TCFD提言に基づく情報開示に関するお知らせ

2023 年6月 26 日
各 位

会 社 名 マクニカホールディングス株式会社
代 表 者 名 代表取締役社長 原 一将
(コード番号:3132 東証プライム)
問 合 せ 先 取締役 佐野 繁行
(TEL 045-470-8980)




TCFD 提言に基づく情報開示に関するお知らせ



当社は、2022 年 6 月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)※1 の提言に賛同を表明するとともに、
賛同企業や金融機関が議論する場である、TCFD コンソーシアム※2 に参画いたしました。
2021 年度に引き続き、2022 年度も当社グループの主な事業を対象として、気候関連リスク・機会及び対応
策について、複数の気候シナリオを用いて定性的に分析・評価し、重要項目を特定し、その内容を TCFD の情
報開示フレームワークに沿ってまとめました。当社は、今後も気候変動関連情報の開示の充実に取り組み、持
続可能な社会の実現に貢献できるよう取り組んでまいります。

※1:G20 からの要請を受け、金融安定理事会(FSB)が 2015 年に設立。気候変動によるリスク及び機会が経営に与える財務的影
響を評価し、 「ガバナンス」 「戦略」 「リスク管理」 「指標と目標」について開示することを推奨しています。
(TCFD ウェブサイト:https://www.fsb-tcfd.org/)
※2:企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげる取り組みについて議論する場とし
て、2019 年に設立。TCFD の提言に賛同する企業や金融機関等が取り組みを推進しています。
(TCFD コンソーシアムウェブサイト:https://tcfd-consortium.jp/)


<ガバナンス>
当社は、サスティナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、2021 年 4 月に代表取締役社長
を委員長とする「サスティナビリティ推進委員会」を設置しております。環境課題に関する具体的な取り組み
施策については「サスティナビリティ推進委員会」で立案し、業務執行の最高意思決定機関である「グループ
経営会議」で協議、決議しています。また、決議した環境課題に対する施策の実行計画の策定と進捗モニタリ
ングを「サスティナビリティ推進委員会」にて行っています。
取締役会は、「サスティナビリティ推進委員会」から報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針・
施策及び実行計画等についての議論・監督を行っています。
代表取締役社長は、「グループ経営会議」の議長を担うと同時に、直轄の「サスティナビリティ推進委員会」
の委員長も担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っています。 「サスティナビリティ推進委員
会」にて立案し、「グループ経営会議」で協議、決議した内容は、最終的に取締役会へ報告を行っています。
■サスティナビリティ推進体制図




<戦略>
当社では、TCFD の提言に基づき、リスク及び機会を特定・評価し、気候関連問題が事業に与える中長期的な
インパクトを把握するため、2030 年における国内の主要 3 事業※3 を想定し、シナリオ分析を実施しました。
分析においては、産業革命前と比べ 2100 年までに世界の平均気温が 4℃前後上昇することを想定した 4℃
シナリオと、2℃前後上昇する 2℃シナリオを採用し、各シナリオにおいて政策や市場動向の移行(移行リス
ク・機会)に関する分析と災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施しました。使
用したシナリオのうち代表的なものは以下です。

【移行リスク・機会の分析に使用した主要シナリオ】
・4℃シナリオ:IEA※4 による Stated Policy Scenario (STEPS)※5
・2℃シナリオ:IEA による Sustainable Development Scenario (SDS)※6
【物理リスク・機会の分析に使用した主要シナリオ】
・4℃シナリオ:IPCC※7 による RCP8.5※8
・2℃シナリオ:IPCC による RCP2.6※9

分析の過程では各シナリオに対して、気候変動に関するインパクト要因を洗出し、 400 の項目について事

業への影響度を検証し、その中でも重要と思われるシナリオを特定いたしました。 それらの特定したシナリオ
に関しては以下の通り、影響度を定量的、定性的に検証し、大・中・小の 3 段階で評価をいたしました。

リスク・機会要因
リスク・機会種類 事業インパクト 評価 対応方針
項目
リ 移行 政策・ 炭素税導入 炭素税が製造・物流コスト 大 DX による収益力の確保
ス 法規制 へ転嫁されることにより仕 (中期経営計画)
ク 入れ価格が上昇する
※10
EV 車 への移行 EV 市場の拡大に伴い、既存 中 EV 市場への注力
に伴う内燃機関自 の内燃機関自動車部品の売 (中期経営計画)
動車への規制強化 上が減少する
エネルギー・電力 再生可能エネルギーの調達 小 省エネ効果の高い設備の導
調達コストの増加 による追加的コストの発生 入、切替え



技術 設備投資及び燃料 オフィスへの低炭素技術導 小 中長期的な損益中立での
コストの増加 入により設備投資コストが GHG 排出量削減
増加する
低 GHG 半導体製品 半導体製造過程における低 小 DX による自動化を推進
の普及拡大 GHG 化 に 伴 い 、 大 量 の (中期経営計画)
EOL/PCN※11 が発生し、対応コ
ストが増加する


