HPCシステムズ、「GRRM20」のライセンス販売開始

People and Computing Power

2021 年6月25日


プレスリリース
報道関係者各位
HPC システムズ株式会社
代表取締役 小野 鉄平
(コード番号:6597 東証マザーズ)
問合せ先 取締役管理部長 下川 健司
(電話番号:03-5446-5530)




HPCシステムズ、「GRRM20」のライセンス販売開始
量子化学計算によって化学反応の経路を自動探索する計算化学プログラム




ハイパフォーマンスコンピューティング分野のニッチトップ企業である HPCシステムズ株式会社
(本社:東京都港区、代表取締役 小野 鉄平、以下 HPCシステムズ)は、量子化学計算によって化
学反応の経路を網羅的に自動探索、非調和下方歪を追跡するADDF法と分子同士もしくは分子の
中の部分構造同士に仮想的に人工力をかけ、構造変化を誘起するAFIR法(人工力誘起反応)を用
いて化学反応の経路を自動探索する計算化学プログラム「GRRM20」の販売を開始しましたので、
お知らせいたします。

1.「GRRM20」とは
GRRM20は、非調和下方歪み追跡法と人工力誘起反応法を実装し、反応物の情報から、量子化学
計算に基づいて、中間体、遷移状態、生成物、副生成物などを自動探索することができます。
有機反応、有機金属触媒反応、微粒子触媒、ラジカル反応、電子励起状態を含む光反応、周期境
界条件による結晶相転移、QM/MM-ONIOM法による酵素触媒反応などの網羅的な反応経路探索、
複雑な反応経路ネットワークの構築といった様々な目的において有用な計算プログラムです。

2.「GRRM20」の特徴
超並列計算(数百経路の同時計算)、与えた反応温度や反応時間において速度論的に重要な安定
構造からのみ探索を実行する速度論ナビゲーション、周期境界条件を課した反応経路自動探索、
酵素反応の解析においてタンパク質の大規模構造変化を取り入れることができる多構造マイクロ反
復法などの新機能が利用できるほか、個々の反応経路計算も高速化されています。また、巨大分
子用構造最適化アルゴリズムが搭載されており、半経験的な量子化学計算などの簡便なポテンシ
ャル計算法と組み合わせることで、数百原子の系においてもAFIR法による構造探索が行えるように
なっています。さらに、簡単な外部スクリプト(人間が読み書きしやすい簡易なプログラミング言語で
書かれた、コンピュータへの命令の集合体)によって情報学的手法や経験則などを探索手順に反映
させるオプションが利用でき、ユーザーが自動探索高速化の手法開発に参加することも可能です。
世界標準の計算化学ソフトウェアのGaussian03/09/16、Molpro、GAMESS、ORCA、TURBOMOLE、
SIESTAとのインターフェイスが内蔵されており、簡単なコードを用意することで任意の電子構造計算
コードと組み合わせることもできます。

3.活用事例
1つの分子をインプット(入力)するだけで、そこから生成される可能性があるすべての生成物、その
分子を生成する可能性があるすべての反応物、さらにはそれらすべての反応経路を自動的に探索
することができます。
例えば、薬剤の合成において、目的の薬剤分子を合成し得るすべての反応経路を明らかにするこ
とで、律速反応への触媒設計や副産物の抑制に活用できます。発光材料の設計においては、材料
の安定性を反応の観点で考察することができるため、安定的に発光する長寿命の材料設計に活用
することができます。また、燃焼反応においては、数千、数万の素反応が高精度な量子化学計算に
基づいて得られるため、自動車やロケットのエンジン設計で要求される反応速度の精度に応えるこ
ともできます。その他、幅広い研究・開発分野での活用が可能です。

4.ライセンス形態
1CPU(Central Processing Unit)物理コア当たりの年間ライセンスで購入いただけます。
最新のCPUは、1CPU当たり最大64コア搭載されており、GRRM20は、マルチコアによる探索から大
規模並列コンピュータまたはスーパーコンピュータの数千、数万、数十万コアを用いた探索により、
高速に大量の化学反応の経路を自動探索することが可能です。

GRRM(Global Reaction Route Mapping:化学反応経路自動探索プログラム)
GRRMは量子化学の予言性を利用して未知の化学を自動的に探索する世界初の計算プログラムで
す。2002年に東北大学の大野公一(おおのこういち)教授、修士1年前田理(まえださとし)(現北海道
大学教授)らによってADDF法の開発が開始され、GRRM20に実装されているAFIR法は、北海道大
学創成研究機構化学反応創成研究拠点(世界トップレベル研究拠点プログラム:WPI-ICReDD)の研
究グループらで現在も進化を続けて、新しい化学反応の合理的設計と高速開発を目指す先端研究
が展開されています。

ADDF(ADD-Following:非調和下方歪追跡)法
ADDF(非調和下方歪み追跡)法は,量子化学計算に基づく反応経路探索法の1つで、安定構造から
別の安定構造へ向かう経路では実際のポテンシャルが調和ポテンシャルよりも低くなる(非調和下
方歪み)ことに着目し、異性化および分解経路を自動探索する方法です。

AFIR(Artificial Force Induced Reaction:人工力誘起反応)法
AFIR法は、量子化学計算に基づく反応経路探索法の1つで、分子同士もしくは分子の中の部分構
造同士に仮想的な人工力をかけ、構造変化を誘起し、この操作を系統的に繰り返すことで、与えた
反応物を未知の生成物へと変換する経路を計算する方法です。

商標について
GRRMは量子化学探索研究所の登録商標です。その他記載されている製品名などの固有名詞は、
各社、団体の商標または登録商標です。

HPCシステムズについて
HPCシステムズは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野のニッチトップ企業です。
HPC事業では、科学技術計算用高性能コンピュータとシミュレーションソフトウェア販売、科学技術計
算やディープラーニング(深層学習)環境を構築するシステムインテグレーションサービス、シミュレー
ションソフトウェアプログラムの並列化・高速化サービス、計算化学ソフトウェア、マテリアルズインフォ
マティクスのプログラム開発・販売、受託計算サービス・科学技術研究開発支援、創薬研究開発や素
材・材料研究開発分野向けサイエンスクラウドサービスをワンストップで提供しています。
また、CTO事業では、顧客の用途、課題をヒアリングしながら、価格・性能・品質・高低温・防塵・防水・
静電対策・過酷な環境に対する高耐久性など多種多様の対応が求められる、工場生産設備・製造装
置・検査装置、制御機器や交通インフラ、自動運転、リテール店舗などのコントローラーとしての産業
用コンピュータやエッジコンピュータの仕様提案から開発、生産、保守サポート、長期安定供給を実現
しています。

社 名 HPCシステムズ株式会社 https://www.hpc.co.jp/
所在地 東京都港区海岸3丁目9番15号 LOOP-X 8階
設 立 2006年7月3日
資本金 2億907万円 (2021年3月末現在)
代表者 代表取締役 小野 鉄平



プレスリリースに関するお問い合わせ
https://www.hpc.co.jp/contact/company_form/

「GRRM20」に関するお問い合わせ
https://www.hpc.co.jp/contact/hpc_chem_form/

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