TCFD提言への賛同および提言に基づく情報開示更新のお知らせ

2023 年 6 月 29 日
各 位
会 社 名 明 和 産 業 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 𠮷𠮷 田 毅
(コード番号 8103 東証プライム)
問合せ先 総務部長 福 島 弘 久
(TEL.03-3240-9011)




TCFD 提言への賛同および提言に基づく情報開示更新のお知らせ

当社は、2023 年 6 月 23 日開催の取締役会において、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォ
ース) への賛同および TCFD 提言に基づく情報開示を更新することを決議いたしましたので、
提言」
下記のとおりお知らせいたします。





当社は、経営理念である「明光和親」のもと、事業を通じて広く社会へ貢献していくために、2021
年にサステナビリティ基本方針を策定し、2022 年 2 月にサステナビリティ推進委員会を設置してお
ります。 また、2022 年 6 月に当社ホームページにて TCFD 提言に基づく情報開示を行いました。
気候変動問題は当社の中長期的に取り組むべき重要課題の一つであると捉えており、このたび、気
候変動への取り組みを推進するにあたり、TCFD 提言への賛同を表明するとともに、TCFD 提言に
基づく情報開示を別添のとおり更新いたします。




以上
TCFD 提言に基づく開示




2023 年 6 月
1. TCFD 提言に基づく開示について

当社グループは、企業理念である「明光和親」のもと、事を処するに公正明朗、全社員が和を旨としてお互いに強調し真に温かみのある事業体をつくると
共に事業を通じて広く社会に貢献するために、事業活動を行っております。2021 年には、サステナビリティを巡る課題への取り組みが、収益機会につながる
重要な経営課題であると認識し、「サステナビリティ基本方針」を制定しました。
本方針に基づき、気候変動に関するリスクと機会について TCFD 提言の枠組みを活用し、情報開示を行います。



2. ガバナンス

当社グループは、気候変動関連を含むサステナビリティを巡る課題をリスク及び収益機会として捉え、企業価値向上に向けて積極的かつ能動的に対応して
いくため、社長が推進責任者となり、2022 年 2 月に社長の諮問機関として「サステナビリティ推進委員会」
、及び「サステナビリティ推進室」を設置しまし
た。
当委員会の委員長はコーポレート担当役員が務め、サステナビリティに係る方針、課題、施策を議論し、取締役会への報告を行っています。また、重要事
項は取締役会にて審議の上、決議しており、取締役会による監督が機能しております。
【サステナビリティに関わるガバナンス体制】



取締役会


社長 サステナビリティ推進委員会
サステナビリティ関連テーマを議論する
社長の諮問機関
推進・実行 経営会議




グループ各社 サステナビリティ推進室 コーポレート部門各部 事業部門各部





3. 戦略

当社グループは気候変動に伴う様々なリスクと機会を事業戦略策定上の重要な観点の一つとして捉えております。気候変動の影響は中長期的に顕在化する
可能性があることから、短期だけではなく中長期的視野で検討を行っております。


■シナリオ分析について
シナリオ分析では様々な事態を想定し備えることが重要と考え、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC: International Panel on Climate Change)及び
国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)を参照し、
「2℃未満」シナリオと「4℃」シナリオを用い分析を行いました。シナリオ分析結果にお
けるリスクと機会は、政策や技術等による社会変化によって生じる「移行」側面と自然災害や気温上昇等によって生じる「物理」側面を考慮しております。


【前提】
シナリオ分析は、単体及び連結子会社(全事業)を対象範囲としております。


設定シナリオ 時間軸 参照シナリオ

中期 IPCC による気候変動予測シナリオ「SSP1-2.6」(第 6 次評価報告書)、
2℃未満 移行
(2030 年) IEA による移行シナリオ「持続可能な発展シナリオ(SDS)」(IEA WEO2020)
長期
4℃ 物理 IPCC による気候変動予測シナリオ「SSP5-8.5」(第 6 次評価報告書)
(2050 年)

■シナリオ分析のプロセス
シナリオ分析においては、各々のシナリオによって想定される世界観や外的環境の変化について検討しました。全事業部門別に各シナリオによって発生し
うる事象の可能性や頻度、影響度をパラメータによって考慮し、ディスカッションによりリスクと機会を抽出しました。そのうえで、各々のリスクと機会か
ら生じる当社グループ全体の収益及び事業継続に与える影響度を評価し、重要度の高いものを現時点で開示すべきリスクと機会として特定しました。
また、特定したリスクに対して、事業形態を踏まえた社内の見通し及び国際機関等が発行している社外パラメータを使用し、リスクによる影響額を算出し
ました。機会の影響額については、今後の事業戦略への落し込みを進める中で、対応を検討して参ります。





