世界初、アルミケージ搭載の高効率同期リラクタンスモータ「SynRA」の発売について

2022 年 6 月 30 日
各 位
会 社 名 日本電産株式会社
代表者名 代表取締役社長執行役員 関 潤
取 引 所 東証プライム(6594)
所 在 地 京都市南区久世殿城町 338
問合せ先 広報宣伝部長 生島 志朗
電 話 (075)935-6150

世界初、アルミケージ搭載の高効率同期リラクタンスモータ「SynRA」の発売について
―国際高効率規格において最高レベルの IE5 を達成―


日本電産株式会社(以下、当社)は、同期リラクタンスモータにかご型誘導モータの基本原理を組み合わせる世界初
のアルミケージ搭載の高効率同期リラクタンスモータ「SynRA(Synchronous Reluctance Motor with Aluminum
Cage Rotor)」をアメリカ市場向けに発売しました。




日本電産「SynRA」


かご型誘導モータは産業用の汎用モータとして使われているもので、商用電源に接続すれば起動でき、回転数を制御す
るインバータが不要なため導入コストを抑えることができるメリットがあり、ファンやポンプ、コンプレッサ、クレーン、エレベータ等、
多くの産業機器に搭載されています。また、インバーターベースのエアコンや家電製品などの可変速需要には、シンプルで低
価格の V/F コンバータ*1 で動作させることもできます。したがって、かご型誘導モータは、定速、可変速のアプリケーションに
関係なく広く使用されています。一方、構造上ロータとステータの間に「すべり」と呼ばれる回転差(損失)が発生するため、
後述の同期リラクタンスモータに比べて効率が低いという欠点があります。
「SynRA」はロータに特別なリラクタンス設計を行い、かご型誘導モータの「かご(ケージ)」構造を組み込むことにより、
始動時には誘導モータとして回転し、運転時には周波数に同期して回転するもので、かご型誘導モータに比べ損失が少
なく、高効率を達成することが可能です。また、さらに高い効率を実現するためにコントローラを使用する場合にも、従来の
「同期リラクタンスモータ」のようなベクトル制御や正確な制御パラメーターを装備する必要はなく、単純な V/F オープンルー
プ制御*2 で達成することが可能です。本製品は国際高効率規格において最高レベルの IE5 を達成しており、さらに低コス
トで製品化できることが実証できており、かご型誘導モータからの置き換え需要が期待できます。


効率 コスト

かご型 △ 〇
誘導モータ ロータとステータの間に滑り(損失)発生 インバータが不要もしくは簡単な制御
同期 〇 △
リラクタンスモータ 周波数と同期するため高効率 特殊な制御が必要
〇 〇
SynRA
同期リラクタンスモータ同等 かご型誘導モータと同等


当社グループは、今後もモータの省エネ化によって電力の消費を抑え、地球環境への負荷低減に貢献する革新的なソリ
ューションを提案していきます。


*1 V/F コンバータ:電圧(V)を周波数(F)に、または周波数を電圧に変換する装置。電気信号は多くが電圧で出力さ
れるが、伝送系の増幅度や直線性の変化により、電圧のままでは正確な信号伝達ができない。そのため、V/F コンバータを用い
て電圧の変化を周波数の変化に変換して伝送し、その後 F/V コンバータで伝送信号の復調を行う。


*2 V/F オープンループ制御:インバータで交流モータの可変速を行う制御方式の一つ。構成が簡単で調整も容易である反面、
一般的に制御応答性が高くないという制約があるが、SynRA においては、高い効率を出すことができる。


シンクロナスリラクタンスモータのダイレクトオンライン技術紹介ページ URL
https://www.nidec.com/jp/technology/capability/high-efficiency-synchronous-motor/




日本電産株式会社は 2023 年 4 月 1 日に「ニデック株式会社」に社名変更します





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