水中の遺伝子情報から生物多様性を観測する「環境DNA調査」のデジタル化

報道発表資料
2024 年 2 月 7 日
アステリア株式会社
キーウェアソリューションズ株式会社
⽔中の遺伝⼦情報から⽣物多様性を観測する「環境 DNA 調査」のデジタル化
採⽔地点の位置情報や調査⽇時などの記録を⾃動化︕データ登録⼯数が約 60%削減
東北⼤学⼤学院⽣命科学研究科 近藤研究室がフィールド調査記録を⼿書きからスマホ⼊⼒へ

アステリア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:平野洋一郎、証券コード:3853、以
下 アステリア)とキーウェアソリューションズ株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:
三田昌弘、証券コード:3799、以下 キーウェア)は、両社が連携し国立大学法人東北大学大学院
(所在地:宮城県仙台市)生命科学研究科(以下 生命科学研究科)の近藤研究室(教授:近藤倫
生)が主導する水中の遺伝子情報から生息する生物の多様性を観測する「環境 DNA 調査」のフィ
ールド調査を、ノーコード※モバイルアプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」を用いてデジタ
ル化したことを発表します。

■東北大学大学院生命科学研究科 近藤研究室が「環境 DNA 調査」をデジタル化した背景
同大学院では、生命科学研究科の近藤倫生教授の
統括の下、バケツ 1 杯の水に含まれる遺伝子情報か
ら生息する生物の種類や分布を判別する環境 DNA 調
査を手掛けています。この調査では、市民ボランテ
ィアなどの調査員が全国各地の海や川の水を採取。
調査員は採水した日時、位置情報(経緯度)、天候
などの情報を紙に手書きで記載する形態でのフィー
ルド調査を行ってきました。
しかしながらフィールド調査における記録が屋外
近藤教授がアプリを作成する様子
での手書き入力であったために、桁数が多くなる経緯
度などの記録では記載ミスが多発したほか、紙の調査票が汚れるなどアナログならではの課題を
抱えていました。紙に記載された大量の情報をパソコンで入力する必要があるなど、後工程での
データ登録作業も非効率になっていたため、フィールド調査のデジタル化を検討していました。
<Platio を導入したポイント>

抱えていた課題 Platio が解決したポイント
アプリに入力された内容は即座にデータ化されるので、紙
紙に記録された調査結果をデータ化す
への記録をデータ入力する作業が解消された
る入力作業に相当の工数が必要
[100 件あたり約 2.5 時間の登録工数削減を実現]
スマホの GPS 機能が活用できるので、位置情報の記録が
手書きで記録していたため位置情報
自動化され経緯度の転記ミスが撲滅された
(緯経度)を中心に記載ミスが多い
[全体の 20%程度必要だった修正を撲滅]
デジタル化やアプリ化を検討するにも アプリ作成経験のない非 IT 技術者でもアプリの作成やカ
関係者に専門知識のある人がいない スタマイズが可能なノーコード仕様(注)
山間部や海岸が主要調査地点のため、 アプリ利用時に通信圏外であっても、通信接続回復時に自
通信圏外となる調査地点が多い 動アップロードされる Platio 独自の機能が僻地調査で有効
屋外かつ水辺でのフィールド調査が多 屋外での紙によるアナログ記録からスマホアプリへの入力
く調査票が濡れるなどの問題が多発 になり記録情報の品質向上へ[ヒューマンエラーの撲滅]

(注)Platio のアプリを利用する環境はアステリアが提供し、実際のフィールド調査で使用するアプリのプロトタ
イプ作成は Platio パートナーのキーウェアが担当。Platio は非 IT 技術者でもアプリの変更や修正が可能な
ノーコード仕様であることから、調査現場のニーズや用途に合わせて近藤教授自ら手直しを重ねて完成度を
高めてきました。


これにより、今まで手書きで記録していた採水地点の位置情報や調査日時等の記録が自動化・
デジタル化され、調査データの取り込みも CSV データで一括処理が可能となり、データ登録工数
が半分以下に削減されました。東北大学大学院生命科学研究科の近藤倫生教授は、今後も全国各
地で行われるフィールド調査に対応した新規アプリを作成するなど、調査・研究活動におけるデ
ジタル化や DX を推進していく方針です。


