株主通信「RIBOMICation vol.9」

[リボミケーション]リボミックとステークホルダーをつなぐコミュニケーションマガジン




RIBOMICa(on vol.9
[2023.July]


株式会社リボミック
証券コード 4591




CEOご挨拶

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上
げます。
当社は、核酸の「造形力」を利用した「アプタマー創薬」を核として事業を進め
ており、近年は当社企業価値向上を図るべく探索研究から臨床開発に舵を切っ
ております。2018年米国で開始したRBM-007の加齢黄斑変性に対する臨
床試験は、昨年第2相試験を終了いたしました。その結果、比較薬(Eylea®)に
対する優位性は示されなかったものの、臨床POC(開発中の新薬候補品がヒト
での臨床試験において意図した薬効と安全性を有すること)に準ずる有効性を
確認いたしました。
また、当社の2本目の臨床開発プロジェクトである、RBM-007の軟骨無形成
症に対する治験は現在本邦で小児患者を対象とし前期第2相試験に進んでおり
ます。さらに、続々と臨床開発プロジェクトの準備も進めており、本株主通信で 代表取締役社長

は、これらの現状と今後の見通しについてご報告させていただきます。 中村 義⼀
RIBOMICation vol.9をお届けするにあたり、企業価値の向上につながる具
体的な成果をご報告できるよう、弊社一丸となって努力してまいります。引き
続きのご理解・ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
2023年7月吉日



What’s New


l 軟骨無形成症治療薬としてRBM-007の国内前期第2相臨床試験開始
2023年4月、RBM-007を用いた軟骨無形成症の小児患者を対象とした前期第2相臨床試験を開始しまし
た。この試験では、軟骨無形成症の小児患者において、有効性と安全性を調べます。

l 中国での開発を担う合弁会社設立に関する基本合意
2022年12月、瑞科国際(北京)医薬技術有限公司および上海汇瑞医療器械有限公司との間で、中国地域に
おけるRBM-007の加齢黄斑変性(AMD)等を適応疾患とする臨床開発を担う合弁会社設立に関して基本
合意に至りました。三社は合弁会社設立後に中国で資金調達を実施して臨床開発を進める予定です。
臨床開発:チャレンジブルな方向へ舵を切ったリボミックは魅力的