市場 メーカー・顧客間 物流における GHG 削減のた 大 DX による顧客接点強化と顧
での直販化が加速 め、メーカーと顧客の直販 客への直接輸送の拡大
化が進む

低炭素技術への移 顧客の需要変化や市場変化 小 高効率なパワー半導体等環
行 への適応の遅れによるビジ 境性能に優れた取扱製品群
ネス停滞や売上の減少 へのシフト

評判 投資家、顧客、当社 環境配慮への対応の遅れや 小 気候変動対応への積極的且
応募者等ステーク レベルの低さによりビジネ つ継続的な取り組み
ホルダーの行動変 ス機会の損失、企業価値・ブ
化 ランド価値の毀損を招く

物理的 急性 洪水によるオフィ 異常気象の増加、深刻化に 小 BCP 対策マニュアルの整備
物理的 ス・物流拠点への 伴い、従業員が就労できな
リスク 影響 くなることにより、事業活
動が低下する

高潮によるオフィ 高潮により、沿岸部に位置 小 BCP 対策マニュアルの整備
ス・物流拠点への するオフィス・新子安ロジ
影響 が被災することによる損失



慢性 海面上昇 海面上昇により、新子安ロ 小 長期経営計画の中で継続し
物理的 ジの移転、または新しい物 て検討を実施
リスク 流拠点の構築


機 市場 新規ビジネス機会 Foodtech、再生エネルギー 大 関連市場への積極展開
会 などの新規ビジネス機会が (中期経営計画)
増大
EV 市場の拡大に伴 EV 市場の拡大に伴い、EV 向 大 EV 市場への注力
う売り上げ拡大 け半導体売上の増加 (中期経営計画)
※3:対象とした国内の主要事業は「半導体事業」 「ネットワーク事業」 「サービスソリューション事業」の 3 事業
※4:国際エネルギー機関(International Energy Agency)
。エネルギー安全保障の確保、経済成長、環境保護、世界的なエン
ゲージメントを目標に掲げる国際機関であり、エネルギー政策全般をカバーしている
※5:現時点で各国が公表している環境政策は実現されるが、COP21 パリ協定の長期目標は達成されず、2100 年までの気候変動
による気温上昇が産業革命以前に比べて 4℃程度生じることを想定したシナリオ
※6:COP21 パリ協定の長期目標達成に向けて国際的な協調が進むことにより、2100 年までの気候変動による気温上昇が産業革
命以前に比べて 2℃より低く保たれることを想定したシナリオ
※7:気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略称で、人為起源による気候変化、影
響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年
に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織
※8:温室効果ガス排出量抑制の対策が取られず、産業革命時期比で 2.6~4.8℃の気温上昇が生じることを想定したシナリオ
※9:温室効果ガス排出量が抑制され、気温上昇は産業革命時期比で 0.3~1.7℃程度に留まることを想定したシナリオ
※10:EV 車とは Electric Vehicle、電気自動車のこと。エンジンを搭載しておらず、電気を電動減にしてモーターで走行する
自動車のこと
※11:EOL/PCN(End Of Life/Product Change Notice)
:製品の生産終了や販売終了、あるいは製造プロセスや生産工場変更・
追加、製品仕様の変更等により、メーカーから顧客向けに発行される通知書のこと


<リスク管理>
当社は、代表取締役社長を委員長とする「コンプライアンス・リスクマネジメント委員会」にて、当社グル
ープの業務運営におけるリスクマネジメント、コンプライアンス状況を把握、分析を行い取締役会・グループ
経営会議への報告及び必要な施策の企画・立案を行っております。
「サスティナビリティ推進委員会」は、気候変動による当社事業への影響を把握し、評価するためにシナリ
オ分析を行い、気候変動リスク・機会を特定していきます。特定したリスク・機会は「コンプライアンス・リ
スクマネジメント委員会」及び「サスティナビリティ推進委員会」にて戦略策定・個別事業運営の両面で管理
していきます。

<指標と目標>
当社は、温室効果ガス排出削減目標を設定し、事業活動における CO2 排出削減の取り組みを推進していま
す。CO2 削減目標は SBT※12 に基づいた目標を設定し、環境負荷低減に積極的に取り組んでまいります。


排出量実績(t-CO2)
項目 対象範囲
21 年度 22 年度 前年比

Scope1 海外連結子会社まで含む 794.31 719.88 -9.4%

Scope2 同上 2,453.96 1,267.48 -48.3%
Category1~8 までの合計
1,705,997.65 2,548,482.34 +49.4%
(国内拠点のみ)
Scope3
Category1~8 までの合計
――――― 4,745,613.80 22 年度分より初算定
(海外連結子会社まで含む)
21 年度と同様の算定方法(対
1,709,245.92 2,550,469.70 +49.2%
象範囲)による比較
排出量合計
Scope1~3(グローバル対応) ――――― 4,747,601.16 22 年度分より初算定
※12:Science Based Targets の略称で、気候変動などによる気温上昇を 2℃未満に抑えるという COP21 パリ協定の長期目標達
成に向けて、企業が科学的根拠に基づいて設定する温室効果ガス排出削減目標


