再生医療製品ステムカイマルの第II相臨床試験における第一例目の被験者への投与開始のお知らせ

2020 年2月 25 日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 リ プ ロ セ ル
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 横山 周史
(コード番号:4978)
経 営 管 理 部
問合せ先 吉村 美旋律
シニアマネージャー
(TEL.045-475-3887)


再生医療製品ステムカイマル®の第 II 相臨床試験における
第一例目の被験者への投与開始のお知らせ

この度、当社が開発中の再生医療製品 Stemchymal®(以下、ステムカイマル®)を用いた第 II 相臨床試験(以
下、「本試験」)において、国立学校法人名古屋大学にて第一例目の被験者が登録(FPI:First Patient In)さ
れ、投与が開始されましたので、お知らせいたします。


脊髄小脳変性症は、小脳や脳幹、脊髄の神経細胞が変性してしまう事により、徐々に歩行障害や嚥下障害など
の運動失調が現れ、日常の生活が不自由となってしまう疾患です。患者様の数は日本国内で約3万人とされてお
り、難治性希少疾患に指定されています。ステムカイマル®は、同疾患の進行抑制効果が期待されます。



本試験は、脊髄小脳失調症(SCA3 及び SCA6)の患者様を対象に、ステムカイマル®の安全性及び有効性に
ついて評価を行います。
組み入れ症例数は計 53 例を予定し、「他施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検、並行群間比較」
という試験デザインを採用しています。本デザインは、適切な評価が可能で、治験結果にバイアスがかかりにく
いため、 非常にエビデンスレベルが高いとされています。本治験ではステムカイマル®を腕の血管から静脈注
射(点滴)で投与します。


治験実施医療機関は日本国内 10 か所を予定しており、現在「国立学校法人名古屋大学」、「国立研究開発法
人国立精神・神経医療研究センター」と治験契約を締結しています。治験実施医療機関は今後、順次増やす予定
です。治験終了は 2021 年 12 月を予定しており、その後速やかに本承認の取得を目指します。ステムカイマル
®は希少疾病用再生医療等製品に指定されているため、審査期間が通常よりも短縮されると見込んでおります。


台湾では、Steminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)が既に台湾における当該疾患を対象と
したステムカイマル®の第 II 相臨床試験を実施しています。現在予定していたすべての被験者への投与が完了
し、経過を観察中です。
米国でも、ステムカイマル®の治験計画届(IND)が FDA の承認を得ております。


今後とも当社では、病気と闘っている患者様へ少しでも早く新しい治療法が届けられるよう、ステムカイマル
®の日本における第 II 相臨床試験を推進し、本承認取得を目指してまいります。


※お問い合わせ窓口について
本件に関しては弊社にお問い合わせください。大学や病院へのお問い合わせはお控えください。



<日本での第 II 相試験の概要>
治験概要
他施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検、並行群間比較
デザイン
(治験実施計画書番号:RS-01)
対象疾患 脊髄小脳失調症(SCA3、SCA6)
投与方法 3回(4週に1回)、腕血管からの静脈注射(点滴)
主要評価項目:SARAスコア
評価項目 副次評価項目:SCAFI、INAS、PGI、CGI、Neurofilament Light chain、
NSE、他
目標症例数 53例(ステムカイマル群:28例、プラセボ群:25例)
実施期間 2019年11月~2021年12月
実施医療機関 約10施設予定


<用語説明>
プラセボ対照: プラセボは、色や重さ、味など物理的な特性を可能な限り治験薬に似せ、かつ薬効成分を含まな
い「ダミー」です。臨床試験において、被験者を「実際に治験薬を投与するグループ」と「ダミーであるプラセ
ボを投与するグループ」に分けて行う試験デザインのことで、治験薬の効果を適切に評価することが出来ます。


ランダム化比較試験:被験者をランダムにステムカイマル®投与グループとプラセボグループに分けて投与する
ことを言います。ランダム化することで、治験のバイアス(高い治療効果が期待される被験者をステムカイマル
®群に多く割り振ったり、治療効果が低いと想定される被験者をプラセボ群に割り振るなど)が軽減されると考
えられます。
各グループの性質が均等になり、結果に及ぶ影響が少なくなるため、非ランダム化比較試験よりもエビデンスレ
ベルが高いとされています。


二重盲検:どちらの薬(ステムカイマル®、もしくはプラセボ)を投与しているか、被験者自身も担当医にも(二
重)、わからない(盲検)ようにする試験法のことです。投与される薬の中身がわかった状態で治験が行われる
と、評価に主観やプラセボ効果が混ざり、客観性の失われた結果が出る可能性があります。二重盲検化は、試験
結果に偏りが生じる危険性を最小化する手法であり、新薬の治療効果・有効性を確かめるための比較試験として
最も一般的な方法として知られています。


並行群間比較試験:治療法を比較する場合にステムカイマル®投与グループと比較するプラセボグループを同時
並行で観察して比較することです。



<ステムカイマル®の臨床試験(台湾)>
台湾で実施された第 I/IIa 相臨床試験において、脊髄小脳失調症 3 型(SCA3)の患者さんに対するステムカイ
マル®の静脈投与の安全性が確認され、有効性を示唆するデータが得られています。有効性については、ステム
カイマル®の単回投与から 12 ヵ月間、SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)スコアにより
評価し、臨床症状の進行が抑制される傾向がみられました。なお、6 例中 4 例ではステムカイマル®の単回投与
後、症状の改善が最長で 24 週間持続しました。詳しくは下記の参考文献をご参照ください。





参考文献: Neurology. Vol. 77, pp. 1035–1041, 2011.The natural history of spinocerebellar ataxia type 1,
2, 3, and 6 A 2-year follow-up study.(PMID: 21832228)
Cell Transplantation, Vol. 26, pp. 503-512, 2017. Treatment of Spinocerebellar Ataxia With Mesenchymal
Stem Cells A Phase I-IIa Clinical Study.(PMID:28195034)




以上





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