スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ

2024 年 4 月 3 日
各 位
会社名 日本ピラー工業株式会社
代表者名 代表取締役社長 岩波 嘉信
(コード番号 6490 東証プライム)
問合せ先 取締役専務執行役員 宿南 克彦
(TEL.06-7166-8281)



スポンサードリサーチレポート発行のお知らせ

当社は、投資家とのコミュニケーションを円滑にし、当社に対するご理解を深めていただくためスポンサー
ドリサーチレポートを発行いたしましたので、お知らせいたします。


当リサーチレポートは、株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに作成を依頼しております
が、当社株への推奨は一切なく、当社のビジネスモデル、業界動向、業績推移、長期的な事業戦略といったす
でに公表されている内容を投資家の皆様にわかりやすく説明するためのものです。
詳細につきましては、次ページ以降をご参照ください。


以上
企業レポート

東証プライム・機械 担当アナリスト
2024 年 4 月 3 日

黒田真路

日本ピラー工業(6490) 星野英彦 CMA

キャピタルグッズ・リサーチ&アド
バイザリー(CGRA)


役員インタビュー:時価総額 1,000 億円は通過点、更なる高みを目指す
 総括:日本ピラー工業(以下、同社)は、過去 5 年間で売上高が約 1.8 倍、営業利益が約 2.7 倍、株価は約 4.3 倍を確
保した高成長・高収益企業である。今後も「半導体」、「脱炭素」をキーワードに、高い成長ポテンシャルと更なる収益性の改善およ
び ROE の向上が期待される。時価総額が 1,000 億円をクリアしたことで、国内外の投資家層の広がりや認知度の向上が進み始
めており、低位にとどまる株価バリュエーションが見直される可能性もあると CGRA は考える。本レポートでは、グループ化したタンケン
シールセーコウの和田社長を始め、同社技術本部長、CFO、各事業責任者へのインタビューを行い、25/3 期以降の中長期的な
同社の成長ポテンシャル、営業利益率の改善余地、株価バリュエーションや期待される時価総額などを掲載した。

 業績動向:24/3 期の予想営業利益は、2024 年 2 月 13 日の 3Q決算発表時に期初予想の 125 億円から前期比 1.8%
減の 136 億円(営業利益率 23.9%)へ上方修正され、1株当たり年間配当金も 120 円から 149 円(配当性向 34.7%)
へ引き上げられた。電子機器関連事業の予想営業利益は、製品値上げなどが奏功、105 億円から同 6.5%減の 110 億円(営
業利益率 27.5%)の見通し。産業機器関連事業の予想営業利益は、好採算である補修部品の需要増やタンケンシールセーコ
ウの業績上振れなどを背景に、20 億円から同 26.3%増の 26 億円(同 15.3%)へ引き上げられた。26/3 期を最終年度とす
る中計「One2025」では、売上高 660 億円、営業利益 170 億円(同 25.7%)、電子機器関連事業の売上高 480 億円、
営業利益 145 億円、産業機器関連は売上高 180 億円、営業利益 25 億円が計画されているが、産業機器関連事業の営業
利益は、24/3 期において 2 年前倒しで計画をクリアする見通し。
 ESG 経営:中計「One2025」では、9つのサステナビリティ項目(非財務)で KPI が設定され、役員報酬の評価項目に ESG
指標が加わった。2023 年は CDP の B スコア(22 年は B-)を獲得、今後は TCFD の深化や TNFD 開示の取組を強化すると
ともに、新たに人事戦略グループを設置し、人財への投資、育成を強化している。取締役会の実効性も向上している印象。
 株価バリュエーションと株主還元:同社株主総リターン(TSR)は、TOPIX および機械セクターを大幅にアウトパフォームしており、
キャピタルゲインとインカムゲインを考慮した株価意識の高い株主還元が行われている印象。主要半導体・FA 企業 7 社との比較に
おいて、同社は相対的に高い営業利益率と期待 ROE を確保しつつも、PBR と PER は依然として低位にとどまっていると思われる。
連結業績および各種株価データ
トレーディング・データ 業績推移:億円 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3会予
株価(24年4月2日) 6,080 売上高 309 292 302 406 487 570
52週レンジ:円 4,265~6,400 営業利益 51 36 48 113 138 136
時価総額:億円 1,523 経常利益 52 37 50 118 141 142
発行済株式総数:千株 25,042 親会社株主当期利益 37 26 34 82 104 100
平均売買代金(20日):億円 5.2 EPS:円 152.1 108.6 144.7 350.5 351.1 429.1
会社予想PER:倍 14.2 ROE:% 9.1 6.2 7.8 16.8 18.6 -
PBR(23/3末):倍 2.4 1株配当金:円 45.0 40.0 50.0 106.0 133.0 149.0
予想1株配当金:円 149.0 配当性向:% 29.6 36.8 34.6 30.3 30.0 34.7
予想配当利回り:% 2.5 FCF 11 11 19 103 54 -
ROIC(23/3):% 16.9 NetCash 118 115 116 208 211 -

本レポートは投資の勧誘・推奨・助言を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を目的として、当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本
レポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。
目 次
・会社概要と製品紹介:p3
・日本ピラー工業における 3 つの注目ポイント:p4~5
・前回レポートからの変化点:p6
・タンケンシールセーコウ和田社長インタビュー:p7
・手嶋技術本部長インタビュー:p8
・宿南 CFO インタビュー:p9
・中期経営計画「One2025」の概況:p10
・24/3 期業績の進捗と課題:p11
・電子機器関連事業の概要:p12~13
・電子機器関連事業 藤原執行役員インタビュー:p14~15
・産業機器関連事業の概況:p16~17
・産業機器関連事業 芹田執行役員インタビュー:p18~19
・ESG 経営の深耕:p20
・株価バリュエーション:p21
・株主還元:p22
・連結損益計算書と貸借対照表、キャッシュ・フロー:p23~24


図表 1:2023 年以降、アウトパフォーム基調が継続
2022年年初以降の株価指数比較
180.0 1,000,000

160.0 900,000
出来高(右軸、株) 日本ピラー工業株価指数
800,000
140.0
TOPIX指数 機械株指数
700,000
120.0
600,000
100.0
500,000
80.0
400,000
60.0
300,000
40.0
200,000

20.0 100,000

0.0 0
22 Jan
Feb




June



Sep
Oct



23 Jan
Feb




June



Sep
Oct



24 Jan
Feb
Mar

May




Mar

May




Mar
Apr



July
Aug




July
Nov
Dec




April




Aug



Nov
Dec




April




出所:CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 2
会社概要と製品紹介
「半導体」と「脱炭素」をキーワードとする高収益・高成長企業
高い市場シェアと高収益性を誇る半導体製造装置関連のニッチ銘柄
同社は、電子機器関連事業(23/3 期報告セグメント売上高構成比 76%、営業利益構成比 顧客の課題解決につ
85%、営業利益率 31.9%)と産業機器関連事業(同 24%、同 15%、同 17.4%)の 2 つ ながる高品質な重要
部品の提供が高成
の事業セグメントを有している。 長・高収益なビジネス
電子機器関連事業は、半導体や液晶の製造工程における洗浄装置および半導体工場の薬液供 モデルを支える

給設備に組み込まれて使用される“ふっ素樹脂”を加工した継手やチューブおよびベローズポンプなど
の数千種類もの製品ラインアップを誇る。特に、継手は高いクリーン度やシール性能、豊富な実績を
背景に、世界的なデファクトスタンダードとなっている。

産業機器関連事業は、発電所や石油精製、石油化学などの各種プラントに組み込まれるポンプや
バルブなどに装着されるメカニカルシールやグランドパッキン、ガスケットなどを手掛ける。液体やガスの
漏れを防ぎ、プラントの安全性とパフォーマンス向上につながる重要部品であるうえ、補修品の需要
も多く、高い収益性を確保している。なお、同事業には半導体製造装置の 1 つである CMP(ケミカ
ルメカニカルポリッシング)装置向けロータリージョイントが含まれる。

過去 5 年間で同社業績は急成長、業績規模が様変わりした
電子機器関連事業の業績は、過去 5 年間(19/3~24/3 会予)で売上高が約 2 倍(セグメ 「半導体」と「脱炭素」
ント利益は約3倍)、セグメント利益率は 22/3 期において過去最高の 32.0%に達した。この背 が同社の長期的な成
長テーマ
景には、世界的な半導体需要の拡大と旺盛な半導体設備投資、更には省スペースやクリーン度向
上ニーズに対応した製品ラインアップの拡充や新規顧客の獲得、製品価格改定などが挙げられる。

産業機器関連事業は、過去 5 年間で売上高が約 1.6 倍(同約 1.8 倍)となり、23/3 期にお
ける営業利益率は、17.4%へ改善が進んだ。CMP 装置向けロータリージョイントの高成長に加え、
国内における原子力発電所の再稼働、国内外での補修部品の需要増、タンケンシールセーコウの
グループ会社化、更には脱炭素に向けた新たな需要創出などが追い風となっている。

同社は実効性の高い ESG 経営を推進している
2021 年 4 月に岩波社長を委員長とする ESG/SDGs 推進委員会が設置され、22 年はマテリア
リティを特定し、TCFD へ賛同を表明した。中計「One2025」では、9 つのサステナビリティ(非財務)
KPI を掲げ、マテリアリティの解決を通じた中計とありたい姿の実現を目指している。CDP 気候変動
2023 においては、昨年度から 1 ランクアップの「B」スコアを獲得、上記 KPI の 1 つをクリアした。

図表 2:各セグメントの特徴と主要製品および顧客業種
 23/3期実績 電子機器関連 産業機器関連
 売上高:億円 368 118
 セグメント利益:億円 118 21
 セグメント利益率:% 31.9 17.4

過去5年平均売上成長率:% 16.2 11.1
過去5年平均利益成長率:% 39.1 25.9

 主要製品 継手(フィッティング)、ベローズポンプ メカニカルシール
チューブ、ユニトン支承など ガスケット、グランドパッキン
 顧客業種 半導体・液晶メーカー、半導体・液晶製造装置 石油化学、鉄鋼、LNGプラント、各種発電設備など


