「Wi-SUN Enhanced HAN」準拠の通信プロトコルスタックがローム製無線通信モジュールに採用

NEWS RELEASE
2019年3月19日

株式会社アイ・エス・ビー


「Wi-SUN Enhanced HAN」準拠の通信プロトコルスタックがローム製無線通信モジュールに採用



株式会社アイ・エス・ビー(本社:東京都品川区、代表取締役社長:若尾逸雄)は、昨年、京都大学大学院情報学研究科原田

博司研究室(以下、京都大学 原田研究室)と共同開発した「Wi-SUN Enhanced HAN(Home Area Network)」に準拠した通信

プロトコルスタックをローム株式会社(本社:京都市右京区、代表取締役社長:藤原 忠信 以下、ローム)に提供、このたび同

社が、これを搭載した無線通信モジュールを製品化しました(ローム製品型番:BP35C0-J11)。

本プロトコルスタックは、Wi-SUN Alliance で制定された宅内IoT機器用の従来規格「Wi-SUN HAN」に、多段中継機能

(1段)、スリープ機能を搭載した機器との接続機能等を加えたものです。そのため、本プロトコルスタックにより、宅内の様々な

場所に設置された各種センサ、メーター、モニタ機器からの情報をより確実に収集できます。

なお、本プロトコルスタックは、Wi-SUN Enhanced HAN 規格に準拠した CTBU(Certified TestBed Unit)用のプロトコルスタッ

クとして Wi-SUN Alliance の認証試験に合格しております。



1.Wi-SUN Enhanced HAN 商用化の背景

昨今、再生可能エネルギー分野における大規模 HEMS 実証実験や 2016 年から開始された電力の小売り自由化、2017

年のガス自由化により HEMS 市場が活性化しており、今後の Wi-SUN の普及に対し、更に期待が高まっております。

現在、Wi-SUN は、スマートメーターと HEMS コントローラー間の1対1通信(いわゆる B ルート)用の無線通信方式として、

全国の電力会社に採用されており、また、HEMS コントローラーと各家電機器をつなぐ HAN 用通信方式としても採用されて

います。これは Wi-SUN HAN と呼ばれており、基本的に多段中継機能はありません。この Wi-SUN HAN に多段中継(1

段)機能やスリープ機能を搭載した機器との接続機能(※)等を拡張規格として追加したものが Wi-SUN Enhanced HAN で

す。Wi-SUN Enhanced HAN の商用化により、HEMS 以外にも MEMS、BEMS、FEMS などの屋内向け機器による IoT 化の実

現がより一層期待できます。
(※)このプロトコルスタックにより、電池で駆動するスリープ機能搭載の機器に接続できるため、システムとして低消費電
力化、また機器の設置等運用コストの削減が期待できます。



2.当社での本プロトコルスタック開発への取り組み

当社は、昨年 4 月 2 日にプレスリリースしております通り、商用可能な Wi-SUN Enhanced HAN 規格に準拠した本通信プ

ロトコルスタックを開発しました。この開発は、商用に必要となる長期運用のための機能を整備し、各種 Wi-SUN 認証済み

モジュールに対し搭載可能な通信プロトコルスタックとすべく、京都大学 原田研究室 と共同で行ったものです。

なお、当社は、Wi-SUN Alliance に発足当初より加盟し、Wi-SUN HAN 規格化の策定にも貢献して参りました。また、国立

研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と共同で Wi-SUN HAN の通信プロトコルスタックの開発も行ってきました。
・プロトコルスタック構成図




