2022年9月期(第21期)中間期 クリングルファーマ株式会社 株主通信

クリングルファーマ株式会社
証券コード:4884




クリングルファーマ株式会社

株主通信
2022年9月期(第21期)中間期
2021年10月1日~2022年3月31日
クリングルファーマ株式会社
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トップメッセージ


レイトステージにある
複数の開発パイプラインが着実に進展

HGFタンパク質の価値を最大化し、
企業価値向上を目指す

代表取締役社長 安達 喜一


はじめに、新型コロナウイルス感染症に罹患された皆様とご家族、並びに関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
また、当社の株主の皆さまには、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

当社は再生創薬シーズであるHGFタンパク質の医薬品開発を通じて、難病に苦しむ患者さんに対して画期的な治療手段を提
供し社会に貢献する創薬バイオベンチャーです。希少疾患を対象に自社開発を推進することを基本方針とし、すでにレイトス
テージの開発パイプラインを複数有しています。2020年12月には東証マザーズ(現グロース)への上場を果たし、将来は当社
自らがバイオ製薬企業へと成長するべく研究開発を推進しております。
新型コロナウイルス感染症の拡大・長
開発パイプラインの概要
期化の影響がありながらも、当社は開発
パイプラインを着実に進捗させています。
第一パイプラインの脊髄損傷急性期につ
いては、第Ⅲ相試験の患者組入れが2022
年後半に完了する見込みとなりました。
第二パイプラインのALS(筋萎縮性側索
硬化症)については、東北大学における
第Ⅱ相試験(医師主導治験)のデータ解
析が2022年8月に終了する予定です。
第三パイプラインの声帯瘢痕については、第Ⅱ/Ⅲ相試験開始に向けた準備が順調に進んでおり、2022年後半に試験開始予定と
なっています。上記の開発パイプラインを着実に前進させることがHGFタンパク質の価値を最大化することにつながり、これ
によって当社は企業価値の向上を図ってまいります。
さらに、2022年3月には基礎研究面でも大きな
脊髄損傷急性期から慢性期への治療戦略
マイルストーンを達成しました。すなわち、慶
應義塾大学との共同研究において、脊髄を完全
に切断した脊髄損傷慢性期のモデル動物に対し
て、iPS細胞由来神経幹/前駆細胞とHGFタンパク
質及びスキャフォールド(足場基材)を併用す
ることにより機能回復が得られることを見出し、
同大学と新たな特許を共同出願しました。本特
許出願は脊髄損傷慢性期をカバーしており、市
場性の大きな脊髄損傷慢性期へ事業展開する上
で基盤特許となり得るものです。
1)新宮彦助. 脊髄損傷の予防.日本パラプレジア医学会雑誌13:48-49,2000
2)坂井宏旭. 疫学調査. 総合リハ36:969-972,2008
3)高度治療が可能な先進国
当社はHGFタンパク質を難治性疾患治療薬と
4)国内の患者数、Spinal Cord Injury Facts and Figures at a Glance (2021)、総務省統計局「世界人口の推移」を基に当社推計
5)Spinal Cord Injury Facts and Figures at a Glance (2021) 、The International Spinal Cord Injury Society HP、総務省統計局「世界人口の推移」を基に当社推計 して社会実装し、日本から世界に発信するべく、
引き続き全社一丸となって開発に取り組んでまいります。今後とも当社の事業進捗にご注目いただき、変わらぬご支援を賜り
ますようお願い申し上げます。


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脊髄損傷急性期


Q 現在実施中の第Ⅲ相試験の概要を教えてください。


● 試験デザイン:多施設共同非ランダム化試験
● 目標症例数:25症例(HGF投与群のみ)
● 対象患者:頚髄損傷(AIS分類:A)
● 対象年齢:18〜89歳
● 用法:脊髄腔内投与(週1回×5回)観察期間6ヵ月
● 主要評価項目:治験薬投与後6ヵ月のAISがC以上に改善した症例割合
● 実施施設:国内5施設


第Ⅲ相試験は、第Ⅰ/Ⅱ相試験で得られたPOC(プルーフ・オブ・コンセプト:研究開発中である新薬候補物質の有用
性・効果が、ヒトに投与することによって認められること)を検証する試験であり、医薬品開発の最終段階となります。
第Ⅲ相試験は、最も重症であるAIS分類Aの頚髄損傷患者さんを対象とする非ランダム化試験(HGF投与群のみからなる
試験)です。目標症例数は25症例で、一般的な第Ⅲ相試験に比べますと非常に小規模な試験になっています。現在、脊髄
損傷専門病院である総合せき損センター、北海道せき損センター、村山医療センターを含む国内5施設で治験を実施中で
す。



Q プラセボとの比較試験ではない第Ⅲ相試験の結果で、製造販売承認申請できるのでしょうか?


