HPCシステムズ、産官学連携による共同チームに参画、新たなマテリアルズ・インフォマティクス手法の開発に成功

2023年12月11日
プレスリリース
報道関係者各位
HPC システムズ株式会社
代表取締役 小野 鉄平
(コード番号:6597 東証グロース)
問合せ先 取締役管理部長 下川 健司
(電話番号:03-5446-5530)




HPCシステムズ、産官学連携による共同チームに参画、
新たなマテリアルズ・インフォマティクス手法の開発に成功


HPCシステムズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 小野 鉄平、以下HPCシステムズ)が参画す
る産官学連携の共同チーム※1(代表:北陸先端科学技術大学院大学 共創インテリジェンス研究領域
DAM Hieu-Chi(ダム ヒョウ チ)教授)は、アテンション機構 ※2 を採用した深層学習 ※3 による
新たなマテリアルズ・インフォマティクス手法※4の開発に成功しました。その成果が世界トップクラ
スの科学雑誌「npj Computational Materials」に掲載されましたので、お知らせします。
このマテリアルズ・インフォマティクス手法の画期的な点は次の通りです。


● 物性値の高精度予測
物質の幅広い種類の物性値に対して非常に高い精度で予測する深層学習手法の開発
● 明示的解釈の提供
アテンション機構を活用した深層学習モデルにおいて、物質の物性を理解する際に注目
すべき局所構造や構造特徴を明確に指示することによる材料の設計に実用的な示唆
● 実証実験の成功
分子材料や結晶材料を対象に手法の検証を実施し、高精度な物性予測と明確な解釈の
両立を確認
● 前例のない結果
今までの手法では見られなかった高予測性と明示的な解釈性の両立の成功
● 材料設計への応用
明示的な解釈が材料設計において実用的でこの分野において期待大




同新手法は、計算科学・実験科学・データ科学の融合を一歩進めたものであり、汎用性が高く、素材
開発に携わる研究者自身が使うことができます。例えば、従来1時間以上かかっていた分子上の反応位
置の計算が新手法では瞬時に終わります。研究者は思考が中断されることなく、研究に集中できます。
新規材料設計や分子構造の探索等のさまざまな先端機能性材料の研究開発へ幅広く応用されることが
期待できます。
また、学術の面では、得られるデータからの物理化学の現象や物質の物性発現メカニズムへの深い理
解が進み、さらなる材料の発見・開発や、未知の物理化学的現象の解明に極めて有用です。
材料科学分野へのアテンション機構の応用は、文章生成に使われる OpenAI の GPT シリーズ※5 や、画
像生成に使われる OpenAI の DALL-E※6 のような、セルフアテンション機構を使用した最新の生成モ
デルと密接に関連しています。セルフアテンション機構は、データの内在する関係性やパターンを自
動的に捉え、新たなデータの生成に特に有効です。本研究で開発した手法は、この機構を材料科学に
適用し、物質の物性予測や構造解析に新たな次元をもたらします。これは、生成モデルにおける革新
的なアプローチと同様、データの深層的な理解を促進し、未来の研究や開発に新しい方向性を示して
います。また、アテンション機構とセルフアテンションの応用範囲を広げることで他の科学分野にも
広く波及する可能性があります。AI とデータ科学の未来を形作る重要な一歩となると期待しています。


当社は、設立当初からこのような研究・開発への参画を通じ、最先端技術を導入し高度な知見と技術
に磨きをかけてまいりました。今後も研究・開発者の立場から、ミッションである「研究者には研究
する力、開発者には製品を開発する力を提供すること」に全力で取り組んでまいります。