研究開発本部長 CEO
中村 嘉秀 中村 義一
Nakamura Yoshihide Nakamura Yoshikazu



社長 2月から臨床開発部長(4月から研究開発本部 前社では、非常に恵まれた環境下で、やりがいを持っ
長兼務)として中村嘉秀(よしひで)さんを当社にお て仕事をさせてもらっていました。そのため、転職先
迎えしました。私の名前とよく似ているので、ここで を検討する中で、大手の製薬会社の選択肢もありま
は「秀さん」と呼ばせていただきます。簡単に自己紹 したが、それであれば前社のままで良いと思ってい
介をお願いします。 ました。
秀さん 前社(協和キリン)で25年ほど勤めました。 そのような中で、バイオベンチャーであるリボミック
前職では、医師やコメディカルの方々と治験を進め に出会い、この会社であれば、自分の今までの経験
る臨床開発のモニタリング業務から始まり、臨床開発 をさらに活かしながら社会貢献できるのではと考え
全体計画の策定やプロトコールの作成、規制当局対 ました。
応資料作成や照会事項の回答作成等、開発全体のマ リボミックの持つアプタマー医薬というモダリティー
ネジメントを推進してきました。 に魅力を持ったことは言うまでもありませんが、バイ
特に腎臓領域での臨床開発を長きにわたり担当しま オベンチャーで臨床開発まで実施している企業は多
したが、その他、がん領域や希少疾患の開発も経験し くありません。リボミックは、以前は新薬の種を他の
ているので、比較的幅広い領域を経験してきました。 製薬会社に提供する創薬探索ビジネスを中心として
また、軸足は臨床開発でしたが、その他、研究開発本 事業を行ってきましたが、現在では企業価値向上の
部全体を俯瞰的に管理する部署にも所属し、研究開 ため自社で臨床開発を行い導出するという方針にス
発本部のアクションプラン(年間目標)の取り纏め等 テップアップしています。言うまでもありませんが、
も経験してきました。 臨床開発の成功確率は決して高いものではありませ
社長 なぜリボミックへ転職しようとおもわれたので ん。それを理解した上で、チャレンジブルな方向へと
すか? 大きな舵を切った経営陣や社員の方々とともに研究
秀さん 臨床開発職としてもっと新薬開発の近くに 開発を行ってみたいと思い、リボミックの門をたたき
いたい、そのような環境下にあらためて身を置きた ました。
いと考え、転職を検討しました。
軟骨無形成症という希少疾患を対象とした
本剤への期待が高まる
社長 入社以来、軟骨無形成症(ACH)の国内での臨
床試験の推進に精力的に取り組んでもらっています (CRO)へ委託しないと治験を遅滞なく進めることは
が、進み具合はいかがでしょうか。 できません。そのため、CROの協力は必要不可欠で
秀さん そうですね。ACHという希少疾患を対象に あり、CROとのコミュニケーションも
しているため、目標とする症例数を集積することは 密にとることで、遅延がないよう
容易ではないのは事実です。しかしながら、先生方に 進めているところです。
対して本剤の作用メカニズムや、今までに得られてい
1997年 キリンビール
る有効性や安全性等、本剤の特徴を丁寧に説明する 株式会社(現 協和キリ
ン株式会社)に入社。
ことで、本剤への期待を持っていただけています。 2020年 臨床開発セン
また、リボミックのような社員数の規模の企業だと、 ター副センター長、臨床
開発業務全般のマネー
多岐にわたる治験業務の多くを治験業務受託機関 ジメントも務めた。
社長 今後のACH治 2点目は作用機序です。本剤は、線維芽細胞増殖因
験の予定についてお 子2を強力かつ特異的に阻害することで、薬効を発
聞かせください。 揮するのに対して、ボックスゾゴはB型ナトリウム利
秀さん 現在、前期 尿ペプチド受容体に作用して薬効を示します。ボッ
第Ⅱ相試験として3 クスゾゴは軟骨細胞の肥大化を促進すると考えられ
試験を実施していま ていますが、本剤は軟骨細胞の肥大化および増殖の
すが、患者様の身長の伸びを含むベースラインデー 2つを促進させることが示唆されています。さらに
タを取得することを目的とした観察試験の登録を加 この作用機序の違いにより、ボックスゾゴに効果が
速させ、来年の半ばには目標症例の登録を終了させ 見られなかった患者に対して本剤の効果が期待でき
たいと考えています。そして、その後、実際にRBM- る可能性もあります。
007(以下、本剤)の投与を行う前期第Ⅱ相臨床試 社長 私も同意見です。RBM-007とボックスゾゴ
験へと移行し、2025年には本剤のACHに対する は作用機序が異なるので、単剤で有効ならそれに越
有効性および安全性を評価したいと考えています。 したことはありませんが、併用でも相乗効果が期待
社長 BioMarin社のACH治療薬ボックスゾゴが昨 できるのでないかと考えています。
年認可され市販されていますが、どう差別化するつ 秀さん その通りですね。ボックスゾゴとの併用に
もりでしょうか。 よって更なる有効性も期待されると考えられますの
秀さん ボックスゾゴとの違いは大きく2点ありま で、将来的にはボックスゾゴと併用した際の有効性
す。1点目は投与頻度です。ボックスゾゴは毎日皮下 および安全性を確認する治験も考える必要がある
投与する必要がありますが、本剤は、週に1回又は2 かもしれません。
週に1回の投与を目指して治験を行っています。
ボックスゾゴの作用機序とは異なる
RBM-007の可能性
社長 秀さんの仕事ぶりを拝見していると、東西奔
走ともいうべき「相対」と「あし」を基本にして治験サ 行うことができるよう、事前準備は万全にして挑む
イトや臨床医とのネットワークを広げている様子に ように心がけています。このような適切なコミュニ
は目を見張るものがあり感心しています。当初予想 ケーションは、信頼関係構築へと繋がり、結果的に治
していた状況と現実は相当乖離していたのではない 験薬の適切な情報収集や治験の円滑な進行へと発
でしょうか。 展すると考えています。
秀さん 確かに自ら医療機関に伺い先生方と話す場 今の進め方は、前社での多くの先輩方からの指導に
面が多いですが、予想との乖離はありません。もち より学んできたものであり、リボミックにおいても、
ろん、先生方も非常にお忙しい中でお時間をいただ 自分自身が正しいと考えるやり方で進めていきたい
いていますので、情報共有や依頼事項をスムーズに と考えています。