当社はすでに第Ⅰ/Ⅱ相試験をプラセボ対照二重盲検比較試験として実施しており、HGF の有効性を示唆する結果を得て
おります。その結果をもとに希少疾病用医薬品指定を取得した上で医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を行い、第
Ⅲ相試験のデザインを策定しました。製造販売承認申請については、第Ⅲ相試験の結果が出た後に PMDA と協議するこ
とになります。



Q 第Ⅲ相試験の評価はどのように行うのでしょうか?


第Ⅲ相試験の主要評価項目は、治験薬投与後 第Ⅰ/Ⅱ相試験 改良Frankel分類の経時的な推移
(投与前Aの症例による部分集団解析)
6ヵ月時点においてAIS分類*がAからC以上に
改善した症例割合となります。なお、第Ⅰ/Ⅱ
相試験において、改良Frankel分類**がAから
C1に改善した症例割合は、プラセボ群で6.3%
であったのに対し、HGF投与群では26.7%と大
幅な改善を認めました。

*米国脊髄障害学会が定めた脊髄損傷の機能障害尺度。最も


重度のA(完全麻痺)から正常のEまで5段階に分類され
る。
** 四肢麻痺の機能障害を5段階に分類したFrankel分類を、

さらに予後の違いから細分化したもの。完全麻痺のAから
正常のEまで11段階に分類される。




Nagoshi et al, J Neurotrauma. 2020.





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Q 第Ⅲ相試験の治験期間を半年延長するとのリリース(2022年5月13日付け)を出していますが、何か
問題があったのでしょうか?結果開示のタイミングはいつ頃になるのでしょうか?


新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、人々の行動制限によって脊髄損傷の発生頻度が減少していると言わ
れております。第Ⅲ相試験の患者組入れはこれまで概ね想定したペースで進んできましたが、少しずつ影響が蓄積した結
果、まだ患者組入れは完了しておりません。2022年内に最終症例の経過観察終了まで到達することが困難な状況となり
ましたので、治験期間を半年延長する旨をPMDAに届出ました。過去数ヶ月の患者組入れペースを勘案しますと、2022
年後半には患者組入れを完了できる見込みです。その後は、2023年前半に最終症例の経過観察終了、2023年後半に結果
開示となる見込みです。




ALS


Q 現在実施中の第Ⅱ相試験の概要を教えてください。


● 試験デザイン:プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(非盲検非対照継続投与期を含む)
● 目標症例数:48症例(HGF投与群32症例、プラセボ群16症例)
● 対象患者:ALS重症度分類1または2、発症後30ヵ月以内
● 対象年齢:20歳以上、70歳以下
● 用法:脊髄腔内にカテーテルを挿入し、皮下ポートを通じて治験薬を脊髄腔内に投与する
1回/2週、24週間(二重盲検期)+24週間(継続投与期、用法用量は同じ)
● 主要評価項目:二重盲検期24週のALSFRS-Rスコア変化量の群間差
● 実施施設:東北大学病院、大阪大学医学部附属病院


第Ⅱ相試験は、POCを得るためのプラセボ対照二重盲検比較試験としてデザインされています。本試験は、比較的初期
のALS患者さん(ALS重症度分類1または2、発症後30ヵ月以内)を対象とし、HGFまたはプラセボを2週に1回、24週間
投与します(二重盲検期)。その後、プラセボ群も含めて希望する患者さんにはさらに24週間HGFを投与します(継続投
与期)。従って、投与期間は最長で1年間の長期にわたります。主要評価項目は、二重盲検期24週のALSFRS-Rスコア*変
化量の群間差となります。
*ALS患者の日常生活活動の12項目の動作について各々0~4の5段階で点数化するもの。




Q 新型コロナウイルス感染症の影響により第Ⅱ相試験が遅れる可能性がありますか?


第Ⅱ相試験はすでに患者組入れを完了し、最終症例の最終観察日も終了しております(2021年12月9日付け当社リリー
ス)。今後、新型コロナウイルス感染症の影響により、データ解析や総括報告書の作成が遅れることはないと考えており
ます。



Q 第Ⅱ相試験のデータ解析の状況はどうなっていますか?結果開示のタイミングはいつ頃になるのでしょ
うか?


