投与群 (n=31) 16.1% 29.0%
群間差 9.5% 20.8%**
*p = 0.02, **p<0.01


・患者さんの代表的な基本的日常生活の活動を点数化することで脳梗塞の回復度を測る指
標である Barthel Index(BI)をみると、MultiStem の治療を受けた患者群(65 人)で 1
年後に BI の点数が 95 点以上という良好な回復を見せた患者は全体の 61.5%であり、プラ
セボ投与群(61 人)は 44.3%でした。さらに脳梗塞発症後 36 時間以内の患者群で上記の
データを分析した場合、MultiStem の治療を受けた患者群(31 人)で 1 年後に”Excellent



Outcome(優れた回復症状)”の条件に該当した患者は全体の 67.7%であり、プラセボ投与
群との群間差は 23.4%でした。
・1 年間の MultiStem の治療を受けた患者群の中で ”Excellent Outcome(優れた回復症
状)”の条件に該当しなかった患者群の中でも、入院日数、死亡率、生命を脅かす有害事象、
感染症といった項目でプラセボ群と比較して有効な治療効果は得られております。例えば、
平均的な入院日数は 1.6 日少なくなっています。生命を脅かす有害事象及び死亡の群間差は
11%低くなっています。さらに脳梗塞発症後 36 時間以内の患者群でこれらを比較した場合
は、入院期間は 2.9 日少なくなっており、生命を脅かす有害事象及び死亡の群間差は 11.4%
低くなっています。また、この患者群で Barthel Index が 95 点以上という高い得点であ
った割合は、MultiStem の治療を受けた患者群では 50%、発症後 36 時間以内投与の患者
群では 55%と、プラセボ群の 39%と比較しても高い割合を示しており、MultiStem 治療を
受けた患者は 1 年後に機能面でより改善がみられる可能性があることが示されています。


アサーシス社 会長兼 CEO の Bokkelen 氏は、「患者さんの生活の質(QOL)を高めるに
は ”Excellent Outcome(優れた回復症状)” を達成することが重要となります。脳梗塞発
症後 36 時間以内の MultiStem 投与による治療を受けた患者群は、治療を行わなかった患
者、血栓溶解剤 t-PA だけを投与した患者、あるいは機械的血栓回収療法だけを行った患者
と比較し、1 年後に ”Excellent Outcome(優れた回復症状)” に該当する患者の割合に 5
倍以上の増加が見られることが示されています。
」と語っています。


※全文はアサーシス社からの発表をご覧ください。
http://www.athersys.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=955434
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このようなアサーシス社からの発表に対し、米国クリーブランドクリニック脳血管センタ
ーの内野研医師からは、「アサーシス社が実施した脳梗塞に対する MultiStem の第2相無
作為化試験の 1 年間の成績により、同試験の投与後 90 日間の中間解析結果が追認されまし
た。特に脳梗塞発症 36 時間以内に本剤を投与することで、長期障害が残る患者さんの数を
減らすことを強く示唆する結果でした。本試験にて MultiStem の安全性も示されたことか
ら、私は本剤の第3相試験を楽しみにしています。
」とのコメントが寄せられています。


急性期の脳梗塞に関しては、発症後4時間半以降に有効な治療法が無く、多くの患者さん
が、発症後死亡あるいは重篤な介護が必要な状態に陥る疾患です。昨年4月に発表されたア
サーシス社の第2相試験の結果は、発症後 18 時間から 36 時間に MultiStem を点滴で一回
投与すると、90 日後の段階の解析で、統計学的優位にプラセボ群に対して投与群で神経学
的所見が改善するという結果でした。今回発表された 1 年の時点での解析では、更に治療効
果が継続して改善し続け、発症後 18 時間から 36 時間に MultiStem を投与された群でプラ



セボ群との治療効果の差が 90 日時点に比べて広がっていくのみならず、以前二次解析では
除外されていた発症後 18 時間から 48 時間に MultiStem を投与された全体の群でも、プラ
セボ群に対して優位に治療効果が改善するという驚くべきものでした。
当社は一日も早くこの治療法を日本国内の患者さんへ届ける為に、「生きるを増やす。爆
発的に。」というミッションの下、経営努力を重ねてまいります。


(ご参考)
mRS とは:概括障害度(modified Rankin Scale)と表現され、障害の程度を 0(まったく
症候がない)、1(症候があっても明らかな障害はない)
、2(軽度の障害)
、3(中等度の
障害)
、4(中等度から重度の障害)
、5(重度の障害)、6(死亡)のグレードで判定する。
数字が低い方が障害の度合いが低い。


NIHSS とは:神経症状障害度(NIH Stroke Scale)と表現され、脳梗塞の神経学的重症度
を項目別に点数化して合計点で評価する。点数は 0 点から 42 点まであり、点数が高いほど
重症となる。


BI とは:日常生活活動指標(Barthel Index)と表現され、代表的な基本的日常生活動作 10
項目について、点数をつけ、合計得点で評価する。例えば、食事の項目では自立、自助具な
どの装着可、標準的時間内に食べ終えるができれば 10 点、部分介助(おかずを切って細か
くしてもらう等)の場合は 5 点、全介助は 0 点となっている。点数は 0 点から 100 点。数
字が低いほど介助の必要が高まる。


(出所:日本脳卒中学会の資料等を参考に当社作成)


以上




本件に関する連絡先
株式会社ヘリオス 広報担当
pr@healios.jp





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