アメリカ血液学会(ASH)年次総会でのBTK阻害剤AS-1763に関するポスター発表(非臨床研究)概要のお知らせ

2023年12月11日
各 位
会 社 名 カルナバイオサイエンス株式会社
代表者名 代表取締役社長 吉野 公一郎
(コード番号:4572)
問合せ先 取締役経営管理本部長 山本 詠美
(TEL: 078-302-7075)


アメリカ血液学会(ASH)年次総会でのBTK阻害剤AS-1763に関するポスター発表
(非臨床研究)概要のお知らせ

第65回アメリカ血液学会年次総会(American Society of Hematology Annual Meeting & Exposition)
において、2023年12月9日、当社が開発中の次世代型BTK阻害剤AS-1763の非臨床研究に関する発表が行
われましたのでお知らせいたします。
AS-1763は当社が創製したブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton's tyrosine kinase, BTK)を標的と
する非共有結合型BTK阻害剤であり、共有結合型BTK阻害剤を含む少なくとも2ライン以上の全身療法に
不応もしくは不耐の慢性リンパ性白血病(CLL)
・小リンパ球性リンパ腫(SLL)およびB細胞性非ホジキ
ンリンパ腫(B-cell NHL)の患者を対象としたフェーズ1b試験を米国で実施中です。


<発表の概要>
ポスタータイトル:Characterization and Preclinical Evaluation of AS-1763, an oral, Potent
and Selective Noncovalent BTK inhibitor, in Chronic Lymphocytic Leukemia
本ポスターはAS-1763の特徴づけを目的とした非臨床研究に関する結果をまとめたものであり、テキサ
ス大学MDアンダーソンがんセンター・エクスペリメンタル・セラピューティクスのShady I. Tantawy
医師が発表を行いました。その概要は以下のとおりです。
 AS-1763は非共有結合型選択的BTK阻害剤であり、野生型および、多くの変異型BTKを阻害するこ
とができる。
 酵素アッセイおよび細胞アッセイにおいて、AS-1763は他の共有結合型および非共有結合型BTK阻
害剤に対する薬剤抵抗性変異として報告されている変異型BTK(C481x, T474x, T316A, L528x)
を強く阻害した。
 AS-1763は、他のBTK阻害剤と同様に、未治療CLL患者および再発・難治性CLL患者のCLL細胞サン
プルの両方で細胞死を誘導した。
 AS-1763は、イブルチニブおよびピルトブルチニブと同様に、CLL細胞において、B細胞活性化お
よびカルシウム流入を阻害した。
 CLLリンパ球をAS-1763で処理すると、ミトコンドリアのスーパーオキサイド産生が増加した。
 BCL-2変異を有するCLL細胞サンプルに対して、AS-1763はベネトクラクスまたはAZD5991で誘導さ
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れる細胞死を増強した。
 野生型BTKを発現するCLL細胞サンプルでは、AS-1763はイブルチニブと併用することでより高い
効果を示した。
 AS-1763は、現在、フェーズ1b試験を実施中である。
以上




BTK阻害剤AS-1763について
AS-1763は、CLLを含む成熟B細胞腫瘍の治療を目的として開発中の、野生型および薬剤抵抗性変異型BTK
の両方を阻害する高選択性で非共有結合型の経口投与可能な化合物です。イブルチニブを代表とする
共有結合型BTK阻害薬は、CLLや他の成熟B細胞腫瘍の標準選択薬として使用されています。しかしなが
ら、多くの患者で、BTKの481番目のシステイン残基(C481)がセリンに置き換わる変異が生じて、共有
結合型BTK阻害剤の結合が弱まり、薬剤耐性になることが報告されています。また、ピルトブルチニブ
を含む開発中の非共有結合型BTK阻害剤に対する新たな耐性変異も報告されています。AS-1763は、野
生型BTKおよび薬剤抵抗性変異型BTKのリンパ腫細胞の両方の増殖を強く阻害することから、野生型の
みならず薬剤抵抗性変異型BTKをもつ患者の治療にも有効と考えられ、次世代型BTK阻害剤として開発
を進めています。




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