名古屋工業大学とフォーカスシステムズ、指向性アンテナの共同研究を開始

プレスリリース
国立大学法人名古屋工業大学
株式会社フォーカスシステムズ
2018 年 1 月 11 日

名古屋工業大学とフォーカスシステムズ、指向性アンテナの共同研究を開始

3 倍を超える通信距離で広がるビーコンの利用可能性

国立大学法人名古屋工業大学(愛知県名古屋市、学長:鵜飼裕之)と株式会社フォーカスシステムズ
(東京都品川区、代表取締役社長:森啓一)は、指向性アンテナ機構を搭載した BLE 送信機 (ビーコン)
と受信機の開発を目的として、Bluetooth で利用可能な指向性アンテナ機構の共同研究を開始しまし
た。


一般的なスマートフォンやタブレット端末、ノート PC に搭載されている Bluetooth アンテナは全
方位からの電波を送受信しており電波の発信元の方位を特定することは想定されていません。これら
の機器では、電波の発信源が一定の半径内(数メートルから 30 メートル程度)のエリアにあることは
判別できますが、正確な位置を割り出すことは困難です。


一般的なビーコン製品においては全方位に電波が出力されていますが、本共同研究により、指向性
アンテナ機構を BLE 送信機(ビーコン)と受信機に搭載することで、意図的な方向への電波出力(送
信)を可能とし、特定の情報を特定のエリアにある受信機へ送信することができるようになります。
また、人が一般的なビーコンを身に着けた状態では、人体が悪影響を及ぼすため、電波発信能力が
著しく劣ってしまいますが、本共同研究では、人体を含めたアンテナと送信回路とのインピーダンス
マッチングを考慮した設計開発をすることで、ビーコンを身に着けた状態において、一般的なビーコ
ンの 3 倍以上の電波発信能力を発揮するビーコンの実用化を目指します。その結果、探知・探索のた
めの機能も飛躍的に向上します。


従来の方式と本共同研究により指向性アンテナ機構を実装した方式の位置推定の相違について、下記
に示します。


<従来>




全方位へ電波発信 全方位の電波受信
(一般的なビーコン) (スマホ/タブレット)

発信側は全方位に電波を発信し、受信側は全方位から電波を受信するように設計されているため、発信源の特定
が困難
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国立大学法人名古屋工業大学
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2018 年 1 月 11 日

<発信側に指向性アンテナ機構を搭載した場合>




特定方向へ電波発信 全方位の電波受信
(指向性ビーコン) (スマホ/タブレット)

受信側は全方位から電波を受信するが、発信側が特定方向に電波を発信することで、発信源の位置推定が可能


<受信側に指向性アンテナ機構を搭載した場合>




全方位へ電波発信 特定方向の電波受信
(一般的な送受信機 (指向性受信機)
(スマホ、タブレット、PC))

発信側は全方位に電波を発信するが、受信側が特定方向からくる電波のみ受信することで、発信源の位置推定
が可能


<受発信双方に指向性アンテナ機構を搭載した場合>




特定方向へ電波発信 特定方向の電波受信
(指向性ビーコン) (指向性受信機)

発信側は特定方向に電波を発信し、受信側も特定方向からくる電波のみ受信し、発信側、受信側の電波方位が
一致した位置を特定するため、より正確な位置推定が可能
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国立大学法人名古屋工業大学
株式会社フォーカスシステムズ
2018 年 1 月 11 日


本研究の結果開発されたアンテナ機構の実用化により、以下のような場面で活用することが可能で
す。


想定される利用シーン1 <要介護者の見守り・捜索>



見守り (行動観測) 要介護者捜索




受信方向
進行方向

指向性ビーコンによる行動観測 指向性アンテナを搭載した受信機で対
象物の方位を推定し、更に電波強度によ
※指向性があると進行方向を特定でき観測 り距離を推定することが可能
しやすい



想定される利用シーン2 <展示物 ガイダンス自動再生>



展示物ガイドシステム(スマホアプリ/クラウドサーバ/指向性ビーコン)
通常ビーコン設置 指向性ビーコン設置




相互に電波干渉してしまうため、対象となる 相互干渉を避けられるため、正しく
ガイドを別の要素で判定する必要がある ガイドできる
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国立大学法人名古屋工業大学
株式会社フォーカスシステムズ
2018 年 1 月 11 日

想定される利用シーン3 <GPS 不要な経路案内システム>



地下街の案内システム(スマホアプリ/クラウドサーバ/指向性ビーコン)




進行したい方向に体を向けるとその方向にある対象物を案内することや、目的の場所へ
誘導することが可能




【名 古 屋 工 業 大 学 名 誉 教 授 岩 田 彰 のコメント】

BLE(Bluetooth Low Energy)通信は低消費電力を特徴とした通信手段であり、ビーコンの小型・長
寿命を実現することができます。しかしながら、一般的ビーコンを人が携行する場合、本来の電波エ
ネルギーの 3 分の1程度しか発信できません。
本共同研究では、人体を含めたアンテナと送信回路とのインピーダンスマッチングを考慮した設計
開発を行うことで、一般的ビーコンに比べて 3 倍以上の通信距離を実現するものであります。
また、ビーコン(発信側)だけではなく、指向性を有する受信アンテナも研究開発することで、100
m以上の通信距離を実現し、また、指向性を持たせることで、新たな応用展開が可能となります。
本共同研究は、極短距離の通信用といった従来の BLE 通信の概念を超えて、BLE 通信の革新的進
歩を切り拓く極めて有望な研究であると考えます。
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国立大学法人名古屋工業大学
株式会社フォーカスシステムズ
2018 年 1 月 11 日


【名 古 屋 工 業 大 学 について】
名古屋工業大学は、近代工業発展の機運高まる 1905 年に、「この地に産業基盤を創り上げ、その中
心的役割を果たす産業人を育成すること」を目的に、官立名古屋高等工業学校として創設されました。
その目的のもとに多くの優秀な技術者、研究者を育て、また多くの革新的な技術を生み出し、中京地
域の産業発展に大きく貢献してきました。



【フォーカスシステムズについて】
フ ォ ー カ ス シ ス テ ム ズ は 、1977 年 に 設 立 さ れ 、電 子 交 換 機 ソ フ ト の 開 発 か ら ス タ ー ト し
ま し た 。以 降 官 公 庁 向 け シ ス テ ム の 受 託 開 発 、シ ス テ ム 運 用・保 守 / イ ン フ ラ 技 術 支 援 業
務 、セ キ ュ リ テ ィ 事 業 を 行 っ て お り ま す 。ビ ー コ ン ソ リ ュ ー シ ョ ン に つ き ま し て は 、2015
年より開発を始め、 れまでエプソン販売株式会社と連携したスマートヘッドセットと連

携 で き る ビ ー コ ン 製 品 や 、 ま た そ の 製 品 を 応 用 し た AR シ ス テ ム を 提 供 し て き ま し た 。



【 本件に関するお問い合わせ 】
<国立大学法人名古屋工業大学>
名誉教授 岩田彰
メール:iwata@nitech.ac.jp
TEL:090-8734-1947
広報室
メール:pr@adm.nitech.ac.jp
TEL:052-735-5647


<株式会社フォーカスシステムズ>
ITイノベーション事業本部 テクニカルアドバンス事業部 ビジネスクリエーション部
メール:wireless-support@focus-s.com
TEL:03-5420-2470


以上

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