「カスピ海乳酸菌」の便通改善作用および「免疫力スコア」の改善を確認

神戸市中央区港島中町 6-13-4 フジッコ株式会社 東証第一部コード番号 2908 2022年 3月 11日



―日本農芸化学会 2022 年度大会で発表予定―
「カスピ海乳酸菌」の便通改善作用
および「免疫力スコア」の改善を確認

フジッコ株式会社(本社神戸市:代表取締役社長執行役員 福井正一)は、「カスピ海乳酸菌(クレモ
リス菌 FC 株、※1)」の継続摂取による便通改善作用および免疫力スコア(※2)の改善を明らかにしま
した。この研究成果は、日本農芸化学会 2022 年度大会(会期:2022 年 3 月 15 日(火)~18 日(金)

Web 開催)において発表いたします。


近年、乳酸菌をはじめとしたプロバイオティクスの機能性として、整腸作用の他に免疫賦活作用が報
告されています。これまでにフジッコでは、
「カスピ海乳酸菌」でも成人を対象とした試験で便通改善作
用や整腸作用を確認してきました(※3)。また、
「カスピ海乳酸菌」を含むヨーグルトの摂取頻度が高い
ほど風邪が重症化しにくいこと(※4)「カスピ海乳酸菌」の摂取により免疫細胞を活性化すること(※

5)も明らかにしてきました。


今回の研究では、便秘がちな健常成人男女に、 カスピ海乳酸菌」
「 を含む錠剤を 4 週間摂取してもらい、
便通改善および免疫力スコアに及ぼす影響を調べることを目的として試験を行いました。免疫力スコア
は、ストレスや病気、老化の影響を受けやすい免疫機能に絞り、複数の検査項目に基づき総合的に免疫
力を評価できる指標であり、得点が高いほど免疫機能が総合的に良好であることを意味します。


その結果、
「カスピ海乳酸菌」の継続摂取により排便状況が改善するだけでなく、便中の乳酸菌数やビ
フィズス菌数が増加することが明らかになりました。さらに、キラーT 細胞(※6)へ分化する特定の免
疫細胞の数が少ない対象者のみを集めた層別解析により、
「カスピ海乳酸菌」の継続摂取が免疫力スコア
を高めることが明らかになりました。


これらの結果から、
「カスピ海乳酸菌」は便通改善作用や整腸作用だけでなく、加齢に伴い減少する一
部の免疫細胞の数を増加させることで、免疫機能を高める可能性が示されました。





排便回数
8.0 摂取前 #
7.0 摂取後 # * #
j

T6.0 * *


・ 5.0

i

・ 4.0

ヨ 3.0

r
・ 2.0
1.0
0.0
プラセボ群 低用量群 中用量群 高用量群

図 1. 「カスピ海乳酸菌」を含む錠剤の摂取による排便回数の変化
# p < 0.05;摂取前との有意差あり、* p < 0.05;プラセボ群との有意差あり




乳酸菌群数

) 400
g
摂取前
/ 350 摂取後
s
l
l
e
c 300
*



~ 250

(

Q200


ロ150

_
・ 100



プラセボ群 低用量群 中用量群 高用量群

図 2. 「カスピ海乳酸菌」を含む錠剤の摂取による便中の乳酸菌群数の変化
* p < 0.05;プラセボ群との有意差あり




免疫力スコア
18 摂取前
摂取後 *
j 17

_

i

A
R16


X


u 15







プラセボ群 低用量群 中用量群 高用量群

図 3. CD8+CD28+T 細胞数が低値の被験者集団の免疫力スコアの変化
* p < 0.05;プラセボ群との有意差あり





■発表の詳細 「Lactococcus cremoris subsp. cremoris FC 株の継続摂取が健常者の便通および免疫賦活作用
に及ぼす影響」
日本農芸化学会 2022 年度大会(会期:2022 年 3 月 15 日~3 月 18 日、Web 開催)
発表日時:3 月 16 日(水)13 時 00 分
演題番号:2G06-01
【方法】
疲れやすく、便秘傾向の 20~71 歳の男女 88 名を 4 つのグループに分け、それぞれに「カスピ海乳酸
、50 mg 含む錠剤(低用量群)
菌」を含まない錠剤(プラセボ群) 、75 mg 含む錠剤(中用量群)
、100 mg
含む錠剤(高用量群)を 4 週間摂取してもらった。摂取前と摂取 4 週間後に、排便状況や便中の腸内細
菌数、血中の免疫細胞数や抗体濃度を測定した。
【結果】
「カスピ海乳酸菌」を含む錠剤の継続摂取によりすべての群で排便日数(図 1)、排便回数の有意な改
善が認められた。またプラセボ群と比べて中用量群で乳酸菌群数(図 2)が、低用量群でビフィズス菌
数の変化量がそれぞれ有意に増加したことから整腸作用を介して排便状況が改善することが示唆された。
血中の免疫細胞数に関し、中用量群でのナイーブ T 細胞(※7)数が有意に増加したものの、他の免疫指
標や感冒症状に関する体調アンケートの有意な改善は認められなかった。しかしながら、加齢に伴い低
下することが報告されている CD8+CD28+ T 細胞数が全被験者の平均値未満の被験者を集めて層別解析を
行ったところ、プラセボ群と比べて中用量群でナイーブ T 細胞数および CD8+CD28+T 細胞数が有意に増
加し、免疫力スコア(図 3)の改善が認められた。
【結論】
「カスピ海乳酸菌」を含む錠剤の継続的な摂取により、便通改善効果や腸内環境の改善が認められた。
また、CD8+CD28+T 細胞数が低値の被験者のナイーブ T 細胞、CD8+CD28+T 細胞数を上昇させること
で、免疫力スコアを改善し、免疫機能を高める可能性が示された。


(※1) 2021 年 3 月の再分類により、学名は Lactococcus lactis subsp. cremoris から Lactococcus cremoris subsp.
cremoris に変わっています。
(※2) 東京医科歯科大学大学の廣川勝昱名誉教授と宇津山正典講師による評価方法。免疫力に関わる複
数の免疫細胞の数や機能を 1(低い) 、3(高い)の 3 段階でスコア化して合算した値で、
、2(中程度)
得点が高いほど免疫機能が総合的に良好であることを意味する。
(※3) 第 67 回 日本栄養・食糧学会大会 (2013)で発表、戸田ら, 薬理と治療, 45(6), 989-997 (2017)
(※4) 後藤, Foodstyle21, 18(12), 160-163 (2014)
(※5) Kosaka A et al., Int immunopharmacol, 14(4), 729-723 (2012)
(※6) キラーT細胞:病原体やウイルスが感染した細胞を排除する働きを持つ免疫細胞。
(※7) ナイーブT細胞:ウイルスや病原菌が感染した細胞や腫瘍細胞がもつ抗原にさらされたことのな
い T 細胞のこと。他の免疫細胞からの抗原刺激を受けることにより、活性化されウイルス感染細胞や腫
瘍細胞を排除する。

<お問い合わせ先> フジッコ株式会社
担当者:イノベーションセンター 素材研究チーム 渡辺 真通
責任者:イノベーションセンター 部長 鈴木 利雄
TEL:078-303-5385
ホームページアドレス:https://www.fujicco.co.jp


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