「スチームレスプレキャストコンクリートSteam-Less Precast Concrete (SLPC)」の開発のお知らせ

〒105-7365 東京都港区東新橋一丁目 9 番 1 号東京汐留ビルディング
電 話 (03)6385-9111 FAX(03)6316-2320


2023 年 7 月 28 日
各 位
会 社 名 株式会社ピーエス三菱
代表者名 代表取締役
森 拓 也
社長執行役員
(コード番号 1871 東証プライム)
問合せ先 執行役員
管理本部副本部長兼総務部長
宅野 伸二
(TEL.03-6385-8002)


「スチームレスプレキャストコンクリート
Steam-Less Precast Concrete (SLPC)」の開発のお知らせ

株式会社ピーエス三菱(本社:東京都港区 代表取締役社長執行役員:森拓也)は、初期材齢に
おける強度発現性に優れ、蒸気による加熱促進養生を必要としないプレキャスト部材用速硬コン
クリート「スチームレスプレキャストコンクリート(Steam-Less Precast Concrete (SLPC))
」を
開発しましたのでお知らせします。


1. 開発経緯
2050 年カーボンニュートラル社会の実現に向けて、建設業界においても対応が急務となって
います。図-1 に示すようにプレキャスト部材製造時には、コンクリートの初期強度発現を促進
するために行われてきた蒸気による加熱養生(以降:蒸気養生)は、主に重油を燃料とするボイ
ラーにより稼働するため、重油燃焼時に多くの CO2 が排出され、部材製造工場における CO2 排
出量の大部分を占めていました。このため、蒸気養生を行うことなく、所要の初期強度が得られ
る速硬コンクリ―トの開発が望まれていました。
スチームレスプレキャストコンクリートは、この要望を満足する速硬性に優れたプレキャスト
部材用コンクリートであり、蒸気養生を行うことなく所要の初期強度が得られるため、部材製造
時の CO2 排出量削減や生産性の向上を可能とする次世代型コンクリートです。


① セメント製造 ② プレキャスト部材製造
蒸気養生
製造時にCO2発生 によるCO2
蒸気養生時の重油燃焼でCO2発生
12%
コンクリート材料におけるCO2削減 部材製造時におけるCO2削減
コンクリート
セメントの使用量の削減 材料由来のCO2 重油使用量を削減
88%
プレキャスト部材製造過程
高炉スラグ微粉末やフライアッシュな におけるCO2排出量の割合 蒸気養生の不要化を可能にする
どを使用し,セメント使用量を削減 プレキャスト部材用速硬コンクリート


図-1 プレキャストコンクリート部材製造に関わる CO2 の排出元と削減技術
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2.スチームレスプレキャストコンクリートの特長
スチームレスプレキャストコンクリートには、以下の特長があります。
優れた初期強度発現性を有しており、プレストレス導入時(型枠の取外し時)を想定した材齢 15
時間の圧縮強度は一般的なコンクリートに 45℃の蒸気養生を施した場合と同等の値が得られ
ます。
(図-2 参照)このため蒸気養生を不要とすることを可能にします。
蒸気養生が不要となるため、ボイラー稼働時の重油の燃焼により発生する CO2 の排出が無くな
り、部材製造工程における CO2 排出量削減が可能となります。ピーエス三菱グループのプレキ
ャスト製品工場における 2022 年度の重油消費実績と部材製造量から試算した結果、スチーム
レスプレキャストコンクリートを用い、蒸気養生なしに部材製造を行った場合、コンクリート
材料由来の排出量を含めた CO2 排出量全体の約 12%が削減されます。
凝結の始発時間は、一般のプレキャスト部材用コンクリートに比べ、 1.5 時間短縮されます。

このため、部材の表面仕上げ作業を早められることから、製作完了までの時間も 1.5 時間程度
短縮され、労働時間の短縮・生産性の向上が期待できます。


15時間後圧縮強度
15 時間後圧縮強度(N/mm2)





PC導入時所要強度 W/C36%





養生温度 20℃ 45℃蒸気 20℃
CON SLPC 一般HC

図-2 練混ぜから 15 時間後の圧縮強度 写真-1 スチームレスプレキャストコンクリート
で製造したプレキャスト PC 床版試験体
2. 今後の展開
実物大プレキャスト PC 床版の製作実験を実施し(写真-1) 施工性や強度発現等の性能に問題

がないことを確認しており、各種プレキャスト部材への実用化に向けてピーエス三菱グループ
のプレキャスト製品工場に水平展開していきます。
今後も当社は、プレキャストコンクリートの特性を生かし、プレキャスト部材製造に関わる
CO2 排出量削減や生産性向上技術の開発と普及拡大に積極的に取り組んでまいります。


3. 本技術に関するお問い合わせ
株式会社ピーエス三菱
本社 技術本部 技術研究所 TEL:0465-46-2780
添付資料:
“スチームレスプレキャストコンクリート”リーフレット
以上

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