従来の紙の調査票(イメージ) Platio での⼊⼒の様⼦




■ユーザーコメント

地球環境の持続可能性を⾼める上で、⽣物多様性を確保していくことや適正にモニタリングしてい
くことが喫緊の課題になっています。環境 DNA 調査は、バケツ⼀杯の⽔から存在する⽣物の種類
や分布が分かる⾰新的な⽣物調査で、幅広い業界での利活⽤が期待されています。
その⼀⽅で、紙によるアナログ的な⼿法で⾏っていたフィールド調査では効率が悪く、調査範囲を
拡げることを阻むハードルになっていました。今年から Platio を導⼊し⼩学⽣から⾼齢者まで 150
名以上の調査員が利⽤しましたが、従来の紙への記録では多発していた経緯度の誤記や⼊⼒ミスが
ほぼ無くなり、データ登録作業時間もいっきに削減することができました。ノーコード仕様なの
で、私⾃⾝が Platio アプリのカスタマイズができることも画期的で、⼩さなことでも気がつく度に
改善を加え続けています。⼤学の調査・研究活動には、まだまだ沢⼭のアナログ処理が残っている
ので、他の研究活動でも Platio によるデジタル化を検討していきたいです。
東北⼤学⼤学院⽣命科学研究科︓近藤 倫⽣ 教授


⼭を愛するものとして⼭岳地帯の環境調査に協⼒するために、今年の 5〜6 ⽉にかけてクライマー
などの⼭岳愛好家(⼭の⼈)とともに全国約 100 箇所で環境 DNA 調査を実施しました。私⾃⾝も
アプリを使ったフィールド調査は初めてでしたが、Platio アプリの直感的な操作により⼾惑うこと
なくスムーズな報告や集計をすることができました。特に⼭岳地帯は⾜元が厳しい場所や圏外のエ
リアが多いのですが、スマホから簡単に登録ができて、経緯度などの複雑な情報はスマホの GPS
機能から⾃動的に記録できるので⼦供でも簡単に登録ができました。また Platio は圏外であっても
問題なく動作し通信回復時に⾃動アップロードされる仕様も好評でした。
⼤学などの機関が実施する調査で Platio のようなアプリが導⼊されていると、初⼼者でも気軽に参
加できるので、今後も環境 DNA 調査に協⼒していきながら、⼭岳地帯の環境保全やネイチャーポ
ジティブなマインドの普及啓発に向けた活動を推進してまいります。
特定⾮営利活動法⼈ファーストアッセントジャパン 理事⻑
宮城県⼭岳連盟 会⻑︓むらかみ みちこ

<事例掲載 URL:Platio> https://plat.io/ja/case/tohokudaigaku
※:ソースコードを書かなくてもソフトウェアやアプリなどの開発ができる仕組み。ノーコードで開発することが
できる Platio は、プログラミング言語に関する専門的な知識がなくても、必要とする機能の実装や現場の運
用に合わせたアプリ仕様の調整などが可能。



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■「アステリア株式会社」について( Web サイト https://jp.asteria.com/ )
アステリアは社会や企業を「つなぐ」エキスパートとして「ソフトウェアで世界をつなぐ」をコンセプトに、ヒ
ト、モノ、オモイを「つなぐ」製品やサービスを提供するソフトウェア開発企業です。基幹製品の ASTERIA
Warp は、様々なシステムやクラウドのデータをノーコードで連携できる製品として、1 万社(2023 年 8 月 1 日現
在)を超える企業に導入されています。また、デジタルコンテンツプラットフォーム Handbook X は、資料や動
画、Web サイトなどあらゆる情報をアプリにまとめて管理できるクラウドサービス。モバイルアプリ作成ツール
Platio は誰でも簡単に自社の業務に合ったモバイルアプリをノーコードで作成・活用できるクラウドサービス。ノ
ード統合プラットフォーム Gravio はノーコードで様々な場所にある多様なデータを集約、活用し情報の一元管理
を可能とするノードコンピューティング基盤。これらの製品提供を通じて、DX や業務の効率化を推進していま
す。また、(一社)ブロックチェーン推進協会、(一社)ノーコード推進協会などの設立に参画するなど、様々な
イノベーションを推進し新しいテクノロジーや価値観を普及啓発する活動にも取り組んでいます。