出所:CGRA 作成


日本ピラー工業(6490) 3
日本ピラー工業における3つの注目ポイント
ポイント①:半導体市場の前年同月比伸び率が同社株価の先行指標
CGRA では、半導体設備投資や半導体関連株の先行指標として、WSTS 発表の世界半導体市 半導体市場のポジテ
ィブなモメンタムは
場の前年同月比伸び率に注目している。過去の同社株価は、半導体市場の前年同月比比伸び
2025 年前半辺りま
率がピークアウトを示し始めた 2018 年年初と 2022 年年初に高値を形成している。同社株価の で続きそう
底打ちタイミングに関しても、半導体市場の前年同月比伸び率のマイナス幅が縮小を始める時期に
底打ちし、上昇に向かう傾向が見られる。

過去 2 回のサイクルを見ると、半導体市場の前年同月比伸び率は、プラスに転じて以降、約 20 ヶ
月後に伸び率のモメンタムがピークアウトを示している。今回のサイクルにおいては、半導体市場の前
年同月比伸び率は既にプラスに転じ、3 月時点で 7 ヶ月が経過していると見られる。荏原やレゾナッ
クなどの決算期が 12 月末である半導体関連企業は、既に今 2024 年 12 月期の業績予想を開
示しており、両社ともに、今下期以降にも半導体関連需要の回復を想定している。過去の傾向など
から推測すると、2025 年前半辺りまで半導体市場のモメンタム回復が続くと CGRA は考える。

ポイント②:24/3 期業績予想は上方修正された(上方修正は 5 期連続)
同社は、2023 年 5 月 12 日、24/3 期業績予想と 26/3 期を最終年度とする 3 ヶ年中期経営 産業機器関連事業
の 24/3 期営業利
計画「One2025」を発表した。期初時点では、売上高 570 億円(前期比 17.0%増)、営業
益は中計目標を 2
利益 125 億円(同 9.7%減、営業利益率 21.9%)、1 株当たり当期純利益 361.08 円が 年前倒しで達成へ
予想された。一方、中計では、売上高 660 億円、営業利益 170 億円(営業利益率 25.7%)、
ROE10%以上、配当性向 30%以上、3 ヶ年累計設備投資 250 億円が提示された。セグメント
別数値目標としては、電子機器関連事業は売上高 480 億円、営業利益 145 億円、産業機器
関連事業は売上高 180 億円、営業利益 25 億円が計画されている。

24/3 期は、電子機器関連事業を中心に、受注の調整局面が到来している。しかし、同社は 3Q
決算発表時の 2024 年 2 月 13 日に、予想売上高 570 億円を据え置きつつ、営業利益を 136
億円(同 1.7%減、営業利益率 23.9%)、1 株当たり当期利益を 429.10 円へ上方修正し
た。期首の受注残高が 213 億円(月商約 4.5 ヶ月)に達していたうえ、製品の値上げ効果、産
業機器関連事業における好採算である補修部品案件の獲得やグループ会社化したタンケンシール
セーコウの業績上振れなどが要因である。

ポイント③:同社株価は上場来高値を更新
同 社 は 、 中 計 「 One2025 」 の 中 で 、 公 約 配 当 性 向 30 % 以 上 を 掲 げ て い る 。 前 中 計 同社株価は上場来
高値を更新
「BTvision22」においても配当性向 30%以上を掲げていたが、自己株取得を含む総還元性向は
3ヶ年平均で 42.5%であった。同社は、利益成長によるキャピタルゲインを重視しつつ、株価パフォ
ーマンスや計画対比での業績進捗を加味、増配や自己株取得を通じたインカムゲインの向上を目
指したバランスのとれた株主還元を行っている。実際、2022 年は、半導体需要の減速懸念を背景
に、株価パフォーマンスに悪化が見られたが、2022 年 11 月 10 日付けで上限 10 億円(上限
50 万株、発行済株式総数の 2.22%)の自己株取得が発表された。24/3 期においては、3Q 決
算発表時において、業績予想の上方修正とともに、創業 100 周年の記念配当 10 円を含む 1 株
当たり年間配当金を期初予想の 120 円(配当性向 33.2%)から 149 円(配当性向 34.7%)
へ引き上げた。その後の同社株価は、上昇基調を強め、上場来高値を更新している。


日本ピラー工業(6490) 4
図表 3:半導体市場のモメンタムピーク時に同社株価も天井を付ける傾向がある
(%) 日本ピラー工業株と半導体市場の前年比伸び率 (円)
同社株価は半導体市
7,000
120.0 場のモメンタムがピーク
6,000
半導体市場の前年比伸び率 アウトするまで上昇す
100.0 5,000 る傾向が見られる
日本ピラー工業株(右軸) 4,000
80.0
3,000
60.0 2,000
1,000
40.0


20.0 -1,000

0.0 -2,000
-3,000
-20.0
-4,000
-40.0 -5,000































図表 4:同社業績予想は 5 期連続で上方修正された
(億円) (%)
60,000 45.0 24/3 期業績は、受注
連結売上高 営業利益 環境が調整局面を迎
40.0 える中、3Q 決算発表
50,000 期初予想営業利益 営業利益率(右軸)
35.0 時に上方修正された
ROE(右軸)
40,000 28.0 28.4 30.0

23.9 25.0
30,000
19.0 18.6 20.0
15.1 17.5 16.8
14.9 16.6 16.0
12.6
20,000 15.0
7.8
9.1 8.9 9.1 10.0
6.2 7.2 6.2
10,000
5.0

0 0.0
15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3 会予


図表 5:今後も継続的な株主還元の強化が期待されよう
(円) 1株当たり配当金と自己株取得、配当性向と総還元性向 (%)
180.0 80.0 今後も自己株取得を
1株当たり自己株取得額 含む継続的な株主還
160.0 70.0
1株当たり配当金 元の強化が期待され
140.0 配当性向(右軸) 57.6 よう
60.0
120.0 総還元性向(右軸) 49.4
30.3 50.0
100.0 41.8 39.5 34.7
34.6 40.0
80.0 25.7 29.6 34.7
29.3 28.8 25.9
24.9 36.8 30.0
24.9 30.3
60.0 29.6
24.9 25.9 25.7 30.0
24.9 20.0
40.0 21.4
20.0 10.0

0.0 0.0
13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3 会予


出所:会社資料などから CGRA 作成
日本ピラー工業(6490) 5
前回レポートからの変化点
2024 年は半導体設備投資の回復局面入りが期待される
同社株価は半導体市場の底打ちと成長期待を背景に上昇基調を強めた
2023 年 1 月 10 日発行の前回フォローアップレポートでは、岩波社長へのインタビューを通じ、同 半導体市場の回復期
待と生成 AI 需要の急
社の高い収益性の背景や次期中計への想い、リスクと事業機会や株主・投資家へのメッセージなど
拡大を背景に、半導
に加え、同社 ESG 経営の深耕、更にはグローバル半導体市場の底打ちと同社株価の投資機会、 体関連銘柄の株価上
株主還元と株価バリュエーションなどを説明した。 昇が見られている

CGRA が注目するグローバル半導体市場の前年同月比伸び率は、マイナス幅の縮小を続け、
2023 年 9 月にはプラスに転じた。2023 年末以降は、生成 AI 市場の拡大を背景とした米エヌビ
ディアの業績急成長と株価上昇を背景に、半導体関連銘柄全体へ物色対象の広がりが見られて
いる。同社株価に関しては、高成長・高収益な半導体関連銘柄の一角として評価が進み、業績
予想の上方修正や株主還元の強化なども追い風に、上場来高値を更新している。

ポジティブな需要見通しの発表が相次いでいる
2023 年 11 月 28 日付けで WSTS が発表した秋季世界半導体市場見通しでは、2023 年暦 同社業績と高い相関
関係にある SEAJ の半
年の半導体市場は、前年比 9%減の 5,201 億ドルへ減少するものの、2024 年は同 13%増の
導体製造装置需要は
5,883 億ドルへ増加に転じる見通しである。生成 AI やパワーディスクリート需要の成長に加え、年 本格的な回復局面の
後半からの景気回復を背景とした、電子機器全般の需要拡大が追い風になると見られている。6 到来が見込まれる

月頃にも春季需要予測が開示される。

2024 年 1 月 18 日、SEAJ(日本半導体製造装置協会)が発表した半導体製造装置需要
予測では、2023 年度の半導体製造装置需要は、前回予測を下回る前年度比 19%減の
31,770 億円にとどまるものの、2024 年度は同 27%増の 40,348 億円、2025 年度は同 10%
増の 44,383 億円と拡大局面の到来が予想されている。同社電子機器関連事業の売上高は、
半導体製造装置需要と極めて高い相関関係(+0.9)にあり、今後の業績再拡大が期待される。

図表 6:前回レポートからの変化点
前回レポート( 2 3 年1 月1 0 日) 今回
株価:円 2,766 6,080
1株当たり予想配当金:円 108.0 149.0
配当利回り:% 3.9 2.5
予想PER:倍 7.9 14.2
PBR:倍 1.2 2.4
TOPIX 1,876 2,714
予想売上高:億円 440(23/3) 570(24/3)
予想営業利益:億円 118(23/3) 136(24/3)
半導体出荷額 2022 5,801( +4%YoY) 5,740( +3%YoY)
(CY、億ドル、%) 2023E 5,565( -4%YoY) 5,201( -9%YoY)
2024E - 5 ,8 8 3 (+ 1 3 % YoY)
半導体製造装置需要予測 2022 36,840( +7%YoY) 39,222(+14%YoY)
(FY、億円、%) 2023E 34,998( -5%YoY) 31,770(-19%YoY)
2024E 41,997(+20%YoY) 4 0 ,3 4 8 ( + 2 7 %YoY)
2025E - 4 4 ,3 8 3 ( + 1 0 %YoY)
米国政策金利:% 4.5 5.5
USドル:円 131.5 151.6

出所:各種資料から CGRA 作成。半導体市場は WSTS、半導体製造装置需要は SEAJ

日本ピラー工業(6490) 6
タンケンシールセーコウ和田社長インタビュー
シナジー効果の最大化を図り、差別化されたカーボン製品の拡販を目指します
Q:御社の保有する経営資本、業績動向、強みや弱みなどを教えてください。

