服薬補助食品としての「カスピ海ヨーグルト」の利用に関する論文が発表されました

神戸市中央区港島中町 6-13-4 フジッコ株式会社 東証第一部コード番号 2908 2022年 3月 11日


-Journal of Texture Studies に論文掲載-
服薬補助食品としての「カスピ海ヨーグルト」の利用
に関する論文が発表されました


岩手医科大学(筆頭研究者:松尾泰佑先生)
、帝京平成大学、フジッコ株式会社(本社:神戸市中央区
/代表取締役社長執行役員:福井正一)の共同研究グループによる、服薬補助食品としての「カスピ海
ヨーグルト」の利用に関する研究が、食品物性の専門誌『Journal of Texture Studies』オンライン版(2022
年 2 月 11 日早期公開)に掲載されました(引用 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/jtxs.12665)
: 。




高齢者では嚥下(えんげ)力の低下により、水のように粘りのない食品は飲みこみにくくなります。
これは薬の服用時にも言えることで、水では薬の服用が困難となります。厚生労働省による「高齢者の
医薬品適正使用の指針」1)では、高齢者に対する服薬支援の必要性が述べられており、その一例として服
薬補助ゼリー等と一緒に薬を服用することが挙げられています。
「カスピ海ヨーグルト」は独特の粘りと
水分(乳清)の分離が少ないことが特徴であり、他のプレーンヨーグルトと比べて嚥下しやすいことが
2)、応用研究として服薬補助食品として利用する場合の基礎的な知見を得ること
分かっていることから
を目的として本研究は実施されました。


試験では、服薬補助食品として「カスピ海ヨーグルト」
、服薬補助ゼリー、とろみ調整食品(とろみ剤)
を用いました(図 1)
。服薬補助食品に薬剤(便秘薬である酸化マグネシウム錠、利尿剤であるフロセミ
ド錠等)を浸漬し、日本薬局方に準じて崩壊試験※1 および溶出試験※2 を行いました。
服薬補助食品に浸漬しなかったときに比べ、ヨーグルトやとろみ剤に浸漬すると崩壊が遅延する薬剤
がいくつか認められましたが、著しい遅延ではありませんでした。また、酸化マグネシウム錠の溶出率
は服薬補助食品に浸漬しなかったときに比べ、試験開始 15 分後では服薬補助ゼリーで 6%、とろみ剤で
14%、ヨーグルトで 25%溶出率が低下しましたが、 分後の溶出率は全てのサンプルで 90%以上でした。


これらの結果から、
「カスピ海ヨーグルト」は経口薬を服用時に服薬補助食品として活用できる可能性が
見出されました。


なお、本研究はお客様から弊社へ頂いた『「カスピ海ヨーグルト」を薬やサプリメントを服用する時に
使用している』というお問い合わせから始まりました。これを契機に「カスピ海ヨーグルト」を服薬補
助食品として利用した場合の薬剤の崩壊性と溶出性を調べ、著しい影響の無いことを確認しました。

介護現場では、嚥下困難により服薬に問題を抱える高齢者に食事に混ぜて服薬している事例も報告され
ています 3)。
「カスピ海ヨーグルト」の服薬補助食品としての利用については、今後安全性や使用シーン
を精査する必要がありますが、手軽に使用できる服薬補助食品として介護現場等での活用が期待されま
す。


注意:薬と乳製品との飲み合わせにより副作用が出る場合があります。
薬の服用方法はかかりつけの医師、薬剤師等の医療従事者の指示に従ってください。


(a) (b) (c)




図 1. 試験に用いた(a)
「カスピ海ヨーグルト」(b)服薬補助ゼリー、
、 (c)とろみ剤


【引用文献】
1) 厚生労働省, 高齢者の医薬品適正使用の指針 (2018)
2) 後藤ら, 科学と工業, 93(9), p.311-315 (2019)
3) 富田ら, 日本摂食嚥下リハビリテーション学会誌, 23(1), p.37-43 (2019)


【脚注】
※1 崩壊試験:経口製剤(錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ用剤、丸剤など)の形態が液中で
崩壊する時間を確認する試験
※2 溶出試験:経口製剤の有効成分の溶解の度合いを確かめる試験




■論文掲載情報
タイトル :Effects of Yogurt as a Deglutition Aid on Disintegration and Dissolution of Oral Tablets
(経口錠剤の崩壊性と溶出性に及ぼす嚥下補助剤としてのヨーグルトの効果)
掲載誌 :Journal of Texture Studies
掲載先 URL :https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/jtxs.12665
(2022 年 2 月 11 日早期公開、オープンアクセス)
筆頭著者 :Taisuke MATSUO; Iwate Medical University, School of Pharmacy
(松尾 泰佑 先生; 岩手医科大学 薬学部)




<お問い合わせ先> フジッコ株式会社
担当者:イノベーションセンター 機能性研究チーム 後藤 弥生
責任者:イノベーションセンター 部長 鈴木 利雄
TEL:078-303-5385
ホームページアドレス:https://www.fujicco.co.jp

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