日本食品科学工学会 第62回大会で発表予定 「カスピ海ヨーグルト」の粘り成分が炎症性物質を低減する

2015 年 8月 24 日

神戸市中央区港島中町 6-13-4 フジッコ株式会社 東証第一部コード番号 2908



-日本食品科学工学会 第 62 回大会で発表予定-

「カスピ海ヨーグルト」の粘り成分が炎症性物質を低減する
菌体外多糖(EPS)がアトピー性皮膚炎モデルへ与える作用を検証


フジッコ株式会社(代表取締役社長 福井正一)は、 Lactococcus lactis subsp. cremoris
FC株(ラクトコッカス ラクティス サブスピーシズ クレモリス エフシー株、以下クレモリ
ス菌FC株)を用いた「カスピ海ヨーグルト」の製品開発を行ってきました。「カスピ海ヨー
グルト」の最大の特徴は強い粘りで、この粘りは乳酸菌クレモリス菌FC株が産生する菌体外
多糖(EPS:Exopolysaccharide)に由来します。


当社はこれまでに、粘り成分EPSが皮膚の炎症を抑制することを報告しています。今回、
同様の実験で、粘り成分EPSが皮膚の炎症を抑制するメカニズムのひとつとして患部の炎症
性物質の量を減少させることを明らかにしました。この研究成果は、日本食品科学工学会第
62回大会(会期:2015年8月27日(木)~29日(土)、会場:京都大学 吉田キャンパス)に
おいて発表いたします。なお、本研究成果は大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 教授
北村進一先生との共同研究によるものです。


乳酸菌クレモリス菌 FC 株により産生された粘り成分 EPS をアトピー性皮膚炎モデルマウス
に投与し、その効果を調べました。その結果、EPS を投与したマウスの皮膚では炎症に伴い増
加した TNF-α※や IL-6※などのサイトカインの生産が抑制されることが分かりました。
※ TNF-α、IL-6 ともにアレルギー炎症を拡大する働きを持つ。



これらの結果から、乳酸菌クレモリス菌 FC 株により産生された EPS や EPS を含むヨーグル
トを摂取することは、過剰な炎症の抑制に有用であると期待されます。





■発表の詳細
「Lactococcus lactis subsp. cremoris FC により産生された菌体外多糖のアレルギーモデル
マウスに対する効果-その 2」
日本食品科学工学会 第 62 回大会(会期:2015 年 8 月 27 日~8 月 29 日)
発表日時:8 月 29 日(土)11 時 10 分
演題番号:3Ip1
場 所:京都大学 吉田キャンパス


乳酸菌クレモリス菌 FC 株により作製した EPS のアトピー性皮膚炎モデルマウスに対する影
響とそのメカニズムを調べた。
BALB/c マウス(6 週齢、♂)の耳介に 2,4,6-トリニトロクロロベンゼン(TNCB)を 1 日お
きに塗布して皮膚炎を発症させた。TNCB 塗布 4 日前より 1 日 1 回、塗布してからは 1 日おき
に、EPS を 0.5mg/kg/日となるように経口投与した。TNCB 塗布から 1 日おきに 18 日後まで耳
介厚の測定を行い、19 日後に摘出した耳介から total RNA を回収し、リアルタイム PCR 法に
て TNF-α、IL-6、IFN-γ、IL-4 の mRNA 発現量を測定した。
アレルギーモデルマウスに EPS を投与した結果、TNCB 塗布による耳介肥厚化が有意に抑制
された。耳介皮膚組織における TNF-α、IL-6、IFN-γ、IL-4 の mRNA 発現量は非感作群に比
べて対照群では有意に増加した。EPS を投与した群では対照群に比べこれらのサイトカインの
発現上昇が抑制される傾向にあった。これらの結果から乳酸菌クレモリス菌 FC 株により産生さ
れた EPS の投与により、過剰な炎症が抑制されると考えられた。




通常 プレドニゾロン 通常 プレドニゾロン
対照 EPS 対照 EPS
(皮膚炎なし) (ステロイド剤) (皮膚炎なし) (ステロイド剤)



図. 乳酸菌クレモリス菌 FC 株から産生された EPS の耳介炎症に対する効果

左図の TNF-α、右図の IL-6 ともに皮膚炎の誘発により対照群では炎症部位の発現量が増加した。EPS を投与し
たマウスでは、ステロイド薬と同様にこれらの物質の発現量が減少した。




<お問い合わせ先>
担当者:フジッコ株式会社 開発本部 研究開発室 後藤弥生
責任者:フジッコ株式会社 開発本部 研究開発室 室長 戸田登志也
TEL:078-303-5385 FAX:078-303-5946




5282