タンケンシールセーコウ(以下、タンケン)は、創業 68 年を誇る老舗のメカニカルシールメーカーです。 カーボンの特性は、熱
日本ピラー工業と国内市場においてシェア争いを繰り広げていた競合の 1 社です。石油精製や石油 膨張 が少 ない、 熱伝
導が大きい、熱衝撃に
化学向けに強く、売上高の約 6 割が補修部品・メンテナンスを含めたアフタービジネスが占め、過去 強い、耐熱温度が高
3 年間の平均売上高は 46 億円、同平均営業利益率は 11%、2 桁の ROE を確保しています。 い、自己潤滑性がある、
メカニカルシールの摺動材で使用されるカーボンを世界で唯一内製しているシールメーカーであり、材 軽い、耐薬品性に優
れている、など
料開発を通じた顧客の課題解決に強みを持っています。グループ化後においては、日本ピラー工業
との人財、知的資本の融合・進化を図り、更なるソリューションを提供いたします。

Q:グループ会社化に伴って、どのようなシナジー効果が期待されますか。

国内の工業用メカニカルシール市場は、3 社がシェアを分けていましたが、タンケンのグループ化に伴
い、日本ピラー工業グループはトップシェア企業と並ぶ規模になりました。具体的なシナジー効果の 1
つは、原材料の相互調達です。メカニカルシールの摺動材は、用途に合わせて使い分けられ、市場
の 7 割を SiC などの硬質材とカーボンの組み合わせ、3 割を硬質材同士の組み合わせが占めてい
ます。タンケンはカーボン材を内製化していますが、日本ピラー工業は SiC を内製化しているので、生
産・調達面での相互供給を通じたシナジー効果が期待できます。また、日本ピラー工業は、ポンプ用
途向けに強く、タンケンは攪拌機用途向けメカニカルシールに強く、既存顧客の重複が少ないことや、
日本ピラー工業のグローバルネットワークを活用するなど、販売面のシナジー効果も期待されます。

経営面では、日本ピラー工業グループは、半導体関連事業への収益依存度が高いものの、タンケン
のグループ化に伴い、事業ポートフォリオおよび業績の安定化が図れると期待しています。岩波社長
の期待も大きく、毎月のようにタンケンを訪問し、現場を回り、社員と交流し、PMI(Post Merger
Integration)を通じたシナジー効果の最大化を目指しています。従来、競合企業としてシェア争
いをしていた日本ピラー工業のグループ化に伴い、タンケン社員のモチベーションも高まっています。

Q:中長期的な業績のけん引役は何ですか。

タンケンの買収は、収益性の高い国内の補修部品・メンテナンス事業が相対的に強く、日本ピラー 静圧気体軸受技術を
工業との共創に伴い、市場シェアの向上も期待されます。また、メカニカルシールのみならず日本ピラ 活かしたウエブハンドリ
ング用の浮上搬送用
ー工業が有するガスケットやグランドパッキンなどの関聯製品のクロスセルによる業績拡大も期待され ロールは、ウエブの浮上
ます。既に営業社員の交流も図られているほか、広島では営業所の統合も進んでいます。 搬送が可能であるため、
摩擦駆動に伴うトラブ
また、タンケンは独自のカーボン技術を活かしたカーボンマテリアル製品の販売に注力しています。ポー ルの防止が可能
ラスカーボン製品は、空気を通す性質を活かし、各種フィルム製品の製造装置に組み込まれて使用
されるロール材として普及が始まっています。フィルムに“しわ”が入らない、静電気を帯びない、耐熱・
耐薬品性などの優位性が評価され、大手企業に採用されています。これらカーボン製品の売上構
成比は 10%程度ですが、今後の用途拡大に期待しています。

Q:抱える課題と対策があれば教えてください。

タンケンの抱える課題としては、社員の平均年齢が高いほか、近年は設備投資を抑制してきたため、
一部のシステムを含めて設備の老朽化が進んでいる点が挙げられます。日本ピラー工業のグループ
化に伴い、既にシステムを含む工場設備の増設と機械設備の入れ替えに着手しています。

注:2024 年 2 月 28 日、タンケン本社でインタビューを実施。

日本ピラー工業(6490) 7
手嶋技術本部長インタビュー
中計「One2025」と紐付いた収益性重視の製品開発を行っています
Q:研究開発方針と保有する知的資本を教えてください。

当社では、技術的に差別化された製品を精度良く、スピード感を伴って開発することを重要視してい スピード感を伴う効率
の良い開発活動を進
ます。どのような市場に対して、どのような製品を投入するかと共に、収益性のターゲットを開発の初
めることで、80%以上
期段階で明確化し、進化する既存市場と新たな成長市場に向けて、開発案件のポートフォリオを の製品化率を誇ります
整理した開発を行っています。生産技術を含む開発技術エンジニアは約 200 名で、技術優位性と
収益性を重視した効率の良い開発を進めています。23/3 期の研究開発費は、前期比 10%増の
11 億円(対売上高比率 2.3%)です。市場ニーズに応えるため、最後まで諦めずに開発を行い、
製品化を実現することが当社の特徴であり、その成果として 80%以上の製品化率を誇っています。

昨年 10 月に竣工した三田イノベーションセンターでは、技術者を集結させ、英知の集積を図ります。
大学やスタートアップ企業とのオープンイノベーションを促進する専用の研究室を設置するなど、産官
学連携の強化を図ります。また、今年 4 月には技術開発本部に IT・DX 推進部を新設し、IT や
AI などの開発を加速させる方針です。グループ化したタンケンシールセーコウが保有する独自のカー
ボン技術を活用した新市場の創出を目指した共同開発も始まります。

Q:研究開発は中計「One2025」および収益性と結びついていますか。

中計「One2025」の策定にあたっては、我々技術本部も参加し、新製品の売上高比率や上市件 KPI を設定し、中計数
値目標と紐づいた開
数、特許数などを定量的な KPI として掲げ、中計業績目標と紐付いた活動を行っています。また、
発活動を推進していま
“環境への貢献”を開発テーマの必要項目として織り込んだ開発を進めると共に、差別化技術に基 す
づいた高い参入障壁を重要視した新製品開発、および既存製品の収益性改善を目指した改良
活動も行っています。

Q:2030 年に向けて期待される技術や知財を教えてください。

今後は製品「モノ」の販売のみならず、故障予知に向けた状態監視や IoT デバイスなどを通じた「こ
と」ビジネスを強化・拡大させたいです。製品開発に関しては、AI や CAE(Computer aided
engineering)を活用した試作フリーのフロントローディング開発を強化することで、短期間で効率
的な設計力を強化するとともに、独自の材料開発を進めることで、差別化力の向上を目指します。

Q:生成 AI の登場は、どのような事業機会とリスクが考えられますか。

生成 AI に関しては、短期間で高精度な技術開発が可能となり、設計や開発面でのプラス効果は
大きいです。ただし、最終的な判断は人が行いますので、DX やデータ分析を含めた DX 人財の教
育を加速させています。

Q:PFAS 問題の業績影響(事業機会とリスク)をどのように見ていますか。

当社製品の多くがふっ素樹脂を使用していますので、今後の規制次第では脅威と考えています。対
応策として、全社横断の PFAS 対応組織を立ち上げ、代替材料の探索などを進めています。また、
当社としては、半導体の製造工程におけるふっ素樹脂は、エッセンシャルユースであることなどから、
11 件のパブリックコメントを提出しています。事業機会としては、昨年に PFAS フリーのグランドパッキ
ンを他社に先駆けて販売を開始しました。欧米市場において多くの反響を頂いており、今後の展開
が楽しみです。

注:2024 年3月6日、同社福知山第 2 工場でインタビューを実施。



日本ピラー工業(6490) 8
宿南 CFO インタビュー
時価総額 1,000 億円は通過点、2,000 億円程度に達する可能性もありそう
Q:中計「One 2025」の進捗をどのように評価されていますか。

24/3 期は中計 1 年目ですが、順調な業績進捗となっています。2024 年 2 月 13 日に堅調な 中計数値目標に対し
て、業績は順調に進
3Q 決算の発表と同時に、24/3 期業績予想の上方修正を行いました。グループ化したタンケンシー
捗、今後は半導体市
ルセーコウの業績上振れと国内外の発電所向け保守部品の需要増、電子機器関連事業における 場の回復に期待が高
製品価格の改定効果などが寄与しています。電子機器関連事業は、今後も需要の拡大が見込ま まる
れています。2023 年 9 月には福知山第 2 工場が稼働を始め、生産能力は 22 年対比で最大
1.8 倍に拡大します。昨今は、樹脂の調達難が課題でしたが、新たなサプライヤーの確保を含め、
不良率の低減、 ふっ素樹脂以外の材料の採用、再生樹脂の活用などの対策を講じてきました。中
計の達成に向けた体制が整ってきたと感じています。産業機器関連事業は、コロナ禍で海外展開の
遅れが課題となっています。今後は代理店などを含めた海外拠点整備を強化する方針です。

Q:キャッシュ・アロケーションに関して、定量的に説明して頂けますか。

23 年 12 月末の B/S 上のキャッシュは 213 億円(総資産の 21%)ですが、福知山第 2 工場
および三田イノベーションセンターへの支出計上に伴い、今後は 100 億円程度へ減少する見通しで
す。適正なキャッシュポジションは、月商 3 ヶ月の 150 億円程度を目安としていますので、当社初の
のグリーンボンドを発行し、外部からの資金調達を行いました。中計 3 ヶ年における成長投資として
250 億円(タンケン買収 66 億円、福知山第 2 工場 100 億円、三田イノベーションセンター35
億円、その他 50 億円)を想定していますが、半導体の需要動向次第では投資案件を前倒しする
ことも視野に入れています。株主還元に関しては、配当性向 30%以上は最低限守りますが、
30%にはこだわらず、業績次第では上積みも検討します。

Q:タンケンの業績インパクトと M&A 方針があれば教えてください。

タンケンの 24/3 期業績は 11.5 ヶ月の変則決算ですが、売上高は 50 億円弱、営業利益は買収
費用がなければ 8 億円程度を想定しています。買収に伴う一時費用は 2 億円程度ですが、年間
4.6 億円ののれん償却が継続します。タンケン以外の新たな M&A は中計で掲げた成長投資には
織り込んでいません。M&A の基本方針としては、シナジー効果が期待される案件が対象候補で、
引き続き情報収集を進める方針です。