【当社グループのリスク・機会及び対応策】
カテゴリ 世の中の動き リスク 影響度・額 機会 影響度 対応策

政策及 資源循環などに関 ・合成樹脂など石油化学製品の市場縮小、樹脂
び規制 わる法規制の強化 難燃剤など関連する素材の需要減少 ・石油化学製品における植物由来代替品
中~大 や環境対応製品・高機能リサイクル
国内産業構造の ・石油化学産業の縮小による業界再編・事業撤退
(14 億円) 素材など、新たな取扱製品の獲得 中
変化 による取扱商品の消失
※ア ・新たな海外サプライソースの獲得など
・ガソリン車減少によるエンジンオイルの需要縮小、 により事業展開する地域の拡大
ベースオイルなどガソリン連産品の供給減少
パワートレイン※1
の電動化 ・EV シフトに伴うリチウム・レアアースなどの需要 中※3 ・高効率な車載電池や蓄電池の市場拡大 ・環境配慮型製品の拡大
増加、資源価格高騰、資源輸出国の規制による供給 (2億円) ・電子材料など関連する素材の需要増加 中
移 ・調達能力の強化
不足 ※イ ・自動車部品の軽量化ニーズの拡大
行 市場 中
原料・製品価格の ・CO2 排出規制による石油化学製品・金属資源など ・サーキュラーエコノミーに
動向 (1億円) ― -
高騰 の価格高騰、価格転嫁した場合の需要への影響 係る事業の推進
※ウ
・生分解性樹脂やリサイクル親和性の
高い樹脂添加剤など機能性ある素材・
・3R※2 などの資源循環や脱炭素への対応遅れによ
製品の需要拡大
脱炭素への る売上機会の喪失
中 ・リサイクル・リユースにおける新たな 中
シフト ・取引先や株主などステークホルダーへの情報発信
ビジネスの創出
のためのコスト上昇
・サーキュラーエコノミーに寄与する
循環サプライチェーンの構築
・空調使用によるエネルギーコスト・GHG 排出量の ・環境配慮型空調機器の市場規模拡大に
平均気温の上昇 小 中 ・気温上昇対応製品の拡大
増加 応じた冷凍機油の需要増加

慢性 ・自社グループ拠点や主要取引先拠点での浸水リスク
物 評価や予防・安全対策にかかるコストの上昇
海水面の上昇 中
・脆弱な自社グループ拠点の移転・取引先の複数化 ・情報共有体制や物流・在庫機能の強化
理 ・リスク情報の収集分析強化と
など対応コストの上昇 による、顧客・サプライヤーとの取引 小
BCP 拡充
大 関係の深化
・台風などの甚大な災害による資産価値の棄損や
急性 気象災害の激甚化 (6 億円)
サプライチェーンの棄損・断絶、事業活動の中断
※エ
※1 パワートレイン:動力エネルギーを効率よく駆動輪に伝えるための装置類。車の動力源、または動力を推進力として伝える装置の総称。
※2 3R :リデュース、リユース、リサイクル
※3 リスク影響額を精査した結果、 「大」から「中」に変更しました。

【影響額】試算対象は 2023 年度の業績見通しを採用しております。
※ア (営業利益減少)石化製品需要の縮小、石油・石油化学産業の縮小、ガソリン連産品の供給減少による影響
※イ (営業利益減少)EV シフトに伴う資源供給不足による影響
※ウ (営業利益減少)炭素税による価格高騰による影響
※エ (特別損失発生)甚大な水災害により保有資産・在庫が被災する影響

■リスク及び機会の対応策実行について
上記にて特定されたリスク及び機会の対応策については、適時社長及び取締役会で審議の上戦略に落とし込み、経営会議を通じて施策の実行に向けて努め
てまいります。サステナビリティ推進委員会は、対応策の進捗状況や外部及び内部環境の変化を踏まえた対応策の妥当性をモニタリングしてまいります。



4. リスク管理

当社グループは、気候変動に関するリスク管理について、サステナビリティ推進委員会が中心となり外部及び内部環境の変化を踏まえ、事業に与える影響
度の高いリスクを識別・評価のうえ、社長及び取締役会に報告しております。
特定されたリスクは、リスク管理基本規程及び業務分掌規程等の諸規定に基づき、決定された責任部署(各事業部門やコーポレート部門各部)がリスク
対応を図り、リスク内容に応じて取締役会や経営会議等にて監督・管理を行います。
全社の取り組み状況については、サステナビリティ推進委員会がモニタリングし、定期的(年 1 回以上)に社長及び取締役会に報告を行い、適宜事業戦略
の見直しを図るなど、長期的な視点で気候変動に関するリスクへの対応を行ってまいります。

5. 指標と目標

当社グループは、地球温暖化の抑制は重要な社会課題であると認識し、取り組みを推進すべく GHG 排出量の捕捉範囲を連結子会社まで拡大しました。
当社グループの事業形態から、Scope1,2 の GHG 排出量は軽微であり現時点で具体的な目標は設定しておりませんが、引き続きグループ全体における GHG
排出量の削減及び脱炭素社会への貢献に向けて取り組んでまいります。


【GHG 排出量の実績】

2020 年度 2021 年度 2022 年度

Scope1,2
512.8 419.6 430.4
(t-CO2)
(1) GHG 排出量の算出は、WRI(世界資源研究所)と WBCSD(世界環境経済人協議会)が主導して開発された GHG プロトコルを参照して算出しております。

(2) 算出範囲は、単体及び連結子会社を対象としております。
(3) 2022 年度は連結子会社(アケア)の増加に伴い、GHG 排出量が増加しております。




【将来見通しに関する注意事項】
本資料で記載されている分析結果並びに将来予測は、本内容の発表日現在までに入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績、結果、
パフォーマンス等は、経済動向、市場価格の状況、為替の変動等、様々なリスクや不確定要素により大きく異なる結果となる可能性があります。





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