イズカーゴ(pabinafusp alfa) WORLDSymposium2022においてNew treatment awardを受賞

2022 年 2 月 3 日
各 位




会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 芦 田 信
(東証第 1 部 コード番号 4552)
問合せ先 執 行 役 員 管 理 本 部 長 本 多 裕
(TEL 0797-32-1995)

イズカーゴⓇ(pabinafusp alfa) WORLDSymposiumTM 2022 において
New treatment award(新治療法アワード)を受賞

J-Brain CargoⓇ技術を適用したムコ多糖症 II 型治療剤 イズカーゴⓇの
日本における製造販売承認と、その将来性が評価されました。



当社は、日本においてムコ多糖症 II 型(MPS II、ハンター症候群)に対する治療剤とし
て昨年承認されたイズカーゴ Ⓡ 点滴静注用 10mg(国際一般名:pabinafusp alfa)が
WORLDSymposiumTM 2022 において、New treatment award(新治療法アワード)を受
賞したことをお知らせいたします。
イズカーゴⓇは当社の独自技術である J-Brain CargoⓇを適用した血液脳関門(BBB)通
過型の遺伝子組換えイズロン酸-2-スルファターゼです。 本剤は静脈内投与によって BBB 通
過を可能にした世界で初めての酵素補充療法として日本において承認されており、MPS II
をはじめとするライソゾーム病の患者の皆さんに新たな価値をもたらすと期待しています。

New treatment award は、2022 年 2 月 10 日(木)午前 7:30(太平洋標準時間)より、
カリフォルニア州サンディエゴで開催される WORLDSymposiumTM 2022 においてイズカ
ーゴⓇに授与されます。本賞は、ライソゾーム病の患者の皆さんに価値を提供し、薬事承認
によって一般的な治療として受け入れられた新規の治療法を表彰するものです。イズカー
ゴⓇ受賞に関しては、厚生労働省の承認を得るに足る臨床データを提供したことが特に評価
されています。

当社の代表取締役会長兼社長 芦田信は次のように述べています。
「WORLDSymposiumTM 2022 よりこのような名誉ある賞を受賞でき光栄に思います。今
回の受賞は、我が社の J-Brain CargoⓇが、中枢神経症状の治療に有効な技術であると評価
されたものと考えております。イズカーゴⓇは現在日本以外の地域で武田薬品工業株式会社
との提携のもとにグローバル臨床第 III 相試験をおこなっており、 世界中のハンター症候群
の患者の皆さんに一日でも早くお届けできるようにしたいと思っています。 」
イズカーゴⓇ(pabinafusp alfa)は、厚生労働省より先駆け審査指定制度のもと 2021 年
3 月に承認されました。この承認は、米国でのファストトラック指定、欧州におけるオーフ
ァンドラッグ指定ならびに PRIME 指定、また米国における臨床試験開始承認などの
pabinafusp alfa に関する薬事上のマイルストーンの頂点に立つものです。現在、ブラジル
国家衛生監督庁(ANVISA)に製造販売承認申請中であり、また、グローバル臨床第 III 相
試験では被験者のリクルートが開始されています。

BBB 通過技術のコンセプトを最初に提唱したカリフォルニア大学ロサンゼルス校名誉教
授 William M, Pardrige 医学博士は次のように述べています。
「イズカーゴⓇの承認は、MPS II などのライソゾーム病における脳治療に対するマイルス
トーンとなりました。イズカーゴⓇはモノクローナル抗体とライソゾーム酵素の融合タンパ
クとして設計された[輸送]と[補充]の役割を持つ生物学的製剤で、抗体ドメインが[ト
ロイの木馬の役割(※) ]を果たし、受容体を介した BBB 輸送によって欠損しているライ
ソゾーム酵素を脳内に運び込みます。BBB 通過を可能とする技術は、BBB を通過すること
のない多くの生物学的製剤の再設計に展開することができます。BBB 通過技術との融合タ
ンパクといった新たな治療法は、MPS II のような希少な遺伝性疾患とアルツハイマー病の
ようなより一般的な脳疾患の両方に対し薬剤治療の可能性をもたらします。 」
(※ギリシャ神話のトロイの木馬の物語のように、本来生態が持つ防御機能を欺いて脳の
中に入ることを示す。 )