Q:25/3 期業績に関して、コメントを頂けますか。

25/3 期は、電子機器関連事業において、半導体関連から受注回復が見込まれますが、懸念は
樹脂価格の動向です。産業機器関連事業は、CMP 向けロータリージョイントの受注回復が見込ま
れますが、補修部品の大口案件の反動減もあり、相殺されそうです。

Q:目標時価総額に関して、どのようにお考えですか。

時価総額が 1,000 億円を超え、IR の面談数も海外機関投資家を中心に、2~3 割増加してい 時 価 総 額 約 2,000
ますし、時価総額が 10 億ドル(1,500 億円)を超えると海外機関投資家の層が変わると聞いて 億 円 ( 株 価 8,000
円)を超える可能性
います。予想 PER は 15 倍程度に上昇していますが、半導体関連銘柄には PER が 30~40 倍 もありそう
の企業も散見されます。仮に当社 ROE を 15%とした場合、PER15 倍で PBR は 2.25 倍と試算
されます。PER20 倍では PBR は 3 倍となります。23 年 12 月末の BPS 約 2,800 円を当てはめ
ると 8,000 円(=時価総額約 2,000 億円)を超える株価も視野に入るのではないでしょうか。

注:24 年 2 月 28 日、Web インタビューを実施。

日本ピラー工業(6490) 9
中期経営計画「One2025」の概要
次の 100 年へ飛躍するための基盤づくりとしての位置付け
同社は、「“社会を支える”未来を創る」をミッションに掲げ、CLEAN・SAFETY・FRONTIER を軸に 次なる 100 年に向け
た 3 ヶ年新中計がスタ
独自の「流体制御関連技術」と「最先端の製品・技術・サービス」で「持続可能な社会の実現」と
ート
「経済価値の創造」を目指し、2023 年 5 月 12 日付けで、26/3 期を最終年度とする 3 ヶ年中
計「One2025」を発表した。同中計は、2024 年 5 月に節目となる創業 100 周年を迎える同社
が次の 100 年へ飛躍するための基盤づくリの期間として位置付けられている。
全社の中計基本方針としては、(1)コア事業の進化、(2)グローバル競争力の強化、(3)
新規事業基盤の創造、(4)サステナブル経営の発展、(5)成長を支える財務戦略、を掲げ、
企業価値の更なる向上に向けて、事業と組織の変革・変質を推進する方針である。

売上高 660 億円、営業利益 170 億円、ROE10%以上を目指す
同中計では、最終年度となる 26/3 期において、売上高 660 億円、営業利益 170 億円(営業 過去最高の売上高と
営業利益を実現すると
利益率 25.7%)、ROE10%以上を数値目標に掲げている(売上高と営業利益は過去最高)。
ともに、高い収益性の
また、配当性向を 30%以上、3 ヶ年累計成長投資 250 億円を計画している。セグメント別では、 維持を目指す
電子機器関連事業は売上高 480 億円、営業利益 145 億円(営業利益率 30.2%)、産業
機器関連事業は売上高 180 億円、営業利益 25 億円(同 13.8%)が計画されている。
中計に非財務項目の重点目標が初めて設定された
同中計では上記の財務数値目標のみならず、サステナブル経営の発展を目指し、以下の 9 つの重 初めてサステナビリティ
の 向 上に 向 けた非 財
点目標が新たに設定された。環境貢献項目:①GHG 排出量を 2013 年度比 25%削減
務 KPI が開示された
(Scope1&2)、②PRTR 法に基づく 3 物質の使用を禁止、③CDP スコア「B」以上の獲得と維
持。人財活躍/組織成長:①女性管理職比率 5%以上、②男性育休取得率 75%以上、③1
人当たり人財育成投資額+20%以上、④多様な人財活用に関するマネジメント研修の実施、⑤
DX 人財育成の研修の実施、⑥デジタルツールを活用した専門スキルの継承、高度習得の効率化。
図表 7:「One2025」数値目標




出所:同社説明会資料などから CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 10
24/3 期業績の進捗と課題
24/3 期業績予想は 3Q 決算時に上方修正された
中計「One2025」の初年度となる 24/3 期業績は、期初時点において、売上高 570 億円、営業 24/3 期は中計数値
目標に対して順調な
利益 125 億円(営業利益率 21.9%)、1 株当たり当期純利益 361.08 円が計画されていた。
進捗が見られているが、
しかし、受注残高の消化や製品値上げの効果などが奏功、3Q 決算発表時に上方修正され、売 来 25/3 期に向けて受
注高の早期回復に期
上高は 570 億円が据え置かれたものの、営業利益は 136 億円へ+11 億円増額修正され、1 株
待したい
当たり当期純利益は 429.1 円へ引き上げられた。
受注残の消化が進んでおり、受注高の早期回復に期待したい
同社四半期ベース受注高は、23/3 期第 4 四半期で底打ちしたものの、緩やかな回復基調にあり、
BB レシオ(受注高÷売上高)は過去 4 四半期連続で 1 倍を割り込んで推移している。23 年
12 月末の受注残高は、180 億円(月商 3.8 ヵ月分)へ減少しており、25/3 期に向けては受注
高の早期回復に期待したい。

図表 8:受注残の消化が進んでいる点が 25/3 期業績の懸念材料
(百万円) (倍)
売上高 受注高 受注残高 BBレシオ(右軸)
30,000 1.5
1.4 1.4
24,969 1.3
25,000 1.2
22,491 1.2
21,375 1.1
1.1 19,803
20,000 18,063 1.0
1.0 0.9
0.9
0.8 0.8
15,000 0.7
0.7
0.6
10,000 0.5
0.4
0.3
5,000
0.2
0.1
0 0.0
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
会予


図表 9: 24/3 期業績は中計数値目標に対して順調な進捗を見せる
(百万円) (%)
70,000 40.0
66,000
連結売上高(左軸) 連結営業利益(左軸)
60,000 35.0
営業利益率(右軸) 57,000

28.0 28.4 30.0
50,000
23.9 25.8
17.5 25.0
40,000 19.0
16.6 20.0
30,000 14.9
16.0 15.0
14.0 15.1
20,000 12.6 17,000
13,600 10.0

10,000 5.0


0 0.0
14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3 会予 26/3 計画


出所:会社資料などから CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 11
電子機器関連事業の概況
収益の源泉と創出する価値
電子機器関連事業は、継手やベローズポンプ、チューブなどの、ふっ素樹脂を応用・加工したピラフロ 同社の継手は半導体
洗浄装置と半導体工
ン製品を手掛けている。主力である半導体洗浄装置用の継手は、世界的なデファクトスタンダードと
場 に お け る 薬 液供 給
なっており、23/3 期のセグメント利益率は 31.9%と高い収益性を有している。 工程のデファクトスタン
ダード
半導体の洗浄工程で使用される薬液は、強酸や強アルカリなどの高い危険性を有しているうえ、半
導体の微細化の進展に伴い、従来以上にクリーン度が重要視される。半導体製造装置や半導体
工場の薬液供給工程に組み込まれる同社の継手やポンプ、チューブなどは、半導体生産における
安全性の確保(薬液の漏れ防止)や歩留まりの最大化、生産設備の小型化ニーズに対して、高
品質な製品供給と数千種類の製品ラインアップでカスタマイズ対応することで、高い信頼性と収益
性の獲得を実現している。加えて、射出成形と金型成形における差別化された独自の高い技術力
と材料および生産技術力が同社の強みの源泉でもある。

業績動向:24/3 通期予想営業利益は上方修正された
電子機器関連事業における 24/3 期業績は、期初時点において売上高 410 億円、営業利益
110 億円(営業利益率 26.8%)が予想されていた。その後、2Q 決算時点で、売上高 410 億
円は据え置かれたが、営業利益は 105 億円へ下方修正された。しかし、3Q 決算時において売上
高を 400 億円(前期比 11.4%増)へ下方修正しつつ、営業利益は 110 億円(同 6.5%減、
営業利益率 26.8%)へ上方修正された。製品値上げの進展などが要因である。

受注動向:前年同期比のハードルが低くなる局面が到来へ
同事業における四半期受注高は、23/3 期 4Q に前年同期比 39.7%減の 69 億円に減少した。 そろそろ受注高が前年
比プラスに転じる局面
その後は 24/3 期 1Q 受注高が同 33.2%減の 81 億円、2Q が同 27.6%減の 82 億円、3Q
が到来しそうだ
は同 27.9%減の 82 億円で推移している。前年のハードルが低くなるため、24/3 期 4Q 以降は前
年同期比伸び率がプラスに転じる可能性が出てきたと CGRA は考える。

図表 10:受注高の早期回復に期待したい
(百万円) 電子機器関連事業の業績動向 (%)
60,000 50.0

売上高 45.0
50,000 48,000
セグメント利益 40.0
セグメント利益率(右軸)
32.0 31.9 40,000 35.0
40,000
30.2
27.5 30.0

30,000 25.0
20.2 20.0 36,819
20.1 18.1
30,410 20.0
15.3 12.4
20,000 14.2 14,500 15.0
11,000
10.0
10,000
11,759 5.0
9,737
0 0.0
14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3 会予 26/3 計画


出所:会社資料から CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 12
電子機器関連事業を取り巻く外部環境
レゾナック、荏原ともに半導体関連事業の需要回復を示唆
同社は 3 月決算企業であり、25/3 期業績予想は 2024 年 5 月の本決算発表時に公表される レゾナックと荏原の業績
予想が示す通り、同社
見通し。一方、半導体関連企業であるレゾナックや荏原は 12 月決算企業であり、既に今 24/12
電子機器関連事業の
月期業績見通しを発表済みである。以下のグラフでは、同社電子機器関連事業における受注高 受注高も回復局面を
の決算期をレゾナックと荏原の決算期に合わせ、半期ベースの動向を見てみた。レゾナックと荏原とも 迎えよう

に、今上期(24 年 1~6 月)は概ね横這いの受注・売上環境が続くものの、今下期(24 年 7
~12 月)は両社ともに回復局面の到来を予想している。特に、荏原のコンポーネント事業は、半
導体製造工程で使用される真空ポンプが中心であり、ロジック向けの着実な設備投資の継続に加
え、メモリー向けの設備投資の再開を想定している。同社電子機器関連事業における受注高も本
格的な需要回復局面を迎えそうだ。