◆本成果は、2023年12月7日に科学雑誌「npj Computational Materials」誌(Springer Nature社
発行)のオンライン版で公開されました。
掲載誌:npj Computational Materials (Springer Nature社)
題目 :Towards understanding structure-property relations in materials with interpretable
deep learning
著者 :Tien-Sinh Vu, Minh-Quyet Ha, Duong-Nguyen Nguyen, Viet-Cuong Nguyen,
Yukihiro Abe, Truyen Tran, Huan Tran, Hiori Kino, Takashi Miyake, Koji Tsuda,
Hieu-Chi Dam
DOI : 10.1038/s41524-023-01163-9
掲載日:2023年12月7日



◆詳細は、国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学プレスリリースをご参照ください。
https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/12/11-1.html




【注釈】
※1
共同チーム
北陸先端科学技術大学院大学 共創インテリジェンス研究領域 DAM Hieu-Chi(ダム ヒョウ チ)
教授、NGUYEN Duong-Nguyen助教、博士後期課程学生VU Tien-Sinh、HA Minh-Quyet(研究当
時)、物質・材料研究機構 木野日織博士、産業技術総合研究所 三宅隆博士、HPCシステムズ
株式会社 NGUYEN Viet-Cuong博士、阿部幸浩博士、東京大学 新領域創成科学研究科 津田宏治
教授、Deakin大学 Truyen Tran准教授、Georgia工科大学 Huan Tran講師

※2
アテンション機構
深層学習の分野で用いられる先進的な技術の一つであり、データ内の重要な情報を自動的に「注目」
することを可能にする。特に、膨大な量の情報から特定の関連性やパターンを捉える際に、その真
価を発揮する。
※3
深層学習
人工知能(AI)の一分野であり、複数の隠れ層を持つニューラルネットワークを使用してデータか
ら特徴を学習する技術である。特に、大量のデータから高度なパターンや構造を自動的に捉える能
力が特徴として挙げられる。

※4
マテリアルズ・インフォマティクス手法
化学産業のようなプロセス系の製造業における製品設計にデジタル技術を活用するもので、ビッグ
データ、AI、機械学習などといったデジタル技術の進展により、膨大な数の実験や論文を解析して
材料の製造方法を予測するなど、材料開発の効率を向上させる取り組みを指す。

※5
OpenAIのGPTシリーズ
OpenAIによって開発された一連の言語予測モデルのことで、大量のテキストデータから言語のパタ
ーンを学習し、その知識を用いて新しいテキストを生成する能力を持つ。

※6
OpenAIのDALL-E
OpenAIによって開発されたAI技術で、与えられたテキスト記述から対応する画像を生成すること
ができ、複雑なアイデアやシーンを視覚化し、創造性と現実性を兼ね備えた画像を作り出すことが
できる。




HPCシステムズについて
HPCシステムズは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野のニッチトップ企業です。
HPC事業では、科学技術計算用高性能コンピュータとシミュレーションソフトウェア販売、科学技術計算や
ディープラーニング(深層学習)環境を構築するシステムインテグレーションサービス、シミュレーションソフ
トウェアプログラムの並列化・高速化サービス、計算化学ソフトウェア、マテリアルズ・インフォマティクスの
プログラム開発・販売、受託計算サービス・科学技術研究開発支援、創薬研究開発や素材・材料研究開
発分野向けサイエンスクラウドサービスをワンストップで提供しています。
また、CTO事業では、顧客の用途、課題をヒアリングしながら、価格・性能・品質・高低温・防塵・防水・静
電対策・過酷な環境に対する高耐久性など多種多様の対応が求められる、工場生産設備・製造装置・検
査装置、制御機器や交通インフラ、自動運転、リテール店舗などのコントローラーとしての産業用コンピュ
ータやエッジコンピュータの仕様提案から開発、生産、保守サポート、長期安定供給を実現しています。



社 名 HPCシステムズ株式会社 https://www.hpc.co.jp/
所在地 東京都港区海岸3丁目9番15号 LOOP-X 8階
設 立 2006年7月3日
資本金 2億3,004万円 (2023年9月30日時点)
代表者 代表取締役 小野 鉄平



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