内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム( SIP )第3期」の採択に関するお知らせ

2023 年8月1日
各 位

会 社 名 ア ミ タ ホ ー ル デ ィ ン グ ス 株 式 会 社
代表者 代表取締役会長兼 CVO 熊野英介
( コ ー ド 番 号 : 2 1 9 5 東 証 グ ロ ー ス )
問合せ先責任者 代表取締役社長兼 CIOO 末次貴英
T E L ( 0 7 5 ) 2 7 7 - 0 3 7 8 ( 代表 )


内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」の採択に関するお知らせ
~東レ株式会社と共同でプラスチックのサーキュラーモデルの構築および展開を目指す~



当社と東レ株式会社(以下、東レ) 内閣府
は、 「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
第3期課題『サーキュラーエコノミーシステムの構築』 」の研究開発テーマである「自治体協
力回収プラスチックの分別・供給システムの確立(以下、本研究) 」に採択され、共同研究を
実施します。
本研究では、神戸市協力のもと、同市が設置している資源回収ステーションにて、市民の
来場者数や分別回収量を増やし、回収・再生から利用までのプロセスを情報化することで、
日本版デジタル製品パスポート(DPP)※1 の開発と連携しながら、マテリアルリサイクル率や
高品質な再生プラスチックの供給量を向上させるサーキュラーモデルの構築を目指します。
また、将来的には神戸市の資源回収ステーションにて検証・確立したモデルを、他の自治体
へと展開していく予定です。






1. 背景と目的
世界的にプラスチックの循環が謳われる一方で、使用済みプラスチックの回収・再生の事業化
には、回収量不足、素材の混合による品質の不安定さ、衛生的な不安、さらにこれらへ対応する
コストの発生といった多くの課題があります。
本研究の目的は、市民や自治体との協力によって使用済みプラスチックを回収し、高品質な再
生材に変え、需要者に低コストで安定的に供給するサーキュラーモデルを構築することです。
具体的には、神戸市が設置している資源回収ステーションおよび新たに開発をするソーティン
グセンターを起点とし、市民の継続的な参加を促す環境整備による資源回収量の安定化、素材や
アイテムごとの分別回収による品質の向上、回収・再生プロセスの可視化による信頼性の確保、
これらの包括的な仕組み構築によるコストの最適化などの研究に取り組みます。
<サーキュラーモデルのイメージ>




2. 研究開発の概要
【概要】
期間 2023 年8月1日(予定)~2028 年3月末(最長4年8か月)
研究課題 サーキュラーエコノミーシステムの構築
研究開発テー (B2)自治体協力回収プラスチックの分別・供給システムの確立

研究開発体制 当社(研究代表機関)
東レ株式会社(共同実施機関)
主な目標  モデル地域における分別回収、リサイクル技術、デジタル技術等の連携実証による
動静脈・静動脈連携システムの構築と横展開
 市民参加型のモデル地域におけるマテリアルリサイクル率の向上
 選別手法の開発・改良による再生材純度と再生材使用率の向上
 次世代放射光を用いた精密構造解析(軟 X 線による軽元素構造・化学状態解析)
、階
層を超えたインタープレイ※2 の解明
 ハイスループット合成・評価※3 技術で高速にデータを蓄積し触媒データベースを構
築、触媒インフォマティクス※4 による超高精度・高効率な触媒開発システムの立ち
上げ