図表 11:レゾナックの半導体・電子材料売上高は回復に向かう見通し

(億円) レゾナックの売上高と同社電子機器関連事業受注高の推移 (百万円)
3,000 30,000 レゾナックは緩やかなが
らも半導体関連需要
レゾナックの半導体・電子材料売上高(左軸)
の 回 復 局面 入 りを 予
2,500 25,000
電子機器関連事業の受注高 想している
2,204 2,100
2,000 1,847 20,000
2,068
1,800
1,500 15,000
1,534

1,000 10,000


500 5,000



上期 下期 上期 下期 上期 下期
22/12 23/12 24/12会予

図 12:荏原のコンポーネント受注は緩やかな回復局面入りを示唆している
(億円)
荏原と同社電子機器関連事業受注高の推移 (百万円)
900 35,000 荏 原 は 今 下 期 ( 24
年 7~12 月)以降に
800 荏原のコンポーネント受注高(左軸)
30,000 メモリー投資の再開を
700 電子機器関連事業の受注高 予想している
25,000


476 450 20,000


400 15,000

10,000

5,000



上期 下期 上期 下期 上期 下期
22/12 23/12 24/12会予

出所:各社の決算資料から CGRA 作成。同社受注高の決算期を統一調整済み

日本ピラー工業(6490) 13
電子機器関連事業:藤原執行役員インタビュー
次の需要回復局面では、各種施策の刈り取りを行いたい
Q:中計「One 2025」の進捗をどのように評価されていますか。

24/3 期業績は、受注高の減少傾向が続いていますが、受注残の消化を進めることで、前期比 業績および施策ともに
8.6%増の 400 億円を目指しています。一方、営業利益は、原材料値上げの悪影響が大きく、製 順調な進捗を見せて
おり、次の需要回復局
品の値上げや生産性の改善を進めていますが、同 6.5%減の 110 億円を予想しています。業績 面で真価が問われよう
数値としては、中計数値目標に沿った順調な進捗であると考えています。樹脂不足に対しては、お
客様の理解と説得に苦労しながら、代替材料やリサイクル材の活用に向けた品質確認と金型の変
更などを通じた技術的・生産技術的な検証を進めることで、対応しています。

Q:中計の達成に向けた 3 つの施策の成果と課題を教えてください。

事業戦略としては、①新規事業の創出、②既存市場・製品の強化、③更なる競争力向上に向け
た基盤強化、を掲げています。新規事業の創出に関しては、半導体以外の市場の開拓が鍵を握り
ますが、この 1 年は市場ニーズの調査に重点を置いた活動を行っています。新素材の開発としては、
ふっ素樹脂不足を契機に、ふっ素樹脂の再生材や異なる樹脂において、代替材を活用することで
成果が得られました。また、スイープエルボーに続く次世代製品の市場投入の目処が立ちました。中
計では、非財務 KPI に「PRTR 法に基づく指定化学物質 3 物質の使用全廃」を掲げており、順次、
溶剤洗浄から環境に優しい純水洗浄に変更します。

既存市場・製品の強化に関しては、地産地消を目的に設立した中国の滁州ピラー工業において、
新たにチューブを生産するなど生産品目の拡充が進み、継手を付けたモジュール製品をお客様に納
品する受託成形も始まっています。北京支店も開設し、新規顧客の開拓も進んでいます。欧米で
は大手半導体製造装置メーカーの新製品に採用されるなど、着実に実績を伸ばしています。

更なる競争力向上に向けた基盤強化においては、福知山第 2 工場の建設に伴い、熊本工場を含 福知山第2工場は生
産能力のみならず生
む生産能力が 22 年対比で最大 1.8 倍に拡大するとともに、射出成形品の複数取りの拡大と成
産性も 1.3 倍へ向上
形品のゲートカットの自動化、更には洗浄工程から搬送搬入を自動化するなどの自動搬送倉庫の
導入などで、生産性も 1.3 倍に向上します。
図 13:電子産業機器事業の戦略と施策




出所:中計「One2025」資料

日本ピラー工業(6490) 14
Q:25/3 期に向けて期待されること、およびリスクをどのように考えていますか。

WSTS や SEAJ が需要見通しを上方修正しており、当社としても期待が高まっています。特に 樹脂材料不足への対
SEAJ(一社 日本半導体製造装置協会)は、24 年 1 月 18 日の需要予測において、2024 応策が奏功、製品の
安定供給に対する自
年度(25/3 期)の半導体製造装置需要を前年度 27%増、2025 年度を同 10%増と予測し
信が深まっている
ています。樹脂メーカーの供給能力不足がリスクとして懸念されますが、代替材や再生樹脂の活用、
新たな材料サプライヤーの開拓効果などで十分対応が可能です。今後は既存樹脂サプライヤーの
生産能力増強効果見込まれるうえ、新規サプライヤーの材料認証が進むことから、ふっ素樹脂の調
達リスクの低減が進むと考えています。

図 14:半導体製造装置の需要拡大が同社業績をけん引へ
(百万円) (億円)
60,000 SEAJ半導体製造装置需要(右軸) 60,000

電子機器関連事業の売上高
50,000 50,000
同営業利益 48,000
40,000
36,819
40,000 40,000
44,383
30,410
30,000 40,348 30,000
20,123 20,645 39,222
18,911 18,221
20,000 31,770 18,000 20,000
16,452 34,430
11,803 12,525
10,983
10,000 10,000
11,759 11,000
9,737


会予 予測 予測
出所:SEAJ 資料などから CGRA 作成

Q:2030 年に向けた業績けん引役をどのように見ていますか。

中長期的な業績けん引役としては、通信の 5G や次世代 6G の普及に伴う PC やスマートフォンの 2030 年に向けて市場
需要増加、EV(電気自動車)の普及に加え、IoT や AI などの様々なアプリケーションの登場やデ を上回る成長と高い収
益性の確保を目指す
ータ通信量の拡大に伴うデータセンターの需要増加が期待されます。このため、2030 年のグローバ 方針である
ル半導体市場は、2023 年実績から約倍増の 1 兆ドルに成長すると予想されています。また、ロジ
ックおよび DRAM、NAND などの半導体における微細化や積層化の進展に伴い、半導体製造装
置の市場拡大が見込まれるとともに、当社においては新規顧客の拡大や新たな用途・分野の開拓
を進めることで、市場を上回る成長を目指します。

Q:今後も高い収益性の維持は可能でしょうか。

中計「One 2025」で掲げている目標営業利益率は、30.2%です。国内最大手の半導体製造装
置メーカーは、27 年度に 35%以上の目標営業利益率を掲げられていますし、米国最大手の半導
体製造装置メーカーは、半導体製造装置事業における直近の四半期決算で 36%程度の営業利
益率を計上しています。当社電子機器関連事業の収益性は、お客様の収益率に左右される面も
ありますが、高い品質に裏付けられた信頼性に加えて、最新鋭の福知山第 2 工場における生産、
搬送、洗浄の自動化などを通じた生産性改善効果が見込まれ、今後も更なる収益力の向上を目
指す方針です。


注:2024 年 3 月 6 日、同社福知山第 2 工場でインタビューを実施。

日本ピラー工業(6490) 15
産業機器関連事業の概況
収益の源泉と創出する価値
産業機器関連事業は、メカニカルシールやグランドパッキン、ガスケットなど、液体やガス、粉体などの 同事業は各種プラント
の安定稼働を確保し
漏れを制御する機器を手掛けている。石油精製・石油化学や原子力などの発電設備、エネルギ
つつ、環境汚染を未然
ー・環境、上下水道設備などの様々な装置やプラントに組み込まれるポンプやバルブ、攪拌機、コン に防ぐ重要な役割を
プレッサー、タービンなどに装着され、高圧・高温・極低温といった過酷な環境下で使用される。同社 担う

製品は、腐食性液体の漏れによる環境汚染や可燃性ガスや毒性ガスの流出による大気汚染防止、
更には各種プラントの安全・最適な稼働を支えているほか、同社独自の差別化技術も有しており、
各種機器の小型化・省エネ化に貢献している。

同事業では、半導体のウエット工程で使用される CMP 装置向けロータリージョイントが半導体市場
の成長を背景に、新規顧客の獲得も含め、近年の業績拡大のけん引役の1つとなっている。また、
「脱炭素」に向けたエネジートランジションを中長期的な事業機会と捉え、水素やアンモニアの各種プ
ラントや輸送船、受入基地に加えて、航空機燃料の SAF(Sustainable Aviation Fuel)関連
の生産設備向け新規需要も期待される。

業績動向:中計目標営業利益は 2 年前倒しで達成
産業機器関連事業における 24/3 期業績は、期初時点で売上高を 160 億円、営業利益 15 億 国内外ともに好調な
事業環境が継続して
円が予想されていた。しかし、2Q 決算時に売上高 160 億円を据え置きつつ、営業利益は 20 億
おり、中計目標営業
円へ増額され、3Q 決算時には売上高が 170 億円、営業利益は 26 億円(営業利益率 15.3%) 利益を 2 年前倒しで
へ上方修正された。好採算である補修品の需要増とグループ化したタンケンシールセーコウの業績上 達成へ

振れなどが主因であり、中計目標営業利益を 2 年前倒しで達成する見通し。

受注動向:堅調な受注環境が継続している
同事業の四半期受注高は、タンケンシールセーコウのグループ化もあり、24/3 期 1Q は前年同期
比 21.4%増の 40 億円、2Q は同 42.0%増の 43 億円、3Q は同 47.1%増の 46 億円を確
保、同期間の BB レシオも 1.1 倍→0.9 倍→1.1 倍と、安定的に推移している。

図表 15:タンケンシールセーコウの好業績などが業績をけん引
(百万円) 産業機器関連事業の業績動向 (%)
20,000 30.0
売上高 18,000
18,000 タンケンシールセー 17,000
セグメント利益 コウをグループ化
25.0
16,000
セグメント利益率(右軸)
14,000
11,844 20.0
12,000 17.1 17.4
15.6 14.8 15.7 15.3
12.8 13.8
10,000 12.9 15.0
14.8 13.9
8,000
10.0
6,000
7.3 2,500
4,000
2,600 5.0
2,000
2,059
0 0.0
14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3 会予 26/3 計画