当社の常務取締役であり、J-Brain CargoⓇの発明者である薗田啓之は次のように述べて
います。
「当社は、ライソゾーム病を含む希少疾病に長年コミットしている中で、中枢神経症状を改
善する必要に迫られて独自の BBB 通過技術を開発しました。そしてこの技術を使った最初
の品目がイ ズ カーゴ ® です。BBB 通過技術においては Pardridge 医学博士より、そしてイ
ズカーゴ® の臨床開発では多くの患者の皆さんや先生方より、お力添えいただき上市に至り
ました。イ ズ カーゴ ® の開発に関わってくださったすべての方に感謝いたします。我々は今
後も、希少疾病における新薬の開発にフォーカスし続けます。」


WORLDSymposiumTM 2022 はライソゾーム病をテーマとして毎年開催される学会です。
WORLD の名称は、
“We're Organizing Research on Lysosomal Diseases”の頭文字をとっ
たもので、ライソゾーム病の研究を組織的に行うことを目的としています。2002 年に始ま
った本学会は、世界 50 カ国以上から 2000 人以上の参加者が集まる国際研究学会にまで成
長しています。
以 上


Pabinafusp alfa について
Pabinafusp alfa について、マンノース-6-リン酸受容体を介した作用に加え、当社独自の
血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」によりトランスフェリン受容体を介して血液脳関
門(以下、BBB)を通過させることによる中枢神経症状に対する作用を期待し、分子設計
の段階から非臨床、臨床にいたるまで必要なエビデンスを構築しながら開発を進めて参り
ました。非臨床試験においては、トランスフェリン受容体への親和性だけでなく、
Pabinafusp alfa が BBB を通過し神経細胞へ到達することを確認し、また、脳の各組織中
への酵素取り込み、蓄積基質の減少を確認いたしました 1,2。これらの結果に基づき実施し
た臨床試験においては、中枢神経系症状に対する有効性の代替評価指標である脳脊髄液中
のヘパラン硫酸濃度において、非臨床試験にて得られた結果と矛盾しない結果を得ており
ます。また、中枢神経症状への作用と考えられる結果も得ております 3,4,5,6。
日本においては、「イズカーゴⓇ点滴静注用 10mg」の販売名で厚生労働省より承認を取得
し、2021 年 5 月より販売しています。
また、2021 年 9 月に、武田薬品工業株式会社と特定地域における独占的な共同開発およ
びライセンス契約を締結しました。両社は当社が実施するグローバル臨床第 III 相試験の
終了後、本治療薬を一日でも早く患者の皆さんにお届けできるよう協力してまいります。


ムコ多糖症 II 型(ハンター症候群)について
ライソゾーム病の一種であり、遺伝子異常により全身の細胞においてライソゾーム内の特
定の加水分解酵素(イズロン酸-2-スルファターゼ)が欠損又は働きが低下することでムコ
多糖(グリコサミノグリカン)が過剰蓄積する X 染色体連鎖劣性遺伝性疾患です。発症頻
度は男児約5万人に1人とされており、現在世界で 7,800 症例と推測されています(当社
調べ)
。主な症状として、関節拘縮や骨変形、肝臓・脾臓の肥大、呼吸障害、弁膜疾患
等、幅広い症状が挙げられますが、特に中枢神経症状が課題となっています。



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関する情報は宣言広告、医学的アドバイス等を目的とするものではありません。


参考文献
1: Sonoda, et al. A blood-brain-barrier-penetrating anti-human transferrin receptor
antibody fusion protein for neuronopathic mucopolysaccharidosis II. Mol. Ther. 2018;
26(5):1366-1374.
2: Morimoto, et al. Clearance of heparin sulfate in the brain prevents neurodegeneration
and neurocognitive impairment in MPS II mice. Mol. Ther. 2021; 29(5): 1853-1861.
3: Okuyama, et al. Iduronate-2-sulfatase with Anti-human Transferrin Receptor
Antibody for Neuropathic Mucopolysaccharidosis II: A Phase 1/2 Trial. Mol Ther. 2020;
27(2): 456-464.
4: Okuyama, et al. A Phase 2/3 Trial of Pabinafusp Alfa, IDS Fused with Anti-Human
Transferrin Receptor Antibody, Targeting Neurodegeneration in MPS-II. Mol Ther. 2021;
29(2): 671-679.
5: Giugliani, et al. Iduronate-2-sulfatase fused with anti-human transferrin receptor
antibody, pabinafusp alfa, for treatment of neuronopathic and non-neuronopathic
mucopolysaccharidosis II: Report of a phase 2 trial in Brazil. Mol Ther. 2021; 29(7): 2378-
2386.
6: Giugliani, et al. Enzyme Replacement Therapy with Pabinafusp Alfa for
Neuronopathic Mucopolysaccharidosis II; an Integrated Analysis of Preclinical and
Clinical Data. Int. J. Mol. Sci. 2021, Volume 22, Issue 20, 10938.

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