明るい環境下でも視認性に優れるインセル染料系偏光子と量子ドットを用いたボトムエミッション型ディスプレイの開発

ニュースリリース



2018年 1月12日
株式会社ポラテクノ
代表取締役社長 森田博美

明るい環境下でも視認性に優れるインセル染料系偏光子と量子ドットを用いた
ボトムエミッション型ディスプレイの開発

株式会社ポラテクノ(代表取締役社長:森田博美、本社:新潟県上越市)と東北大学藤掛石鍋研究室
のグループは、インセル染料系偏光子と量子ドットを液晶ディスプレイに使用し、ボトムエミッション
構造とすることで、明るい環境でも視認性に優れる新規なディスプレイを開発しました。

液晶ディスプレイ(LCD) 、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OLED)はテレビやスマート
フォンで広く普及していますが、明るい環境下では見えづらくなるという課題がありました。このため
ディスプレイの表面輝度を上げる必要があり消費電力を増加させてしまう原因にもなっていました。
株式会社ポラテクノと東北大学藤掛石鍋研究室
のグループは、図1に示すようにインセル染料系
偏光子と量子ドット(QD:Quantum Dot)カラーフ
ィルターを LCD に使用し、ボトムエミッション構
造とした明るい環境下でも視認性に優れるディス
プレイを提案しました。このディスプレイはバッ
クライトに 400nm 付近の短波長の LED を使用し QD
カラーフィルターを発光させることでカラー表示
を実現し色再現範囲の向上と低消費電力化を可能
としています。さらに偏光子に使用する材料を工
夫して 400nm 付近の短波長光に対しても偏光性能
を付加し、QD カラーフィルターを液晶層、インセ
ル染料系偏光子の下に配置したボトエミッション 図 1 インセル偏光子と QD カラーフィルターを使用した
構造とすることで外光が量子ドットを発光させ表 ボトムエミッション型ディスプレイの構造
示に寄与させることができて明るい環境下でも優
れた表示品位を実現することができます。
一般に広く普及している偏光子はヨウ素系の偏光子であり、 のプロセス温度に耐えることができな LCD
いため偏光子をインセル化することは非常に困難でした。染料系偏光子は耐熱性に優れており LCD のプ
ロセス温度にも耐えることができるので、今回の提案のようなインセル型の偏光子を使用したディスプ
レイの実現が可能となりました。
白黒 TFT-LCD のガラス基板の下に 400nm 付近の短波長光に対しても偏光性能を付加した新染料系偏光
子、QD シート、405nm ピーク LED バックライトを配置したデモンストレーションサンプルを作製し、新
型ディスプレイの視認性を確認しました。図 2 に示すように従来の LCD では明るい環境下では表示が見
えづらくなっているのに対し、デモンストレーションサンプルでは優れた視認性を実現しています。な
お、明るい場所での色調変化は QD の発光特性に依存するもので改良が可能です。
こ の 内 容 につ い て は
2017 年 12 月 6~8 日に仙
台で開催されたディス
プレイの国際シンポジ
ウ ム 第 24 回 IDW
(International Display
Workshop)で発表し注目
を集めました。 デモンストレーションサンプル 従来 LCD デモンストレーションサンプル 従来 LCD
製品化については 3 年
(b) 明るい環境下(セリック社製人工太
後の 2020 年を予定して (a) 暗い環境下 陽照明灯 10000Lx/5500K)
います。
図 2:デモンストレーションサンプルの表示の様子

以上

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