出所:会社資料から CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 16
産業機器関連事業を取り巻く外部環境
半導体・液晶を除く既存顧客向け売上高は回復傾向を強める
半導体・液晶以外の既存顧客向け売上高(単体ベース)は、国内外の発電所や石油精製・石 「脱炭素」をキーワード
に、中長期的な成長
油化学向け補修品の需要増、米国環境規制に適合した高気密製を有するパッキン EDP シリーズ
余地は大きい
などが評価され、順調な回復を見せている。

中長期的には、「脱炭素」をキーワードに、水素やアンモニア関連のエネジートランジションに関する設
備投資、航空機燃料 SAF や合成メタン、大気中から CO2 を直接回収する CCS(Carbon
dioxide Capture and Storage)、原子力発電所の再稼働や次世代炉の開発、水素還元製
鉄など、新たな設備投資が期待される。同社としては、スピード感を伴う製品開発を強化するととも
に、新たな製品・市場創造を強化する方針である。各種プラント向け制御器を手掛ける横河電機
の中計売上高を先行指標に、中長期的な成長余地は大きいと CGRA は考える。

図表 16:半導体・液晶以外の既存顧客向け売上高が回復傾向を強める
(百万円) 半導体・液晶向け売上高を除く業種別売上高(単体)
9,000
化学・その他 石油・鉄鋼・輸送
8,000
電力・エネルギー 土木・建築
7,000 官公需 その他

6,000

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000


1H 2H 1H 2H 1H 2H 1H 2H 1H 2H 1H 2H 1H 2H


図表 17:横河電機の中計数字を先行指標に今後の成長余地は大きい
横河電機の中計売上高計画と同社産業機器関連事業の売上高推移 (%)
(百万円)

33,000
横河電機の制御事業指数化売上高
30,000

27,000 産業機器関連事業の売上高(左軸) タンケンシールセー
コウをグループ化
24,000 200
21,000
17,000 18,000
18,000 150
11,844
15,000 10,680 10,915
10,467 10,757 10,146
9,471
12,000 205 100
9,000


6,000 100 104 105 106 100 104 50
3,000

17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3 会予 26/3 計画 31/3 計画

出所:決算説明会資料から CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 17
産業機器関連事業:芹田執行役員インタビュー
次の需要回復局面では、各種施策の刈り取りを行いたい
Q:中計「One 2025」の業績進捗をどのように評価されていますか。

24/3 期業績は、売上高および営業利益ともに期初予想を上回り、3Q 決算時点で売上高を前 順調な業績進捗に加
期比 43.5%増の 170 億円、営業利益を同 26.3%増の 26 億円(営業利益率 15.3%)へ え、タンケンとのシナジ
ー効果で業績の安定
上方修正しました。今期の特徴は、円安進行に伴う製品の割安感などを背景に、海外顧客からの 感と収益性の向上を
受注が好調に推移していることです。国内においては、原子力発電所の再稼働に伴う案件も堅調 図る方針
です。また、設備投資を手控えてきた国内外の石油化学業界においても補修部品の需要が回復
傾向を強めています。脱炭素に向けた投資も動き始めています。

タンケンの業績貢献は、既に中計に織り込んでいましたが、予想以上に好調な業績環境が続いてい
ます。タンケンは、収益性が高い補修部品の売上構成比が高く、グループ会社化以降の産業機器
関連事業における補修部品の売上構成比は 60%程度に上昇し、業績の安定感と収益性の改
善に寄与しています。24/3 期営業利益は、中計で掲げた目標営業利益 25 億円を 2 年前倒し
で達成する見通しです。

Q:中計の達成に向けた 3 つの施策の成果と課題を教えてください。

中計の達成に向けた事業戦略としては、電子機器関連事業と同様、①新規事業の創出、②既存
市場・製品の強化、③更なる競争力向上に向けた基盤強化、を掲げています。新規事業の創出
に関しては、2023 年 9 月に三田イノベーションセンターが完成し、脱炭素化社会の到来に向けて、
シール技術の向上と新製品の創出に向けた土台作りができました。社内の知見の一体化と他社協
業などを通じ、開発のレベルアップを図ります。競合企業であったタンケンの当社グループ化も大変心
強い戦力です。シナジー効果の早期実現と差別化された製品の創出、海外への拡販などを強化す
る方針です。また、お客様におけるプラントの定期修理のインターバルを改善させ、最適なオペレーシ
ョンを実現させる保守・メンテナンス契約も海外市場を中心に本格化しています。お客様にはコスト
の見える化が図られ、当社においては業績の安定化とお客様の囲い込みのメリットがあります。

図 18:産業機器事業の戦略と施策




出所:中計「One2025」資料

日本ピラー工業(6490) 18
既存市場・製品の強化に関しては、グランドパッキンの分野で環境性能に特化した製品に強みを持 新製品の投入や新規
っており、米国 API 規格(アメリカ石油協会の規格)や欧州 ISO をクリアし、PPM オーダーにも対 市場の開拓を進めると
ともに、補修・メンテナ
応可能な製品を供給しています。当社は高性能領域のグランドパッキンでは世界シェア推定 4 割、 ンス事業の拡大を目
他社へ供給している材料を含めると実質 6 割程度のシェアを確保しています。既に、ピラーブランドが 指します
認知されており、PFAS フリーなどの環境に優しい新たな材料を採用した製品を市場投入し、新たな
市場の創出を目指しています。また、CMP 向けロータリージョイントに加え、半導体向けメカニカルシ
ールが用途の拡大やクリーン度の向上などを背景に薬液のハンドリング工程で採用が拡大しています。
現在は年間数億円程度の売上規模ですが、成長余地は大きいです。

更なる競争力の強化に関しては、三田イノベーションセンターの効果も見られており、生産の自動化
を進めつつ、開発リードタイムの短縮化などを進めることで、各種サイクルタイムやコスト削減も着実に
進んでいます。補修・メンテナンス業務に関しては、タンケンが得意とする分野であり、お客様のメンテ
ナンススキルの低下や外注化の動きも見られ、ワンストップで包括サポート出来るニーズが高まってお
り、ビジネスチャンスを感じています。

Q:25/3 期に向けて期待されること、リスクをどのように考えていますか。

25/3 期は「脱炭素」に向けた新たな事業機会(=水素やアンモニア、SAF など)の拡大が期待さ
れます。これまではパイロットプラント程度の商談が中心でしたが、商業化に向けたプラント規模の大
型化が進んでおり、事業ボリュームの拡大が楽しみです。国内の原子力に関しては、引き続き再稼
働の動きが継続しそうです。リスクとしては、グローバルビジネス環境の変化が挙げられます。特に今
年は、主要国の選挙イヤーですので、市場環境の変化に注視し、事業活動を進める考えです。

Q:2030 年に向けた業績けん引役をどのように見ていますか。

「脱炭素」に向けてはエナジートランジションと同様、プロセスの変革が求められます。例えば、エチレン
クラッカー(生産設備)は、過剰生産能力の削減に向けた統廃合が進むと同時に、原料のナフサ
を何に変えるのか、燃料をアンモニアにするのか、水素にするのかなど、開発実装が進みます。当社は
製品の開発力と開発スピード、稼ぐ仕組みが求められますが、極めて大きなビジネスチャンスなので、
是非ともゲームチェンジを狙いたいです。航空機燃料の SAF や各種合成燃料の設備投資の拡大に
も期待しています。また、当社独自の戦略として、差別化された材料技術と射出成形技術を応用し
た樹脂製自動車部品を EV(電気自動車)向けに提供することも視野に入れています。

Q:営業利益率はどこまで改善余地がありますか。

「One 2025」で掲げている目標営業利益率は 13.9%ですが、24/3 期予想営業利益率は 「脱炭素」と「半導体」
15.3%です。24/3 期予想売上高は 170 億円ですが、既に 200 億円規模までの生産能力を有 をキーワードに今後の
成長余地は大きく、営
していますので、当面は自動化・合理化投資を優先することで筋肉質な収益体質の更なる強化を
業利益率 20%程度
図ります。「脱炭素」に向けた投資が本格化し、仕事量の拡大が加速する段階で、新たな生産拠 を目指したい
点の拡充を検討したいと思います。
タンケンのグループ化に伴い、好採算である補修部品・メンテナンス事業の強化、保守・メンテナンス
契約の拡充による業績の安定化と収益性の向上も見込まれます。メカニカルシールおよびグランドパ
ッキンともにニッチな市場における重要保安部品であり、補修品の売上構成比も高く、中長期的に
堅調な需要拡大が見込まれます。CMP 向けロータリージョイントおよび半導体向けメカニカルシール
の需要動向は、今後もシクリカル・グロースのトレンドが続きます。今後も営業利益率の向上余地は
大きいと思います。


注:2024 年2月 28 日、Web インタビューを実施。

日本ピラー工業(6490) 19
ESG 経営の深耕
サステナブル項目の KPI が新たに設定された
同社は比較的早く ESG 経営に乗り出し、2021 年 4 月に岩波社長を委員長とする ESG/SDGs 新 た に 9 つ の 非財 務
KPI が設定された
推進委員会を設置した。2022 年は 21 のマテリアリティを特定し、中計「One2025」では、サステ
ナブル経営の発展を目指し、新たに9つの重点目標が設定された(p10 参照)。

環境貢献:CDP スコア「B」を前倒しでクリア
環境貢献に関する KPI としては、CO2 の自社排出量(Scope1&2)を 2025 年度までに 2013 KPI の達成を通じたマ
テリアリティの解決に向
年度比 25%の削減を目指し、2050 年度には排出量「実質ゼロ」の実現を目指している。実現に
けた ESG 経営の深化
向けては、再生可能エネルギーの利用強化や省エネ設備への更新促進、グリーン電力の調達を推 が感じられる
進する方針である。Scope3 に関しては、2022 年度のカテゴリー別の実績が開示されており、今後
は削減活動の策定が進むとみられる。なお、KPI の 1 つに掲げた CDP スコア「B」以上に関しては、
2023 年にスコア「B」(2022 年は「B-」)を獲得し、中計で掲げた環境目標の 1 つをクリアした。
新設の福知山第 2 工場では、溶剤洗浄から純水洗浄への切り替えを進めており、2024 年度
(25/3 期 )には、KPI に掲げた「PRTR 法に基づく指定化学物質のうち 3 物質の使用を全廃す
る」に進展が見られるであろう。今後は、環境活動の更なる高度化を目指し、TNFD(自然関連
財務情報開示タスクフォース)対応の強化、第三者認証の取得、更には TCFD 開示の拡充、環
境貢献製品の市場供給拡大などが期待される。

