電通の海外子会社カラが、世界の広告費成長率予測の定期改定を実施

2015 年 9 月 24 日


電通の海外子会社カラが、世界の広告費成長率予測の定期改定を実施

●2015 年の世界の広告市場は前年比 4.0%増の 5,290 億ドルを予測(前回予測は 4.6%増の
5,400 億ドル)
。2016 年にはさらに約 250 億ドル増加の同 4.7%増(同 5.0%増)へ
●日本の広告市場は、2015 年が前年比 1.4%増(前回予測は 0.9%増)

2016 年が同 1.6%増(同 1.2%増)
●デジタルシフトがさらに加速し、世界の広告市場に占めるデジタル広告費の構成比率は、
2015 年に 24.3%(前回予測は 23.9%)
、2016 年に 26.5%(同 25.9%)へ


電通の海外子会社でメディア・コミュニケーション・エージェンシーである Carat(カラ)
は、年に 2 回(3 月と 9 月)、全世界 59 地域から収集したデータを基に、世界の広告費成長率予
測を行っています。今回は 2015 年 3 月に公表した 2015 年と 2016 年の成長率について改定い
たしました。世界各地の広告市場の方向性を見る上で重要な指標とみなされている本予測から、
本リリースでは、全世界 59 地域トータル、および主要地域/国に関する推計値をお知らせしま
す。
成長率(前年比、%)





59 4.6 4.0 5.0 4.7
4.5 4.2 4.6 4.5
4.6 4.3 4.7 4.5
2.5 2.5 3.0 3.0
2.8 2.6 2.8 2.9
6.4 6.4 5.8 5.5
1.6 1.6 1.8 1.7
0.0 0.1 0.2 0.7
0.9 0.5 0.7 0.7
6.8 6.9 6.9 6.9
-2.2 -6.0 3.9 1.6
-7.1 -14.0 4.5 0.0
5.2 4.1 5.8 4.7
1.0 2.4 1.5 2.8
7.9 6.0 8.1 6.5
11.0 11.0 11.3 12.0
0.9 1.4 1.2 1.6
11.1 12.7 11.9 13.6
6.6 6.0 8.4





■主なポイント


2015 年の世界の広告費成長率(2015 年 3 月時予測の改定)
・2015 年の世界の広告市場は、2015 年 3 月予測の 4.6%増からわずかに下方修正。主な要因は、
最近の中国とロシアにおける経済の減速によるものです。その結果、2015 年の世界の広告費
は 5,290 億ドル(前回予測は 5,400 億ドル)へ。また 2016 年には 4.7%の成長が見込まれ、
さらに約 250 億ドル増加するとみています。
・7 つの対象媒体で算出される世界の広告市場では、テレビが最大のシェアを占め、2015 年に
42.0%(前回予測は 42.2%) 2016 年に 41.3%
、 (同 41.7%)になると予測しています。一方、
モバイルやオンラインビデオの支出増加などデジタルシフトの加速により、デジタル広告費
の構成比率は、2015 年に 24.3%(前回予測は 23.9%)、2016 年に 26.5%(同 25.9%)へと
伸長すると予測しています。
・地域別にみると、2015 年の世界の広告市場は世界的にポジティブであり、北米が 4.2%増、
西ヨーロッパが 2.6%増、アジアパシフィックが 4.1%増、ラテンアメリカが 12.7%増にな
る見通しです。また 2016 年には、中央および東ヨーロッパを含むすべての地域がプラス成
長になると予測しています。
・2015 年の西ヨーロッパでは、ギリシャこそ政治的混乱により成長率が 12%減になる見通し
ですが、市場規模の大きい英国やスペインの予測がそれぞれ 6.4%増、 6.9%増と堅調なこと
もあり、ギリシャのマイナスを打ち消す状況にあります。
・アジアパシフィックでは中国の景気減速による影響があるものの、インド市場の高い成長や
堅調なオーストラリア市場による貢献に支えられ、地域全体は順調に拡大していくとみられ
ます。


2016 年の世界の広告費成長率(2015 年 3 月時予測の改定)
・2016 年の広告市場は、2015 年 3 月の前回予測からは下方修正されたものの、世界的な経済
成長への期待から、引き続き 4.7%の成長を見込んでいます。この背景には、UEFA 欧州サッ
カー選手権、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック、米国大統領選などの大型イベ
ントが続くことがあります。
・地域別にみると、北米は前回予測から微減したものの、引き続き 4.5%と高い成長が見込めま
す。西ヨーロッパは、英国および回復基調にあるスペインの高い成長に加え、フランスが前
回予測を上回る見通しになったことから、全体では 2.9%増を見込んでいます。また、中央お
よび東ヨーロッパでは引き続き厳しい経済環境が続くとみられることから、前回予測の 3.9%
増を 1.6%増へと下方修正しています。アジアパシフィックは、持続する各国市場の高い伸び
や上方修正された日本に加え、さらなる浮上が期待されるインドの貢献があるものの、世界
第 2 位の広告市場である中国の伸びが前回予測を下回ることから、地域全体では 5.8%増から
4.7%増へと下方修正しています。