【研究と分担】
① 市民からの資源分別回収の高度化(当社)
● 互助共助コミュニティ型資源回収ステーション/BOX 回収の型づくり
● 日本版デジタル製品パスポート(DPP)構築と連携した資源回収方法の検討
● スマートフォンアプリを活用した来場者の属性把握と行動変容の仕掛けづくり
● 社会的インパクト評価※5 の定量化
② ソーティングセンターの開発(当社)
● パッケージ識別による分別・高度化の検討
(分別物の品質保証と人手に頼らない自動センシングプロセス及び物量効率化等の検討)
● 回収品質を生活者へフィードバックする方法の検討
③ 再生技術/素材開発(東レ)
● 製品加工側からのキー技術となる素材のアップサイクル技術の確立
● 環境負荷が低く持続可能なバイオマス原料からのモノマー合成に関する触媒インフォマ
ティクスの研究開発
3. 本研究の特徴
研究項目「市民からの資源分別回収」においては、SIP のその他研究課題とも連携し、資源
の動きを情報化するだけではなく、資源回収ステーションが社会・環境・経済に及ぼす影響を
情報化し、トレーサビリティシステムに追加します。
(当社が展開している MEGURU STATION®※6 を対象に開発を進めているインパクト評価の手法を
適用予定)
このトレーサビリティシステムにより、市民にとっては、資源回収ステーション利用による
社会への貢献が可視化され、継続的に利用する動機となります。また、企業にとっても、地域
社会と連携した資源回収ステーションからの資源調達が、環境負荷軽減に加え、社会的な信頼
の高まりによる自社の ESG 評価向上にもつながるため、継続的な調達の動機となります。こう
した社会的な動機の活用が本研究の特徴であり、安定した資源循環システムを生み出す重要な
要素と考えます。



4. 今後の展開
本研究における中間目標(2025 年度)として、以下を掲げています。
• モデル地域における分別回収、リサイクル技術、デジタル技術等の連携実証による動静脈・
静動脈連携システムの構築
• 選別プロセスの開発・改良による再生材純度と再生材使用率の向上
• 市民参加型のモデル地域における、現状欧州相当のマテリアルリサイクル率の達成


神戸市の資源回収ステーションにて検証・確立されたモデルを、最終的には他自治体にも展開
していくことで、当社は「2030 年ビジョン※7」に掲げる MEGURU STATION®の展開目標、2026
年に全国1万箇所、2030 年に5万箇所を目指します。




5. 業績に与える影響
本件が当社の業績及び財務状況に与える影響は軽微です。



以 上



※1 DPP:ブロックチェーンなどのデジタル技術を用いて、製品のライフサイクルに沿ったサステナビリティ情報を共有する仕
組み。
※2 階層間インタープレイ:高分子の集合体からなる複数の階層構造間で、高分子同士が相互に作用しあう現象。
※3 ハイスループット合成・評価:高速で多くの化合物や材料を連続的に、かつ効率的に合成・評価する技術。
※4 触媒インフォマティクス:触媒(しょくばい)という化学反応を促進する物質の探索に、情報技術を活用する新しいアプ
ローチ。
※5 インパクト評価:ある企業の製品・サービス・活動が社会・環境・経済に及ぼす影響(インパクト)を、可視化して定量
的、定性的に評価する手法。
※6 MEGURU STATION®:当社が独自開発する互助共助コミュニティ型資源回収ステーション。当社では、神戸市に設置されてい
る資源回収ステーションを MEGURU STATION®の都市型モデルと位置付けている。
※7 2030 年ビジョン:当社が 2022 年 11 月に発表した、事業ビジョン「エコシステム社会構想 2030」を指す。
https://www.amita-hd.co.jp/ir/vision2030.php
■参考
内閣府による採択通知発表
独立行政法人 環境再生保全機構 SIP 第3期課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」における研究
開発責任者の決定について:https://www.erca.go.jp/erca/pressrelease/pdf/20230731_1.pdf
内閣府、戦略的イノベーション推進プログラム(SIP)
:https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/
サーキュラーエコノミーシステムの構築 2023 年度(令和5年度)公募要領:
https://www.erca.go.jp/erca/sip/pdf/public_offering_youryou.pdf
MEGURU STATION®:https://www.aise.jp/service/station.html
神戸市との連携協定:https://www.amita-hd.co.jp/news/230327_kobecity_amita.html
インパクト評価:https://www.amita-hd.co.jp/news/221118_amita-SMTB.html

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