MN-166(イブジラスト)のアルコール使用障害を適応とするフェーズ2臨床治験 Nature関連誌Translational Psychiatry Journalへの論文掲載に関するお知らせ

2021 年 6 月 21 日




各 位

会 社 名 M e d i c i N o v a , I n c
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 兼 CEO 岩城 裕一
(コード番号:4875 JASDAQ)

東京事務所代表 副社長
問合せ先 松田 和子
兼最高医学責任者(CMO)
電話:03-3519-5010
E-Mail:infojapan@medicinova.com


MN-166(イブジラスト)のアルコール使用障害を適応とするフェーズ 2 臨床治験
Nature 関連誌 Translational Psychiatry Journal への論文掲載に関するお知らせ



2021 年 6 月 21 日 米国 ラ・ホイヤ発 – メディシノバ(MediciNova,Inc.) (米国カリフォルニア
州 ラ・ホイヤ、代表取締役社長兼 CEO:岩城裕一) (以下「当社」といいます。 )は、MN-166(イ
*1 *2
ブジラスト) のアルコール使用障害 を適応として実施されたフェーズ 2 臨床治験(以下「本
臨床治験」といいます。 )の良好な結果が Nature 関連誌の Translational Psychiatry Journal に
論文掲載されたことをお知らせします。

本臨床試験は、当社とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)脳研究所の心理学部門及び
精神医学・生物行動学部門の教授である Lara Ray(ララ・レイ)博士との共同研究で、オピオイ
ド受容体及び薬物濫用研究所 CSORDA(Center for Study of Opioid Receptors and Drugs of
Abuse:国立薬物乱用研究所助成金 P50-DA005010)の資金援助を受けて実施されました。
本臨床治験は、無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ 2 治験で、アルコール使用障害(AUD)
患者を対象に抑うつ気分、大量アルコール摂取、脳内神経報酬シグナルに対する MN-166(イブ
ジラスト) の治療効果を評価しました。 本臨床治験には、 52 名の AUD 患者が登録されました。


Nature 関連誌 Translational Psychiatry Journal に掲載された UCLA のララ・レイ博士らの論
文タイトルは、
「Ibudilast, a neuroimmune modulator, reduces heavy drinking and alcohol cue-elicited neural
activation: a randomized trial(神経免疫調節剤であるイブジラストが、重度の飲酒とアルコー
ルキューによる神経活性化を抑制する:無作為化試験) です。 」

本論文で報告された本臨床治験の結果のハイライトは以下の通りです。
イブジラスト治療は、AUD 患者のネガティブな気分の改善に対しては有意な効果を示さなかっ
た。
• イブジラスト治療は、プラセボ*3 と比較して、長期にわたる大量アルコール摂取のオッズを
45%減少させた(OR=0.55、(95%CI:0.30、0.98)。

(訳注:時間の経過とともにアルコール大量摂取が 45%減少したことを示す)
• イブジラストは、プラセボと比較して、アルコールキュー刺激*4 による(アルコール飲料画
像で誘発される)腹側線条体の活性化を抑制した(p=0.01)

• アルコールキュー刺激による腹側線条体の活性化は、イブジラスト投与群において、その後
の飲酒状況を有意に予測し(p=0.02)した。腹側線条体の活性化が抑制されたイブジラスト
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投与群は、スキャン後の 1 週間の 1 日あたりの飲酒回数が最も少なかった。
• イブジラスト治療は、プラセボと比較して、飲酒しない日のアルコール渇望度を有意に減少
させた(p=0.02)。
• 前臨床試験および最初の臨床治験から発展して行われた今回のフェーズ 2 治験の結果は、イ
ブジラストがもたらす生物行動学的な効果、すなわち、アルコールキュー刺激に対する脳内
の報酬反応を減少させることによって、AUD 患者の大量アルコール摂取の減少につながるこ
とを示唆している。

当社最高医学責任者(CMO)の松田和子は、以下ようにコメントしています。
「過去の臨床治験で、MN-166 治療が AUD 患者において日々のアルコールへの渇望度を有意に
減少させることを示していましたが、 今回の治験では、MN-166 による 14 日間の治療がアルコー
ル大量摂取を 45%も減少させたことは特筆すべきことです。近年、増加が懸念されるアルコール
使用障害の問題を MN-166 が軽減する大きな可能性を示したことは素晴らしいことです。 」

UCLA のララ・レイ教授は、以下のようにコメントしています。
「COVID-19 のパンデミックの間には、将来への不安感、失業、孤立感などがストレスを増大さ
せ、アルコール依存症やアルコール濫用の新たな発症につながりました。今回、本臨床治験で得
られた良好な結果、つまり、イブジラストが AUD 患者のアルコール誘発刺激に対する脳内の報
酬反応を低下させ、大量アルコール摂取を改善したことは、この時世にタイムリーで、AUD 患者
の治療候補として非常に心強いものです。 」