地域別内訳


北米
・世界第 1 位の広告市場である米国は、2015 年は 4.3%増(前回予測は 4.6%増)となる見通
しで、2016 年には大統領選やリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックによるキャン
ペーン効果に支えられて 4.5%増(同 4.7%増)になると予測しています。下方修正となった
要因は、米国では冬の大寒波が 2015 年上半期の個人消費を弱含みにしてしまったことが挙
げられます。
・米国ではモバイルなどのデジタル広告が伸張しており、2018 年にはデジタル広告費がテレビ
広告費を追い抜く見通しです。
・カナダの広告市場は、昨年は景気低迷の影響を受けて下落しましたが、2015 年は緩やかな成
長へと転じ、連邦議会選挙による効果も相まって 2.5%増となり、2016 年にも 3.0%の成長
が期待されます。


西ヨーロッパ
・2013 年には 0.6%減とマイナス成長となった西ヨーロッパは、2014 年以降はプラス成長へと
転換。2014 年は 2.8%増となり、2015 年と 2016 年もそれぞれ 2.6%増、2.9%増になるとみ
ています。
・2015 年のけん引役となる国は、スペイン、英国、アイルランド、ポルトガル。一方、ギリシ
ャは回復への期待から前回予測では 8.0%増を見込んでいましたが、長引く政治的混乱による
影響を踏まえ 12.0%減へと大幅に下方修正しました。ギリシャ広告市場の回復は 2016 年に
なると予想しています。
・英国の広告市場は 2014 年に 7.9%増と高い伸びを示しましたが、2015 年もラグビーのワー
ルドカップ効果が期待されることから 6.4%の成長を予測しています。また 2016 年には、
UEFA 欧州サッカー選手権、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックなどによる効
果で、5.5%の成長が期待されます。
・ドイツの広告市場は巡航速度の成長を続けています。2014 年の 1.5%増に続き、2015 年は
1.6%増、2016 年も 1.7%増を見込んでいます。
・フランスの広告市場は 3 年連続のマイナス成長が続いていましたが、ようやく成長トレンド
に入りました。2015 年上半期から堅調であることから、2015 年、2016 年ともに前回予測の
成長率を上方修正しています。
・スペインの広告市場は 2015 年に入り、これまではヨーロッパで最も高い成長率を誇ってい
ます。11 月には総選挙も控えており、また消費動向も堅調なことから企業による広告支出も
増加傾向にあり、2015 年、2016 年ともに 6.9%の成長が期待されます。





中央および東ヨーロッパ(C&EE)
・C&EE における 2015 年の広告市場は、前回予測の 2.2%減から 6.0%減へと下方修正しまし
た。これは、主にロシア経済の低迷によるものですが、2016 年には年半ばから回復に向かう
との見通しから、広告市場も 1.6%のプラス成長になることが期待されます。
・C&EE における第 2、 3 の広告市場であるポーランドとトルコは、
第 それぞれ 2015 年と 2016
年に 1 桁台前半の成長率を示すと予想しています。


アジアパシフィック
・アジアパシフィックは経済成長の減速の影響を受け、2015 年、2016 年ともに広告市場の成
長率を下方修正しました。とりわけ世界第 2 位の広告市場である中国のスローダウンが影響
を与えています。また、アジアパシフィック 14 市場のうちインドネシア・香港・台湾・マレ
ーシアを含む 7 市場では、世界の経済動向の影響もあり、2015 年と 2016 年の成長率を前回
予測から下方修正しています。一方、インド、フィリピン、ベトナムは堅調な経済成長に支
えられ、両国の広告市場は 2015 年、2016 年ともに 2 桁の成長を示すと予想しています。
・オーストラリアの広告市場は過去 4 年間は芳しくありませんでしたが、経済が改善の兆しを
見せていることから 2015 年にはプラス成長となり、2016 年も順調に拡大する見通しです。
・世界第 3 位の広告市場である日本については、前回予測では 2015 年に予定されていた消費
税増税が 2017 年に延期になったことに伴い、駆け込み需要のない広告市場は弱含みになる
と予想していました。しかし、円安効果などもあって、2015 年上半期の日本企業の業績が予
想を超えて好調であったことから、広告市場は引き続き緩やかではあるものの、前回予測を
上回るレベルで推移することが期待されます。


ラテンアメリカ
・ラテンアメリカは 2015 年と 2016 年の成長見通しが最も高い地域となっています。ブラジル
の広告市場は 2016 年のリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの効果もあることか
ら順調ではあるものの、ブラジル経済の減速感から、2015 年の成長率については下方修正し
ています。
・一方、インフレの影響で広告市場の成長率の上昇が予測されるアルゼンチンや、安定した経
済成長が見込まれるコロンビア広告市場の上方修正などにより、ラテンアメリカ全体では
2015 年、2016 年ともに 2 桁の成長が見込まれます。


以 上


(注)Carat(カラ)は同社の世界ネットワークを通して収集した情報に基づき、59 地域の広告費の成長率を独
自に分析・推計しています。対象媒体には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館広告(シネアド)、屋外
/交通広告、デジタルが含まれます。




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