蛍光検出器『SMART FCCS』の販売開始に関するお知らせ

2022年10月6日
各 位
会 社 名 コスモ・バイオ株式会社
代表者名 代表取締役社長 櫻井 治久
(コード3386 東証スタンダード)
問合せ先
役職・氏名 常務取締役総務部長 柴山 法彦
電 話 03-5632-9600




蛍光検出器『SMART FCCS』の販売開始に関するお知らせ

当社は、蛍光微粒子を解析するための装置の試作開発を重ね、このたび蛍光検出器『SMART FCCS』
を販売開始することといたしましたのでお知らせいたします。


1.『SMART FCCS』の概要
『SMART FCCS』は、蛍光相関分光法(FCS、Fluorescence Correlation Spectroscopy)注1)または
蛍光相互相関分光法(FCCS、Fluorescence Cross Correlation Spectroscopy)注2)という手法によ
る解析を従来機や従来法に比べ簡便に実施できる装置で、たとえば蛍光染色試薬や蛍光標識抗体で
標識した微粒子の濃度や大きさなどを測定する目的でお使いいただくことができます。
従来、FCS解析やFCCS解析を行うためには、共焦点蛍光顕微鏡やフォトンカウンティングのための
検出器、相関器とソフトウェアを組み合わせた、大型で非常
に煩雑な操作を伴う装置が必要でした。当社新製品『SMART
FCCS』は、写真に示しますように卓上のコンパクトなサイズ
となっており、機能としては、国立大学法人北海道大学が保
有する特許技術である蛍光相関分光装置(特許第66678
68号)を光学系に搭載することで、従来の装置と比較して
小型化および煩雑な作業をなくすことができ、さらに国立研
究開発法人産業技術総合研究所で開発された解析ソフトウェ
アとアポロ技研株式会社で開発された高性能相関器とを一体
化することにより、測定後すぐに結果を得ることができる解
析機器となっております。




2.『SMART FCCS』の用途
FCS解析やFCCS解析は、通常は分子間相互作用の解析など
に使われる機会が多い機器ですが、その原理を近年話題の細
胞外小胞のひとつであるエクソソーム注3)の検出や凝集タン 『SMART FCCS』装置




パク質注4)の検出などに応用したものが今回発売開始する『SMART FCCS』です。
たとえば、エクソソームの表面にはCD9やCD63などが存在しており、エクソソームを検出するため
のマーカー(目印)として利用されていますが、エクソソームの存在する場所や時期、内包する内
容物の違いなどによりこれらのマーカーの発現が異なることが報告されています。どのような状況
下でどのようなマーカーが発現しているかを調べることは、治療用エクソソームの品質管理、新規
がんマーカーや疾患マーカーの発見、およびそれを利用した迅速診断技術など、エクソソームの特
徴を明らかにすることについて非常に有意義な知見を得ることになります。『SMART FCCS』では、2
色の蛍光を使い分けることができるため、これらのマーカーに対する抗体に蛍光標識を付しておき
エクソソームに結合させ、それらを『SMART FCCS』で検出することができます。
今後これらの研究の一助となるべく、当社が販売するエクソソーム研究用試薬のラインアップに
加え、新商品『SMART FCCS』を国内外の研究者にご紹介してまいります。




3.製品の特徴、販売開始日および希望販売価格
製品の特徴:FCS/FCCS技術を用いた測定を簡便に行える装置。粒子径1~200nmの検出ができ、
2色同時測定による相互相関を計測できる。
販売開始時期:2022年10月下旬
希望販売価格:650万円(税抜)
※2022年10月24日より開催される日本細胞外小胞学会学術集会(於:東京都)で実機を展示する
予定です。




4.業績見通しに与える影響
本件による当期の連結業績に与える影響は軽微ですが、エクソソームの医療分野への応用が世
界的に期待されている中で、当社が、他に先駆けて幅広いラインナップの研究ツールを提供する
ことは、中長期的収益に寄与する重要な事業のひとつと位置付けています。当社グループは、こ
れからも人々の健康を守る研究開発を支えてまいります。
以上



《用語解説》

注1)蛍光相関分光法(FCS)

蛍光物質の分子運動を調べるために用いられる方法。レーザー光を利用した共焦点光学系を利用し極微小な観

察エリアを構築し、その中を出入りする蛍光分子の蛍光強度を測定するもの。

溶液や細胞内の分子は周りに制限するものがなければブラウン運動というランダムな動きをし、その動きは分

子の大きさに依存した速度を持つため、このランダムな運動をしている蛍光分子が測定領域を出入りすること

に起因する蛍光強度の増減をFCS測定により検出できる。その蛍光強度の増減を相関関数により表現すること

で、分子の動きや数といった情報を得ることができる。




注2)蛍光相互相関分光法(FCCS)

FCSの発展型であり、2色の蛍光色素を利用する。FCSが1種類の蛍光色素の情報から分子の動きと数を調べるこ

とができるのに対して、FCCSは2種類の蛍光色素の蛍光強度変化の同時測定を行うことで2種類各々の分子に

関する動きと数の情報に加え、2種類の分子間の相互作用を調べることができる。



注3)エクソソーム

細胞から放出される直径30~150ナノメートル程の小胞で、多くの生物では主に唾液や血液、尿、羊水、母乳等

の体液中に存在している。この小胞の表面には種々のタンパク質が存在し、内部にも様々な種類のタンパク質

やmicroRNAを包含している。エクソソームが細胞から放出され、体液を介して移動し他の細胞(標的細胞)へ

取り込まれてこれらのタンパク質やmicroRNAが機能することによって、エクソソームは細胞間の情報伝達の役

割を担っていると考えられている。



注4)凝集タンパク質

タンパク質が細胞内や細胞外に蓄積して塊を形成したもの。細胞内での異常な凝集タンパク質の蓄積は、アル

ツハイマー病やパーキンソン病、プリオン病などをはじめとする神経変性疾患の原因の一つとなると考えられ

ている。





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