『embedded award 2021』最優秀賞受賞に関するインタビュー記事(第2弾)掲載のお知らせ

2021 年7月7日


各 位
会 社 名 K u d a n 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役 C E O 項 大 雨
(コード番号 4425 東証マザーズ)
問合せ先 執 行 役 員 C F O 中 山 紘 平
( T E L . 0 3 - 4 4 0 5 - 1 3 2 5 )




『embedded award 2021』最優秀賞受賞に関する
インタビュー記事(第2弾)掲載のお知らせ

当社は、革新的な製品を対象としたアワード『embedded award 2021』のスタートアップ部門
で、Kudan Visual SLAM(KdVisual)が最優秀賞を受賞したことに関連した特集記事第2弾とし
て、当社の子会社である Kudan USA LLC(以下、Kudan USA)の CEO 村井太郎のインタビュー記
事が Markt&Technik 誌の英語ウェブ版にて公開され、今週後半にドイツ語ウェブ版とプリント
版でも公開されますことをお知らせいたします。Artisense を含めた Kudan グループのそれぞ
れのプロダクトの注力領域や差別化要因などについてまとまっております。
なお、記事は全文英語のため、ウェブ版の和訳を本リリースの別添資料として公開いたしま
す。


オリジナルのインタビュー記事(英語):
Kudan awarded for its SLAM technology »Eyes to the all machines - that's our goal«


『embedded award 2021』スタートアップ部門の最優秀賞受賞に関する詳細:
Kudan Visual SLAM、embedded world 2021 DIGITAL にて 『embedded award 2021』スタートア
ップ部門の最優秀賞受賞のお知らせ


第1弾のインタビュー記事(和訳版)はこちら:
『embedded award 2021』最優秀賞受賞に関するインタビュー記事(第 1 弾)掲載のお知らせ





<別添資料>


≪Kudan USA CEO 村井のインタビュー記事第2弾≫


Kudan株式会社(以下、Kudan)は 2014 年に設立され、英国のブリストルに R&D の拠点を有
しています。Kudan は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)と呼ばれるコンピュ
ータビジョン技術のソフトウェアを提供しており、その SLAM という技術を用いることで、カメ
ラや Lidar などのセンサによって、機械やデバイスが、どこにいるのか、どのように動いている
のか、周囲がどうなっているのかを理解させることが可能です。現在、グループ会社である
Artisense 社も含め、ヨーロッパ(英国のブリストルとドイツのミュンヘン)に 2 つの R&D セン
ターがあり、30 人以上の SLAM エンジニアが在籍しているほか、日本と米国にも事業拠点を構え
ています。SLAM を専門とするエンジニアの数においては、Kudan は、世界最大の独立系の SLAM
ソフトウェアプロバイダーです。また、東京証券取引所に上場しています。


― Kudan は、今年の embedded award のスタートアップ部門で最優秀賞を受賞しました。この名
誉ある賞が日本のスタートアップ企業に与えられたのは初めてのことです。 今回の受賞は、
Kudan にとってどのような意味がありますか?また、村井さん個人にとってはいかがでしょう
か?


Kudan の革新性と技術がついに世界の舞台で認められたことは非常に心強いものでしたし、組込
み系の市場において、Kudan の SLAM ソフトウェアが成熟し、リーダーシップを発揮しているこ
とが明確に示されたと感じています。Kudan は、2014 年から SLAM ソフトウエアを開発しており、
今回の受賞については、高性能な商用 SLAM ソフトウェアに対する市場の需要が高まっていると
いう期待の表れとも言えるでしょう。また、日本のスタートアップ企業として初めてこの名誉あ
る賞を受賞できたことも大変誇りに思います。
個人的には、市場にはまだ多くの成長の機会があると考えており、だからこそ、ますます厳しく
なる市場の要求に応えるためにも、Kudan の技術力を磨き続ける必要があります。今回の受賞は、
Kudan のこれまでの功績を称えるだけでなく、特に、ロボット、自動運転、AR/VR、マッピングな
どのターゲットとなる適用領域において、SLAM 技術や Kudan という企業の認知度を高めるきっ
かけになると思います。


― Kudan は、Kudan Visual SLAM(KdVisual)だけでなく、他の SLAM ソフトウェア製品も開発
されています。提供しているプロダクトやそれらを支える技術について簡単にご説明いただけ
ますか。 また、そのソリューションの主な用途は何でしょうか?