以 上



1 MN-166(イブジラスト)について
MN-166 はファースト・イン・クラスの経口摂取可能な小分子化合物で、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)阻
害剤、ホスホジエステラーゼ-4 及び-10 の阻害剤で、炎症促進作用のあるサイトカイン、IL-1β、TNF-a、IL-6 な
どを阻害する働きを有しており、また、反炎症性のサイトカイン IL-10、神経栄養因子及びグリア細胞株由来神経
栄養因子を活性化する働きも認められています。グリア細胞の活性化を減衰し、ある種の神経症状を緩和するこ
とがわかっています。前臨床研究および臨床研究において抗神経炎症作用及び神経保護作用を有することが確認
されており、これらの作用が MN-166 の神経変性疾患(進行型多発性硬化症、ALS など)、各種依存症、慢性神
経因性疼痛などに対する治療効果の根拠と考えられております。当社は、進行型多発性硬化症及び ALS、薬物依
存症をはじめとする多様な神経系疾患を適応とする新薬として開発しており、進行型多発性硬化症、ALS、薬物
依存などを含むさまざまな疾患治療をカバーする特許のポートフォリオを有しております。


2 アルコール使用障害について
アルコール使用障害(AUD)は、アルコール摂取(飲酒)による精神的、肉体的作用に依存し、アルコールに対
し抗し難い渇望を呈し、飲酒のコントロールが困難になる薬物依存症の一種で、飲酒をやめると、抑うつ状態、悪
心、発汗、振戦などの離脱症状、禁断症状をきたすことが知られています。アルコールによる脳神経へのダメー
ジ、日常行動の異常などをもたらす精神疾患です。 米国国立アルコール乱用・アルコール依存症研究所 (NIAAA)
によると、米国では 1,600 万人が AUD に罹患していると推定されていますが、現在はまだ、治療オプションが限
られており、治療を受けているのは 10%未満です。 そのため、AUD のより良い治療法に対する高い医療ニーズが
あります。


3 プラセボとは
プラセボとは、有効成分を含まない(治療効果のない)薬のこと。本物の薬と見分けがつかないが有効成分が入っ
ておらず、臨床治験に使用するためのもので、日本語で「偽薬(ぎやく)」と訳されることもある。薬としての効
き目のない乳糖やでんぷんなどを錠剤やカプセル剤などにし、薬のようにみせたものです。


4 キュー刺激とは
“依存対象を連想させる刺激”のことを指しています。本論文中では、アルコール摂取を連想、誘発するキュー刺


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激として、アルコール飲料の画像が用いられています。



メディシノバについて
メディシノバ(MediciNova, Inc.)は、臨床開発ステージにあるバイオ医薬品開発企業であり、炎症性疾患、線
維化疾患、神経変性疾患などの様々な疾患領域において、新規低分子化合物の広範な後期パイプラインを開発し
ています。主要な開発品である 2 つの化合物、MN-166(イブジラスト)と MN-001(タイペルカスト)は、複
数の作用機序と高い安全性プロファイルを有しており、当社は、これら 2 つの化合物について現在 11 の臨床開
発プログラムを有しております。
当社の主力開発品である MN-166(イブジラスト)は、現在、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び変性性頸椎脊椎
症(DCM)で臨床第 3 相段階、進行性の多発性硬化症(MS)において臨床第 3 相準備段階にあります。加え
て、MN-166(イブジラスト)は、膠芽腫(グリオブラストーマ)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び薬物依存
症の治療薬として臨床第 2 相段階にあります。
MN-001(タイペルカスト)は、特発性肺線維症(IPF)を対象に臨床第 2 相を実施中であり、非アルコール性
脂肪性肝炎(NASH)について、臨床第 2 相の準備段階にあります。
当社は、公的機関からの資金助成を受け、多くの医師主導型臨床治験を実施してきた強固な実績を有していま
す。
当社詳細につきましては https://medicinova.jp/をご覧下さい。本社所在地はアメリカ合衆国カリフォルニア州
ラ・ホイヤ、スイート 300、エグゼクティブ・スクエア 4275(電話 1-858-373-1500)です。



注意事項
このプレスリリースには、1995 年米国民事証券訴訟改革法(The Private Securities Litigation Reform Act of
1995)に規定される意味での「将来の見通しに関する記述」が含まれている可能性があります。これらの記述に
は、MN-166、MN-001、MN-221 及び MN-029 の治療法の将来における開発や効果に関する記述などが含まれま
す。これらの「将来の見通しに関する記述」には、そこに記述され、示されたものとは大きく違う結果または事象
に導く多数のリスクまたは不確定要素が含まれます。かかる要素としては、MN-166、MN-001、MN-221、また
は MN-029 を開発するための提携先または助成金を得る可能性、当社の事業または臨床開発を行うために十分な
資金を調達する可能性、将来の臨床治験のタイミング、費用、計画など、臨床治験、製品開発および商品化に付随
するリスクや不確定要素、FDA に対して書類を提出するタイミング、臨床開発及び商品化のリスク、現段階の臨
床治験の結果が必ずしもその後の製品開発の行方を確定するものではない可能性、当局の承認取得の遅延または
失敗の可能性、臨床治験の資金を第三者機関に頼ることによるリスク、商品候補に対する知的財産権に関するリ
スク及びかかる権利の防御・執行能力に関するリスク、製品候補の臨床治験または製造を依頼している第三者機
関が当社の期待通りに履行できない可能性、さらに臨床治験の開始、患者登録、完了または解析、臨床治験計画の
妥当性または実施に関連する重大な問題、規制当局への書類提出のタイミング、第三者機関との提携またはタイ
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12 月期の Form10K 及びその後の 10Q、8K など届出書に記載されているものも含め、しかしそれに限定されな
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