医療機関との信頼関係構築が
円滑な治験進捗のカギ
の意味で、RBM-007を用いた増殖性硝子体網膜症
社長 入社直後は臨床開発部長として指揮をとって (PVR)の豚眼モデル試験の結果が待たれます。
もらいましたが、4月からは研究開発本部長として 第二は肺動脈性肺高血圧症(PAH)を対象にした
R&D全般に目を配ってもらっています。その目でご RBM-011(抗IL-21アプタマー)です。国立研究開
覧になって、次の当社の「出しもの」は何でしょう。 発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援のも
秀さん 臨床試験への近さから言えば、第一はRBM- とで、国立循環器病研究センターとの共同研究で研
が得られましたので、これらの成果を元に、
007の網膜疾患に対する適応拡大だと思います。滲 究開発を進めてきましたが、原薬のGMP製造や毒性
提携へ向けた事業開発を進めてまいりま
出型加齢黄斑変性(wet AMD)の米国での臨床試験 試験ならびに薬効確認も完了しているため、条件が
す。また、他のプロジェクトに関しては順調
が完了して安全性と有効性が確認されており、製剤 整えば臨床試験を開始することが可能です。
に進捗がみられており、引き続きVISON
も整っているので、非臨床(動物モデル)での薬効が 社長 今後も秀さんの「相対」と「あし」を使った突破
2025の目標達成を目指してまいります。
確認でき次第、第Ⅱ相臨床試験の実施が可能です。そ 力に期待しています。
NEWS 世界におけるアプタマー医薬品の復活劇

2023年3月1日、米国の創薬ベンチャー企業であるIVERIC bio社が補体C5に対するアプ
タマー(ARC1905: ZimuraⓇ)を用いた萎縮型加齢黄斑変性(dry AMD)の第3相臨床試験
に成功したニュースが飛び込んできた。これは、アプタマー医薬にとっては、2004年に滲出型
加齢黄斑変性(wet AMD)に対して承認されたMacugenⓇ(抗VEGFアプタマー)以来の朗報
である。 ZimuraⓇの対象疾患であるdry AMDは有効な薬がないUnmet Medical Needs
の疾患であり、FDAによる承認がおりれば、ブロックバスターになると予想されている。そし
て、この話には続きがあり、2023年4月30日、アステラス製薬はZimuraⓇを手に入れるため
に開発元のIVERIC bio社を総額8,000億円で買収する契約を締結した。


MacugenⓇは世界初のwet AMD治療薬として承認されたが、その後VEGFを標的とする
抗体や可溶性のデコイ(おとり)受容体を用いた、さらに有効な医薬(LucentisⓇ、EyleaⓇ、
AvastinⓇ等)が続々と開発され、MacugenⓇに対するニーズは急速に衰退した。しかし、その
間も、複数のアプタマー医薬候補品が臨床試験に進み、注目された二つのアプタマー
(REG1*1、FovistaⓇ)に大きな期待が集まったが、いずれも最終の第3相臨床試験が奏功せ
ず、アプタマー創薬に関してネガティブな印象を残し、アプタマー医薬品開発の停滞の一因と
なった。


過去の話になるが、FovistaⓇ(抗PDGFアプタマー:対象疾患wet AMD)の臨床試験の失
敗に関しては、アプタマー医薬や網膜疾患の分野では大きな失望をよび「Fovistaショック」とし
て知られる。実は、FovistaⓇを開発したバイオベンチャーOphthotech社は2019年4月に社
名をIVERIC bio社に変更、そして今回のZimuraⓇを武器に対象疾患もdry AMDに切り替え
て出直しを図り、この苦難を乗り越え今回の成功を呼び込んだ。 IVERIC bio社の執念に近い
アプタマー医薬品開発の努力も凄まじいが、バイオベンチャーを財務的に支える米国の懐の深
さを感じざるを得ない。


現在、当社のRBM-007を含めて9種類のアプタマーが臨床試験の過程にあり、国際的にア
プタマー医薬品開発の機運が再び盛り上がってきた。上記の話からすれば、MacugenⓇや
ZimuraⓇ、そしてRBM-007がいずれも網膜疾患に対して有効であることから、アプタマーは
網膜疾患にフィットするモダリティ(治療手段)であることが強く示唆される。当社としては、
RBM-007の適応拡大をはかる目的で、今後は網膜疾患である増殖性硝子体網膜症(PVR,
proliferative vitreoretinopathy)に対する臨床試験の準備を進める予定だ。

*1 REG1 : 抗FIXaアプタマー 血液凝固阻害活性を示し、疾患対象は血友病


次なる
創薬ターゲットへ
向けて頑張るぞ!
118

業績ハイライト
業績ハイライト

事業収益 研究開発費 流動性の状況
(現預金+有価証券の合計額)

