自動翻訳エンジンの共同研究に関するお知らせ

2019 年 9 月 30 日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 プ ロ ネ ク サ ス
代表者名 代表取締役社長 上 野 剛 史
(コード番号 7893 東証第一部)
問 合 せ 先 取締役執行役員 社長室長 大和田雅博
電話番号 03-5777-3145



自動翻訳エンジンの共同研究に関するお知らせ

株式会社プロネクサス(以下、
「プロネクサス」)は、連結子会社で財務書類の翻訳サービスを提供
する日本財務翻訳株式会社(以下、
「日本財務翻訳」
)が、自動翻訳エンジンの共同研究についての成
果を発表しましたので、お知らせいたします。
日本財務翻訳と国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)は、2018 年に「財務分野向け
自動翻訳システム実用化の可能性の検証」を目的とした共同研究の契約を締結し、以降、翻訳エン
ジンの開発と検証を行ってきました。この度、一定の性能向上が確認できたことをふまえ、今後は
実用化に向けた取り組みを進めてまいります。





1. 背景・目的
日本財務翻訳は、プロネクサスの 100%子会社として、上場企業の法定開示書類の翻訳を中心に事
業を展開しています。近年、資本市場のグローバル化とコーポレートガバナンスの進展にともなっ
て、英語による情報開示のニーズが高まっており、正確性と迅速性を両立させた翻訳の実現が求め
られています。また、人工知能(AI)を活用した自動翻訳の技術進歩と、さまざまな分野における実
用化の進展をふまえ、財務報告分野における自動翻訳システムの活用に関する検証を、NICT と共同
研究という形で進めてまいりました。


2.共同研究の概要と成果
NICT が運用する「翻訳バンク」に日本財務翻訳が作成した開示書類の対訳データを提供し、NICT
が開発した AI 翻訳エンジン「TexTra(テキストラ)」を用いて、財務報告分野に特化した精度の高
い自動翻訳エンジン(以下、
「当エンジン」)を開発しました。
当エンジンによる日英翻訳の結果と、他社製の自動翻訳エンジンによる翻訳結果、日本財務翻訳
の専門スタッフによる翻訳結果の3方式を比較評価したところ、下記の通り良好な結果が得られま
した。


<比較評価方法>
開示済みの株主総会招集通知、決算短信等で使われる日本語文(文章になっていないフレーズを
含む)500 個超を抽出し、上述の3つの翻訳方式で英語文を生成。9 名のチェック担当者には翻訳方
式を知らせず、 つの英語文と元の日本語文を比較検証し、
3 最も優れているものに投票するというブ
ラインドテスト方式で、それぞれの翻訳精度をスコア化しました。
その結果、当エンジンの翻訳精度のスコアを 100 としたとき、他社製の自動翻訳エンジンのスコ
アは 77 となり、約 1.3 倍の翻訳精度を実現しました。また、日本財務翻訳の専門スタッフによる翻
訳精度のスコアは 110 となっており、当エンジンの翻訳精度が人間の翻訳精度に近づきつつあるこ
とを確認しました。
以上の結果を受けて、日本財務翻訳は、対訳データを活用した財務報告分野における自動翻訳エ
ンジンの性能向上を継続し、実用化に向けて更なる課題の解決に取り組んでまいります。


3.今後の展望
今回は自動翻訳エンジンの性能向上について検証ができましたが、今後は、①自動翻訳エンジン
の活用による幅広い用途への対応やスピードアップ、②正確性を確保するための翻訳技術開発、な
どの取り組みを通じて、プロネクサスグループとして、英語による情報開示の向上とお客様が幅広
く英文開示を推進いただけるサービスの提供を進めてまいります。


以上
・国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)について
NICTは情報通信分野を専門とする我が国唯一の国立の研究機関として、豊かで安心安全な社会の実現
や我が国の経済成長の原動力である情報通信技術(ICT)の研究開発について基礎から応用までを推進
するとともに、産学官連携や事業振興などに統合的に取り組んでいる。
https://www.nict.go.jp/



・翻訳バンクについて
ニューラル技術による自動翻訳の精度向上には、アルゴリズムの改良に加えて、翻訳データの質と量
の影響も大きく、高品質翻訳データの大量の確保が重要となる。NICTは、総務省と共に翻訳データを集
積する「翻訳バンク」を運用し、日本語の翻訳技術の多分野化・高精度化に取り組んでいる。
https://h-bank.nict.go.jp/
https://www.nict.go.jp/press/2017/09/08-1.html(NICT)
最新版の翻訳精度は、NICTの開発した多言語音声翻訳アプリVoiceTra(ボイストラ)や文字ベースの自
動翻訳システムTexTraで自由に確認できる。



・TexTra(テキストラ)について
NICTでは、文字入力用のNMT(ニューラル機械翻訳)をTexTraと名付けて公開している。公開サイト
「みんなの自動翻訳@TexTra®」では、コピー・ペーストしたり、サイト上の翻訳エディタを利用した
り、ワードやパワーポイントのファイルを直接翻訳したり、API(Application Programming
Interface)を介してプログラムから利用するなど、様々な方法で翻訳精度を試すことができる。
https://mt-auto-minhon-mlt.ucri.jgn-x.jp/(NICT)




本件に関するお問い合わせ先
日本財務翻訳株式会社
経営企画部
児玉 高直
E-mail: takanao.kodama@zaihon.co.jp
Webサイト: http://www.zaihon.co.jp/


国立研究開発法人情報通信研究機構
広報部 報道室
Tel: 042-327-6923
E-mail: publicity@nict.go.jp

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