東京都環境局 土壌汚染対策支援事業から認定された技術について

2023 年 10 月 4 日
各 位


株式会社エンバイオ・ホールディングス
代表取締役社長 中村 賀一
(コード番号:6092)
問合せ先 取締役管理本部長 田月 智之
(TEL 03-5297-7155)




東京都環境局 土壌汚染対策支援事業から認定された技術について


2023 年 9 月 19 日に公表しました「工場跡地等における持続可能な土壌汚染対策支援事業の技術メニュー認定に
関するお知らせ」につきまして、東京都環境局 地下水汚染拡大防止技術評価委員会で認定された当社子会社であ
ります株式会社エンバイオ・エンジニアリング(東京都千代田区、代表取締役社長 西村 実)の技術の概略が東京都
のホームページで公表されましたのでお知らせします。


■工場跡地等における持続可能な土壌汚染対策支援事業
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/chemical/soil/support/300300a20230620145945996.html

3 地下水汚染拡大防止技術支援
(3)地下水の汚染の拡大防止技術
7 化学酸化剤を用いた原位置浄化と活性炭を用いた透過性地下水浄化壁のハイブリッド工法




また、東京都環境局が主催する第 18 回土壌汚染処理技術フォーラム(2023 年 10 月 3 日開催)において、当該技
術についての講演も実施しております。
以 上
化学酸化剤を用いた原位置浄化と
活性炭を用いた透過性地下水浄化壁の
ハイブリッド工法

2023年10月3日


株式会社エンバイオ・エンジニアリング
〇和知剛・長野勝己・森保友樹




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資料の構成


1. サイト状況と対策目標
2. 地下水汚染のライフサイクルの想定
3. サイトの想定・施工イメージ
4.各工法の室内試験結果
4.1 化学酸化法における室内試験
4.2 プルームストップ浄化壁の室内試験
5.まとめ

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1. サイト状況と対策目標
・東京低地
・敷地面積が200m2と狭く、大型重機の使用が困難
・第二溶出基準を超過する土壌汚染
・第二地下水基準を超過する地下水汚染
土壌 地下水
GL-m PCE CE PCE CE
0 0.06 0.0005
埋土 0.09 0.0001
地下水位 0.05 ND
細砂
0.011 0.003

ND 0.006
0.16 0.01
帯水層




シルト ND 0.009

5 質砂 0.0005 0.09 <対策目標>
ND 0.07 第二溶出量基準不適合範囲
ND 0.04 ・土壌第二溶出基準適合
ND 0.007
凡 例
地下水流向下流側敷地境界
シルト ND 0.004 赤字:土壌溶出基準超過 ・第二地下水基準適合
地下水基準超過
10 ND ND 下線:第二溶出基準超過
第二地下水基準超過
ND ND


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2. 地下水汚染のライフサイクル
の想定
TCEなどの塩素化エチレン類の原液が地盤に浸透した場合の土壌・地下水汚染の平面的な
汚染プルームと断面的な汚染状況は、4つのライフサイクルステージを示す。

対象サイトは「安定期」もしくは「縮小期」にあると想定
高濃度地下水
原液分布
<平面図> 汚染範囲 対策効果
範囲 低濃度地下水 バックグラウンド 自然減衰 敷地境界
確認井戸 確認井戸 確認井戸 監視井戸
汚染源 汚染範囲 汚染源跡





事業所等 地
<断面図> 境


地表


地下水面


低濃度地下水
地下水 汚染範囲
流向

難透水層
高濃度地下水汚染範囲
Ⅰ. 拡大期 Ⅱ. 安定期 Ⅲ. 縮小期 Ⅳ. 消失期
和知剛ほか(2023)

図 地下水のライフサイクルステージにおける地下水汚染プルームの挙動

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3. サイトの想定・施工イメージ
12m
12m
想定範囲
10m
10m
敷地面積(汚染範囲):200m2(16m×12m)
敷地境界(住宅地)
敷地境界
第二溶出量基準超過範囲:100m2




敷地境界(住宅地)
敷地境界(住宅地)




10m
10m
地下水流向




敷地境界
敷地境界




第二溶出量基準不適合範囲(クロロエチレン)
第二溶出量基準不適合範囲



化学酸化剤 注入地点 25地点/100m2
化 学 酸 化 剤   注 入 地 点   25地 点 /100m2



コロイド状活性炭(プルームストップ)注入範囲
コ ロ イ ド 状 活 性 炭 ( PlumeStop) 注 入 範 囲



地下水観測井戸
観 測 井 モ ニ タ リ ン グ ( 2年 間 )
敷地境界
敷地境界(道路)


<工法の特長>
・化学酸化で分解しやすい高濃度クロロエチレン土壌が上流で原位置浄化
・東京低地の地層で実績のある井戸注入工法を用いた高密度多地点同時注入を実施
・活性炭で吸着しやすいテトラクロロエチレン地下水を下流で拡散防止

工法を組み合わせることで地下水汚染拡散防止の確実性が高まる
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3. サイトの想定・施工イメージ
化学酸化法及びプルームストップの注入イメージ




プルームストップ注入のイメージ




・透水性の低い東京低地の地層において、注入井戸を用いた高密度
多地点同時注入を実施
・化学酸化剤&プルームストップの注入ともに、小型ボーリングマシン
を用い、狭い土地でも施工可能


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4.1 化学酸化法(フェントン)に
よる室内試験結果
フェントン反応剤は、中性域で反応し3種類の試薬を混合し1液で
使用可能な工法(フェントン≪特許第4700083号≫)を適用




フェントンの主剤である過酸化水素水濃度2.0wt%の場合、第二地下水基準および土壌第二溶出量
基準に適合する可能性が高く、汚染源への化学酸化法の適用は有効であることが示された。

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4.2 プルームストップ浄化壁の
室内試験
ケース別の液相・固相のVOCs濃度




※分解微生物は、エンバイオ・エンジニアリング保有のデハロコッコイデス属細菌ATV1株のコンソーシア(バイオ
レメディエーション利用指針適合)を使用

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4.2 プルームストップ浄化壁の
室内試験
ケース別の物質収支の比較


液相


液相




液相


液相
固相
素早くプルームストップに吸着後
液相 微生物により分解される
固相:土もしくは 微生物分解による濃度低減
土+プルームストップ




※経過日数毎の試料ビン中の塩素化VOCs質量

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5.まとめ

• サイト評価および室内試験結果より、フェントン反応剤による
シルト質砂の帯水層における第二溶出量基準超過土壌の同
基準適合および、敷地境界の地下水拡散防止を対象としたコ
ロイド状活性炭(プルームストップ)の注入による第二地下水
基準超過地下水の同基準適合に向けハイブリッド工法が実
現可能であることが分かった。

• フェントン反応剤はクロロエチレンに対して高い分解性を持ち、
コロイド状活性炭(プルームストップ)はテトラクロロエチレンに
対して高い吸着性を持つことから、バイオレメディエーション
や化学酸化法の単体の工法と比較すると、本サイトにおける
ハイブリッド工法の確実度が高いと判断した。


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