水素透過膜開発進捗に関するおしらせ

2021 年 8 月 16 日

各 位

神奈川県横浜市港北区綱島東五丁目 8 番 8 号
株 式 会 社 山 王
代 表 取 締 役 社 長 三 浦 尚
(コード番号:3441)

問い合せ先 取 締 役 浜 口 和 雄

電 話 番 号 0 4 5 ( 5 4 2 ) 8 2 4 1



水素透過膜開発進捗に関するお知らせ

当社が進めております水素透過膜開発に関しまして、下記の通り進捗がございましたのでお知ら
せいたします。なお、本件が当社グループの今期の業績に及ぼす影響は現段階では軽微であります。





株式会社 山王【代表取締役社長 三浦 尚】は国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長
石村 和彦】(以下「産総研」という)と共同で、バナジウム(V)膜上へパラジウム銅(PdCu)合金膜
をワンステップの電解めっきで簡単に成膜する技術を開発しました。
今回の技術開発は主に産総研福島再生可能エネルギー研究所【所長 宗像 鉄雄】の被災地企業の
シーズ支援プログラムで進めてきたもので、めっき液中にバナジウム膜を入れて電気を流すだけで、
膜厚約 150nm の均質なパラジウム銅(PdCu)合金膜を短時間で成膜できるものです。
バナジウム(V)は比較的安価で水素透過性を持つ反面、水素透過膜として使用するために必要な表
層での水素分子の解離、再結合の触媒機能に乏しい為、表面に触媒層としてパラジウム(Pd)膜を成
膜する必要があります。しかし、これまでパラジウム(Pd)膜の成膜方法はスパッタに代表される物
理蒸着法等に限られ、大量生産に向かないという問題がありました。また、バナジウム(V)は難めっ
き材料であることからめっき膜の密着性が弱く成膜が困難とされ、電解めっきでバナジウム(V)上に
パラジウム(Pd)膜を成膜したバナジウム(V)系水素透過膜の報告例は極めて限られています。
本研究でめっき方法を検討した結果、パラジウム(Pd)膜よりも安価なパラジウム銅(PdCu)合金膜
をバナジウム(V)上にワンステップで成膜でき、十分な密着性を持ち水素透過膜として使用可能なこ
とを確認しました。高価なパラジウム(Pd)の使用量が少ないという利点を生かし、先行しているパ
ラジウム銅(PdCu)水素透過膜とともに、これらの手法で成膜した水素透過膜のさらなる低コスト化
を進めることで、水素精製装置等の早期実用化及び用途拡大に向け開発を進めてまいります。
なお、この技術の詳細は、国際学術誌 International Journal of Hydrogen Energy に 2021 年 8
月 10 日(現地時間)にオンライン掲載されました。



以上

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