がん研究会との共同研究の論文発表のお知らせ

2024年3月4日
各 位
会 社 名 カルナバイオサイエンス株式会社
代表者名 代表取締役社長 吉野 公一郎
(コード番号:4572)
問合せ先 取締役経営管理本部長 山本 詠美
(TEL: 078-302-7075)


がん研究会との共同研究の論文発表のお知らせ


当社は、創薬支援事業において、2021年より、がん化学療法の第一人者である 公益財団法人がん研
究会 がん化学療法センター基礎研究部 片山量平部長を中心とする研究グループと薬剤感受性に関わ
る変異型キナーゼについての共同研究を実施しております。今般、当社で調製した変異体キナーゼを
使用した研究結果がnpj Precision Oncologyに掲載されましたのでお知らせいたします。
日本人の非小細胞肺がん患者の約30~40%は、上皮成長因子受容体(EGFR)に変異を持っています。
EGFR活性化変異の治療に向けてEGFRチロシンキナーゼ阻害剤が開発され、少なくとも5つの薬剤(ゲフ
ィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ)が臨床で広く使用されて
いますが、これらの薬剤に対する耐性を数年以内に多くの患者が経験することが報告されており、EGFR
活性化変異を克服するための治療薬の開発は現在も活発に進められています。
片山部長らの研究グループは、2017年にC797S遺伝子変異によりオシメルチニブ耐性になった細胞に
対して、現在ALK阻害薬として臨床応用されているブリグチニブが有効であることを発見しました。
本論文ではその研究をさらに進め、当社にて製造したEGFR変異体を用いて新規EGFR阻害剤に対する
作用の検討結果を報告しています。論文で使用したL747P及びS768I変異体は、リガンド非依存型EGFR
活性化を引き起こすEGFR活性化変異として知られており、頻度は肺がん患者の1%以下と少ないものの、
最近の研究で様々なEGFR阻害剤への感受性が検討されています。また、L858Rなどの他の変異と組み合
わ さ る 形 で オ シ メ ル チ ニ ブ 耐 性 が 臨 床 で 報 告 さ れ て い る L718M/Q 変 異 を 含 む 4 重 変 異 体
L858R/T790M/C797S/L718M及びL858R/T790M/C797S/L718Qは細胞の実験からブリグチニブ耐性変異であ
ることが予測されました。論文では当社のヒトリコンビナントキナーゼを用いてこれら4重変異体に対
するEGFR阻害剤及びブリグチニブの効果を検証しています。これから出現してくるかもしれない、こ
れら4重変異体については、ヒトリコンビナントキナーゼが発売されておらず、L747P変異体と同様に
この論文が世界で初めての使用例となります。
EGFR関連の製品は需要の高い製品群であり、当該共同研究結果はEGFR関連製品の顧客への販促に利
用してまいります。また、当社はがん研究会との共同研究を継続して進め、引き続き薬剤耐性変異キ
ナーゼに対する治療薬の研究に貢献いたします。
研究内容の詳細につきましてはがん研究会のニュースリリースをご参照下さい。
https://www.jfcr.or.jp/laboratory/news/10709.html
以上

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