日本通信、ドコモ訴訟判決を受けて - 訴訟継続を無意味にした総務省新方針 -

2015 年 12 月 4 日
各 位
東京都港区虎ノ門四丁目1番 28 号
日本通信株式会社
代表取締役社長 福田 尚久
(コード番号:9424)
問合せ先 代表取締役常務 片山 美紀
電話 03-5776-1700



日本通信、ドコモ訴訟判決を受けて
− 訴訟継続を無意味にした総務省新方針 −

「当社」という)は、株式会社 NTT ドコモ(以下、
日本通信株式会社(以下、 「ドコモ」という)を
相手とした接続料算定式の合意を巡る裁判(2012 年4月 19 日に東京地方裁判所に提訴:詳細は同日付
当社公表資料)の判決が 2015 年 11 月 27 日に出されましたが、本日、今後の対処方針について決定し
ましたので、お知らせいたします。


当社は、1996 年の創業時から一貫して MVNO 事業の専業事業者として歩み、携帯事業者の発想には
ない、お客さまに役立つ通信サービスを提供する事業として MVNO の価値を世界に紹介してまいりま
した。日本においては、ドコモとの接続を巡って、2007 年に総務大臣裁定で当社の主張する携帯網の開
放を認めていただき、ドコモとの度重なる真摯な協議を経て、技術的な接続方法を合意し(レイヤー2
、接続料算定式も合意することで、本格的な MVNO が誕生しました。しかし、ようやく産声をあ
接続)
げた MVNO 事業も、その成長を阻害する様々な動きが携帯事業者側で生じ、両者で合意していた接続
料算定式を一方的に変更し、実質値上げが断行されたのです。携帯事業者による一方的な接続料変更が
まかり通るのであれば、MVNO の経営方針が定まりません。MVNO の経営基盤、ひいては、MVNO
の将来性を担保するために、当時はまだ当社一社しか存在しなかった MVNO として、総務省にご相談
申し上げましたが、民主党政権下においては対応しようがないとのことから、接続料算定式の合意の有
無については、裁判所で争うようにとの示唆により、本訴訟を提起したものです。


裁判の結果、当社が主張した通り、レイヤー2接続に関する接続料算定式の合意は事実認定されまし
たが、
この合意の効力については、
ドコモの接続約款における規定によって変更可能との解釈が示され、
当社が求めた損害賠償請求は棄却されました。当社は、上述の背景により、ようやく合意に至った接続
料算定式が尊重されないという事態は極めて不合理であり、この点をそのまま放置することはできませ
ん。従って、仮に本判決がもっと早く出されていたならば、直ちに控訴するという判断をしていたはず
です。


しかし、この2、3か月の間に、MVNO を取り巻く環境に大きな変化が生まれました。端的に言え
ば、MVNO の成長を急加速する政府及び総務省の新方針が相次いで示されたのです。これまで MVNO
制度は、電気通信事業法においては、MVNO ガイドライン等のガイドランとして、いわば法律の解釈
として定義されていましたが、今年の5月 22 日に公布された改正電気通信事業法、そして現在、総務
省案が公表され、諮問あるいは意見募集手続きが行われている省令改正等により、明確な法律として定
義されます。また、総務省は、11 月 10 日付で、電気通信事業法等の一部を改正する法律の施行等に伴
う関係省令等の制定及び一部改正に関する総務省案を情報通信行政・郵政行政審議会に諮問をかけまし
た。この中で、接続料算定に関し、ドコモ他の携帯事業者が接続約款を総務省に届け出る際に、添付資
料として、接続料の算出の根拠に関する説明を記載した書類その他必要な書類を添えて提出しなければ

ならない」として、算定根拠の提出を義務づける方針を打ち出しました。総務省は、携帯事業者が提出
する接続約款を精査することが可能になり、同時に精査する任務を負うことになります。これにより、
当社が訴訟を通じて模索してきた MVNO の事業基盤安定が確保されましたので、控訴をしないことを
決定しました。


こうした、政府及び総務省による政策は、MVNO に新しい事業機会をもたらしています。そのひと
つが、総務省が 11 月 27 日付で公表した、MVNO が持つ HLR/HSS と携帯網との接続を開放する方針
です。当社が長年にわたり求めているこの HLR/HSS 接続が実現し、音声網との接続を行なうことで、
MVNO は独自の通話定額料金を生み出すことも可能になりますし、当社が海外で接続済みの携帯網と
ドコモ網を 1 枚の SIM でサービス提供する、あるいは、訪日旅行者向けにプリペイドの通話サービス
を含む SIM を提供することなど、極めて幅広い多様なサービスを実現できるようになります。


このように、MVNO の成長が今まで以上に急加速する環境が整ったことから、当社は、当社の注力
を、法廷の場における MVNO を守る戦いから、MVNO の真骨頂を具現化する取り組みへと大きく舵を
きります。MVNO を携帯3事業者に次ぐ第4の勢力として育て上げ、ひいては IoT や安全・安心なモ
バイル・ライフの実現に貢献してまいります。今後の日本通信の新たなリーダーシップにご期待くださ
い。




■日本通信について
日本通信は 1996 年5月 24 日、モバイルが実現する次世代インターネットの可能性と産業構造に目を向け設
立されました。当社ビジネスモデルはのちに MVNO と命名され、2009 年3月、総務省の携帯市場のオープ
ン政策のもと NTT ドコモとの相互接続を実現しました。特許技術のネットワークセキュリティ、ネットワー
クを効率的に運用する先端技術やリアルタイムの認証技術、 さらには MVNO ルールメーカ、世界初のモバイ
ルインテグレーターとしての強い技術ビジョンと高い遂行力によって、ユニークな通信サービスをつくりだ
しています。東京、米国コロラド州およびジョージア州に拠点を置き、東京証券取引所市場第一部に上場(証
券コード:9424)しています。

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