三谷産業グループのミライ化成、リサイクル炭素繊維事業に参入

Press Release
【報道関係各位】
2021 年 11 月 24 日
三谷産業株式会社
株式会社ミライ化成


三谷産業グループのミライ化成、リサイクル炭素繊維事業に参入
~独自の炭素繊維再生技術を確立。
「三沢 Lab」を開設し研究開発を開始~


三谷産業株式会社(本社:石川県金沢市、代表取締役社長:三谷 忠照、以下 三谷産業)の
100%子会社であり、主に化学品および食品添加物などの販売を行う株式会社ミライ化成(本社:長
野県千曲市、代表取締役社長:中川 景介、以下 ミライ化成)は、炭素繊維と樹脂(プラスチッ
ク)を混合した炭素繊維複合材(一般に CFRP や CFRTP と言われます。以下 複合材)の製造工程
で生じる端材や複合材の廃材などから炭素繊維を回収し再利用するリサイクル炭素繊維事業(以下
本事業)に参入したことをお知らせします。

ポイント
➢ 複合材市場の拡大に伴い、炭素繊維のリサイクルへの期待が高まっています

➢ 複合材の端材・廃材から炭素繊維を回収することは、環境負荷の低減に大幅に寄与します

➢ ミライ化成は、炭素繊維の回収にあたり独自の炭素繊維再生技術を有しています

➢ ミライ化成は、青森県三沢市に「三沢 Lab」を開設しました。本事業はものづくり補助金
に採択され、中小企業とのパートナーシップ構築に取り組んでいます

➢ ミライ化成は、VAIO 株式会社と再生炭素繊維の技術開発・製品開発を進めています


■炭素繊維の概要、市場規模、事業化の背景
主に炭素繊維と樹脂(プラスチック)と混合した複合材は、鉄やアルミといった金属素材と比較
して、比重、強度、弾性、耐薬品性に優れ、スポーツ用品、自動車、航空機、風力発電機のブレー
ドなどに広く採用されています。株式会社富士経済の調査※1 によれば、複合材の市場規模は、2020
年は 1 兆 1,464 億円であったものが 2035 年には 2.8 倍の 3 兆 4,958 億円に急拡大すると予測され
ています。
複合材を採用したモビリティ分野においては、複合材により軽量化が進み燃費向上が図られ、二
酸化炭素排出量が減少することが期待されています。しかし、新品炭素繊維の製造には多量の熱エ
ネルギーを要するうえに、複合材の端材・廃材の大半は産業廃棄物として埋め立て処分※2 されるな
ど、環境負荷が非常に大きいという問題があります。こうした背景から、近年は複合材の端材・廃
材から炭素繊維を回収しリサイクルすることで、省エネルギーや環境対策に役立てる動き、技術開
発へのニーズが高まっています。
ミライ化成は化学品商社として営業活動を展開するなかで炭素繊維の可能性や需要を改めて認識
し、自社の持つ知見を活かして、2020 年 10 月より研究開発を開始しました。
※1 2021 年7月 15 日付 株式会社富士経済プレスリリース「炭素繊維複合材料(CFRP/CFRTP)の世界市場を調査」より
※2 埋め立て処分されている複合材の端材・廃材は、日本では 3 万トン/年、世界では 30 万トン/年と推定されています





■ミライ化成の炭素繊維再生技術
複合材の端材・廃材から炭素繊維を回収する手法として、現在、
「熱分解法」と「溶媒法」が一
般的です。
「熱分解法」は繊維が長く取り出せる利点がありますが、樹脂が残存するなどで品質面
に課題があります。また「溶媒法」は樹脂の残存が少ない利点がありますが、繊維を長く取り出し
にくいことや繊維を回収する際のコストが高いなどの課題があります。
ミライ化成の炭素繊維再生技術は、溶媒法を基礎としつつ熱分解法と溶媒法それぞれの長所を併
せ持った独自技術です。端材・廃材の状態に合わせて適切な処理を施し、加工しやすい状態で用途
に合わせて短繊維から長繊維まで取り出すことが可能です。この技術により回収した炭素繊維の複
合体は、新品炭素繊維の複合体と同等の強度があることが確認できています。
一般的に、熱分解法による炭素繊維の回収における二酸化炭素排出量は新品炭素繊維を製造する
場合の 1/5 程度と言われていますが、ミライ化成の技術は熱分解法よりも少ないエネルギーで炭素
繊維を回収できることから二酸化炭素排出量の更なる抑制が期待できます。
端材・廃材から省エネルギーで炭素繊維を回収することは、環境負荷の低減に大幅に寄与するだ
けでなく、さらに再生炭素繊維の今後の流通価格を低減することができ、多岐に渡る分野において
活用の拡大が期待されます。


■研究開発およびパイロット規模の生産拠点「三沢 Lab」を開設




青森県三沢市の「三沢 Lab」

ミライ化成は、2021 年度より汎用品向け製品の開発と汎用品用途の中小企業さまへ向けたサンプ
ル提供を開始しました。また、2022~2023 年度以降の量産、供給、品質管理体制の構築を目的
に、2021 年4月に青森県三沢市に再生炭素繊維の研究開発およびパイロット規模の生産を行う拠点
「三沢 Lab」を開設しています。また本事業は、中小企業庁および独立行政法人中小企業基盤整備
機構が実施する「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金〔ビジネスモデル構築型〕」
に採択され、複合材の開発・製造や端材・廃材の処分を行う中小企業さま(事業化を検討している
中小企業さまも含みます)とのパートナーシップ構築に取り組んでいます。
協業面では、長野県安曇野市の VAIO 株式会社と共同で、炭素繊維が次世代モバイルノートパソ
コンの主要筐体材料になると見込み、再生炭素繊維の技術開発・製品開発を進めています。


ミライ化成は、再生炭素繊維を世の中にとって価値のある材料にアップデートし、世の中に広く
普及させていくことで持続可能なリサイクルシステムの構築を目指します。
なおミライ化成は、2021 年 12 月1日(水)~3日(金)に先端材料技術協会(SAMPE
Japan)と株式会社日刊工業新聞社が共催する『SAMPE Japan 先端材料技術展 2021』に出展し、
再生炭素繊維製品および炭素繊維複合体についてご紹介します。



(補足情報)
【ミライ化成について】 https://www.miraikasei.com/
1998 年に長野県長野市で設立されたミライ化成(設立時:クラヤ化成)は、2009 年 11 月より三
谷産業グループの化学品関連事業セグメントの一社として、半導体、情報機器、精密機械、化学、
食品加工といった産業分野に、工業薬品、電子材料、食品材料、食品添加物などを提供していま
す。


【三谷産業グループについて】 https://www.mitani.co.jp/
石川県金沢市で創業して 93 年、ベトナムで創業して 27 年の複合商社です。北陸、首都圏、ベトナ
ムを拠点に、化学品/情報システム/樹脂・エレクトロニクス/空調設備工事/住宅設備機器/エ
ネルギーの6セグメントで事業を展開しています。商社でありながら、時にメーカーとして、また
時にコンサルタントとして、お客さまにとっての最適を追求するとともに、 「創業 90 年を越えるベ
ンチャー企業」として更なる進化へと挑戦しています。
2021 年 3 月期:連結売上高 80,541 百万円/連結従業員数 3,540 名




<お問い合わせ先>
■本プレスリリースに関して:
三谷産業株式会社 経営企画本部 PR 企画室 TEL:03-3514-6003(担当:木下・宮城)
■リサイクル炭素繊維事業に関して:
株式会社ミライ化成 化成品部 化成品二課 TEL:026-274-7667(担当:劔(つるぎ))





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