鉄道・運輸機構と(株)ユーグレナが包括連携に関する基本合意書を締結

2021 年(令和3年)7月7日

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

株式会社ユーグレナ



鉄道・運輸機構と㈱ユーグレナが包括連携に関する基本合意書を締結
~内航船舶や鉄道建設現場におけるバイオ燃料の利用促進に向けて~

内航船舶や鉄道建設現場におけるバイオ燃料利用の可能性を探るため、独立
行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構と株式会社ユーグレナは包括連携
に関する基本合意書を締結します。
近年、地球温暖化対策は益々重要な課題となっており、本年5月に成立した改正地球温暖
化対策推進法にも2050年カーボンニュートラルの実現を目指すという基本理念が明記され
ました。この方針を踏まえて、環境にやさしい交通モードである内航船舶や鉄道分野におい
ても、温室効果ガス排出量の一層の削減が求められているところです。
内燃機関の動力源となる燃料については、 化石燃料の代替燃料として近年バイオ燃料に注
目が集まっています。バイオ燃料は、再生可能な生物由来の有機性資源(バイオマス)を原
料に製造される燃料で、燃焼段階では二酸化炭素(CO2)を排出するものの、原料となるバイ
オマスの成長過程で光合成によってCO2が吸収されるため、燃料使用による大気中のCO2増加
量が化石燃料と比較し大幅に削減されることになるカーボンニュートラルの概念を有する
燃料です。

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)は、
鉄道建設や船舶共有建造などによる、持続可能で強靱(レジリエント)かつ環境にやさしい
交通体系の整備を通じ、SDGs(持続可能な開発目標)の理念に沿った事業を行っています。
株式会社ユーグレナ(以下「ユーグレナ社」という。)は、世界ではじめて微細藻類ユー
グレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養を実現後、2010年からバイオ燃料の研究を
開始しました。その後、2018年に日本初のバイオ燃料製造実証プラントの竣工、2020年にバ
イオディーゼル燃料の供給を開始し、現在ではバス、配送車などでバイオ燃料の導入が拡大
しています。ユーグレナ社が継続的に製造する次世代バイオディーゼル燃料(本年6月29日
に「サステオ」と命名。)は微細藻類ユーグレナから抽出した油脂と使用済み食用油を原料
としており、車両自体の内燃機関を変更することなく使用することが可能です。 (別添1参
照)
鉄道・運輸機構とユーグレナ社は、SDGsの理念に基づき、温室効果ガス排出量の一層の削
減を進めるための有効な対応方策の一つとしてバイオ燃料のさらなる利用の可能性を探る
ため、連携を図ることと致しました。
以上のようなことから、鉄道・運輸機構とユーグレナ社は、今般(7月7日)、包括連携
に関する基本合意書を締結することになりました。(基本合意書の内容は、別添2参照)
本合意に基づき、今後、内航船舶や鉄道建設現場におけるバイオ燃料利用の可能性を探る
取組みを推進する予定です。(別添3、別添4参照)

鉄道・運輸機構は、今後とも課題解決に向けた取組みを推進するため、先駆的な活動を行
っている者との連携を進めていく所存です。
別添1
ユーグレナ社の取組みの概要

<ユーグレナ社バイオ燃料事業の歩み>
2005 年 ユーグレナ社設立・ユーグレナ食用屋外大量培養に成功
2010 年 バイオ燃料製造に関する本格的な製造技術開発を開始
2015 年 「国産バイオ燃料計画」を発表
2018 年 バイオ燃料製造実証プラントが竣工
日本をバイオ燃料先進国にすることを目指す「GREEN OIL JAPAN」を宣言
2020 年 3 月 次世代バイオディーゼル燃料の供給を開始
2021 年 6 月 バイオジェット燃料での初フライト実施
2021 年 6 月 ユーグレナ社の製造・販売するバイオ燃料のブランド名「サステオ」を発表

<バイオ燃料製造実証プラント>
・国内調達の原料(ユーグレナ油脂・廃食油)から、バイオ燃料「サステオ」を生産。




<ユーグレナ社製造のサステオディーゼル燃料の特徴>
・サステオディーゼル燃料は、次世代バイオディーゼル燃料の一種で、分子構造が化石
由来の通常軽油と同様であり、100%でも使用できることを確認。
・2020 年 3 月に供給を開始し、2021 年 6 月末時点で 26 社以上の移動体に導入。
・2021 年 4 月には一般車両向けの給油を都内ガソリンスタンドで限定実施。
別添2

鉄道・運輸機構とユーグレナ社の間の「包括連携に関する基本合意書」の概要



〇共通理念
SDGs の理念に基づき、特に、気候変動及びその影響を軽減するための対策を講じること、持
続可能な生産消費形態を確保すること、強靱(レジリエント)なインフラ構築、イノベーシ
ョンの推進などを図ること。

〇連携事項
①SDGsの理念を踏まえ、主にバイオ燃料の利活用に関する知見について、相互の情報交換
を促進すること。
②鉄道・運輸機構が共有する内航船舶に、ユーグレナ社が開発したバイオ燃料の利用の可能
性を探ること。
③鉄道・運輸機構が施工する鉄道建設現場に、ユーグレナ社が開発したバイオ燃料の利用の
可能性を探ること。

その他、「情報の開示・提供」「知的財産の取扱い」「成果の通知・公表」「秘密保持」
、 、 、 、
「期間」等について定める。
別添3
内航船舶におけるバイオ燃料利用の可能性を探る取組みの概要


(1)目的
ゼロエミッションに向けた温暖化対策の強化に伴い、今後急速な普及も想定されるバイ
オ燃料の共有船舶への利用の可能性を探るため、実用化に近い段階にあるユーグレナバイ
オ燃料の導入試験(技術調査)を実施する。
※ 具体的なデータの取得や性能比較などの試験方策は、共有船主やエンジンメーカ
ーと連携して定める。


(2)試験の種類
① ユーグレナバイオ燃料を軽油の代わりに利用することに関する試験(性能、燃費及
びエンジンの健全性確認)
実海域において通常の燃料を使用した場合と同様の性能を維持しつつ、安定的に航
行出来ることを確認。




(注)写真はイメージ
② A重油とユーグレナバイオ燃料の混焼の可能性に関する検証
混焼に際しての技術的課題とその対処方法について整理し、混合比を変えた何パタ
ーンかの混合油に対して一定期間の状態観察を行い、問題無いと判断された混合油に
対して、必要な試験を実施。




(注)写真はイメージ

【現共有船(319 隻)における使用燃料】(2021 年 6 月現在)




<参考:内航船全体隻数 貨物船 2,765 隻 旅客船 616 隻 合計 3,381 隻>
(船舶明細書(2020 年 6 月現在)データから、20GT 未満の小型船舶や共有対象ではない砂利船等を除いたもの。

別添4

鉄道建設現場におけるバイオ燃料利用の可能性を探る取組みの概要


(1)目的
ゼロエミッションに向けた温暖化対策の強化に伴い、今後急速な普及も想定されるバイ
オ燃料の鉄道建設現場での利用の可能性を探る。


(2)取組みの方向性
鉄道・運輸機構では、全国で整備新幹線、都市鉄道併せて約 400km 余りの鉄道建設を展
開しており、多岐にわたる分野の工事を多くの建設会社とともに進めている。
今回の鉄道・運輸機構としての取組みに賛同いただけ、かつ前向きに協力いただける建
設会社にお声がけし、利用の可能性を探る。


【建設中の整備新幹線、都市鉄道】

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