人材活躍/組織成長:持続的な組織成長を追求
人的資本に関しては、多様な社員による多様な価値観がイノベーションの源泉になると考え、新たに 同社が掲げる“ミッショ
ン”の実現に向けた戦
人事戦略グループが設置された。1 人当たり人材育成投資額の 20%向上を目指しつつ、女性管
略的な人財作りに着
理職の登用、男性育休取得率の向上などの KPI を掲げ、DX/IT ツールを活用した DX 推進や多 手している
様な人財能力の向上、更にはリーダーの育成を通じ、持続的な組織力の成長を目指す方針である。
また、2023 年 6 月には、人財の多様性を尊重し、持続可能な社会に向けて新たな価値創造を
目指し、グループ人権方針が策定された。

コーポレート・ガバナンス:取締役会の充実度が増している印象
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役の人数(社内 5 名、社外 4 名、うち女性 1 名。
社外比率 44.4%)およびメンバーともに変更していない。役員報酬は、固定給比率 50~60%
に変化はないが、評価項目に ESG 指標が新たに加わった。22/3 期における取締役会は、年 7 回
であったが、23/3 期は年 9 回開催され、取締役会の実効性が向上している印象である。

図表 19:主な非財務データ




出所:同社 HP

日本ピラー工業(6490) 20
株価バリュエーション
同社株価バリュエーションは相対的に低位な状況が続いている
PBR=ROE×PER は良く知られた株価バリュエーションの計算式であり、最近では ROE と ROIC と 時価総額の着実な増
加を通じて、国内外に
の連動を試みる企業も散見される。東京エレクトロンや SMC は、高い成長性と高い営業利益率を
おけ る投 資家 層の拡
備えており、サステナビリティが高いとの判断から PER が高く評価されている。一方、ROE は当該企 がりと、認知度の向上
業が資本政策を通じて比較的自ら操作が可能な指標であるが、収益性が高いものの、過剰な内 に期待したい

部留保を有する企業の ROE は、相対的に低位にとどまっている。同社は東京エレクトロンや SMC
に並ぶ高い収益性を確保しつつも、予想 PER は 7 社平均を下回る。また、同社期待 ROE は 7
社平均値を上回っているものの、PER が低位にとどまっているが故に、PBR は 7 社中で最も低位な
状況にある。PER の改善に向けて、サステナビリティの向上や投資家層の拡大、認知度の向上など
が求められそうだ。

図表 20:同社の高い営業利益率に反して、予想 PER は低位にとどまる
関連各社の営業利益率と予想PER
60.0
東京エレクトロン

50.0


40.0
安川電機
予想PER(倍)




SMC
平均値
30.0
ローツェ
荏原 SCREENホールディングス
20.0
日本ピラー工業

10.0


0.0

実績営業利益率(%)
図表 21:同社の高い期待 ROE に反して、PBR は低位にとどまる
関連各社の期待ROEとPBR
14.0

東京エレクトロン
12.0


10.0


8.0
PBR(倍)




6.0 ローツェ
安川電機 平均値

4.0 SMC 荏原
日本ピラー工業
2.0 SCREENホールディングス


0.0
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
期待ROE(%)

出所:会社資料などから CGRA 作成。荏原は 12 月期決算、安川電機とローツェは 2 月期決算

日本ピラー工業(6490) 21
株主還元
株主還元方針:連結配当性向 30%以上が基本方針
同社は 21/3 期以降、配当性向 30%以上を公約配当性向に掲げている。実際、過去の配当性 今後も株価を意識し
た経営と株 主還元の
向は、21/3 期が 34.6%(1 株当たり配当金 50 円)、22/3 期は 30.3%(同 106 円)、
強化の継続に期待し
23/3 期は 30.0%(同 133 円)であった。ただし、21/3 期は自己株取得約8億円が実施さ たい
れ、総還元性向は 57.6%、23/3 期も約 10 億円の自己株取得が実施され、総還元性向は
39.5%であった。株価動向を注視し、利益成長に伴うキャピタルゲインと増配や自己株取得を含む
インカムゲインを考慮した株主還元が実施されている。

24/3 期配当方針:創業 100 周年記念配当 10 円が含まれる
24/3 期の 1 株当たり年間予想配当金は、期初時点で 120 円(普通配当 110 円、特別配当
10 円。上期末実績 60 円)が計画されていたが、3Q 決算時に業績予想の上方修正とともに、
149 円(普通配当 129 円、特別配当 10 円、記念配当 10 円)へ引き上げられた。特別配当
は、福知山第2工場および三田イノベーションセンターの建設を記念したものであり、記念配 10 円
は創業 100 周年の記念配当である。配当性向は 34.7%であるが、普通配当 129 円を基準とし
た配当性向は 30.0%となる。

株主総利回り(TSR):高いパフォーマンスを記録
同社の 23 年 12 月末時点と過去の 3 月期末時点における株主総利回り(TSR:投資期間中 同社 TSR は TOPIX
および機械セクターと
の累計配当金を加味した株価リターン)は、TOPIX および機械セクターの TSR を大幅にアウトパフ
比較して、大きくアウト
ォームしている。23/3 期末に同社株に投資し、23/12 月まで保有した場合の TSR は 22.0%で パフォームしている
あり、TOPIX の 19.5%並みであるが、3年前の 21/3 期時点で同社株に投資した場合の TSR
は 158.3%であり、TOPIX の 28.9%、機械セクターの 23.1%を大幅にアウトパフォームしている。

図表 22:23/12 月を基準とした株主総利回り(TSR)のパフォーマンス
日本ピラー工業 TOPIX 機械セクター 日本ピラー工業
投資時期 TSR:% TSR:% TSR:% 決算期 期末株価:円 1株配当金:円
10年前 532.6 143.9 143.2 15/3 1,001 20.0
9年前 404.2 86.6 91.0 16/3 979 28.0
8年前 412.7 109.3 133.4 17/3 1,501 34.0
7年前 232.1 82.5 80.2 18/3 1,582 36.0
6年前 212.8 57.5 52.4 19/3 1,277 45.0
5年前 284.0 65.8 74.9 20/3 1,258 40.0
4年前 286.6 83.2 96.8 21/3 1,864 50.0
3年前 158.3 28.9 23.1 22/3 3,080 106.0
2年前 52.9 26.4 27.9 23/3 3,750 133.0
1年前 22.0 19.5 17.8 23/12 4,455 120.0
24/3 149.0

出所:CGRA 作成、変則的に 23/12 時点をベースとしたパフォーマンスを算出




日本ピラー工業(6490) 22
各種財務データ
図表 23:連結貸借対照表とキャッシュ・フロー計算書
(百万円、%) 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3

流動資産 21,867 24,805 26,124 25,279 29,832 28,821 28,375 27,025 27,994 38,050 44,605
現金・預金 10,763 13,093 13,929 12,451 14,060 13,153 12,912 12,196 11,918 21,165 22,458
受取手形・売掛金 8,481 9,401 9,602 10,159 12,143 12,785 12,026 11,551 12,701 13,009 16,990
有価証券 94 0 0 0 112 0 0 0 0 0 0
棚卸資産 2,128 1,790 2,162 2,174 2,235 2,612 3,063 2,956 3,024 3,528 4,722
その他流動資産 401 521 431 495 1,282 271 374 322 351 348 435

固定資産 13,863 14,180 15,342 16,884 19,514 22,717 24,597 26,165 26,955 26,941 27,886
有形固定資産 11,304 11,254 11,510 13,901 15,493 18,107 20,266 21,971 20,669 20,272 21,124
無形固定資産 78 75 75 94 107 105 173 251 246 222 242
投資その他資産 2,481 2,851 3,757 2,889 3,914 4,505 4,158 3,942 6,038 6,446 6,520

資産合計 35,731 38,986 41,466 42,164 49,347 51,933 52,972 53,190 54,949 64,991 72,492

流動負債 5,024 6,052 6,213 6,267 9,193 8,960 8,608 8,313 7,133 10,113 10,492
支払手形・買掛金 2,534 2,929 3,239 3,185 3,948 3,137 2,985 2,869 3,006 3,728 3,467
短期借入金・1年以内償還長期借入金 776 575 516 352 737 727 639 689 254 250 1,250
その他流動負債 1,714 2,548 2,458 2,730 4,508 5,096 4,984 4,755 3,873 6,135 5,775

固定負債 2,077 2,348 2,154 1,991 3,413 3,137 2,194 1,866 2,038 2,219 2,631
長期借入金 543 656 339 187 1,410 882 443 4 0 100 100
その他固定負債 1,534 1,692 1,815 1,804 2,003 2,255 1,751 1,862 2,038 2,119 2,531

負債合計 7,101 8,400 8,367 8,259 12,607 12,098 10,802 10,180 9,172 12,333 13,124

株主資本合計 28,063 29,518 31,162 32,745 35,166 37,657 40,587 41,791 43,502 49,739 55,927

その他包括利益 566 1,067 1,937 1,159 1,573 2,176 1,581 1,218 2,273 2,919 3,441

純資産 28,629 30,585 33,099 33,905 36,740 39,834 42,169 43,010 45,776 52,658 59,368

負債・純資産合計 35,731 38,986 41,466 42,164 49,347 51,933 52,972 53,190 54,949 64,991 72,492


(百万円、%) 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3

営業活動によるキャッシュ・フロー 2,930 3,429 2,957 3,074 3,220 3,752 5,035 4,064 5,676 11,950 6,058

税金等調整前当期純利益 2,522 3,031 3,124 3,595 4,609 5,014 5,456 3,653 4,837 11,822 14,587

減価償却費 967 924 954 940 1,022 1,397 1,718 1,822 2,056 1,991 1,954

売上債権の増減額 1,970 -877 -94 -564 -1,989 -635 1,072 455 -1,155 -117 -3,762

棚卸資産の増減額 69 375 -337 -22 -71 -374 -346 101 -81 -538 -1,089

仕入債務の増減額 -602 354 275 -48 759 -844 -496 -98 147 344 -551

法人税等の支払額 -1,704 -532 -1,365 -968 -1,359 -1,739 -1,923 -1,505 -719 -1,775 -4,729

その他 -292 154 400 141 249 933 -446 -364 591 223 -352


投資活動によるキャッシュ・フロー -494 -927 -1,378 -3,230 -2,363 -3,244 -3,902 -2,950 -3,705 -1,551 -573