Kudan は、グループ会社である Artisense とともに、Kudan GrandSLAM を提供しており、それに
は、KdVisual や Kudan 3D-Lidar SLAM(KdLidar)
、そして Artisense 社による Visual Inertial
Navigation System(VINS)の 3 種類の SLAM ソフトウェアが含まれています(図 1)






図 1:Kudan グループの提供するプロダクトの概要




KdVisual と VINS は、カメラを主なセンサとして使用しており、Indirect Visual SLAM と Direct
Visual SLAM という Visual SLAM の幅広い領域をカバーしています。これらの異なる手法は、そ
れぞれの使用環境やユースケースに適した強みや性能を持っており、Kudan は、それらの手法を
生かしながら、クライアント企業に最適なソリューションを提供することができます。KdVisual
は、クライアント企業やパートナー企業が独自の自己位置推定機能を構築するための API ライ
ブラリです。一方、VINS は、Direct Visual SLAM ソフトウェアに加え、カメラ、慣性計測ユニ
ット(IMU)
、GNSS などのハードウェア及びコンピューティングボックスを組み合わせたパッケ
ージ製品です。


3D Lidar(光による検知と測距)は、自動運転、ロボット、ドローン、マッピングなどの SLAM
関連の適用領域でますます人気が高まっています。3D Lidar を用いた SLAM 技術は、Kudan の研
究開発投資として Visual SLAM に次ぐものとして非常に理にかなったものでした。KdVisual と
同様に、KdLidar は、クライアント企業のソリューションに統合可能な API ライブラリを提供し
ています。
これらの SLAM ソフトウェアソリューションは、IMU、GNSS、ホイールオドメトリなどの他のセン
サデータと融合させることにより、パフォーマンスのさらなる向上が期待できます。


なお、これら 3 種類の SLAM ソフトウェアは、それぞれ異なる適用領域や環境に応じた強みを持
っています(図 2)






図 2:Kudan グループの提供するプロダクトがターゲットとする適用領域の例



KdVisual が主にターゲットとする適用領域は、AMR(自律走行ロボット)や AGV(無人搬送車)
などの屋内向けの産業用ロボットで、それに続き、消費者向けロボットや AR/VR などが挙げられ
ます。また、Kudan は現在、ADAS(先進運転支援システム)やドローンのプロジェクトにも積極
的に取り組んでいます。
KdLidar は、自動運転だけでなく、産業用ロボットにも注力しており、GNSS と IMU を効果的に融
合させることができることから、屋内だけでなく屋外の環境にも対応可能です。また、KdLidar
は、施設のメンテナンスやインフラの点検など、センサの位置を正確に把握しながら正確な地図
を作成する必要があるマッピングや測量などの領域にも適しています。
Artisense の VINS は、自動車分野における ADAS と自律走行車の両方のニーズに対応しており、
バスやトラックなどの車両位置情報など、自動運転にとどまらない適用領域も含まれています。
また、最近では、配達ロボットなどの屋外ロボットの領域において、風景の変化に左右されない
堅牢で正確な自己位置推定が求められています。 VINS は、その性能とコスト競争力から、この
市場に最適であると自負しています。


― これら 3 つの製品は、それぞれ異なる技術を使用しており、対象となる適用領域も異なると
のことですが、それぞれの製品の主な利点は何でしょうか?