ALSの第Ⅱ相試験は医師主導治験として実施しており、現在、東北大学が主体となってデータ解析を行っています。治験
薬提供者である当社はデータ解析には一切関与しないことになっており、データ解析終了後、東北大学から結果を受領す
る予定です。東北大学からの最新の情報としましては、解析終了予定日が本年8月10日とのことであります。当社は、東
北大学から解析結果の連絡を受領後、結果を適切に開示させていただきます。



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近年、ALSを対象とする医薬品が多数開発されていますが、それらと比較した場合のHGFの優位性はどこ
Q にありますか?


ALSの約10%は特定の遺伝子の変異により発症しますが、残りの約90%は遺伝子変異を伴わない様々な生体内因子の異常に
よって引き起こされることが明らかになっています。ALSの発症原因は多様であるため、特定因子を標的とした治療薬の開
発には課題があります。HGFの特徴は、発症原因に関わらず運動神経の細胞死を抑えることにあります。さらに、運動神経
だけでなく、神経周辺の支持細胞(ミクログリア、アストロサイト)にも作用し、炎症を抑える働きやグルタミン酸毒性を
軽減する働きもあります。ひとつの物質で神経系全体にマルチな働きを発揮することは、他の医薬品と比べてHGFの優れた
点であると考えています。


ALSに対するHGFの機序




声帯瘢痕


声帯瘢痕という病気があることを知りませんでした。
Q どのような病気ですか?


声帯は喉の奥にある器官で、表面は粘膜、内側は筋肉や靭帯からなる層構造
を持ち、1秒間に200~300回振動して声が出る仕組みになっています。この
声帯が、先天性あるいは後天性の原因(炎症・外傷など)により線維化し硬
く変性してしまう病気が声帯瘢痕です。症状としては、声が小さくなる、か
すれる、発声が困難になる、重症化すると声が出なくなります。生命を脅か
す病気ではありませんが、日常のコミュニケーションに支障をきたすため、
患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)は著しく低下しま
す。





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Q 日本には何人ぐらい患者さんがいるのでしょうか?希少疾患になるのでしょうか?


日本には3,000~12,000 人の患者さんが声帯瘢痕に苦しんでいると言われています。患者数が5万人以下なので、希少疾患の
対象となります。




Q HGFはどうして声帯瘢痕に効くのでしょうか?



声帯瘢痕に対するHGFの作用機序 HGFはマルチな働きを持つ生体内タンパク質で
す。HGFには抗線維化、すなわち線維化した組
織を正常化する非常にユニークな作用がありま
す。具体的には、線維化のもととなる筋線維芽
細胞の増殖を抑制し、コラーゲンなどの細胞外
マトリックスの分解を促進します。また、弾力
性に必須のヒアルロン酸やエラスチンの産生を
促進します。線維化疾患である声帯瘢痕に対す
るHGFの薬理効果は、動物モデルにおいて実証
され、論文としても発表されています。




HGFがヒトの声帯瘢痕に効果があるという
Q 臨床データはあるのでしょうか?
第Ⅰ/Ⅱ相試験 発声機能に関する指標の推移




すでに、声帯瘢痕を対象とする第Ⅰ/Ⅱ相試験(医師主
導治験)が終了しております。本試験は、オープンラベ
ル用量漸増試験で、20歳以上、65歳以下の声帯瘢痕患
者さん計18例を組入れました(低・中・高用量3群、各
群6例)。本試験では、HGF製剤を患者さんの声帯粘膜
内に毎週1回、4回の反復投与を行い、24週間経過を観
察しました。
本試験の主要評価項目は安全性で、良好な忍容性を確認
しました。また、副次評価項目として5種類の発声機能
に関する指標を評価したところ、うち3種類の評価項目
(VHI-10、GRBAS、声帯振動振幅)において有意な改
善が確認されました。




Hirano et al, J Tissue Eng Regen Med. 2018.





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Q 今後の開発計画を教えてください。


第Ⅱ/Ⅲ相試験としてプラセボ対照二重盲検比較試験を企業治験として実施し、HGFの有効性を実証した後に自社で薬事
承認を得る計画です。また、承認取得後の市販に向けては、声帯瘢痕用の少量製剤の開発も並行して行う必要があります。
上記開発費用の調達を目的として、2021年11月に第10回新株予約権の発行を行っており、現在その行使が進められてい
ます。さらに、本プロジェクトは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による「医療研究開発革新基盤創成
事業(CiCLE)」課題として採択されており、当該公的資金も活用しながら開発を推進していきます(2022年4月20日付
け当社リリース) 。



Q 第Ⅱ/Ⅲ相試験はいつ開始予定でしょうか?