単位:百万円

2,954

4,701 4,325
1,482 1,491


80 65 未確定

2022年度 2023年度 2024年度予定 2022年度 2023年度 2024年度予定 2022年度 2023年度 2024年度予定


2023年度: 65百万円 2023年度: 1,491百万円 2023年度: 4,325百万円
RBM-011の肺動脈性肺高血圧症につ RBM-007の臨床開発の薬剤合成に 第16回新株予約権⾏使による資⾦調
いて国立循環器病研究センターとの共 おいて、想定を上回る薬剤量を確保。 達13億円とRBM-007の薬剤合成を
中⻑期的な成⻑を実現すべく、RBM-007による加齢⻩斑変
同研究による受託収入に加え、産婦人 当初予定額2,069百万円が1,491百 主要因とした事業費用縮減により、当
性症、及び軟⾻無形成症を適応疾患とした臨床開発のための
科領域であすか製薬㈱との共同研究収 万円となり計画比578百万円減。 初予定の残高2,242百万円が4,325
費⽤に加えて、これに続く開発品⽬の早期の臨床段階へのス
入を当初予定額通り計上。 百万円となり計画比2,083百万円増。
テージアップや次世代アプタマー・テクノロジー開発、他社予定
2024年度: 未確定 2024年度: 913百万円 2024年度: 2,954百万円 予定
との提携等の成果に繋げるために必要な費⽤等を研究開発費
事業の進捗により確定した段階で、 RBM-007(軟⾻無形成症)の臨床開 1,366百万円の研究開発費や販管費を
お知らせいたします。
として⾒込んでおります。 発費に加え、他パイプラインの臨床 勘案後も⼗分残⾼確保。

段階へのステージアップ、次世代ア
プタマー・テクノロジーの開発費
⽤。




第16回 新株予約権の資金用途
Unmet Medical Needsに応える医薬品開発のために下記の2つの研究開発を促進する
ことを目的に新株予約権による資金調達を行いました。今回の新株予約権は2022年10月
に発行、2022年11月に完了、当初の想定を上回る13億円の資金を調達しました。


DDS用アプタマーを
肺動脈性肺高血圧症 中心とした探索研究
(PAH)の新規治療薬を開
薬剤標的部位に対する特
発する目的で、薬剤合成や 606 494
毒性試験等の費用に使用。 百万円 総額 百万円 異的なアプタマーを創製
約13億円 し、これをツールとする薬
RBM-011の研究開発 剤送達システム(DDS)の
構築に使用。
運転資金

百万円
会社概要 ・ 株式の状況


会社概要 (2023年3月末現在) 株主メモ
会 社 名 株式会社 リ ボ ミ ッ ク 事 業 年 度 毎年4月1日から翌年3月31日まで

設 立 2003年8月1日 定時株主総会 毎年6月開催

資 本 金 722百万円(資本剰余金 5,315百万円) 基 準 日 定時株主総会 毎年3月31日
期末配当 毎年3月31日
本 社 〒108-0071 中間配当 毎年9月30日
東京都港区白金台3丁目16番13号
白金台ウスイビル6階 1単元の株式数 100株

子 会 社 RIBOMIC USA Inc.(米国、CA) 証 券 コ ー ド 4591

従 業 員 25名 株主名簿管理人 三井住友信託銀行株式会社
研究開発本部 18名 (PhD 10名) 東京都千代田区丸の内一丁目4番1号
管理本部 7名 (PhD 1名)
郵送物送付先及 〒168-0063
マネジメントチーム (2023年6月末現在) び電話照会先 東京都杉並区和泉二丁目8番4号
三井住友信託銀行株式会社
代表取締役社長 中村 義一 証券代行部
TEL:0120-782-031(通話料無料)
取締役執行役員 大岩 久人
管理本部長 公 告 方 法 電子公告により行います。ただし、事故その
他やむを得ない事由によって電子公告によ
取締役 (社外) 西畑 利明 る公告をすることができない場合は、日本
経済新聞に掲載して行います。
取締役 (社外) 松藤 千弥

取締役 (社外) 藤原 俊伸 株主総会資料の電子提供制度に関するご案内
常勤監査役 (社外) 五十嵐 章之 インターネットの利用が困難、または、株主総会資料のご郵送を強
く希望される株主さまに対し「書面交付請求」の手続きが設けられ
監査役 (社外) 矢部 豊 ています。
監査役 (社外) 藤井 康弘 2024年6月の定時株主総会については、株主総会資料の書面で
の受領を希望される株主さまは、2024年3月末日までに「書面交
株主の状況 (2023年3月末現在) 付請求」のお手続きをしていただく必要がございます。
お問い合わせ先 当社株式を保有されている口座がある証券会社
発行可能株式総数 114,000,000株
または 三井住友信託銀行株式会社
発行済株式総数 35,694,340株
電子提供制度 0120-533-600
株主数 18,473名 専用ダイヤル 9:00 〜 17:00(土曜・日曜・休日を除く)




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お問合せについてはホームページの「お問い合わせ」からお尋ねいただき、フェアディスクロージャーの
観点から後日「皆様からのQ&A」にて回答をさせていただいております。

皆様からのQ&A


株式会社 リボミック
〒108-0071
東京都港区白金台3丁目16番13号

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