効率的な市場カバレッジを実現し、エンジニアリングの効果を最大化するために、それぞれを差
別化しています。





1. KdVisual:主な利点としては、特に ROS(ロボットオペレーティングシステム:ロボット
開発において非常に普及しているプラットフォーム)において、速度と精度の絶妙なバラ
ンス、堅牢性、統合のしやすさなどが挙げられます。SLAM は一般的に、処理負荷の高い
技術であることからコンピューティングやメモリに制約のあるシステム環境下で有効に
活用することは非常に困難です。しかし、KdVisual においては、クライアント企業は、
より軽い処理装置(最も人気のあるオープンソースのソフトウェアの ORM-SLAM2 の 2〜10
倍の速度)を使用することができ、そのうえ、スマートフォンデバイス上でも動作できま
す。また、産業用のロボット領域における一般的な運用上の要件である地図に対する1cm
未満の繰り返しの相対的な位置精度を実現しつつ、既存の地図上でのロボットの自己位
置測定においても、他社の SLAM 技術よりも(10〜20 倍程度)速く測定可能です。
2D-Lidar を使用するロボットでも、KdVisual は、カメラと Kudan のソフトウェアを単に
追加するだけで、ロボットが自己位置を見失う、という重要なペインポイントを効果的に
解決することができます。ROS ベースのロボットの場合、数週間や数ヶ月単位ではなく、
数日のオーダーで、このような統合は可能です。




図 3:カメラの加工画像と KdVisual で作成した点群地図



2. VINS:主な利点としては、風景の変化に対応できる堅牢性と非 GPS 環境(トンネルや都市
部のビルが密集したエリアなど)での精度の高さであり、そのうえ 1 万ドル以上するハ
イエンドの慣性航法システム(INS)などの代替製品と比べると、ハードウェアコストを
大幅に削減できる点です。自律移動型ロボットは、通常、事前に収集・作成された点群地
図を使用しており、その地図を活用しながら、いつでも自分の位置を見つけ出すことがで
きます。しかし、人や物、照明、天候、季節などによる環境変化が激しい屋外では、一日
のうちに環境や風景が変化してしまうため、事前に作成した地図と照らし合わせて自己
位置を特定するのは非常に困難な場合もあります。加えて、Direct Visual SLAM は、GPS
が断続的にしか利用できない場合でも、長距離で車線レベルの精度を提供することが可
能です。VINS においては、独自の Visual SLAM のアルゴリズム、先進的なセンサ融合、
カメラ・IMU と GNSS データ及び、深層学習アルゴリズムにより同等の性能をわずかなコ
ストで実現します。




図 4:Artisense VINS 開発キットのインターフェースの簡易イメージ


3. KdLidar:3D-Lidar SLAM の主な利点は、精度と堅牢性であり、特に屋内や、屋内と屋外
の混合環境を含む非 GPS 環境において威力を発揮します。なお、3D-Lidar センサは SLAM
に非常に適しており、多くの中間処理を必要とせずとも、Kudan のアルゴリズムですぐに
使用できるデータを提供します。これらのセンサの多くは長射程であり、物体やその周囲
の構造物の正確な奥行き情報を点群として提供しており、これを SLAM で直接利用するこ
とにより、 レベルの精度を実現することができます。
cm 特に 360 度の視野を持つ 3D-Lidar
と組み合わせる場合、人や車、動体などの変化に富んだ物体に直面しても、堅牢性を確保
した SLAM を提供しています。




図 5:KdLidar が作成した点群マップで、GPS(黄色)と KdLidar(水色)の軌跡を比較したもの

― Artisense は、Kudan グループの 1 社であり、ミュンヘン工科大学発のコンピュータビジョ
ンのスタートアップ企業でもあります。社内でのアーティセンスの位置づけとは?


Artisense は、Kudan にとっての次の成長エンジンといえます!Artisense は、ArtiSLAM という
パッケージ製品を持ち、すでにソフトウェアがリファレンスハードウェアに統合されているた
め、クライアントとの研究開発やクライアントの製品との統合プロセスの加速化が可能です。ま
た、Kudan にとっては、中長期で有効な技術力を確保するために必要な、最先端の研究にアクセ
スすることが可能となります。というのも、Artisense は、2016 年にミュンヘン工科大学(TUM)
からのスピンオフとして設立されており、Artisense の技術開発には、TUM のコンピュータビジ
ョンラボの Daniel Cremers 教授が深く関わっています。同教授のコンピュータビジョンラボに
は世界で最も権威のある学術研究チームの一つがあり、SLAM 研究の分野をリードしています。


― Kudan の中長期の経営戦略のなかで、
“Eyes to the all machines”というビジョンを掲げ
ていますよね。これは具体的にはどういう意味で、このビジョンをどのように実現しようとし
ているのでしょうか。


