微細藻類ユーグレナ粉末抽出物によるインフルエンザウイルスの増殖抑制効果がケルセチンとの共存により相乗的に増すことを確認しました

2023 年 5 月 19 日

微細藻類ユーグレナ粉末抽出物によるインフルエンザウイルスの増殖抑制効果が
ケルセチンとの共存により相乗的に増すことを確認しました

株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社⻑:出雲充)は、武庫川女子大学の伊勢川裕
二教授との共同研究により、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」)粉末から
熱水抽出した抽出物※1(以下、「ユーグレナ熱水抽出物」)によるインフルエンザウイルスの増殖抑制効
果が、ケルセチン※2 との共存により相乗的に増すことを確認しました。なお、今回の研究成果は、2023
年 5 月 12〜14 日に開催された「第 77 回日本栄養・食糧学会」で発表しました。
※1 ユーグレナ粉末から水で抽出し、煮沸した物質で、ユーグレナ粉末の水溶性成分が含まれていると考えられます
※2 フラボノイドの一種でタマネギなどの野菜に含まれています



■研究の目的
インフルエンザウイルスは呼吸器系の感染症を引き起こすウイルスとして知られており、ワクチンや
数種の抗インフルエンザ薬が開発されていますが、新型ウイルスの出現や副作用などの問題があり、さ
らなる対策が求められています。
当社はこれまでに、「免疫力の低下」によって影響を受ける現象のひとつであるインフルエンザウイ
ルス感染症状について、主にユーグレナ特有の機能性成分であるパラミロンの作用によって免疫伝達物
質の産生促進を介して症状を緩和する可能性※3,4や、体内に摂取されたユーグレナの水溶性成分が、既
存の抗ウイルス薬とは異なるメカニズムでインフルエンザウイルスの増殖を阻害している可能性、なら
びにインフルエンザウイルスに直接作用するのではなく宿主細胞(感染される細胞)の防御機構を活性
化している可能性※5 を報告してきました。
今回は、ユーグレナと共存することでインフルエンザウイルスの増殖抑制効果を増す成分の探索の一
環として、ケルセチンとの共存に関する研究を行いました。ケルセチンも、抗ウイルス活性をもつ成分
として報告されています。


※3 2015 年 2 月 9 日付のリリース https://www.euglena.jp/news/n20150209/
※4 2017 年 11 月 1 日付のリリース https://www.euglena.jp/news/20171101-2/
※5 2020 年 11 月 16 日付のリリース https://www.euglena.jp/news/20201116/



■研究の内容と結果
イヌの腎細胞にインフルエンザウイルスを感染させ、
・ユーグレナ熱水抽出物を含んだ培地
・ケルセチンを含んだ培地
・ユーグレナ熱水抽出物およびケルセチンを含んだ培地
・何も含まない培地(コントロール)
で各々培養しました。
その結果、ユーグレナ熱水抽出物およびケルセチンを含んだ培地では、それぞれの成分を単独で含ん
だ培地と比較して、相乗的にインフルエンザウイルスの増殖が抑制されました(図)。
*
7.0.E+06

6.0.E+06




Virus titter(FFU/mL)
5.0.E+06

4.0.E+06

3.0.E+06

2.0.E+06

1.0.E+06

0.0.E+00
EU
ユーグレナ QER
ケルセチン EU+QER
ユーグレナ+ C
コントロール
ケルセチン


図:ユーグレナおよびケルセチンのインフルエンザウイルス増殖抑制効果
※Welch の t 検定, *p<0.05
Virus titter は感染時のウイルスの強さ、FFU は Focus Forming Unit の略で
FFU/mL とは培養液 1mL 中にウイルスによって変性した細胞がどのくらいいるかを表す。
ユーグレナやケルセチンは、単体でもインフルエンザウイルスの増殖抑制効果が確認されているが、
今回の実験では相乗効果の検証のために、ウイルス増殖抑制効果が弱く出るよう調整した濃度を採用。



以上のことから、これまで確認してきたユーグレナ熱水抽出物によるインフルエンザウイルスの増殖
抑制効果が、ケルセチンとの共存により相乗的に増す可能性が示されました。


当社では引き続き、からだが本来もつ「つくる・はたらく・まもる」のサイクルを支えるユーグレナ
の可能性のさらなる解明と、ユーグレナおよびその含有成分の健康食品、医療分野等での利活用や食材
としての付加価値向上を目指し、研究開発を行っていきます。


<微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持っており、ビ
タミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など 59 種類の栄養素をバランスよく含んでいます。な
お、ユーグレナ特有の成分で β-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性についての研究が進
み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。


<株式会社ユーグレナについて>
2005 年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成
功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の
製造開発、遺伝子解析サービスの提供を行っています。また、2014 年よりバングラデシュの子どもたち
に豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナ GENKI プログラム」を継続的に実
施。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)
」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、
事業を展開。https://euglena.jp
以上

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