有価証券の取得・売却 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

投資有価証券の取得 -5 -115 0 -14 -596 -74 -132 -134 -168 -376 -27

投資有価証券の売却 0 0 35 353 56 0 0 0 0 0 0

有形固定資産の取得 -480 -839 -1,298 -3,549 -1,822 -3,207 -4,107 -2,760 -3,163 -1,365 -2,482

有形固定資産の売却 0 0 -125 0 0 0 614 18 0 0 0

その他 -7 28 10 -20 0 37 -277 -74 -374 190 1,936


フリー・キャッシュ・フロー 2,436 2,502 1,579 -156 857 508 1,133 1,114 1,971 10,399 5,485


財務活動によるキャッシュ・フロー -1,088 -505 -839 -1,145 813 -1,455 -1,493 -1,862 -2,238 -1,711 -2,790

長期債務の調達・返済 -668 -88 -375 -316 1,609 -537 -527 -439 -439 96 0

短期債務の調達・返済 0 0 0 0 0 0 0 50 0 0 1,000

配当金の支払 -396 -395 -444 -495 -781 -904 -952 -1,093 -958 -1,771 -2,715

新株発行・自社株取得 0 0 0 -319 0 0 0 -337 -800 0 0

その他 -24 -22 -20 -15 -15 -14 -14 -43 -41 -36 -1,075

現金及び現金同等物期末残高 9,409 11,631 12,561 11,132 12,729 11,813 11,582 10,798 10,517 19,809 22,284




日本ピラー工業(6490) 23
図表 24:連結損益計算書
(百万円、%) 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 24/3
売上高 20,720 21,675 22,960 27,225 29,461 30,963 29,213 30,200 40,670 48,702 57,000
増収率 10.0 4.6 5.9 18.6 8.2 5.1 -5.7 3.4 34.7 19.7 17.0
売上原価 13,955 14,457 15,287 17,125 18,788 20,214 19,921 19,641 23,156 27,453 -
原価率 67.4 66.7 66.6 62.9 63.8 65.3 68.2 65.0 56.9 56.4 -
販売費及び一般管理費 3,856 3,991 4,204 4,933 5,511 5,622 5,608 5,711 6,121 7,406 -
販管費率 18.6 18.4 18.3 18.1 18.7 18.2 19.2 18.9 15.1 15.2 -
営業利益 2,908 3,226 3,469 5,166 5,161 5,126 3,683 4,847 11,392 13,842 13,600
増益率 21.5 10.9 7.5 48.9 -0.1 -0.7 -28.2 31.6 135.0 21.5 -1.7
営業利益率 14.0 14.9 15.1 19.0 17.5 16.6 12.6 16.0 28.0 28.4 23.9
営業外収支 122 221 25 90 -5 102 41 247 428 294 -
営業外収益 152 237 116 111 111 126 120 287 442 332 -
持分法投資利益 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -
営業外費用 30 16 91 21 116 24 79 40 14 38 -
持分法投資損失 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -
金融収支 40 57 71 63 71 77 73 73 79 119 -
受取利息 6 9 6 6 6 4 4 10 3 6 -
受取配当金 50 60 72 64 70 78 73 66 80 117 -
支払利息 16 12 7 7 5 5 4 3 4 4 -
経常利益 3,031 3,447 3,493 5,255 5,156 5,227 3,725 5,094 11,821 14,136 14,200
増益率 20.2 13.7 1.3 50.4 -1.9 1.4 -28.7 36.8 132.1 19.6 0.5
経常利益率 14.6 15.9 15.2 19.3 17.5 16.9 12.8 16.9 29.1 29.0 24.9
特別損益 0 -323 102 -646 -142 229 -72 -257 1 450
特別利益 0 14 207 30 0 602 27 58 3 631
特別損失 0 337 105 676 142 373 99 315 2 181
税前利益 3,031 3,124 3,595 4,609 5,014 5,456 3,653 4,837 11,822 14,587
法人税、住民税及び事業税 1,176 1,137 1,198 1,405 1,592 1,737 1,017 1,391 3,536 4,159
税率 38.8 36.4 33.3 30.5 31.8 31.8 27.8 28.8 29.9 28.5
親会社株主に帰属する当期純利益 1,854 1,986 2,397 3,204 3,422 3,719 2,635 3,445 8,285 10,428 10,000
増益率 16.7 7.1 20.7 33.7 6.8 8.7 -29.1 30.7 140.5 25.9 -4.1
当期利益率 8.9 9.2 10.4 11.8 11.6 12.0 9.0 11.4 20.4 21.4 17.5
連結EPS 54.58 80.29 97.23 131.06 139.98 152.13 108.57 144.66 350.47 442.99 429.10

セグメント売上高
電子機器関連 10,983 11,803 12,525 16,452 18,911 20,123 18,221 20,645 30,410 36,819 40,000
産業機器関連 9,683 9,797 10,352 10,680 10,467 10,757 10,915 9,471 10,146 11,844 17,000
その他 53 74 83 91 83 82 77 84 114 38 0
連結売上高 20,720 21,675 22,960 27,225 29,461 30,963 29,213 30,200 40,670 48,702 57,000

セグメント利益
電子機器関連 1,456 1,677 1,919 3,314 3,818 3,641 2,253 4,130 9,737 11,759 11,000
産業機器関連 1,434 1,528 1,527 1,828 1,337 1,485 1,403 691 1,589 2,059 2,600
その他 14 14 12 13 29 15 27 26 66 24 0
調整額 3 5 10 9 -23 -16 0 0 0 0 0
連結営業利益 2,908 3,226 3,469 5,166 5,161 5,126 3,683 4,847 11,392 13,842 13,600

セグメント利益率
電子機器関連 13.3 14.2 15.3 20.1 20.2 18.1 12.4 20.0 32.0 31.9 27.5
産業機器関連 14.8 15.6 14.8 17.1 12.8 13.8 12.9 7.3 15.7 17.4 15.3
その他 26.4 18.9 14.5 14.3 34.9 18.3 35.1 31.0 57.9 63.2 -
連結営業利益率 14.0 14.9 15.1 19.0 17.5 16.6 12.6 16.0 28.0 28.4 23.9

地域別売上高
日本 17,565 17,647 19,156 22,416 23,124 23,904 21,427 21,975 28,254 33,537 -
アジア 2,095 2,862 2,565 3,172 4,528 4,345 5,316 5,721 7,411 8,225 -
その他 1,059 1,165 1,238 1,637 1,809 2,713 2,470 2,504 5,005 6,939 -
合計 20,720 21,675 22,960 27,225 29,461 30,963 29,213 30,200 40,670 48,702 -
海外売上高 3,154 4,027 3,803 4,809 6,337 7,058 7,786 8,225 12,416 15,164 -

前年比伸び率
日本 5.1 0.5 8.6 17.0 3.2 3.4 -10.4 2.6 28.6 18.7 -
アジア 43.7 36.6 -10.4 23.7 42.7 -4.0 22.3 7.6 29.5 11.0 -
その他 59.5 10.0 6.3 32.2 10.5 50.0 -9.0 1.4 99.9 38.6 -
合計 10.0 4.6 5.9 18.6 8.2 5.1 -5.7 3.4 34.7 19.7 -
海外売上高 48.6 27.7 -5.6 26.5 31.8 11.4 10.3 5.6 51.0 22.1 -
国内売上高比率 84.8 81.4 83.4 82.3 78.5 77.2 73.3 72.8 69.5 68.9 -
海外売上高比率 15.2 18.6 16.6 17.7 21.5 22.8 26.7 27.2 30.5 31.1 -




出所:会社資料などから CGRA 作成

日本ピラー工業(6490) 24
<担当アナリスト>
黒田真路 上席執行役員・パートナー、シニアアナリスト

1992 年 4 月に勧角総合研究所(現みずほ証券)に入社、産業調査部に配属。1999 年 9 月
にジャーディン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、ゴールドマン・サックス証券を経て、2020 年 1
月迄、クレディ・スイス証券に在籍。ゴールドマン・サックス証券ではバイスプレジデント、クレディ・スイス
証券ではディレクター。一貫して機械・造船重機セクターを担当。2020 年 6 月にパートナーとして、
CGRA に参画。(一社)日本証券アナリスト協会の機械業界ディスクロージャー委員を歴任。

星野英彦 CMA 代表取締役・チーフアドバイザー

1987 年 4 月に新日本証券(現みずほ証券)入社、企業調査部に配属。1997 年にジャーディ
ン・フレミング証券(現 JP モルガン証券)、2000 年にドイツ証券、2006 年に UBS 証券で 2016
年 4 月まで在籍。セルサイドアナリストとして機械、造船、重機、プラントセクターを 28 年間にわたって
担当。(一社)日本証券アナリスト協会で機械ディスクロージャー部会の副部会長を 10 年以上に渡
って歴任。2003 年より 2016 年迄、マネージングディレクター。2017 年 6 月に株式会社キャピタル
グッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)を設立、代表取締役に就任。(一社)日本証券アナリ
スト協会認定アナリスト。



株式会社 キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)

機械セクターに特化したアドバイザリー企業。主な業務内容は(1)資本市場のニーズを満たしつつ、
経営にフィードバック可能な統合報告書の作成サポート(実績 18 社)、(2)中計作成や事業
戦略、各種 IR&SR に関する助言業務(アクティビスト対応含む)、(3)各種資料作成と英訳
業務、(4)長期投資家と経営層に役立つ企業分析スポンサード・レポートの作成など。




本レポートは投資の勧誘・推奨・助言を意図したものではなく、当該企業に関する情報提供を目的と
して、当社独自の視点から作成されております。また、本レポートに記載されている内容は公表された情
報に基づき作成されておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本レポートの著
作権は株式会社キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリーに帰属しており、無断転写を禁じます。本レ
ポートの内容は、今後予告なく変更される場合があります。当社及び本レポートは投資家の投資判断
に関知することなく、投資に関する決定はご自身の判断で行って頂くようお願い申し上げます。




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