①当社では昨年(2021 年度分)より GHG 排出量の算定を実施しております。昨年度 Scope3(Category1-7 の
合計)を 1,705,990 t-CO2 としておりましたが、再集計の結果、Category8 まで含め 1,705,997 t-CO2 とな
りました。 (なお、当社では Category8 は発生しておりません→0t となります。 )
②本年度(2022 年度分)より、Scope3 も海外連結子会社含むグローバル対応の算定となっております。
③当社では昨年 Scope2 について、 全オフィスの 95%の面積を占めるオフィスまでを対象としてデータを取得、
算出しておりましたが、本年より全オフィスのデータを取得のうえ算定しております。また、自社オフィス
への水力発電による電気(再エネ)の導入や EV 車への切替え等により、自社からの GHG 排出量(Scope1、
2)を大幅に削減できました。
④Scope3 Category4(物流)においては、実態に即したデータの抽出、算定方法へと変更した結果、昨年度よ
りもより適正な数値を算出することができました。
⑤2021 年度から 2022 年度にかけての売上金額の大幅な伸長に伴い、 「仕入金額×排出係数」で算定している
Scope3 Category1(製品)に関する排出量が大幅に増加、結果として総排出量も大幅増となりました。当社
では今後、 サプライヤーから排出量の一次情報を入手することにより、 サプライヤーの削減努力を反映でき
る Scope3 算定ロジックの見直し・適正化を図っていきたいと考えております。
指標 基準年 目標年 目標

2030 年 ▲42.0%
Scope1、2 削減率 2022 年度※13
2050 年 ▲100%

Scope3 削減率 2022 年度※13 2030 年 ▲25.0%
※13:当社では、2022 年度分より、Scope3 の GHG 排出量についても Scope1、2 と同様に海外子会社含む連結対象で(グローバ
ル対応として)算定することができましたので、今後の削減に向け、Scope1~3 まで全ての基準年を 2021 年度から 2022 年
度に変更することといたしました。


なお、当社マクニカグループでは、2022 年 5 月 9 日付『「長期経営構想」及び「中期経営計画(2022~2024
年度)」に関するお知らせ』にて公表した「2.1 サスティナビリティ基本方針②環境・人権に配慮したグロー
バル経営の推進とサプライチェーンの強化」 「2.2 マテリアリティ③持続可能な地球環境を創る」
、 に基づき、
2023 年 2 月、当社グループにおける「環境 VISION」及び「環境方針」を新たに策定しました。その内容につ
きましても、併せてお知らせいたします。

1.「環境 VISION」
マクニカグループでは、 「顧客課題の解決を通じ経済の発展に寄与する」こと、 「安全安心で快適な暮らしを
創る」ことの実現とともに、 「持続可能な地球環境」を創ることを、当社の最重要課題(マテリアリティ)と
して位置付けております。
そのため、マクニカグループでは自らの CO2 排出量を削減、Scope1、2 におけるカーボンニュートラルを達
成するだけでなく、当社の事業活動やサプライチェーンを通じて、2050 年カーボンニュートラルな世界の実
現に貢献するべく、地球環境の保全・再生や環境負荷の低減といった社会課題の解決に、最大限の努力を続け
てまいります。

2.「環境方針」
マクニカグループでは、当社パーパス「変化の先頭に立つ精神」及び当社事業活動や当社取り扱い製品、さ
らには当社グループが長年培ってきた企業文化・社会貢献活動も組み合わせ、
「脱炭素」ד当社らしさ”で、
以下3つの基本方針で、環境保全活動に取り組みます。

1)マクニカグループ全体でのカーボンニュートラルの達成
2)当社事業活動を通じたグリーン社会の実現
3)良き企業市民としての社会貢献活動の実施

3.環境マネジメント活動の推進にあたって
上記環境 VISION・環境方針に基づき、マクニカグループは、継続的に環境影響の低減を図るために、以下の
環境マネジメント活動を推進します。

1)環境マネジメントシステムの構築
環境マネジメントシステムを構築し、環境への影響を考慮した継続的な改善に努めます。
2)環境関連法規の遵守
環境関連法規制・条例ならびにその他の要請事項を遵守します。
3)環境影響の低減
企業活動を通じて生じる環境への影響を低減するために、省資源・省エネルギー、リサイクル、廃棄物の
削減を推進し環境保全に努める。また、有害な化学物質や廃棄物などによる自然環境汚染の予防、及び生
物多様性損失防止に努めます。
4)環境目的・目標の設定及び見直し
環境 VISION・環境方針を達成するため、環境目的・目標を設定し、また定期的に見直し必要に応じて改定
します。
5)社内への教育・啓蒙
社内広報活動を通じて、すべての社員が環境理念と方針の理解と推進を心掛けるよう、意識の向上を図り
ます。
6)外部への公表
この環境 VISION・環境方針は、一般の方も入手できるよう公表します。



以上

20463