■「キーウェアソリューションズ株式会社」について( Web サイト https://www.keyware.co.jp/ )
キーウェアは創業以来、約 60 年以上にわたり、官公庁、運輸、通信、金融、医療、流通、製造など多様な分野
において、社会インフラを支える情報システムの構築に携わってまいりました。数多くの実績を通じて培った豊富
な業種・業務ノウハウと多種多様な IT スキルを基に、IT コンサルティングから、IT 導入・構築・運用まで一連
のシステムのライフサイクル全般にわたり、お客様のニーズに最適なソリューションを提供しております。さらに
近年は、業務最適化コンサルティング、「Platio」「AI-OCR KeyRex with AI inside」などのデジタル化ソリュー
ション、各種 RPA ソリューション、「ASTERIA Warp」などのデータ連携ソリューションを通じ DX 推進に取り
組む企業を支援する「DX ファーストステップソリューション」を提供し、企業のデジタル化を強力にサポートし
ています。

■「東北大学大学院生命科学研究科」について( Web サイト https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/ )
「こころと体を制御するしくみの解明をめざす、脳生命統御科学専攻 (Integrative Life Sciences)」、「環境変動
下における細胞・生物個体から生態系までの維持機構の解明をめざす、生態発生適応科学専攻 (Ecological
Developmental Adaptability Life Sciences)」、「分子が生命体内で働く仕組みから生命制御の方法を解明する、分
子化学生物学専攻 (Molecular and Chemical Life Science)」の 3 つの専攻で構成されています。それぞれの専攻で
は、最先端の研究・教育を通して、ライフサイエンスに関する幅広い知識と研究力をもち、さまざまな方面で活躍
できるグローバルリーダーを育成します。

■ 「Platio」について( Web サイト https://plat.io/ )
Platio は、誰でも簡単に自社の業務に合ったモバイルアプリをノーコードで作成・活用できるクラウドサービス
です。現場のデジタル化と業務プロセス改善をスピーディに実現できるため、現場の DX 推進に最適です。Platio
は 100 種以上の豊富なテンプレートによりプログラミング未経験の現場担当者でも業務アプリを簡単に作成できま
す。アプリに入力したデータは管理者へリアルタイムに共有されるほか、検知機能により現場の異常をいち早く管
理者へ通知できます。複雑かつ高価格になりがちな業務用アプリを、手軽に作れるソリューションであることが評
価され、2018 年度には「 グッドデザイン賞」を受賞しています。2022 年にはアプリ作成・活用だけでなく、デ
ータ連携までをノーコードで実現できる Platio Connect を発売。これにより、現場データと様々なシステムやサ
ービスをシームレスに連携し、データ活用の支援もしています。

■ 「環境 DNA」について
水中や土壌中など環境中に存在する生物由来の DNA(デオキシリボ核酸)を指します。生物はフンや粘液など
と一緒に自らの DNA の痕跡を環境中に残します。野外で採取した水や土壌などから生物由来 DNA を抽出、分析
することでそこに住む生物の種類を知る技術(環境 DNA 技術)が近年になって大きく発展しました。捕獲や直接
観察に頼る従来の生物調査法に比べて、調査現場での作業が圧倒的に少ないことから、従来の調査法では容易では
なかった多地点、高頻度での生物調査を実現する画期的な方法として注目されています。
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【プレスリリースに関するお問い合わせ先(報道機関窓口)】
アステリア株式会社 広報・IR 部:齋藤ひとみ・小出朱莉
TEL : 03-5718-1297 / 携帯電話 : 080-7709-5212 (齋藤)/ E-mail : press@asteria.com

キーウェアソリューションズ株式会社 経営企画部 広報 IR 室
TEL : 03-3290-1111/ E-mail : f-editor@keyware.co.jp
【製品に関するお問い合わせ先】
アステリア株式会社 マーケティング本部
TEL : 03-5718-1250 /E-mail : platio-pm@asteria.com


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本文中の商品名は、各社の商標または登録商標です。



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