三重大学とブライトパス、ネオアンチゲンに基づく完全個別化がん免疫療法の創出を目指し産学官連携講座を設置

平成 30 年2月 15 日
各 位
国立大学法人三重大学
ブライトパス・バイオ株式会社


三重大学とブライトパス、
ネオアンチゲンに基づく完全個別化がん免疫療法の創出を目指し
産学官連携講座を設置

この度、国立大学法人三重大学(以下「三重大学」)及びブライトパス・バイオ株式会
社(以下「ブライトパス」)は、ネオアンチゲン※1による完全個別化がん免疫療法の創出
を目指して産学官連携講座「個別化がん免疫治療学」を設置し、がん免疫療法の標的とな
るネオアンチゲン決定技術基盤およびそれを用いた創薬モダリティ ※2の共同研究を平成
30 年3月1日から開始することをお知らせいたします。


近年登場した免疫チェックポイント抗体は、がん治療にパラダイムシフトをもたらしま
した。免疫チェックポイント抗体が実現したこれまでにない臨床効果が意味することは、
2 つあります。一つは、患者の体内にある免疫細胞の中でもがん細胞攻撃の中心的役割を
担う T 細胞が、がんを駆逐できるほど強力な機能を有することです。そして、もう一つは、
この T 細胞が患者体内でがん細胞を攻撃する時には、その患者のがん細胞の遺伝子変異に
由来するネオアンチゲン(Neoantigen)が強力な目印になっていることです。次世代シー
ケンサーの登場による遺伝子解析技術の飛躍的な進歩によって、患者ごとに全く異なるが
ん特異的遺伝子変異とネオアンチゲンを解析することが可能になりつつあります。
本講座で目指すのは、この患者ごとに異なるネオアンチゲンを、一人一人に合わせてが
ん免疫療法として用いる完全個別対応型がん治療薬の創製です。これまでの、できるだけ
一つで多くの人に使える汎用品としての医薬から、個人差に対応する完全個別化を追求す
る次世代の医薬へと向かうものと、私たちは位置付けています。


本講座では、がん患者の腫瘍組織を精緻に遺伝子解析する遺伝子変異の特定法と、その
遺伝子変異を含み T 細胞による免疫反応を強く誘導するエピトープの同定法を確立してネ
オアンチゲンを決定する方法を確立します。このネオアンチゲン決定技術基盤を使った医
薬品として最適な形態となる創薬モダリティの開発を行います。


本講座を率いる三重大学大学院医学系研究科の珠玖洋博士は、長年に亘ってがんペプチ
ドワクチンや抗原受容体改変 T 細胞輸注療法(TCR-T)によるがん免疫療法を、基礎の探索
研究やトランスレーショナルリサーチから First-in-human の臨床試験まで携わり、本講座
のテーマである完全個別化がん免疫療法も探索的研究を既に 5 年以上前から進めています。
また、昨年まで 4 年間に亘り、厚生労働省の事業として本邦のがん免疫研究者五十数名と




当局の代表者が集結して、すべてのがん免疫療法モダリティと非臨床試験から臨床試験ま
での範囲を含むがん免疫療法開発ガイダンスが作成された際には、統括責任者として中心
的役割を担いました。本講座では、これまで蓄積してきた情報と技術および実験系をフル
に活用し展開します。


三重大学とブライトパスは、本邦から世界に発信するがん個別治療薬の創出を目指して
まいります。
以上
【用語解説】


※1 ネオアンチゲン…がん細胞の遺伝子変異に由来する抗原を指します。免疫系は抗原を
認識して免疫反応を誘導します。免疫系は正常な「自己」の抗原には強く反応できま
せんが、ネオアンチゲンは正常な細胞には存在せずがん細胞にのみ存在するため「非
自己」として認識されて強い免疫反応を引き起こします。


※2 モダリティ…低分子化合物、ペプチドワクチン、抗体医薬、核酸医薬、細胞医薬、再
生医療といった治療手段のことで、治療薬の物質的な種別を指します。


<ブライトパス・バイオについて>
ブライトパスは、従来の標準治療の適用が困難な難治性・進行性のがんに対する治療法と
してがん治療の革新をもたらしつつある「がん免疫療法」の開発を行う創薬バイオベンチ
ャーです。国内と米国で臨床試験を実施中のがんペプチドワクチンをパイプラインとして
有するほか、細胞医薬の開発、免疫制御分子に対する抗体、がん細胞特異的な遺伝子変異
に由来するネオアンチゲンを標的とした新薬の開発を行っています。


本件に関するお問い合わせ先
・三重大学
〔共同研究内容に関するお問い合わせ〕
三重大学 リサーチセンター 複合がん免疫療法センター
Tel: 059-231-5187
http://www.shikuken.jp/
〔講座設置に関するお問い合わせ〕
三重大学 学術情報部 社会連携チーム
Tel: 059-231-9006
http://www.opri.mie-u.ac.jp/cooperation/collaboration/riyouhouhou.pdf


・ブライトパス・バイオ株式会社 管理部
Tel: 03-5840-7697
https://www.brightpathbio.com/index.html





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