2022年後半に第Ⅱ/Ⅲ相試験を開始するスケジュールで準備を進めております。




売上、新株予約権、株価について


Q 過去の売上推移並びに今期の売上状況について教えてください。


2020年9月期の売上は467百万円、2021年9月期の売上は289百万円でした。2022年9月期の売上予想は355百万円となっ
ており、内訳は米国クラリス・バイオセラピューティクス社へのHGF原薬供給及び技術アクセスフィーによるものです。
当第2四半期累計期間の売上は、27百万円(同社からの技術アクセスフィー)となっております。



現在、第10回の新株予約権による資金調達が進行中ですが、いつごろまでにすべての行使が完了するの
Q でしょうか?


発行会社(当社)側で行使のタイミングを決められませんので、行使完了時期を明言することはできません。昨年11月の
行使開始以来本年5月末までの7か月で、約75%の行使が進みました。仮にこのピッチで行使が進むと仮定しますと、7~8
月には行使が完了するのではないかと推測されます。




2021年10月に新株予約権による資金調達を発表して以来、株価の下落傾向が続いています。
Q 株価を上げるためにどのような対策を行っていくつもりでしょうか?


当社の株価につきまして、ご心配をおかけしておりますことをお詫び申しあげます。今私共に出来ることは、レイトス
テージにある各パイプラインを着実に前進させていくことと、その状況を法令に従って適切なタイミングと内容で開示さ
せていただくことであると考えております。株主の皆様の付託に応えられるように最善を尽くしてまいりたいと思います
ので、引き続きご指導、ご支援を賜りたいと考えております。





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決算ハイライト(2022年9月期第2四半期)

経営成績の概況 (単位:百万円) 財務状態の概況 (単位:百万円)

売上 27 クラリス社からの技術アクセスフィー 現預金 2,373

販売管理費
(脊髄損傷及びALS治験費用、声帯瘢痕 純資産 2,581
338 の治験準備費用、製造開発に係る各種
(内、研究開発費) (238) 総資産
試験費用) 2,909
営業損失 △310 自己資本比率 88.7%
経常損失 △318
四半期純損失 △319




会社概要(2022年3月末現在)


会社名 クリングルファーマ株式会社 役員
(英文名:Kringle Pharma, Inc.)
 代表取締役社長 安達 喜一
設立 2001年12月21日  取締役 橋村 悦朗
所在地 〒567-0085  取締役 村上 浩一
大阪府茨木市彩都あさぎ7丁目7-15  取締役 友保 昌拓
彩都バイオインキュベータ207
 取締役 (社外) 吉野 公一郎
資本金 248百万円  取締役 (社外) 福井 真人
従業員数 12名  常勤監査役 (社外) 二宮 和人
主要プロジェクト HGFを医薬品とするための研究開発  監査役 (社外) 本川 雅啓
 監査役 (社外) 山口 要介
URL https://www.kringle-pharma.com/




株主メモ(2022年3月末現在)


上場証券取引所 東京証券取引所グロース市場(2022年4月4日より) 株式の状況
証券コード 4884  発行可能株式総数 7,000,000株
事業年度 毎年10月1日から翌年9月30日まで  発行済株式総数 4,989,400株
 株主数 1,752名
定時株主総会 毎年12月
基準日 9月30日
1単元の株式数 100株
公告掲載方法 当社の公告方法は、電子公告としております。
ただし、事故その他やむを得ない事由により、電子公告の方法による公告をすること
当社ホームページでは、皆さまより
ができない又は著しく困難と認められる場合は、官報に掲載する方法により行います。 ご質問頂きました内容を「よくある
当社の公告掲載URLは次のとおりです。 ご質問」にまとめています。
https://www.kringle-pharma.com/ir_info/library/electronic_public_notice/ 今後も随時更新してまいりますので、
ぜひご活用ください。
株主名簿管理人 三菱UFJ信託銀行株式会社
東京都千代田区丸の内一丁目4番5号 https://www.kringle-pharma.com/faq/

同事務取扱場所 三菱UFJ信託銀行株式会社 大阪証券代行部
大阪市中央区伏見町三丁目6番3号
電話照会先 0120-232-711 (東京) 0120-094-777 (大阪)
受付時間:土・日・祝日等を除く平日9:00~17:00
※上記電話番号をご利用いただけない場合
042-204-0303 (通話料有料)
同取次所 三菱UFJ信託銀行株式会社 全国本支店
各種事務手続き 詳しくは、こちらのページにてご確認ください。
https://www.tr.mufg.jp/daikou/ 製品のイメージ (医療用医薬品)



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