※1無線によるファームウェアアップデート通信に対応

※2PANA:Protocol for Carrying Authentication for Network Access




3.ローム製無線通信モジュール「BP35C0-J11」の特長

以下の新機能が追加された Wi-SUN Enhanced HAN に対応した世界初の無線通信モジュールです。

3-1.リレー通信(多段中継)が可能

従来の Wi-SUN HAN 規格では 1 対多のスター型接続のみをサポートしていましたが、Wi-SUN Enhanced HAN では、

1 対多対多のツリー型接続が可能です。これにより、例えば宅内の HEMS コントローラーと屋外に設置された蓄電池

や EV チャージャーといった機器との通信のように、通信端末同士が見通し外で通信距離が離れている場合でも、中継機

を介することでより安定して通信することが可能となります。



3-2.スリープしながら双方向に通信(スリープ通信)が可能

通常、無線通信で双方向に通信を行う場合、無線機は常に受信状態を維持する必要があります。しかし、受信状態中は

ある程度電力を消費するため、電池で動作するセンサ機器等が双方向通信を行うことは難しく、一般的には送信のみを

サポートする方式が採用されています。それに対し Wi-SUN Enhanced HAN では、省電力動作を意識した双方向通信

方式をサポートしており、ユーザーは意識することなく電池駆動に最適な通信を行うことが可能となります。
3-3.Wi-SUN Enhanced HAN のすべてのモードをサポート

「BP35C0-J11」は、Wi-SUN Enhanced HAN で規定されているすべてのモードを

サポートしています。

つまり「BP35C0-J11」は、スマートメーターと接続する B ルート、HEMS コントローラ

等のネットワークを統括するコーディネータ、家電やセンサ等のネットワークにつながる

エンドデバイス、無線通信を中継するリレーデバイス、省電力動作を行うスリーピング

デバイスのどれにでもお使いいただけます。

煩わしいハードウェアの交換やファームウェアの切り替えは不要です。

「BP35C0-J11」は、お客様のニーズに応じた様々な用途にお使いいただけます。




https://micro.rohm.com/jp/download_support/wi-sun/


4.当社の今後の展開

ローム製無線通信モジュール「BP35C0-J11」を用い、HEMS、MEMS、BEMS、FEMS などの屋内向け無線センサシステム構築や

電力自由化などと連携した新しいサービス構築を検討しているお客様に対し、最適なシステム構成の提案や Wi-SUN を搭載した

センサ機器の設計支援、システム検証まで幅広くコンサルティング、エンジニアリングを行ってまいります。



●用語説明
・「Wi-SUN Enhanced HAN(Home Area Network)」
Wi-SUN Alliance が策定した Wi-SUN HAN 規格と同様の規格で1段の多段中継とスリープモード
(電池駆動の機器向け)機能を有する規格。「ECHONET Lite」アプリケーションとの連動が可能。
・CTBU(Certified Test Bed Unit)
Wi-SUN Alliance が認めた参照標準となる Wi-SUN 無線機のこと。




・Wi-SUN Alliance
概 要:スマートユーティリティーネットワークの製品および技術に従事する主要企業グループが、遠隔地からのワイヤレス
スマートグリッドデバイスと家電製品との通信を向上する相互接続規格の認証および推進をサポートするために創立。
Wi-SUN Alliance は、低電力消費のスマートメーターと遠隔無線センサーネットワークの互換性を保証する手段の一つ
として、バッテリー駆動装置の無線通信向けに新設定されたIEEE802.15.4g規格と、同規格準拠のMACレイヤープ
ロトコルをサポートする。
URL:http://www.wi-sun.org

・エコーネットコンソーシアム
概 要:1997年に設立し「ECHONET Lite」規格などを確立している。
URL:https://echonet.jp/

・HEMS(Home Energy Management System):家庭用の EMS
・MEMS(Mansion Energy Management System):集合住宅の EMS
・BEMS(Building Energy Management System):商業ビル用の EMS
・FEMS(Factory Energy Management System):工場用の EMS

Wi-SUN は、Wi-SUN Alliance の登録商標である。
このプレスリリースに登場するすべての製品およびサービスはそれぞれの所有者の商標ないしは登録商標です。



◆本件に関する技術的な問い合せ先: ◆本記事に対するお問い合せ先:
(株)アイ・エス・ビー プロダクト営業推進部 担当:庵 (株)アイ・エス・ビー 管理本部
TEL 03-3490-7052 TEL 03-3490-1761(代)
連絡先:https://m2m.isb.co.jp/contact/ 連絡先: ml-isb-info@isb.co.jp
Web: https://m2m.isb.co.jp/ Web: https://www.isb.co.jp/



※本ニュースリリース記載の会社名・商品名は各社の商標または登録商標です。
※記載された内容は、2019年3月19日現在のものです。

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