“Eyes to the all machines”とは、簡単に言うと、機械における空間認識のコア技術を構築す
るということです。Kudan の SLAM 技術によって、すべての機械、ロボット、そして動体が自己
位置や周囲の状況を理解できるようにしたいと考えています。我々は、コンピュータビジョン業
界の ARM になることを目指しています。ARM は、多くのコンピューティングプラットフォームに
おいてプロセッサ・アーキテクチャを提供していますが、ほとんどのエンドユーザーは、自分の
デバイスのプロセッサに ARM のアーキテクチャが使われていることは知りません。このように、
多くのエンドユーザーがその事実に気付かなくとも Kudan としてはできるだけ多くの機械やデ
バイスに SLAM を活用してもらいたいと考えています。
我々はこのビジョンに向けて、プロセッサやセンサの OEM と密接に協力しながら、SLAM ソフト
ウェアをこれらのコンポーネントと一緒に提供しつつ、開発者がより簡単に Kudan の SLAM にア
クセスできるようにするなど、複数の方法で実現に向けて邁進しています。また、5G ネットワ
ークの拡大が進んでいることから、SLAM に 5G を活用して、“SLAM as a Service”
(サービスと
しての SLAM)を提供することに大きな可能性を感じています。これにより、エッジデバイス上
のセンサと 5G 受信機のみが必要となるため、デバイスの軽量化と低コスト化の実現が可能とな
り、クラウド上において SLAM を実行しながらも完全な空間認識ができるようになります。この
目的を達成するためにも、すでに複数の大手通信事業者と協業しています。


― Kudan は元々日本の会社ですが、ヨーロッパ、特にドイツ市場においては、Kudan をどのよ
うに位置づけていますか?


実は、Kudan にはユニークな歴史があります。Kudan は、日本人の創業者が英国人の CTO と英国
のブリストルで出会い、AR マーケティング事業を始めたことで誕生しました。最初は AR SDK を
提供していましたが、現在は SLAM API を提供するなど、常に進化を続けています。主要なエン




ジニアリング業務はまだ英国で行っていますが、現時点においてはヨーロッパよりも日本から
の売上の方が多くなっています。しかし、我々は、日本以外の地域をより注視しており、英国で
の研究開発のほかミュンヘンの Artisense が加わったことで、ヨーロッパ、特にドイツでのエキ
サイティングな成長機会が見え始めています。ドイツにおける Artisense のネットワークとプ
レゼンスも十分に活用していく予定です。


― 今後の Kudan に期待できることは何でしょうか?


SLAM ソフトウェアを使用した製品がどんどん市場に出てくることをお楽しみいただきたいで
す!現在進行中のプロジェクトのなかには、今年または来年の初頭に商業的に立ち上げる予定
のものもあります。また、市場の開発者が Kudan のソフトウェアにアクセスする機会を増やすた
めにパートナー企業と積極的な取り組みを行っています。この勢いを加速させて、Artisense と
ともにビジョンを実現していきたいと考えています。どうぞご期待ください!


※本インタビュー記事の原文は elektroniknet.de に掲載されています。
※※オリジナルの記事には一部画像が割愛されておりますが、本記事の和訳版では、分かりや
すさを重視し残しています。




【Kudan株式会社について】
Kudan(東証上場コード: 4425)は機械(コンピュータやロボット)の「眼」に相当する人工知
覚(AP)のアルゴリズムを専門とする Deep Tech(ディープテック)の研究開発企業です。人工
知覚(AP)は、機械の「脳」に相当する人工知能(AI)と対をなして相互補完する Deep Tech と
して、機械を自律的に機能する方向に進化させるものです。 現在、Kudan は高度な技術イノベ
ーションによって幅広い産業にインパクトを与える Deep Tech に特化した独自のマイルストー
ンモデルに基づいた事業展開を推進しています。
詳細な情報は、Kudan のウェブサイト(https://www.kudan.io/?lang=ja)をご参照ください。


■会社概要
会 社 名:Kudan株式会社
証券コード:4425
代 表 者:代表取締役 CEO 項 大雨


■問い合わせ先
ir@kudan.eu





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