間葉系幹細胞由来の細胞治療薬に関する特許ポートフォリオの取得について

平成 30 年9月3日
サンバイオ株式会社




間葉系幹細胞由来の細胞治療薬に関する
特許ポートフォリオの取得について

この度、サンバイオグループ(本社:東京都中央区、社長:森 敬太、以下「サンバイオ」
)は、
間葉系幹細胞由来の細胞治療薬に関する特許ポートフォリオ(以下、「本特許ポートフォリオ」 を

取得しましたので、お知らせします。

本特許ポートフォリオは、テュレーン大学で研究を行っていたアリーン・ベタンコート博士に
よって発明されたもので、間葉系幹細胞*1 の細胞膜上に存在する特定の Toll 様受容体(以下、
「TLR」 *2 を刺激することで、
) 間葉系幹細胞の特徴である安全性及び忍容性を維持したまま抗炎症
機能を増強する技術及び炎症機能を増強する技術(以下、 「本技術」)に関するものです。本技術に
より得られる抗炎症機能を増強した細胞(以下、 「MSC2」)及び炎症機能を増強した細胞(以下、
「MSC1」)は、通常の間葉系幹細胞と比較して、障害部位への遊走性が高い、均質性が高い、とい
う特徴を有しており、高い安全性と有効性が期待できます。




高い抗炎症作用を有する MSC2 は、視神経炎、多発性硬化症やクラッベ病といった脱髄疾患、糖
尿病性神経障害、関節リウマチ、クローン病等の炎症性疾患に対する治療薬としての開発が期待
されており、各疾患モデル動物での非臨床試験が進んでいます。炎症機能を高めた MSC1 は、通常
の間葉系幹細胞が腫瘍の成長に促進的に働くのに対し、腫瘍の成長を減衰させることが非臨床試
験で確認されており、がん治療薬としての開発が期待できます。

サンバイオでは現在、独自開発の再生細胞薬 SB623 について、慢性期脳梗塞(米国)および慢性
期外傷性脳損傷(日米)を対象にフェーズ2臨床試験を実施しています。SB623 は、成人骨髄液由
来の間葉系幹細胞に一過性に遺伝子改変したもので、脳梗塞や脳損傷で損傷を受けた部位の周辺
に投与すると、神経細胞の再生を促し、失われた機能を回復させることができると期待される幹
細胞治療です。これまで実施した動物試験では、脳梗塞モデルのマウスの脳に SB623 を投与した
ところ、神経幹細胞の損傷部位への遊走、神経細胞の増殖、 血管新生といった現象が確認されてい
ます。

サンバイオは本特許ポートフォリオの取得により、SB623 による中枢神経系疾患領域に加えて、
炎症性疾患領域及びがん領域への開発パイプラインを拡充することになります。上述のとおり、
サンバイオがこれまで培ってきた間葉系幹細胞に関するノウハウを活かして、本特許ポートフォ
リオに基づく新たな細胞薬の開発に取り組んでまいります。

*1 自己再生能力をもつ多能性細胞。骨細胞、心筋細胞、軟骨細胞、腱細胞、脂肪細胞な
ど、間葉系に属する細胞への分化能をもつ。
*2 外因性の危険信号(細菌やウイルスなどの構成成分など)や内因性危険信号(組織障害
に伴い放出されるタンパク質など)を認識する受容体で、主にマクロファージや樹状細
胞などの自然免疫系の細胞膜に存在する。ヒトでは現在までに、認識する構造が異な
る 10 種類の TLR の存在が確認されている。


以上




【 本件に関するお問合せ先 】
サンバイオ株式会社
経営管理部 TEL:03-6264-3481

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