黒大豆の新研究成果3題を発表 黒大豆ポリフェノールの血管内皮機能改善作用を確認




神戸市中央区港島中町 6-13-4 フジッコ株式会社 東証第一部コード番号 2908


-日本農芸化学会 2017 年度大会-
黒大豆の新研究成果 3 題を発表
~黒大豆ポリフェノールの血管内皮機能改善作用を確認~

フジッコ株式会社(代表取締役社長 福井正一)は、神戸大学大学院農学研究科
-芦田 均教授との黒大豆に関する共同研究成果について、2017 年 3 月 17 日(金)
~20 日(月)、京都市で開催される日本農芸化学会 2017 年度大会において発表い
たします。
当社はこれまで、黒大豆の種皮に含まれるポリフェノールに着目し、様々な機能
性研究を行なってきました。特に、血管・血流に対する作用について、血管の細胞
機能の改善、冷え性改善、むくみ改善などを確認してきました。
血管内皮機能(血管の健康)は年齢と相関を持ち、高齢になるほど機能が低下し
て血管が硬くなることが知られています。 その結果、加速度脈波計で測定される「血
管年齢」も高くなります。また血管内皮機能が低下する要因として、加齢の他に、
酸化ストレスによる障害があります。 血管内皮細胞は血管の拡張を促す一酸化窒素
(NO)をはじめ、様々な生理活性物質を産生しますが、それらの産生能も酸化スト
レスによって損なわれます。今回の研究では主に、血管内皮機能について、以下の
実験を行ない、黒大豆の血管の健康に対する作用を確認しました。
① 黒大豆種皮抽出物を試験食とし、24 名の健常男女に対する、2 週間の摂取
試験を実施しました。結果、黒大豆種皮抽出物が血管年齢を平均で約 3 歳
低下させ、血管を拡張させる NO 量を増加させる作用を有することが確認
されました。
② 黒大豆の加工品を試験食として、44 名の健常女性に対する、8 週間の摂取試
験を実施しました。その結果、 「煎り黒豆」の摂取によって血管年齢が平均
約 2 歳低下し、酸化ストレスの指標である尿中 8-OHdG が低下することを
確認しました。
③ 黒大豆の加工形態として、 水煮または焙煎した黒大豆の種皮をそれぞれ動物
に投与し、機能性を比較しました。その結果、血中コレステロールの抑制作
用において、焙煎した黒大豆種皮(煎り黒豆)がもっとも高い機能性を示し、
ポリフェノールを多く残存させる加工方法が優れた機能を有することが明
らかとなりました。

これらの研究により、黒大豆ポリフェノールが血管の健康維持に有効な作用をも
つことが示唆されました。




【発表①】黒大豆種皮抽出物の血管内皮機能改善作用
黒大豆種皮抽出物が血管内皮機能を改善するかどうかを調べるために、健常な男女を対象
とした摂取試験を行ないました。その結果、黒大豆種皮抽出物を摂取することで動脈の弾性
度や血管年齢(※)が改善することが確認されました。また、尿中に排出される NO 代謝産
物の増加が確認され、血管内皮細胞による NO 産生能が高まった可能性が示唆されました。
<方法>
事前に測定した血管年齢が、実年齢以上の健常な男女 24 名を対象に、黒大豆種皮抽出物
100mg/日または偽薬(デキストリン)を 2 週間摂取させ、血管年齢および尿中 NO 代謝産
物量を測定した。
<結果>
(歳) 血管年齢 尿中 NO 代謝産物









黒大豆種皮抽出物 黒大豆種皮抽出物
デキストリン デキストリン

0w 1w 2w 0w 1w 2w
黒大豆種皮抽出物を摂取することで、血管年齢が若齢化し(左図)
、尿中の NO 代謝産物が増加し
た(右図)



【発表②】 煎り黒豆』のヒトに対する血管内皮機能改善作用

黒大豆種皮抽出物の血管への有効性が明らかとなったため、黒大豆の加工品を試験食として、ヒ
トへの有効性を確認する試験を行いました。健常な女性を対象に、「煎り黒豆」を 8 週間摂取させ
た結果、動脈の弾性度や血管年齢が改善すること、また酸化ストレスを低下させることが確認
されました。
<方法>
事前に測定した血管年齢が、実年齢以上の健常な女性 44 名を対象に、
「煎り黒豆」30g/
日を 8 週間摂取させ、血管年齢および尿中 8-OHdG を測定した。
<結果>
(歳) 血管年齢 尿中 8-OHdG(mM)




「煎り黒豆」を摂取することで、血管年齢が低下(左図)し、酸化ストレスのマーカーであ
る 8-OHdG が低下した(右図)






【発表③】黒大豆の加工によるポリフェノール含量と機能性の変化
実際にヒトが黒大豆を食する場合には調理加工を経るため、黒大豆の成分が損失あるいは
構造の変化を起こすことが想定されます。そこで、黒大豆加工品のポリフェノール含量とそ
の機能性を調べることを目的として、水煮または焙煎した黒大豆を調製し、それぞれ種皮の
みを動物に投与する試験を行ないました。その際、未加工の黄大豆種皮および黒大豆種皮と
比較しました。その結果、水煮と比較して焙煎した黒大豆(煎り黒豆)がより多くのポリフ
ェノールを含有し、コレステロール低下作用などの機能性も高いことがわかりました。
<方法>
各試料を 0.5%酢酸含有 70%アセトンでポリフェノールを抽出し、高速液体クロマトグ
ラフィーに供してポリフェノール含量を測定した。また各粉末サンプルを ICR マウスに、
2%の混餌下で一週間自由摂取させた。血中コレステロールなどを測定するとともに、
血漿中のポリフェノール濃度を測定した。
<結果> 試料中のポリフェノール含量(mg/g)











黄大豆 黒大豆 黒大豆 黒大豆
生種皮 生種皮 水煮 焙煎

黒大豆を加工した場合、焙煎したものがより多くのポリフェノールを含有していた。さら
に、摂取した場合の血中コレステロール濃度についても煎り黒豆がもっとも強い抑制効果
を有していることが明らかとなった。


【用語解説】
※血管年齢: 血管の老化度を算出した指標。血液が心臓から送り出される際に血管の形状が変化し
ますが、その変化を指先において加速度脈波計を用いて捉えます。変化の様子が血管
内皮機能(すなわち加齢)と相関するため、加速度脈波加齢指数として算出されます。


■ 発表学会情報
【大 会 名】 日本農芸化学会 2017 年度大会(http://www.jsbba.or.jp/2017/)
【 会 期 】 2017 年 3 月 17 日(金)~20 日(月)
【一般講演会場】 京都女子大学 (京都市東山区)
【発 表 演 題】 1. 黒大豆種皮抽出物の血管内皮機能改善作用」

2.「黒大豆の生体機能性について」
3.「黒大豆の加工によるポリフェノール含量と機能性の変化」
【発 表 日 時】 2017 年 3 月 18 日(土)15 時 25 分~16 時 10 分

お問い合わせ先
フジッコ株式会社
担当者:研究開発室 難波 文男
責任者:研究開発室長 戸田 登志也
TEL:078-303-5385 FAX:078-303-5397
ホームページアドレス:http://www.fujicco.co.jp


9431